Something Good Coming2010/06/01 22:44

 6月になり、いよいよTP&HBの新譜 [MOJO] の発売が迫ってきた。新曲は何曲か聞かせてもらえるし、映像も出てくるし。やっぱり華やかなプロモーション活動は、心躍る。楽曲も最初はびっくりしたものの、やがて安心感のあるサウンドが届けられて、これはどうやら面白いバランスのアルバムになりそう。

 クラブハウスでの演奏風景を撮影したプロモーション・ビデオ第二弾、"Something Good Coming"。



 この曲は、私のツボにはまるタイプ。こういう、曲の構成は単純で、切々とした、しかも悲しげな曲が大好きで、ジョージの "Isn't It A Pity", TP&HBの "Echo" などがそのタイプだ。こういう曲をヘッドフォンで聴いたりすると、胸がいっぱいになる。
 ライブでも聴きたいが、どうだろう。"Isn't It a Pity" や、"Echo" もライブで聴きたいが、どうだろう。

 ところで、この「ハートブレイカーズ・クラブハウス」。前の "I Should Have Known It" の時から思っているのだが、絨毯ショップと化していないだろうか。地震が来てギターが落下しても、傷がつかないように絨毯をこれでもかと敷き詰めるのか?(いや、もちろん音響対策でしょうけど)そのうち「大特価 わけあり ペルシャじゅうたん 80%オフ 198万円」などと札が出るかもしれない。
 私はなんとなく、この「クラブハウス」を「マイクの巣」だと思っていた。マイク自宅のガレージスタジオではないにしろ、どうもマイクの巣というか、城と言うか。1994年のドキュメンタリー [Going Home] で、トムさんとマイクが楽しそうにゴチャゴチャやっている場所とも、多少混同している。



 やっぱり違うか。絨毯ショップじゃないし(そこか)。

ボンゴ・ブラザーズ2010/06/05 22:49

 アメリカではいよいよ、トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズのツアーが始まった。私にとっては、気がつかないうちに始まったという印象。思えば、長丁場である。仕事とはいえ体力的にも大変だろう。あれこれとぜいたくは言わないから、無事に日程をこなして、楽しい演奏を聞かせてほしい。

 気付かないうちにツアーが始まるくらい、私はいろいろと多忙だった。そのため、先月末にマイティ・ブーシュのセカンド・シーズンのDVDが発売されても買いに行けずにいた。ネットショッピング済ます事もできるのだが、やはり何年も日本デビューを待っていた身としては、店頭に並んでいるのを見たいのだ。
 とにかく、セカンド・シーズンのDVDを入手した。「コメディなのか?PVなのか?音楽とコメディの新たな融合を目撃!!」などとパッケージのシールに書かれているように、音楽的要素が前シリーズよりもさらに強くなった。



 紹介するのは、セカンド・シーズン,エピソード2, "The Priest and the Beast" 邦題の「聖者と野獣」はどうやら、私の命名が採用されたらしい…と、思っている。とにかく、前シーズにくらべてお金のかかった音楽シーンを展開している。ファースト・シーズンの安っぽい作りも捨てがたい。特に、画用紙と紐で作った偽ブライアン・フェリーが最高だった。
 レコード契約を目指すハワードとヴィンスだが、全く目途はつかない。そこでナブーは、名作アルバム「エル・ソニード・ヌエーヴォ」を作ったボンゴ・ブラザーズの苦労話をする ― そのボンゴ・ブラザーズは、ストラト愛用ギタリストのルディと、かなりお下品なドラマーのスパイダー。新しいサウンドを求めて砂漠に出かけ、けんか別れして、今度は組もうぜとカルロス・サンタナに電話して、レイザーライト(本物)が金属探知器を使い、あれやこれやで、怪物ベータマックスと戦うことになる。
 このベータマックスという怪物、VHSのせいで思うところがあるようだが、要するに個人的な理由で村人を苦しめていたらしい。しかし、今や頭にククンドゥのドアを持ったボンゴ・ブラザーズの敵ではなかった…!
 とまぁ、そういう話なのだが、何が何だか分からない。ブーシュはとにかく映像を音楽を感覚的に受容しないと、理解できないのである。

 このエピソードで一番好きな音楽は、アルバムタイトルにもなった、「エル・ソニード・ヌエーヴォ」。スペイン語で「新しいサウンド」。サイケで熱くてロックンロール!このビデオ映像は、ブーシュの制作会社ベイビーカウの公式。前半が、女の子とお楽しみのスパイダーで、後半が「エル・ソニード・ヌエーヴォ」
 短いが、ブーシュの中でも一番くらいに好きな曲。ブーシュはアルバム発売を計画している。この曲もフル・レンクスで収録されていると良いのだが。

Come on, Howie.2010/06/08 22:55

 6月7日付けでCool Dry Placeに、「カントム」から[howie]の翻訳をアップした。
 この章に関しては、いつ翻訳するべきなのか、ちょっとした課題になっていた。訳すのは辛いに決まっている。だからと言って後回しにすると、完訳を前にしてやる気が萎えたり、悲しい気持ちで終わってしまったりする。それは嫌なので、早い内にやってしまおうと思っていた。
 ちょうど、前回のアップでハウイのバンド加入時の話題になり、彼の素晴らしさと未だに懐かしむ気持ちが語られたので、その流れで、翻訳する気になった。
 奇妙な事と言うべきか、当然と言うべきか。とにかく火事やノロケ話よりはよほど気持ち良く ― 変な表現だが ― 翻訳できた。話としてはとてつもなく悲しいのだが、ハウイに対する愛情がトムにも、話に出てくるどの人にも、そして私にもあるせいだろう。当然、「カントム」の中で一番泣いた箇所ではある(一番笑った箇所は、トムさんのパパがヘビやワニと戦ったところ)。

 さすがに、80年代からスタジオにはヘロインがあって、ハウイ以外も多少試したという箇所はぞっとした。笑って済む話ではない。ただし、一応認めるトムの態度には敬意を持つ。
 ハウイの問題にもっと早く気づかなかったのか、もっと早く積極的な対処をするべきだったのではないか、自分たちでどうにかするのではなく、早くスペシャリストである他者に任せるべきだったのではないか ― 今となっては、いくらでも後悔も批判もできる。それが真実かもしれないが、かと言ってバンドも周囲もいい加減だったわけではない。
 トムは特に、音楽以外の問題にもまともに対処する能力がかなりあると思う。本当に音楽以外の事が出来ない人も居て、「芸術家だから仕方がない」などと言われるが、私はあまり褒められたものではないと思っている。芸術家とはいえ、社会人には変わりない。
 それはともかく― 誰もがハウイの為に最善を尽くしたであろうし、それ故に悲しい結末が、やるせない。

 マイクもトムも、仕事以外ではバンドメンバー同士の付き合いはあまり無いと言う。それが長く互いを好きでいられる秘訣とのこと。トムとマイクに関して言えば、仕事に使っている一生涯の時間の長さや、その人間関係を思えば、それで十分なのだろう。
 しかし、ハウイに関しては「仕事の時以外は知らない」という、心地良い関係が仇になった。ベストな関係であり、それでも結果は悲劇につながる。つまるところ、ハウイの問題はハウイの問題以外の何物でもなく、彼自身にしか解決する力は備わり得なかったのだろう。

 私が読んでいて一番悲しく、同時に ― 奇妙なことに ― かなり好きな場面は、ロックの殿堂入りセレモニーのために、スタンと久しぶりに会うところ。
 けんか別れして10年ほど、色々あったけど再会してリハをしてみると、とても良い雰囲気。ところが翌日、ハウイの変貌ぶりを見たスタンが、またトムと言い合ってしまう ―。
 スタンも、トムも、同じ質量でハウイを愛しているからこその言い合い。どちらも悪くはないし、それを互いに分かっている。二人ともハウイを深く愛していることを、分かっている。ふと、ジョージの "Isn't it a pity" という名曲は、こういうシチュエーションを歌っているのではないかと思ったりする。
 さらに、映画[Runnin' down a dream] で言葉に詰まってしまうベンモントや、寂しげに「出来ることは何でもした」と語るマイクを思い浮かべると、たまらない気持ちになる。

 私個人にとってのハウイ。
 私が最初にTP&HBを知った時から、彼はTP&HBそのものだった。私にとってのFirst TP&HBは "So you want to be a rock 'n' roll star" の映像なのだが、ホーン部隊やコーラス部隊はこのバンドの一員ではなく、間違いなくあのベーシストを含めた5人こそが「あのバンド」だと分かっていた。
 次にまとまったTP&HBとして見たのがMTV Rockumentary。ハウイはふっくらとした可愛い顔つきの、ナイスガイだった。ほかの4人とともに、このバンドはこの5人以外にあり得ないんだろうなと、私は思っていた。
 もともとビートルズファンのため、美しいコーラスワークが好き。その意味でも、ハウイは欠くことの出来ない重要人物だった。彼とトムのハモりが好きでたまらなかった。



 私がハウイを見たのは2回。始めてサンフランシスコの野外劇場で見たときと、その3ヶ月後に1泊3日LAツアーを実行したとき。彼の様子が、かなりやつれていたことは知っていたが、まだ逮捕はされていなかった
 痩せていたが、フリフリシャツに、レザーパンツで、格好良かった。カーテンコールで、楽しそうでクルリと回って見せたのを鮮明に覚えている。
 次にTP&HBを見たのは2002年の暮れで、そのときはもうハウイは解雇されており、ベースはロンが弾いていた。
 帰りの空港のロビーで、今頃ハウイはどうしているだろうと思った。mayuさんの世界一TP&HBファンサイトHere Comes a Heartbreaker! に寄稿しているので証拠もあるが、とにかく私はぼんやりと、ハウイが健やかでありますようにと願っていた。
 ハウイが死んだのは、その2ヶ月後だった。

トムさんのジャケット2010/06/10 22:44

ねずみくんのチョッキ。
トムさんのジャケット。

 TP&HBのツアーが始まり、公式サイトやファンサイトには続々とセットリストや、写真がアップされている。どれもこれも素敵の一言で大いに嬉しいのだが、私にはどうしても一つだけ、苦言を呈したい事がある。



 ジャケットの丈が長い!長すぎる!

 なんだかカーネル・サンダースみたいだ。フロックコートのリンカーンでも良いけど、もっといえば冗談のような花婿さんのフロック・コート。

 絶対に丈が短い方が良いと思うのだが、トムさんは昔からけっこう丈の長いジャケットを着る。



 学ラン。長ランか?!とにかくあまりに合わない。隣のマイクのジャケットもけっこう長いし、柄はアガサ・クリスティの小説で死体発見現場になるお屋敷のカーペットみたいだけど…マイクは格好良い。トムさんは、肩幅もないし、華奢なのに、がっちりパットの入った長ランだからおかしいのだ。こういうのは、ある程度がっちりした体がないといけない。
 あまりにも気に入らないので載せないが、1999年フィルモアの白い丈の長いジャケットは本当にカーネル・サンダースっぽい。嫌だよ、トムさん。阪神ファンに「マートンに似てる!」とか言われて(似ていない)堀に投げ込まれて、24年後に発見されるなんて…
 あと、最悪だったのはたしか2000年くらいの青に「白い恋人」のパッケージ柄のジャケット。あれも丈が長かった。画像検索してもなかなか引っかからない。あまりにも酷いので歴史から削除したのだろうか。あれが結婚式の衣装だったことは、むかつくので忘れてやる。

 じゃぁ、何を着れば良いのか。そりゃ、丈の短いジャケットですよ。最高なのは、これ。



 ウィルベリーズはもちろん最高だが、ジャケットも最高。そりゃ、ジョージが「トムは見た目が可愛いから」入れたのであって、そこで長ランはあり得ないでしょう。クビになっちゃう。

 Take the Highway も、衣装的にはかなり良い。


 アンコールで着ていた、紺色にカラフルな刺繍のついた短いジャケットも可愛くて好き。
 返す返すも、Take the Highway はバンダナが玉に瑕で、惜しい。あれさえなければ、本当にパーフェクトなのになぁ。どうして撮影がある日に、ウィルベリーズ・ハットにしなかったんだろう?
 この作品をDVD化する時は、バンダナの所だけ、修正を入れたらどうだろう。変な疑いをかけられる?そうかなぁ。いいと思うのだけど。求む、同士!トムさんの事務所と会社にお願いしよう!

 でも、本音を言うと一番見たいのは、トムさんがビートル・スーツを着ていた姿。もちろん、ビートル・ブーツも。
 金髪マッシュルームにピンクのビートルズで、コサージュを売っていた墓掘りなんて、最高じゃないか(←混ざっている)。だれか、写真撮ってないかな…。あってもモノクロか…。テンチ家くらいお金持ちなら、余裕でカラーだったろうに。

Letting You Go2010/06/13 22:32

 いよいよあさって、TP&HBの新譜 [MOJO] が発売される。まずは輸入盤から。ネット通販の予約完了。当日は夕方に渋谷のHMVへ直行するつもり。渋谷のHMVは閉店するそうだが…ますます、店頭でアルバムを手に取って買い込むという行動が難しくなりつつある。ロックなどはまだ良い。私の場合、ブルースやアイリッシュ、クラシックなどは現物を見てしか買う気が起こらないので、対策が必要だ。

 好きなアーチストの新譜となると、その前に「断ち」ということをよくやったが、今回は何もしていない。やろうと、思いもしなかった。やはりツアーも控えているので、盛り上がり過ぎて断つどころではなくなっている。第一、「断ち」をやると具合が悪くなる。2007年にウィルベリーズ断ちを数か月やったら、発売直前になって病に倒れ、40度の熱を発して1週間入院した。

 YouTubeでオフィシャルの最新映像を見て楽しんでいるのだが、古いものも一緒に見たりする。ここでは、1981年の "Letting You Go" 。このビデオは、なぜか [Playback] には収録されなかった。しょぼすぎたのか、"The Waiting" があれば用が足りるのか(確かにそうだ)。ジョージの "Blow Away" に当たるのだろうか…あそこまで酷くはないか。



 "The Waiting" と同じセッションで撮影されているのだが、トムの前髪の決まり具合に差がある。"Lettin You Go" の方がちょっとなでつけ過ぎか?モミアゲを伸ばしても、可愛いから許す。しかし…あのシャツの襟の立て方はどうなんだ。きっとスタイリストが、無理やり立たせたに違いない。
 足クセの悪いベンモント。可愛い顔してお坊ちゃまがあれをやるから、さらにおかしい。マイクにはこれといった出番なし。真白なジャケットまで着たのに!ロンはさりげなく格好良いショットがある。
 やはり、白眉はスタン。体格の良いハンサム君にしか似合わないVネックを素肌に着こなし、角度も格好良くカメラ目線。そしてベンモントと中途半端な小芝居。

 この手の、「撮影している体のカメラ」も演出として入れ込んだ映像作品の最初は、やはりビートルズの映画 [A Hard Day's Night] なのだろうか。あまりアイディアも工夫も、そして予算も要らない。
 それにしても、同じような演出なのに、ビートルズとのオシャレ度の落差は一体どうしたことか。モノクロとカラーの違いか、監督の腕か…いや、バンドメンバーの演技力の差が一番大きいのかもしれない。

 気がつくと、ここ最近の記事は圧倒的にTP&HBが多い。彼ら以外の音楽ももちろん聴いているが…TP&HBタグ100個目の記事を、トムさんのファッションチェックに費やしてしまった。やはり、新譜とツアーの盛り上がりがそうさせるのだろう。

MOJO 仮入手2010/06/15 23:25



 トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズの新譜 [MOJO] 入手をめぐる経緯一日目。

 まず、Amazon.jpに予約を入れる。しかし、発送通知は来ない。
 仕事の後、渋谷のHMVへ直行。血眼で捜す。あの写真は格好良いけどデザインとバランスに問題があるけど、見慣れるとけっこう格好良いジャケットを血眼で捜す。ない。店頭端末で捜す。なぜかオーストラリア版が6月11日発売でヒットする。この際、メリケン粉でもカモノハシでも構うものか。お兄さん、これください!
 しかしHMVのお兄さん曰く、「ありません。来週入荷予定です。」
「アメリカ版もないんですか?」
「ないんです。」
「日本版は確かに来週ですけど、こっちは今日なんです。」
「入荷が来週なんです。」
「要するに、これはどれもないんですね。」
「ないんです。」
「………。」

 …撤退。渋谷からも撤退。HMVになくて、Towerにあった例などないことなど、経験で分かっている。
 自宅へ直行。帰路、まずiTunesでゲットすることに決める。しかし、アメリカのiTunesだ。しまった、ミュージック・ギフト・カードを使いきっている。
 帰宅すると、まずネットでドルのミュージック・ギフト券購入。購入確認のメールを受信するためにメールボックスを開けると、「ライブツアーで、MOJO Package を買った人は、全曲ダウンロードできるよ~ん♪」というメールが来ている。

 そういう事は先に言え!(←忘れていたのだ)日本時間の日付変更に合わせろ!せめてギフト券を購入する前に知らせろ!

 すごすごと公式ダウンロードページに行って、ダウンロード開始。
 この手の作業が異常に苦手。光でものぞみでもないので、まず遅い。その後どうすれば良いのかよく分からない。聞けない。iPodに入らない。とにかく、七転八倒の末に、やっと聞けた。

 とりあえず、一通り聞いた感じで好きな曲。
 "Jefferson Jericho Blues" 格好良い!
 "Candy" かわいい。うふふ。
 "No Reason To Cry" 泣く。タイトルは「泣くことなんてない」だけど、泣く。
 "I Should Have Known It" わー、格好良すぎる!
 "U.S. 41 " 歌詞がさらに良い。「カントム」を読むべし。冒頭のところ。
 "Something Good Coming" この手の曲には弱いのだ。

 現物の盤を手に入れていないので、感想も半分くらいか。
 眠いし(寝不足。いや、サッカーじゃなくて、F1カナダGPのせいで)、MOJOゲットミッションで疲れたので。

Little Girl Blues2010/06/17 23:17

 [MOJO] は相変わらずダウンロードできただけで、実体をつかんでいない。雲をつかむMOJO。

 どんなアルバムもそうだろうが、一度聞いた印象ではピンときていなかった曲が、何度も聞いているうちにジワジワ来るという現象がある。どうやら、[MOJO] の場合、"The Trip to Pirate's Cove" らしい。変な歌詞だし、なんだかよく分からないが、何やらジワジワ来た。なんだろう、これ…?そんな訳で、この曲から、"U.S.41" までの5曲並びがかなり好きだ。

 ところで、結局ドルのミューック・ギフト・カードは購入してしまったわけなので、一応 iTune Store USものぞいてみた。すると、[MOJO] のボーナストラックがある。"Little Girl Blues" が1曲買いできたので、即購入した。

これ、アルバム収録からカットしたの?!

 およそ信じられない。アップテンポで、クールで、最高の曲じゃないか。トムのボーカルのノリも素晴らしいし、マイクが作ったんじゃないかと思わせる歯切れの良いギターが曲をグイグイ引っ張っていく。さらに、バックで軽く、しかしチャーミングに響くピアノの音が良い。

 この曲はiTunes Store 限定のボーナストラックなのだろうか?少なくとも日本の iTunes Storeにはリストアップされていない。現物CDならどうなんだ?ブルーレイならどうなんだ?日本版ならどうなんだ?
 ともあれ、未だ現物が姿を表さず。したがってファンサイトさんに「やったぁ、ゲットー!」と超ノリノリでメッセージを書き込みに行けず(いや、行けないこともないのだが…)、いまだ雲をつかむがごとき、名作アルバム[MOJO] である。

ゲティスバーグからの退却2010/06/20 23:20

 Dunlop TVのインタビューにマイクが出演。素敵なたたずまいで話しているのだが、みごとにジョージ好き過ぎ病の症状が出ている。
 いくらでもTP&HBの話は出てくるのだが、南軍をゲティスバーグからバージニアに戻さなければならない。

 1863年7月3日、ピケットの突撃が終わり、南軍のリーは一連の北部侵攻策が、このゲティスバーグでもって終了であることを悟った。北軍93000に対して、南軍71000が激突したゲティスバーグ。結果は、北軍死傷者23000,南軍もほぼ同数。損失率は南軍の方が明らかに高く、さらに損失の補充は圧倒的に北軍が有利だ。
 7月3日の夜、リーは指揮官との会議を持った。意外にも士気はまだ高いままだった。しかし、リーは引き際を見極め、最低限の損失で兵を故郷バージニアに連れて帰らなければならない。
 翌日、7月4日。両軍はほぼ睨みあいに徹し、やがて雨が降り始めた。この雨は、南軍にとって不利だった。南軍はポトマック川を渡って退却しなければならない。リーは、落ち着いて兵をまとめ、夜には順々に退却を始めた。

 一方、北軍のミードは、慎重だった。セオリーとしては、勝っている方が負けて退却する相手を追って、徹底的に叩かなければならないし、勝っている方としてはその方が戦いやすい。しかし、ミードにはゲティスバーグで圧勝したという実感がなく(実際、圧勝ではなかった)、さらに北軍全体が持っている共通認識として守りに入った時のリーの凄まじい強さに対する恐怖があった。
 その頃、ワシントンのリンカーンは電信でゲティスバーグでの、一応の勝利を知らされた。「その頃」というのは、7月4日。アメリカ独立記念日である。しかも1863年独立記念日の場合、リンカーンには二つの戦勝の知らせがもたらされていた。西部戦線のそれはここではさて置き、とにかくリンカーン大統領はゲティスバーグでの勝利に喜んだ。
 さらにリンカーンは、この勝ちに乗じて、ミードがリーを追撃し、撃滅せしめることを期待した。リンカーンは、リーを取り逃がすことが、いかに危険なことか、完全に理解していた。
 ミードにもリーの恐ろしさは分かっていたし、その北軍全体の恐怖は、退却する南軍に対する攻勢に影響した。

 リーは敗軍とはいえ、南軍を順調に退却への道へ導いていた。この時ばかりは、ゲティスバーグに遅れたスチュアートの騎兵たちが偵察に、後方の防御に、小競り合いにと大活躍した。
 しかし、何もかもが順調とはいかない。最大の問題は、ポトマック川である。リンカーンも、退却する南軍をポトマック川渡河の前に捕捉することを期待している。川は、4日に降り始めた雨で増水しており、浅瀬を渡ることが困難だった。さらに、橋,浮橋なども北軍側の先行部隊に破壊されており、南軍はポトマック川で立ち往生した。

 7月13日、リーは覚悟を決めて、北軍を待ち受けた。
 ここで、珍妙なことが起きる。南軍は北軍の攻撃を「待っていた」のだが、北軍は塹壕を作り始めた。負けて退却する南軍を攻撃するのに、何もそこまでと思うのだが、実際北軍はせっせとその作業を始めた。その光景に、リーが逆にいらだってしまった。
 そうこうしているうちに、南軍工作部隊が、新たな舟橋を作り、渡河が可能になった。さらに、川の水かさが減り、所によっては浅瀬を渡れるようになったのだ。
 13日から14日にかけて、南軍はポトマック川を渡った。リーと、南軍は逃げおおせた。

 無論、南軍もゲティスバーグから無傷でバージニアに戻ったわけではないし、各所で起こった小競り合いでの損失も発生した。ゲティスバーグの戦いは北軍の勝利だった。しかし、完勝は逃した。そしてリーを逃した。
 南北戦争は開戦から2年経っていた。明らかに南軍の勢いは限界を迎えていた。ゲティスバーグは、戦争を急速に収束させるチャンスだった。しかし、ミードはリーとともにそれを逃した。
 リンカーンはその優れた頭脳で理解していた。リーを取り逃がしたことは、戦争を倍に引き伸ばしたこということを。
 同時に、ミードはゲティバーグの戦勝将軍でありながら、後世にそれに見合う名誉を得ることはなかった。

MOJO 現物入手2010/06/22 23:08

 先週HMVに行ったところ、[MOJO] の輸入盤は22日に入荷予定だと聞かされていた。さらに、日本盤の発売日は23日。前日の夕方には店頭に並んでいるだろうから、輸入盤と日本盤の双方を入手できるだろうという期待を持って、渋谷に乗り込んだ。

 まず、ニューリリース・ディプレイのコーナーをチェック。MOJOの姿なし。まぁ、仕方なし。
 TP&HBの場所に行ってみると…あった!あの変な... I mean... 格好良いジャケットが!まずは手に取って確保。日本盤である。しかし、どこをどう見ても、輸入盤の姿がない。思わず、キョロキョロして、誰ともなしに助けを求める。第一、日本盤も1枚しかないじゃないか。どうしよう…ひとしきりオロオロしてから、店頭の在庫確認端末をいじってみる。
 使いにくいタッチパネルをグリグリしながら、Tom Petty mojo を検索。おお、検索結果にヒットする。詳細を見ようとパネルをグリグリ。私が今、手に持っている日本盤の詳細が画面に表示され…そして端末がフリーズした。フ、フリーズ…ぎょえー!どどどどどうしよう?!再度オロオロ。いや待てよ、この画面をこのまま放置しておけば、良い宣伝ではないか。悪魔が耳元で囁く。そして決行。私に反社会的行動を起こさせる、罪なやつだぜ、トム・ペティ…!
 一応、品揃えの悪さに定評のある地元のCDショップも確認。やはり日本盤のみが1枚だけあった。

 さて、帰宅など待ち切れず、満員電車の中でガサゴソと実物チェック。かなり迷惑。



 見開きの写真が格好良い!いいね、クールなロックンロールバンドだね!
 ブックレットのデザインはジャケットより各段によろしい。ベンモントの額のラインでカットする、絶妙なトリミングがナイスだぜ!
 クレジットをじっくり確認。録音日や使用楽器をいちいち記録するあたりが、オタクっぽい。ピアノはスタインウェイか…。いや、別に良いけど。ピアノなんて、どれも同じようなものだし。別にカワイにしろとは言わないけど…ヤマハじゃないのか…。
 クラブハウス・レコーディング・アシスタントさんの名前が、トラヴィス・ウィーデルというのは、偶然?それとも…?
 トムさんの髪型の違いがちょっと気になる。同じシャツに同じジャケットに見えるのに、靴と髪型が微妙に違う写真あり。

 解説は、おなじみ天辰保文さん。いつもながら、簡潔ながらも感動的な文章。本当に、こういう文章が書けるようになったら良いなと、憧れる。技巧をこらすでも、クセのある単語を使うでもない。最初から読む側の心の中にある感覚を、文字にしてそのまま紡ぎだしたような、ある意味なんてことのない文章のはずなのに、いつも鼻の奥にツンとくるような、素敵な文章。もちろん、TP&HBの紹介や、最近の動きなども分かりやすく解説していて、バランスも良い。
 日本版解説はこうでなければいけないと思う。本当に、心からそう思う。この天辰さんの文章を読むためというだけでも、日本盤をお勧めできる。

 最後に、おまけ。日本独特の帯なのだが…スコット、ダブルで!!ダブル・スコット!

Refugee2010/06/25 23:59

 世界一のTP&HBファンサイト,Here Comes A Heartbreaker! に、Mayuさん,Toshiさん両名がマイク・キャンベルに楽屋で会って話を聞いたという快挙に関するレポートがアップされた。
 あまりの事にドキドキしどおしで、このブログの記事もうまくまとまらない。なにはともあれ、読むべし。
 楽屋に、ハートブレイカーズが当たり前にウロウロしている(当たり前だ)様子を読んで思ったのだが…どうもマイクは、自分がトム・ペティとほぼ同等にヒーロー視されていることを、分かっていないのではないだろうか…?だからこそ気さくに、会ってくれたのかもしれないが。

 あまりにもすごいので、ここではTP&HBの基本に戻る。1979年のライブ映像,"Refugee" これ、SNLじゃないかなぁ?



 若い。可愛い。ロックンロール。ネクタイ以外は、なにげにトムさんとベンモントがペアルック。色的には、マイクも仄かにおそろ?

 基本的には、このころと変わらない彼らが、今の彼らなのだろうか。30年経って、大人になって、音楽も変わって、髪にボリュームがなくなって。でも変わらぬ、かけがえのない仲間がそばに居て、ロックを奏でている。
 あの頃みたいに若くも青くもない、仕事の時以外は何しているか知らない。でも絶対に、きっと、ロックの魂で固く結ばれていて、それは確かに愛情なんだろうね。日本の漫才師が言っていたけど、「死ぬまで一緒に、ロック、してください。」って、何かの拍子で相手の目を見て。そう言うこともあるのかもしれない。