Eyes of the Storm2024/09/29 20:39

 ニューヨークへ行く前、ポールのビートルズ写真展、[Eyes of the Storm] を見に行った。
 ポールが私物のカメラで、1963年から1964年に欠けて撮影した写真が中心。ライブの合間に楽屋や、移動中、滞在先でとったもの。ビートルズの一人がカメラマンだったのだから、まさにゼロ距離での映像だ。



 63年、64年と言えば、ジョンとリンゴが24歳、ジョージに至っては20歳か21歳。もう存在するだけで輝くような「若さ」の時代であり、その姿の美しさったらない。
 そもそも、ポールの写真集が展覧会になると報じられた時に、公開されたジョンとジョージをとらえたこの写真が全てを物語っていた。



 この写真のポストカードが欲しかったのだが、売店にはなかった。人気故に売り切れだったのか、はたまた2万円ほどする特別プリントを買わせる戦略か。

 美しい FAB4 の姿も良かったが、写真集の表紙になった、ニューヨーク6番街で、ビートルズを走って追いかけるファンの姿をとらえた写真が良かった。
 ビートルズの人気の勢いを象徴するようで、同時にビートルズに熱狂した時代、若者たち自身の勢い、活力、輝きが焼き付けられている。


New York 雑感2024/09/22 20:47

 ニューヨークから帰ってきて、数日たった。
 今回のニューヨーク滞在は3泊。いつもより2泊短かった。ライブが一つであれば、3泊でも充分だった。

 まず、Jeff Lynne's ELO のマディソン・スクェア・ガーデンのコンサート。約2万の席が Sold out, 追加公演もあるとのことで、大盛況であった。
 20時開演ということにはなっていたが前座があったので、実際にジェフとバンドが登場したのは21時少し過ぎ。演奏時間は90分ほどの、コンパクトなコンサートだった。もちろん ELO の名曲、ヒット曲の目白押し。ジョージやトムさん、ウィルベリーズなどのトリビュートは無し。本当に ELO の楽しいコンサートで、私は気楽に楽しめた。
 ハートブレイカーズのライブの時は一生懸命アリーナの前の方に席を取ろうとしたり、大柄アメリカ人を前にして跳んだり跳ねたりしていたが、今回は2階席でゆったり。
 お馴染みの ELO ソングを会場全体で合唱したりして、とにかく楽しかった。私にとって、ジェフは海外遠征までしなければならないアーチストではないとは思うが、でもこのまま一度もライブを見ないでいるのは、なんだか惜しい。サクっとニューヨークに飛んで、サクッと楽しむという意味で、とても良かった。

 ニューヨークは2017年以来7年ぶりだった。どうやら、私がニューヨークに抱いていたキラキラしたイメージは、すっかり煤けてしまったようだ。ニューヨークのうるさくて、汚くて、臭くて、ぐちゃっとした感じが押し出されていて、なんとなく疲れる。
 マンハッタンに行くたびに増えるのが、歩道に張り出す足場。どのビルも何らかの工事が必要で、しかも建物がびっしり並んでいるので、足場は歩道に張り出すしか無い。
 地下鉄の料金システムは、クレジットカードのタッチ機能を中心とした OMNY に切り替わり、どの店もカードはタッチ決済が基本だ。帰国したら早速、カード会社に電話してタッチ決済カードへの切り替えを依頼したが、ある会社はまだ対応していないという。これは不便なので、早くどうにかするべきだろう。

 ニューヨークと言えば美術館も見所だ。今回はノイエ・ギャラリーと、メットだけ。
 去年、フィレンツェに5泊もしたのがいけなかった。確かにメットの収蔵品は膨大だが、私が好きなルネサンス絵画においては完全に「しょぼい」。ともあれ、みんながエジプトに行っている間、フェルメールとレンブラントの部屋に私一人という贅沢な時間を過ごせたのは良かった。
 アメリカン・ウイングは、別にたいした美術品はないし、一部はほとんど大塚家具なのだが、ハートブレイカーズ・ファンとしては、ホーマーの "The Veteran in a New Field" 詣でをしなければならない。ところが、なんと展示室がクローズ中。残念。

NY 23:242024/09/17 12:22


楽しかった!
想像してたのより、ずっとたくさんジェフが歌っていた!(なんだと思ってたんだ…)

MSG 20:502024/09/17 09:51

BGM
I won't back down
You got it
Set on you

足元はピールで水浸しだ!(私が飲んでいるのではない)

New York 20242024/09/16 06:47


 ニッキー・ホプキンズの映画を見たあとも、ポールの写真展に行ったりしたが、あまりの忙しさに、いろいろ吹っ飛んでいるのだが、ともあれ、ニューヨークに来ている。2017年以来、7年ぶり。
 何しに来たかというと…?!

The Session Man2024/09/07 20:16

 ニッキー・ホプキンズの伝記映画 「The Session Man セッションマン ニッキー・ホプキンズ ローリング・ストーンズに愛された男」を見に行った。
 当然である。私が好きなピアニストは、グレン・グールド,ニッキー・ホプキンズ,ベンモント・テンチ。



 60,70年代のロック好きなら、この映画を見なければならない。ロックバンドが、ギター、ベース、ドラムスだけで構成されていた次元から、一気に多様でカラフルで魅惑的なサウンドに発展したのは、ニッキー・ホプキンズあってのことだった。ビートルズやローリング・ストーンズ「のような」バンドは数多あるが、ニッキーの存在は唯一無二。彼はその虚弱な体質と引き換えに、天からその才を授けられ、この世に使わされたに違いない。

 いくつも面白い話しが出てきた。マーキー・クラブに出始めたニッキーを見て、ミックとキースが顔を見合わせて「ワァオ」というのは、トムさんとマイクのパターンでもよくある。
 そのキース曰く、曲が半分できてもその先が出来ない時にニッキーに任せると、ちゃんと凄い物ができる。映画の独特な表現なのだが、ニッキーは、キンクス、ストーンズ、ザ・フー、そしてビートルズと、「グランド・スラム」を成し遂げたのだとか。ついでに、解散後のビートル4人のアルバムに参加するという、これまた「グランド・スラム」だそうだ。
 我らがベンモント・テンチはニッキーに会ったことはないが、ニッキーのファン代表の現代の「セッション・マン」。ニッキーの素晴らしさを語る。ニッキーはその音楽を直感的に、しかも完璧に理解し、完璧なピアノを弾いた。ベンモント曰く、「曲のイントロからではなく、途中からはいってくるタイミングも完璧」。その話しのバックで流れているのが、 "Give Me Love" だった。



 それにしても、ニッキーのストーンズに対する貢献度は本当に計り知れない。たしかにロックンロールスターたちが音楽の革命を起こしたが、セッション・マンであるニッキーの存在なしには、今日まで続くストーンズは考えられないだろう。



 ひとつ謎が解けたのが、"Edward" の話。ニッキーのソロ・アルバム [The Tin Man Was a Dreamer] に収録されているのこの曲がどうして Edward なのかと不思議だった。
 キース曰く。スタジオでチューニングをしようとして、ニッキーに「Eをくれ!」と言ったところ、
「え?聞こえない」
「E!」
「なに?」
「エドワードの E!」
 それでニッキーのあだ名がエドワードになったそうだ。なるほど。



 映画の終盤で、ニッキーが自分はショパンの生まれ変わりだと語っていた話がでてくる。生まれ変わりという事がピンとこないひとや、ショパンをよく知らない人には分からないが、私にはよくわかる。
 ニッキー・ホプキンズはショパンの生まれ変わりだということは、かなり納得がいく。その天才性、ピアノに特化した音楽、虚弱体質で、早世する。親指と中指でオクターブをおさえるべらぼうな手。確かにニッキー・ホプキンズはショパンの生まれ変わりだっただろう。

Long After Dark (Deluxe Edition)2024/08/31 22:15

 トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズが、10月18日に [Long After Dark (Deluxe Edition)] がアナログ・レコード、CD & Bluray で発売になる。
 別に何十年記念でも何でもないが、未発表音源を含む、豪華な曲目が揃っている。まずは本作のトレイラーから。(期限付きらしい)
 毎度ギョッとするのだが、トムさんのコメントの続きだと思ったら、マイクのコメントだったりする。



 "Keep Me Alive"! アルバム発表時に収録されなかった、全TP&HBキャリアの中でも、特別に大好きな曲だ。トムさんはどうしても収録したかったが、ジミー・アイヴィーンと意見が合わず、泣く泣く削除した。
 この曲を演奏するシーンが大好きだ。トムさんの髪がツヤツヤ、マイクの控えめで愛らしい佇まい(あれから変わったものだ…)、そしてスタンの飛び跳ねるようなドラミングとコーラス。このスタンが最高。確かこのセッションを収録した動画では、スタンのヘッドホンの音が大き過ぎて中断し、調整したと思ったら逆にヴォリュームを上げてしまい、みんなが飛び上がるシーンなど、私がハートブレイカーズのファンになった、ごく初期の頃に何度も見惚れていたものだ。

 もう一曲、ピックアップされているのが、"Straight into Darkness"。この時期の曲に多い、ちょっと影のある微妙なポップ感の代表曲だろう。



 みんな若いし、細いし、神々しい。Bluray の内容も楽しみだ。
 CD の曲目はどれもワクワクだが、とくに "Wild Thing" が楽しみ。野球大好き人間としても、もちろんリッキー・ヴォーンの入場曲ヴァージョンは素晴らしいと思う。しかしこの1982年ハートブレイカーズのセッションは、控え目に言っても最高すぎる。高らかなトムさんとマイクのギターももちろんだが、スタンとハウイの重いリズムが格好良い。
 このシーンではトムさんが勢い余ってギターのネックでマイクロフォンをぶん殴り、咄嗟に右手で押さえるのだが、この音が CD に収録されるのか、はたまた別のバージョンなのか。Bru rayは、たぶんこれの綺麗な画が見られるのだと思うが、最後の方のマイクがずっと笑顔のように見えるのが、確認できるのか。10月が待ち遠しい。

Do you know Tom Petty?2024/08/26 21:00

 オランダGP決勝。右京さんから、さらっと良い言葉でました。
 「F1 に根性はない」
 勝つために必要なのは根性ではない。その通り!

 ふだんは快適な Work from Home なのだが、月に1回程度は都心のオフィスに出社する。今日は、新しく就任した偉い人(アメリカ人)とのミーティングだった。
 自分のプレゼンのために資料とデータを用意し、喋る内容もスクリプトにしておく。どうせ喋る間に質問が挟まるので、それに答えるのに英語瞬発力は温存するのだ。ちなみに、スクリプトは毎回手書きしている。筆記体でアルファベットを綴るのが好きなのだ。最近は安物の万年筆を買って、ドイツ語を書いたりしている。

 ともあれ、私のプレゼンが終わり、偉い人たちは客先へ出かける前のブレイク。
 ここで、初対面のアメリカ人に対する我が必殺技が炸裂する。
ぶち「アメリカ人に会うと毎回同じ事を訊くのだけど…
Do you know Tom Petty?"

「イェイ!もちろん知ってるよ!」
"I love Tom Petty! I'm a big fan of Tom Petty and the Heartbreakers!"
「ワァオ!アメリカ人はみんな大好きだよ!」

 ほぼ間違いなくこの展開になり、小柄ジャパニーズの私は、「トム・ペティの人」で認識されるのである。
 しかも今日の偉い人の場合、好きな曲は?などと訊き返してきて、"American Girl" とか "Free Fallin'" とかいってワオワオ盛り上がり、しかも彼女はコンサートにも2回行っていると言う!おっと負けちゃいられないぜ、私だって…!…とまぁ、必殺トム・ペティ作戦は今日も成功するのであった。

 アメリカの会社に勤めているので、ロック好きとはいってもビートルズやストーンズは、やっぱり UK だし、ボブ・ディランとなるとちょっと固いかなぁとなる。ザ・バーズとか、ザ・バンドなんて話は、かなりロック友情を深めないとならないだろう。
 その点、トム・ペティはアメリカ人にとって「みんな大好きトム・ペティ。」一瞬でがっちり心を掴む。最悪、トムさんを知らなくても "Free Fallin'" を歌うと、「ああ、あの人か!」となる。



 ちなみに、アメリカ人と言っても様々な人種があるので、トムさんがヒットしない希な場合は、スモーキー・ロビンソンである。

Sonic Ranch2024/08/21 20:05

 ファストボールの新譜が出た。9枚目のスタジオ・アルバム,[Sonic Ranch] ―― 早速注文したが、日本には無いとのことで、早々にキャンセルされてしまった。
 それではアメリカの Amazon に注文したら、3日で届いた。マイクの新譜も、日本のAmazon で待つのはやめて、アメリカから買った方が早そうだ。

 [Ronic Ranch] のジャケットを見て、ややショック。確かに中年になったなぁという感想は持っていたが、すごく老けたなぁという印象。彼らがメジャー・デビューした1996年からはや28年。メンバーは今年還暦だそうだ。
 90年代のトム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズに憧れた世代のイケてるロックバンドの多くは、自然体、カジュアルなファッションであることも多い。特にアメリカのバンドではそれが顕著で、普通によくいるアメリカ人らしい中年、老年太りへとすんなりと進む。私の好きなシスター・ヘイゼルなどもしかり。
 それにしてもファストボールの二人のヴォーカルは声質がほとんど変わらないので、音だけ聴くと相変わらずの「お兄ちゃん」感。全ての楽曲が期待通りのクォリティで、ロック・ファンとして嬉しくなる。
 この際、見た目はそれほど気にしなくてもいいので ―― 私も気にしないことにするので ―― これからも頑張って欲しい。

 新譜から一曲、"Rather Be Me Than You" ―― ギターリフからして、相変わらずファストボール全開。



 ファストボールのライブ動画を見ていたら、ボブ・ディランの "Tonight I'll Be Staying Here With You" の演奏があった。10年以上前だし、音も画像も悪いが、演奏がすごく格好良くて、イカしている。
 ファストボールの容姿はこの10年で様変わりしたのかも?40代から60代になったわけだし、パンデミックもあったからね…

Jumpin' Jack Flash2024/08/16 19:58

 なんとなくYouTube が私に勧めてきた動画に、Rockin' 1000 による "Jumpin' Jack Flash" があった。
 この Rockin' 1000 というのは2015年イタリアでフー・フィターズのファンが始めたプロジェクトで、これまでに各国でライブをおこなっている。日本でも同様の企画があるそうだ。
 そもそもがフー・ファイターズ・ファンの企画なので、曲目もいくらかそっち向きで、私のような60年代指向のフォーク・ロック寄りにとっては、ちょっと方向が違うようだ。
 もっとも、TP&HB の曲をやってくれれば、それはそれで聴くかも知れない。



 たしかに [Concert for George] や [Concert dor Bangladesh] を見ていれば、大編成の迫力の良さは分かるが、1000というのはさすがにやり過ぎだろう。ただ合わせるだけで、全ての音から角が落ちてしまい、のっぺりとした演奏になっている。なにごとも加減というもがあるだろう。
 クラシックでも、数に物を言わせることはよくある。1000人の「メサイア」とか、1万人の「第九」とか。実のところ大して面白くはない。10台のピアノとかもつまらない ―― 私はピアノに関しては2台ですら退屈だと思っている。
 やはり CFG,CFB の規模が、大人数では一番良いところではないだろうか。

 CFB と言えば、[Concert for Bangladesh] がストリーミング・サービスで聴けるようになったそうだ。むしろ、いままで無かったというのが驚きだが。
 CFB から53年が経つが、その活き活きとした演奏には圧倒される。ジョージが短時間で準備したコンサートなので、「みんなが知っている曲なら、リハも少なくてやりやすい」という理由で選ばれた曲があり、それこそ "Jumpin' Jack Flash" だった。この曲の最高のライブ演奏といったら、ストーンズよりも、私はこちらを挙げる。