Music for Lovers2023/09/20 21:21

 スポーツをテレビで見るのが好きだ。音楽は実行型(自分でも演奏するし、コンサートにも出かける)なのに対して、スポーツはテレビで楽しむのが一番性に合っている。
 この季節、野球はまだもう一盛り上がりだし、F1 もまだまだ、しかも今年はラグビーのワールドカップもある。四年前も書いたが、ラグビーは子供の頃から好きなのだ。そしてフィギュアスケートもシーズンが始まりつつある。大忙しだ。
 フィギュアスケートはまだ練習試合程度だが、来月には GP シリーズで本格化だ。いまのところ、各スケーターの曲などをチェックしている。

 私のお気に入り坂本花織は、フリーでニーナ・シモンのメドレーを使う。これはかなりクール!男子でニーナ・シモンを使うひとはいるが、女子ではなかなかのチャレンジになるだろう。
 先日の試合の動画を見ると、雰囲気はかなり良さそう。出来はまだまだで、ジャンプも失敗しているので、これからの更なる仕上がりに期待できる。ショートの曲は…まぁ、それほど悪くないが、作曲者名は伏せられてた方が良かった。まぁ、フリーとのコントラストとしては良いのではないだろうか。

 ニーナ・シモンといえば、ラジオの「サンシャイン・ミュージック・フェスティバル」(実際のミュージック・フェスに行かなくても楽しめるような、ライブ音源の特集番組)での、"Music For Lovers" (1966 Live at Newport Jazz Festival)が素晴らしく良かった。
 イントロで、観客が "Come on!" と声を上げたのに対して、"Shut up, shut up!" と返すところが良い。「お黙り!」といったところだろうか。



 スタジオ録音ではオルガンを使った曲だが、断然このアコースティック・ピアノのヴァージョンが素晴らしい。さりげないパッセージも天才的で、こうのうはニーナ・シモンとかモーツァルトにしかできないのだろう。
 よくメディアなどではただスケール内のハーモニーを定型のまま派手に鳴らしているだけで、「すごいピアノ」などともてはやされているのを見るが、ああいうのは実のところ大したことはなく、本物の天才というのは、ニーナ・シモンやモーツァルトのことである。

I Need You / Lolas2023/09/16 19:16

 CFG こと、映画「コンサート・フォー・ジョージ」は、引き続き全国で絶賛上映中。映画を見たら、DVD, Blu-rayを入手して、完全版コンサートの鑑賞が、断然お薦めだ。カットされた楽曲の演奏シーンや、構成の上手さ、号泣もののラストシーンは全ロック史におけるライブ映像の中でも出色の存在だ。

 演奏シーンがカットされた曲の中で、トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズの "I Need You" も、とても素晴らしい。
 "I Need You" はジョージの楽曲歴としてはごく初期に分類され、CFG で演奏されたジョージの曲の中ではもっとも作曲年代が古い。ビートルズの映画 [Help!] に演奏シーンが登場し、ジョージのアンニュイで沁みる心情がとてもよく伝わってくる。



 この曲を選んだトム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズのセンスも優れているし、心を込めて歌い上げるトムさんの声が切ない。ジョージとの思い出をかみしめながら、天上のジョージにムカって歌いかけるトムさんの表情も必見だ。

 2001年にジョージが亡くなってから、たくさんのトリビュート録音,アルバムが作られたが、その中でも若手ミュージシャンが中心となった [He Was Fab / A Loving Tribure to George Harrison] は私のお気に入り。このアルバムで、"I Need You" をカバーしたのが、ローラス Lolas である。
 ちょっとリバーブを効かせすぎのきらいもあるが、軽快で美しく、爽やかな作品だ。



 ちょっと気になったので ローラスをチェックしてみた。ジャンルとしては、パワー・ポップ、パンクの要素もあり。でもかなりコーラスワークを重視しており、ザ・バーズやビートルズ色が濃い。
 日本ではやや CD の手に入れにくい状況にあるようだが、かなり興味をひかれたので、探してみたいと思う。どうも、デジタル音楽ファイルだけというのはイヤで、CD が欲しい性質なのだ。

Hackney Diamonds2023/09/07 19:59

 ザ・ローリング・ストーンズが、来る10月20日に18年ぶりのニュー・アルバム [Hackney Diamonds] をリリースすることを、華々しく発表した。ロンドンのハックニーにジミー・ファロンを呼びつけ、ミック、キース、ロニーが揃って楽しい発表会
 そもそも、ジミー・ファロンによる予告動画からして大好きである。エアロスミスの時も出てきたけど、キャリアのあるバンド専用アナログ電話回線ってものがあるらしい。



 ハックニーは、ロンドン市内,シティの北東地区で、ザ・マイティ・ブーシュの舞台としての印象が強い。ロンドンから出発した若きストーンズは、高い税金を逃れてフランスへ行ったり、アメリカに行ったり、世界中を回って、そうしてロンドンに戻ってきた。
 新譜のうち、2曲はチャーリー・ワッツがドラムスを録音した時期の(2018年って言ってたかな?)作品であり、ほかは全てスティーヴ・ジョーダンによるドラムスだという。果たして、チャーリー亡き後のストーンズは、ストーンズなのだろうかという疑問も当然あるだろう。しかし、こうしてステージに三人が元気に、しかも格好良く揃っていると、「ストーンズではない」とは、なかなか断言しにくい。
 長いキャリアのバンドに、メンバーチェンジや欠員はつきものである。それに、いま居るストーンズをストーンズとして楽しまないと、ロック・ファンとしては惜しすぎるだろう。たぶん、チャーリーも楽しんで欲しいと願っている。

 早速お披露目されたミュージック・ビデオとともに "Angry" を鑑賞。メンバーも言っていたが、リフが最高に格好良い。
 ちょっと面白かったのは、Bメロへの移行で、コードがメジャーに「開く」感じが珍しいと思った。ストーンズの曲はどちらかというとタイトなコードに徹する印象があったので、こういう軽い展開は興味深い。



 さて、新譜の発表となると、当然だれもが考えるのが、サポート・ツアーである。ストーンズの新譜ともなると、大々的なワールド・ツアーが想定されるのだが… 小規模になる可能性もある。北米とヨーロッパのみとか、もしかしたら UK 限定かもしれない。そうなったら、私は飛ぶ。確実に飛ぶ。

Mike Campbell's "Handle with Care"2023/09/02 22:42

 引き続き、全国で絶賛上映中 CFG こと 「コンサート・フォー・ジョージ」。
 私は何十回も DVD で完全版コンサートを見ていたので、このたび改めて映画を見て驚いた点がいくつかあった。そのひとつが、あの名場面 "Handle with Care" がトムさんのインタビューで中断することだ。
 トム・ペティのことをよく知らない人のために言っておくが(そう方がこのブログを読むとは余り思わないが…)、この時のトムさんは、全米ツアー中にロンドンに飛び、大急ぎで CFG に加わり、また大急ぎでアメリカに戻るという、強行スケジュールだった。さらにこの2001年から2002年ごろに彼は体重をかなり落としており、要するにお肌の艶が人生で最悪の時なのだ。あのインタビュー映像は、いつもはもっと女優然としているトムさんにしては、かなりお疲れモードのビジュアルである。
 ともあれ、ウィルベリーズ・エピソードを語るトムさんのインタビューは、映画に入れたい。でも尺の問題で致し方なく "Handle with Care" に重ねることになったらしい。
 ジョージの公式動画にこの演奏はフルでアップされているので、ぜひとも鑑賞してほしい。



 何もかも素晴らしすぎて、言うべきことはたくさんあるが、ここではハートブレイカーズのリード・ギタリスト,マイク・キャンベルに注目したい。
 長年、トムさんのパートナーだったマイクは、そのデビュー当時から寡黙で静かなキャラクターで、決して歌うことはなく、ギター・プレイに徹してきた。そして彼のヒーローだったジョージとの友人関係は、彼の人生に大きな影響を及ぼした。
 ジョージは独特のメロディックなスライドギターの名手で、その音色を聴くとすぐに「ジョージだ!」と気付くのだが、マイクはそのジョージ・スライドを再現できるギタリストとしては筆頭に来る人だろう。
 そのことを証明したのが、この CFG でのスライドギターだった。これほどジョージへの尊敬を愛情を込め、丹念に演奏されたギター・ソロはない。CFG には名だたる名ギタリストが大勢出演しているが、やはりマイクの "Handle with Care" は出色であった。

 後年、マイクは所有するギターの話をした動画で、グリーン・ストラトキャスターとともに、ウィルベリーズのセッションに参加した話、ジョージの名演、それを再現する思いをかたっている。



 その後、"Handle with Care" はトム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズのライブ・ナンバーの定番となった。マイクはギターソロを弾き終えると、いつも天を仰ぎ、想いをジョージに捧げていた。
 ちなみに、若い頃からずっとカーリー・ヘアだったマイクが、突如ドレッドになったのは、CFG の後からで、自らのバンドで歌い始めたのも、この時期だった。ハートブレイカーズファンは、「歌うの?マイクが?」と驚いたものだ。
 ジョージの死というのは、マイクにとって人生における一つのポイントだったらしく、実は2017年にトム・ペティという相棒を失った後の彼の人生を支える要素もまた、ジョージの死後から形成されていたように見える。

 素晴らしいミュージシャンたちの、それぞれの人生、それぞれのジョージとの友情、そういうたくさんの想いの詰まった CFG。是非とも映画館で、そしてDVDで完全版を鑑賞して欲しい。

Wah Wah2023/08/26 20:57

 CFG こと、「コンサート・フォー・ジョージ」は全国で絶賛(に、違いない)上映中。音楽好きのみならず、ドキュメンタリーや、友情がテーマの映画が好きな人にもお勧めだ。一度と言わす、二度、三度と見て欲しいし、DVD, Blu-rayを入手して完全版コンサートを是非とも鑑賞して欲しい。



 大画面で堪能できる映画版はそれはそれで素敵なのが、一つ解せないのが "Wah Wah" をカットしたところである。ジョージの曲としては最後を飾り、何十人もステージにうちそろって大音響をぶちかます "Wah Wah" からの、"See You in My Dreams" という流れこそ、最高なのに。
 私だったら、"Beawere of Darkness" をカットして "Wah Wah" を入れるなぁ。ポールが登場してどっと盛り上がり、"Something", "While My Guitar Gently Weeps" というビートルズ・ナンバーからの、"My Sweet Lord" 、さらに "Wah Wah" というジョージソロ曲でどんどん存在感を失うポールも見物だし、ジョージの才能開花の様を堪能できる流れでもあるのだ。

 "Wah Wah”は言うまでも無く、ジョージがビートルズ末期にスタジオで(主にポールが)ああだ、こうだとうるさいのに耐えられず、スタジオワークを放棄して帰宅し、「むしゃくしゃしてやった」系の名作である。ポールを弁護するなら、ジョンが妙な連れをくっつけているのにも腹が立っただろう。
 ネガティブな感情は、名曲誕生のチャンスである。音楽には往々にしてそういうことがある。



 「コンサート・フォー・バングラデシュ」での演奏も格好良く、録音セッションに参加していたクラプトンは、この曲のパワーを熟知していた。最後にこの曲で大花火をぶち上げて、静かに幕を引く。クラプトンは素晴らしい演出家としての一面も魅せてくれた。ついでに言うと、トムさんも赤いテレキャスター(?)を抱えてステージに居るが、ちゃんとアンプから音が出ているかは不明。ともあれ満面の笑顔でクラプトンやダニーと大爆笑しながら楽しんでいる様子は、かなり長時間カメラに捕らえられているのでこれまた見物である。
 さあ、迷ってはいけない!いますぐDVDを購入!日本版じゃなくても大丈夫、日本語字幕がついている!私を信じるのだ!

 CFG における "Wah Wah" があまりにも名演だったので、この曲のカバーがその後続出した。2007年のオーシャン・カラー・シーンはその代表だろう。



 CFGの完全版は、"Wah Wah" 一曲でも買う価値がある。間違いない。

If you wached Concert for George theater movie2023/08/19 21:09

 さて、もう映画館で CFG こと、「コンサート・フォー・ジョージ」は見たかな?まだまだ全国で上映中なので、見に行こう!



 そして映画館で映画を見たら、即 DVD, Blu-ray を購入して欲しい。完全版である Complete concert は映画の何倍も凄いし感動も大きい。絶対お薦めである。

 私は当たり前のようにジョージのファンだが、中にはジョージには詳しくないけれど、ビートルズのファンだったり、出演者のファンの人もいるだろう。そんな皆さんは、完全版コンサートを鑑賞したら、いよいよジョージのソロ楽曲を聴いてみて欲しい。ビートルズ時代には想像もしなかったような、膨大で豊かで多彩なソロワークの数々を楽しめる。
 名作アルバムを買うのも良いが、まずはベスト盤の [Let It Roll / The Best of George Harrison] が良いのではないだろうか。ソロ初期から、亡くなるまでの楽曲が網羅されているし、ボーナストラック的にビートルズ時代楽曲のライブ盤も楽しめる。



 ベスト盤から気になった曲の収録曲のアルバムを聴き始めるのもお薦めだし、もうひとつ是非ともチェックして欲しいのは、ザ・トラヴェリング・ウィルベリーズのアルバム2枚のボックスセットである。ジョージ、ディラン様、トムさん、ジェフ・リン、ロイ・オービソンという最強の5人が揃ってノリと友情で作りあげた素晴らしき世界を堪能できる。CFG に通じるジョージの愛情溢れる人生をある意味象徴しているのだ。



 ジョージのベスト盤と、ウィルベリーズを聴いてからもう一度 CFG の完全版を見ると、号泣具合がまた違う。
 さらに踏み込むなら、[Concert for Bangla Desh] の映像と、[Live in Japan] のアルバムを聴くのがお薦め。さらなる CFG の完成度を思い知ることになるだろう。



The Best of Everything2023/08/15 19:50

 ロビー・ロバートソンと言えば、忘れてはいけないのはトム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズの "The Best of Everything" をプロデュースしたことだ。
 この曲はもっと前のアルバムのために書いておきながら、結局収録しないでいたもので、偶然テープがロビーの手に渡ったことをきっかけに、ロビーがプロデュースし、かなり分厚いホーンセクションをはじめとした音を足し、なおかつリチャード・マニュエルのコーラスまで加わった。
 その経緯について、「カントム」こと、The Conversations with Tom Petty で、トムさん自身が語っている。翻訳は私なので、あしからず。

Q:"Rebels"には、ホーンが上手くフィーチャーされていますが、抑えた音量になっています。同じく [Southern Accents] 収録の "The Best of Everything" とは対照的ですね。あちらのホーンは、とても明るく、目立つように、ミックスされています。
 それに、亡くなったリチャード・マニュエルもハーモニーで参加しています。

TP:彼はぼくのお気に入りシンガーの一人だ。でも、(リチャード・マニュエルが)録音したときには、一緒にいなかったんだよ。ロビー(・ロバートソン)がやったから。

Q:もともと、"The Best of Everything" は[Hard Promises] のために録音しとうとしていたのですか?

TP:うん。でも、長さ的に余裕がなくてね。いつも入れたい曲をカットする必要に迫られる。
 ([Hard Promises]に)入れなくて良かったよ。ロビー・ロバートソンが手を加えた後の方が出来が良いからね。彼が手を加えてくれたことによって、とても良くなったと思うんだ。
 ぼくが書いた中では、一番良い曲の一つだと思う。本当に良い曲だし、彼はそこを評価してくれた。今でも、この曲に関しては誇りに思っている。

 ぼくらがこの曲を作ったとき、ロビーは "The King of Comedy" っていう映画の音楽監督をしていた。それでぼくに何か良い曲はないかと訊いてきたので、ぼくは完璧に合うとても良い曲があると答えた。そうしたらロビーが言った。
「なるほど、この曲を借りて、金管とか加えても構わない?」
 ぼくは答えた。「もちろん。やってみてよ。」
 ぼくはずっとザ・バンドのホーン・アレンジが好きだったからね。それでロビーはこの曲を持って行き、少し編集を加えた。もともと、無くても構わない余計なひとヴァースがあったのだけど、これが凄いことになった。とても嬉しかったよ。

Q:(ロビーは)あなたが何かをまた追加で録音することなく、全てのミックスをやったのですか?

TP:そうなんだ。ぼくがスタジオに入ってくるのも嫌がってね。ぼくはこの曲を彼にくれてやって、仕上げるということを理解した上で、渡したんだからね。
 ある時偶然、ぼくはロビーが仕事をしている同じ建物で、仕事をしたことがあった。ぼくは彼のところへ行って、覗いてみようとした。ところがロビーはドアを締め切って言うんだ。
「だめ、だめ、だめ、入っちゃだめ。こっちが終わるまで近寄るな。お前さんが気に入らなかったら、また変えてやるから。」
 結局、ぼくは一音も変えなかった。出来上がりを聴いたとき、ぼくは「まじかよ、すげぇな」と思った(笑)。安心してくれると良いね。

 実のところ、ロビーは曲そのものに少し手を加えていた。彼がどこを削除したのかは覚えていないけど、とにかくもっと単純明快にしたんだ。歌詞には手をつけてないと思うけど、とにかく曲を少し短くした。
 さらにロビーはホーンのアレンジを加え、リチャード・マニュエルのハーモニーをぼくのボーカルに重ねた。

Q:あなたの声と重なったこのサウンドは好きですか?

TP:そりゃ、夢が叶ったんだから。ぼくはシンガーとして、(リチャード・マニュエルを)すごく尊敬しているんだ。(リチャードが録音した)その場に居なかったとしても、ぼくは満足さ。居たらぼくがドジるだろうし(笑)。
 ロビーは本当に良くやってくれた。彼には大きな借りができた。

 思っていたよりも多くこの曲について語っていた。ロビーがトムさんを締め出すところの口調は、それなりに考えて訳したつもりだ。ロビーはジョージと同い年だったから、トムさんにとっては完全に先輩格。そしてトムさんは有名な年上キラーである。この曲以外にもロビーとの共同作業もあったら面白かっただろう。

 実のところ私はある時期まで、このロビーによって分厚く作り込まれた "The Best of Everything" をそれほど評価していなかった。ハートブレイカーズにこのサウンドは、大袈裟すぎると思ったのだ。
 しかし、2006年に TP&HB のドキュメンタリー映画 [Runnin' down a dream] でこの曲が使われた場面が印象的で、評価が変わった。とても味わい深く美しい曲で、感動的なホーンやコーラスが加えられた名プロデュースに聞こえてきたのだ。
 トムさんが亡くなってから6年後に、ロビーが亡くなった。ロビーの才能を評価するのに、ふさわしい一曲としてこの曲も記憶しておきたい。

Robbie Robertson2023/08/10 21:20

 CFG、CFGと浮かれ、夏の保養地で過ごし、その後とんでもなく多忙に過ごしていたら、ロビー・ロバートソンの訃報が飛び込み、びっくりしてしまった。
 ちょっと唐突なような気がして、ロビーって幾つだったっけと思ったが、80歳だったそうだ。ずっと若い人かと思ったら、ジョージと同い年だったのか。

 私にとってロビーと言えば、なんといってもザ・バンドであり、むしろロビーの居ないザ・バンドは聴かないし、ロビーのザ・バンド後の作品も聴いたことがない。そういう意味では、ビートルズにおけポールに近いが、違うのは私がロビー大ファンであるところだ。
 いきなり身も蓋もないが、私は彼のザ・バンドの時 ―― 特に [The Last Waltz] の容姿が超タイプのである。細くて考え深そうで、笑顔が可愛い。[The Last Waltz] 冒頭のロビーの姿に惚れ込んで、私にとってのザ・バンド歴が始まったと言って良い。
 ギターソロを弾く後ろ姿がドツボであり、同類はトム・ペティくらいしかいない。"You're still there, huh?" と声をかけるところから格好良いし…



 もちろん、容姿だけでは無い。私がもっとも彼を評価しているのが、優れたソングライターとしてだ。ボブ・ディランと行動を共にすることが多かった分そういう要素もあるが、ディランよりもよりメロディックで、ポップでありながら民謡にすら聞こえるような普遍性がある。
 その上でロックに決めるところは決めるザ・バンドのバンド力加わり、まさに怖い物なし。名曲は無数にあるが、ここはとりわけ私の好きな "Stagefight" を。私自身が "Stagefright" であるだけに、余計に好きなのだ。



 ちなみに、映画のバージョンではガース・ハドソンのオルガン・ソロがカットされているが、断然ノーカットバージョンがお薦めなので、CDで聴いて欲しい。

 週末のラジオは追悼企画で大変だろう。著名なミュージシャンたちからもコメントがあるだろう。ロビーを追悼するのにロビーの曲というのも妙だが、やはり "The Weight" にはそいう力がある。外せない名曲だ。
 R.I.P Robbie, the great songwriter...

Complete CFG2023/08/04 19:32

 CFGこと、「コンサート・フォー・ジョージ」の映画館での上映はぜひとも見てほしい。さらにDVD, ブルーレイを購入して — 新品でも、中古でも、輸入盤でも良い(字幕には日本語がある)。Complete Concert こと、完全版を鑑賞してほしい。

 まず、コンサート全体の流れの妙が堪能できるからだ。
 荘厳な儀式、クラプトンの不器用ながらも心のこもった挨拶、そしてラヴィ・シャンカールの感動的なスピーチに続いて、重厚なインド音楽パートが始まる。ジョージが愛した深い哲学世界と多彩な音楽 — 精緻なリズムのとカラフルな音色の世界が堪能できるし、”The Inner Light” のライブ版という、稀なパフォーマンスも楽しめる。
 その重々しいインドパートからインターミッションをはさんで、やおらモンティ・パイソンのぶっ飛んだスケッチを配するこのセンス!”Sit on my Face” に続いて、木こりの歌で、どっと場が温まり、いよいよバンドパートが始まる。
 そしてバンドパートが最高潮に盛り上がっての、あのエンディングである。この盛り上がりからの感動的な終わり方という、なかなかできる演出ではない。私がいつも号泣してしまうのは、この完全版の完璧な流れのせいなのだ。

 劇場版ではカットされてしまった曲も絶対に見逃せない。
 エンディングロールでつかわれたものの、”Old brown shoe” と “Give me love” の映像も素晴らしく見ごたえがある。さらに、ジョー・ブラウンの “That's the way it goes” はアルバム [Gone Troppo] からの選曲で、ワーナー時代のジョージをよく表現できている。
 もっと見逃せないのは、トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズによる “I need you” — このコンサートで演奏されたジョージの曲の中でも、もっとも作曲年代が古く、初々しいジョージの隠れた名曲を、心に染みる名演で再現してくれたトム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズ。トムさんの切ない表情も見逃せない。”Handle with Care” も、中断なく完全な形でぜひとも聞いてほしい。その再現性の高さに舌を巻くし、観客が総立ちになるのも当然に思われる。

 バンド・パートの最後の “Wah-Wah“は、なぜ映画でカットされたのか理解できないほど、素晴らしい演奏だ。何十人ものメンバーがステージにうち揃い、大迫力の祝祭的なパワフル・パフォーマンスはまさに圧巻。実のところ、CFG で一番の名演奏だと思うし、この曲の再評価はこのコンサートでの演奏によるところが大きい。圧倒的な “Wah-Wah” があったからこその、ラスト・ナンバー,”See you in my dreams” の本当の感動が伝わるのだ。

 そのようなわけで、全ての人に完全版 Complete Concert 見てほしいCFGである。全編感動と笑顔と幸福のフル・コンサート。きっとこれ以上のものはないだろう。

映画館に行こう!CFGを見よう!2023/07/30 19:22

 昨日、日比谷シャンテシネマでの 「コンサート・フォー・ジョージ」の上映を見にいき、その回の特典である、ピーター・バラカンさんのトークショーもいっしょに楽しんだ。

 CFG は、もっぱらディスクでコンプリート版ばかり見てはいちいち号泣していたので、劇場版は2003年の特別上映の時以来、初めて見たかもしれない。
 全然コンプリート版と異なる曲順に目を白黒させていた。トム・ペティ&ザ・ハーロブレイカーズなど、満を持して登場すると思い込んでいたので、ずいぶん早く出てきたなぁとびっくりしてしまった。
 モンティ・パイソンの存在が、どんなものだったのか、ジョージとそとの音楽にどう関係するか、説明するテリー・ギリアムが親切。でもパイソンの場合は歌詞の字幕をつけなかったのは不親切だった。
 入念なリハーサルの様子も豊富に挿入され、ジョージのために集った仲間たちの和やかで愛情豊かな雰囲気が伝わってきた。特にクラプトンのインタビューはたくさん採用されていた。結局のところ、彼にとってこのコンサートは、自分のためであり、自分のジョージへの愛情、ジョージを失った悲しみの消化のために必要だったと、率直に吐露していたところが印象的であり、感動的だった。ジョージが与えた音楽とその愛情の世界は、家族、友人、関係者、直接の知り合い、ただのファン、一人一人にとってクラプトンと同じような思いをもたらした。それをCFGという形で表現してくれたクラプトンに感謝だ。

 バラカンさんは大の CFG ファンであり、ラジオなどでもの大絶賛、ぜひとも見てほしいと言っている。
 今回の大スクリーンでの鑑賞で良かったのは、あの大人数 ― そう、何十人というすさまじい人数が揃ったステージの、それぞれの顔がしっかり確認できたこと。
 中でも、ゲイリー・ブルッカーもクラプトンやジェフ・リンとほぼ出ずっぱりで大活躍であり、マーク・マンやアルバート・リーの職人技が印象的だったとの事。そう、彼らの派手ではないが基礎のしっかしりた演奏に、CFGの価値は裏打ちされている。
 それから、ジョー・ブラウンと、ジュールズ・ホランドという、UK では誰でも知っている人の説明も親切で良かった。
 さらに、今は亡き人々 — ビリー・プレストンと、トム・ペティの存在は大きかったとも言っていた。ビリー・プレストンの声とオルガンは絶品で、聞いていると幸せな気持ちになる。そう、それは私も同じで、特に「コンサート・フォー・バングラデュ」でのビリー・プレストンは本当に見る方を幸せにしてくれたものだ。

 少し前に、パティ・ボイドが来日していたので、バラカンさんは彼女とも話していており、昨日の映画館でもやはりジョージ、パティ,そしてクラプトンという三人の複雑な関係にも触れた。結局のところ、ミュージシャンなんていい加減なもので、女癖の悪い連中うだったという、なかなか粋なコメントで、私は嬉しくなった。そう、ジョージって、男にもモテるけど、女性にもモテまくったからね。
 それでバラカンさんは、「Something を歌っているとき、エリックは何を考えていたのかなぁ、パティのことかなぁ」と仰っていましたが…

  ジ ョ ー ジ の 事 を 考 え て い た に 決 ま っ て る で し ょ !

 映画でも何度か涙腺にきたが、意外とコンプリート版ほどの号泣ではなかった。やはり、あの構成、”Wah-Wah” で最高潮に盛り上がった末の “See you in my dream” なのだなぁと思う。
 さぁ、映画館でCFGを見よう!そしてディスクを入手してコンプリート版を見よう!(海外輸入盤でも日本語字幕があるのでご安心を)。