新しい雅楽 次の世代へ(子どものための委嘱作品集)2017/05/26 22:35

 昨日、伶楽舎の雅楽演奏会へ行った。去年の秋は都合が悪く行けなかったので、久しぶりだ。

 今回のテーマは、「新しい雅楽 次の世代へ (子どものための委嘱作品集)」



 テーマは実に単純なことで、退屈な(私にとっては退屈ではないが)雅楽を、いかに子どもに聴かせるか、その工夫をこらした演奏会だった。

 私がとっくの昔に、「子ども」ではなくなっているだけに、評価が難しい。
 難解そうで、馴染みのない古典音楽を、どうにか説明や、ストーリー性、奇抜さで子どもにアピールしようとする努力は分かる。
 その一方で、「子どものための音楽」とは、何だろうと考えさせられた。

 私は物心ついたころから、「子どもっぽくしたもの」が好きではなかった。押しつけがましくて、馬鹿にされたような気持ちがしたのだ。運動会で、小学1年生は「お遊戯」のような出し物をやらされるのが、嫌でたまらなかった。上級生のように、スポーツで真剣勝負をする方が、よほど格好良い。
 「ホンモノ」が存在することを知りながら、それを「子ども向き」にアレンジされることが、不名誉だと本気で思っていたのだ。
 話が逸れるが、小学生の甥は戦国時代 ― 特に織田信長に夢中だ。私と会うたびに、
「信長クイズか、戦国クイズ出して」という。
 私は手加減せず、
「松永久秀が信長から差し出すように言われて、自分もろとも爆破した茶釜の銘は?」(俗説)などと言う。
 甥は呆然とし、周りの大人は私を非難するのだが、私はこれで良いと思っている。甥は私と同じ歴史好きなのだ。それを尊重し、彼の情熱を自分と対等のものとして、認めるべきである。甥は毎回めげずに、私にチャレンジしてくる。そして私は、戦国時代と、信長について知識のブラッシュアップを怠らない。

 要するに、子どもは小さな大人であって、彼らにも芸術があり、プライドがある。
「この芸術の真の素晴らしさは、『子ども向けのアレンジ』には存在していない」ということを、理解してしまっている子どもも、少なからずいるのではないだろうか。
 演奏や楽曲の善し悪しとは別に、そんなことを考えさせられた。

 ついでのようで申し訳ないが、雅楽を物語の伴奏として用いた、「踊れ!つくも神 童子丸てんてこ舞いの巻」は面白かった。
 面白かったと同時に、「笑ってはいけない雅楽演奏会」状態だった。ハイテンションな語り役は、どこかの劇団員ではなく、伶楽舎の一人であり、個人的によく知っている。笑いを必死にこらえるために、私は琵琶の黒い撥面(ギターで言うピックガード)を見つめていた。

The Trumpet Race2017/05/19 21:58

 先週末のF1スペインGPは、ハミルトンとベッテルの勝負で大いに盛り上がったわけだが、一番の話題をさらったドライバーは、キミ・ライコネンだったようだ。

F1 Topic:泣く子を笑顔にしたライコネンの魔力、フェラーリが少年をパドックに招いた舞台裏



 ああ、なんて良い話なんだ。川井さんも「いいことすんなー!」と叫んでいた。
 と、言うか…

 うらやましいいいいいいいいい!!!!!!

 いいなー!いいなー!いいなー!私もキミと会いたいし、フェラーリのモーターハウスに行きたいし、ついでにセブとも会ってビートルズ談義したい!!
 F1レーサーに会えただけでも凄いのに!フェラーリで、しかも一番人気のドライバー,キミ・ライコネンだぞ!セブがいるわけでもないに、ニコニコしているキミだなんて!!
 羨ましすぎてのたうち回っている。

 サーキットの話題をさらったこの子は、さらにルノーに行ったり、グロージャンとも写真をとったり。ああああ、かわってくれ……

 今回の出来事に関しては、フェラーリやキミの対応が良かったのだろうが、一番の功労者は、泣きじゃくるあの子をとらえたカメラマンだろう。ついでに言えば、あの子はセブがボッタスを抜いたときは、嬉しそうにはしゃいでいた。

 なんだか羨ましすぎて哀しくなったので、癒やしのためにセブとキミの動画を見ていたら、去年のメキシコGP前に、二人がトランペットを習う動画が出てきた。
 演奏を習うのかと思ったら、マシンの音まね競争になり…



 キミの勝ち。

When I'm Sixty-Four2017/05/13 17:10

 いつもお世話になっている日本のトム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズ・ファン・コミュニティ,Heartbreaker's Japan Party に教えていただいたのが、ベンモント・テンチによる愛器紹介動画。
 ライブ会場のステージ上で、使用楽器を紹介している。スタイン・ウェイの上にあんなに山積みにして良い物だろうか…



 色々な音が出せる楽器の例として、ビートルズの "When I'm Sixty-Four" のイントロを弾いている。
 "When I'm Sixty-Four" はアルバム[Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band] の収録曲。[Sgt. Pepper] とベンモント,トムさんと言えば、二人が初めて出会った時のエピソードが思い出される。カントムこと、[The conversations with Tom Petty] では、こう語っている。

Q:最初にベンモントに会った時のことを覚えていますか?

TP:ぼくがベンモントに初めて会った時、ベンモントはまだ全然子供で、12歳か13歳そこらだろう。ある日、ベンモントがリパム楽器店にやって来た。そして椅子に腰掛けると、オルガンで古いビートルズのアルバムの曲を弾き始めた。たしか、[Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band] だ。最初から最後まで弾いちゃったんだ。鮮明に覚えているよ。
 何せベンモントはオルガンをやめたとたんに、ハープシコードで "Lucy in the Sky with Diamonds" を弾き始めたんだから。ベンモントを見ようと、ひとだかりが出来ていた。まったく、凄い光景だった。

Q:ベンモントは歌っていましたか?

TP:いや、完全にインストルメンタルだった。楽器だけで全て表現していたんだ。あいつ、何でも弾きこなすからね。たとえば、ぼくらが何もなくて退屈してたりすると、「ベンいじめ」みたいな遊びを始めるんだ。ベンモントが弾けないようなものをやらせるのさ。でも、弾けないなんてのは、まれ。とにかく信じられないほどの天才音楽家だからね。
 ベンモントほどミュージシャンに出会ったことが無いよ。彼は本物の名人さ。

 とにかく、ぼくとバイト仲間はベンモントが演奏するのを見ていて、言い合った「おい、あのガキ信じられるか?」ぼくはそのえらい演奏の上手いガキの姿が、記憶に焼きついてしまった。
 でも、しばらくぼくはベンモントに会う機会がなかった。そう…まさに1970年まではね。ある晩、ぼくのルームメイトが若い男を連れてきた。その男はひげを生やして、髪も凄く長かった。それで、腕にはレコードを抱えている。あの頃は、よくレコードを持って人に会いに行ったのさ。
 ぼくは段々、その男がベンモントだって気づいてきた。そう、「ああ!あのガキ!」ってね。
 そしたら、ベンモントが言った。「そうだよ。いま、ぼくはニュー・オーリンズでバンドをやっているんだ」
ぼくは即座に誘った。「明日の夜、ライブがあるんだ。一緒にやらないか?」
「自分のファルフィーサのオルガンしかないけど」
「オーケー、十分だ。」

 この話で面白いのは、子供だったベンモントのことをトムさんも覚えていたし、ベンモントもトムさんのことを覚えていたことだ。[Runnin' down a dream](本)によると、楽器店で [Sgt. Pepper] を一通り弾いた少年に、トムさんは声を掛けて自己紹介をしたらしい(トムさんだってせいぜい15か16の少年だが)。少年は Benmont という変わった名前を名乗ったこが印象的だったという。一方、ベンモントはトムさんのことを「ブライアン・ジョーンズみたな髪型の人」と記憶していた。確かに、金髪のマッシュルームならそうだろう。

 さて、"When I'm Sixty-Four"。こういう曲を聞くと、ポールは本物の天才だったのだと実感する。ジョンやジョージとはまったく異なるタイプの才能の持ち主で、彼がロックという分野を選ばなくても、ある程度ポップスの分野で成功できたのではないだろうか。
 この曲の鍵は、2本のクラリネットと、1本のバスクラリネット。ジョージ・マーティンの手腕の見せ所だ。



 この3人のクラリネット奏者はどこの誰なのか。Wikipediaには名前しかあがっていない。
 ビートルズのレコーディングでオーケストラ楽器を使う場合、よくロイヤル・フィルハーモニック・オーケストラのメンバーが呼ばれているので、彼らもそうではないかと想像している。
 そのようなわけで、ロイヤル・フィルハーモニック・オーケストラがモスクワで公演したときの、"When I'm Sixty-Four"。



 ついでにもうひとネタ。
 現在、ベルリン・フィルの主席指揮者はリヴァプール出身の英国人サイモン・ラトルだが、彼が2013年にコメントしているのが面白かった。2018年、自分が64歳になったら、主席指揮者をやめるというのだ。

"As a Liverpool boy, it is impossible not to think of the Beatles' question, 'Will you still need me.., when I'm 64?'"

 64歳というのは、指揮者にとってきつい年齢だろうか?ポールだって64歳をとっくに過ぎても相変わらず元気にやっているし、ベンモントも今年で64歳になる。
 ラトルは2018年にベルリン・フィルは辞めるとしても、その後も活躍するだろう。

Knockin' on Heavern's Door (Song)2017/05/07 20:35

 NHKの語学番組の「旅するドイツ語」が好きだ。テキストも買っている。べつに音大時代に悲惨な結果に終わったドイツ語に再チャレンジしているのではない。舞台がウィーンだから見ているのだ。
 そのようなわけで、ドイツ語で「トイレはどこですか?」は言えるようになった。

 連休の間に、ドイツ語の映画を見たくなり、一番好きな映画の一つである、[Knockin' on Heaven's Door] を見直した。最初に見た時に、このブログの記事にもしている。

2010年4月29日 Knockin' on Heaven's Door

 この時、「吹き替えが欲しい」とコメントしているが、その後吹き替え版も購入している。どうやら、2002年と2009年のDVDを持っているようだが、どちらもあまり映像が綺麗ではない。
 私が持っている物よりも新しい盤としては、2011年のブルーレイと、2015年のDVDが出ているが、画像は綺麗になっているのだろうか。どなたかご存じでしたら教えて下さい。コメント欄か、右柱を参照して、「親サイト」からメアドを見つけて教えて下さると、とても感謝します。

 ボブ・ディランの "Knockin' on Heaven's Door" は映画の挿入歌として作られた。オリジナルは習作のような感じで中途半端だが、1974年の [Before the Flood] ではすでにライブ演奏しており、これが名演奏。ロックの大名曲となり、様々なアーチストにカバーされている。
 映画で使われた ゼーリッヒ Selig のカバーは最高だ。

 ハートブレイカーズとのライブ演奏が凄いのは当たり前。ただ、女性コーラスがうるさいのが玉に瑕。
 私がディラン自身の演奏で意外と好きなのが、[Unplugged]の時の演奏。ニコニコしながら、絶好調に歌い上げるのが素敵だ。



 今回検索して、一番感動したのがこちら。
 1978年のロジャー・マッグインとジーン・クラーク。



 これは胸にズキンとくる。シンプルな演奏に、切々としたヴォーカルが、苦しくなるような突き刺さり方をする。

How to change Ukulele Strings2017/05/04 20:52

 唯一持っている撥弦楽器,コリングスのウクレレ UC2。そろそろ弦の張り替えをしなければならないと思った。
 初めての張り替えの時は、先生のご指導の下、気楽に張り替えていたのだが、今回は一人で張り替えるべしとのご指導。
 失敗したらどうしよう!不安で一杯だが、メンテナンスが自分でできなくてどうする ― とは、ごもっとも。考えてみると、私は器楽好きだが、楽器のメンテナンスの必要性にはあまり迫られたことがない。ピアノは調律師さんに調律してもらっているし、笛はせいぜい拭く程度のメンテナンスしか必要ないのだ。

 さて、まず必要な物を揃える。もちろん、弦。これは前と同じSAVAREZ。
 弦を切るときに、本体を傷つけないように、クラフト用のニッパー。先生は「百均でいいです」と言うが、まぁさすがに100円ということもなかろう。600円にした。
 指板に塗るための、レモンオイル。
「品質に差はないので、一番安いので良いです。」
 そしてピカール。初めて知ったが、金属磨き剤だそうだ。でかいとは聞いていたが、本当にでかい。フレットを磨くためなので、ほんの少量で良いのだが。家中の蛇口でも磨くか。
 最後に、メンディングテープ。



 古い弦を外して、かるく全体をから拭きしたら、フレットの間をマスキングテープでカバー。その上で、ピカールでフレットを磨くと、フレットがピカピカ。



 マスキングテープを外したら、今度は指板に布でレモンオイルを塗る。いくらかたっぷり塗って、汚れを取り除く。さらにもう少し塗って、10分ほど放置後にから拭きして、余分なオイルを取り除く。これで指板も綺麗になった。



 ここからいよいよ、弦を張る。巻き方、向きを間違えたらどうしようと、ドキドキの連続。古い弦を外す前に写真を撮りまくり、ネットの情報を参考にして、そして先生の指導を必死で思い出す。
 そのような訳で、写真がない。余裕の無さがよくわかる。

 弦が張れたら、ブリッジにはみ出した弦をプチプチ切りそろえる。



 先生曰く「最後に、ペグの余った弦を切って仕上がりです。」



「あの、ディランみたいに伸び放題にしたら…」
「なんか言いました?」
「…何でもないです」



 こうして、無事に弦の張り替え完了。どうやら間違えずにできたらしい。最初はどんどん弦が伸びるので、音程が安定しない。



 本職はギタリストである先生はこう言う。

 「弦の張り替えで一番大事なことは何か。それは、単に古い弦を新しくすることではありません!弦も新たに、よっしゃぁ!やるぜ!と、テンションがあがることです。」

 なるほど。弦の張り替えはただのメンテナンスではなく、楽器に向かう心持ちにも、重要らしい。そういえばピアノも調律するとテンションがあがる。
 現在、ウクレレは発表会の準備中。弦も新たに、曲の仕上がりやいかに。

The Doobie Brothers in Budokan2017/04/29 15:10

 2017年4月26日、日本武道館における、ザ・ドゥービー・ブラザーズのライブに行った。

 私にとってのドゥービーは、「限定的に」好きだというアーチストだ。
 まずミュージック・ビデオやライブ映像、写真などを全く見たことがないので、彼らの容姿を知らない。メンバーの名前も、人数も把握していない。
 アルバムは1971年のデビューアルバムから順番に聞き始め、その音楽はとても私の好みに合い、大好きなアーチストになった。そして1976年の [Takin' It to the Streets] まで聞いたところで、ちょっと違うと思い、それ以降のアルバムは全く聞いていない。
 その話をすると、「分かり易いやつだ」と苦笑される。ウクレレの先生(ギタリスト)曰く、「『オシャレ』が好きじゃないんですね」とのこと。
 ライブを見るのは、今回が初めてだ。

 当日のセットリストを見ると分かるが、17曲中の15曲が、私が持っているアルバムからの選曲で、そう言う意味では「私の好きなドゥービー・ブラザーズ」を楽しめた。

Jesus Is Just Alright
Rockin' Down the Highway
Take Me in Your Arms (Rock Me a Little While)
Another Park, Another Sunday
Clear as the Driven Snow
Spirit
World Gone Crazy
Eyes of Silver
Dark Eyed Cajun Woman
Sweet Maxine
Takin' It to the Streets
The Doctor
Black Water
Long Train Runnin'
China Grove
Without You
Listen to the Music

 武道館のステージはとてもシンプルで、マイクスタンドが横一列に4本並んでいる。私の席は西だったので横の上方から見下ろす形になった。ロックにおけるスタイルとして、この横並びを横から見るのが大好きだ。ワン・マイクも萌えるが、横並びも萌える。

 ステージに登場したメンバーを見てまず驚いたのが、彼らの若々しさだった。私はドゥービーの音楽は好きだが、知識がまったくない。彼らはTP&HBよりもだいぶ先輩だと思っていたので、その若々しさが意外だったのだ。
 確認してみると、トム・ジョンストンとパトリック・シモンズはトム・ペティやマイク・キャンベルより2歳年上。ほぼ同年代で、デビュー年がハートブレイカーズより5年早いとのこと。それにしても若々しい。
 声の素晴らしさも予想を遙かに超えていた。去年だったか、デイヴィッド・クロスビーの声の良さには度肝を抜かれたが、ドゥービーの声も最高だった。サポートメンバーも含めて、コーラスワークも、バンドのイメージを裏切らない素晴らしさだ。

 知っている名曲の数々に大満足だった理由の最大のものは、趣向を凝らさなかったことだ。
 ロックの名曲を「スローバラード・バージョン」とか、「アコースティック・バージョン」にするような工夫とか、趣向が、あまり好きではない。特にドゥービーはアルバムの音でしか知らないバンドなので、オリジナルの雰囲気をそのまま、ステージから大きな音で発してくれたのが嬉しい。
 そういう意味でいうと、ザ・ローリング・ストーンズも、あまり「なんとかバージョン」などをやらず、「ロックンロールはロックンロール」であり、録音した作品への自信がみなぎっている。そういう姿勢が大好きだ。
(例外はボブ・ディランで、彼は録音の前も後も、常に変化し続けるスタイルだ。私がディランが好きな理由な一つでもある。)

 認識を新たにしたのが、知らぬ人はいないほどの名曲 "Listen to the Music"。
 この曲、実はほかのドゥービーのメジャー曲にくらべて、ややスローで穏やかな曲だった。いつもアルバムの冒頭として聴いていて気づかなかったのだが、アップテンポな名曲をいくつも聴いた後、最後に聴くことによって、そのことに気づかされたのだ。

 最初から最後まで、イカしたロックンロールで突き通した、爽やかで潔い、最高に格好良いコンサートだった。たったの1時間半。でも大満足で、また見たい。

ロックファン、京都へゆく2017/04/23 15:58

 木曜日から、二泊三日で京都へ行き、昨日帰ってきた。

 京都は中学校の修学旅行以来である。私は歴史好きな割に、現地に足を運ぶと言うことをしない。音楽が徹底的に実践主義である(自分で演奏する、聴きに出かける)一方、歴史は本で読んで、頭の中だけで思いを馳せるのが一番楽しいようだ。
 そもそも旅行にも観光にもさほど興味がない私が、なぜ観光地中の観光地に出かけたのか。

 きっかけはトム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズである。
 本当は、6月にニューヨークでの彼らのライブが見たかった。しかし、仕事のプロジェクトの予定があり、泣く泣く諦めた。もちろん、チケットはあっという間にソールド・アウト。しかも、今になってそのプロジェクトが頓挫しそうだという。
 余りの悔しさに、発狂しそうになった私は、突然「そうだ、京都に行こう」と思い立ったというわけ。たぶん、ロックの神のお告げだ。

 京都で思ったことが幾つかある。とりわけ、「観光」という産業について。
 ある地域について「主な産業は観光」といわれると、ちょっとピンときていなかった。「観光」は、本当に「主な産業」になり得るのだろうか?
 ところが、自分が純然たる観光客になってみると、これがなかなか、凄まじい消費力であり、一大産業であることが良く分かった。
 国内外から押し寄せる膨大な観光客は、まるで狂ったかのように消費をする。普段の冷静さを保っていれば、決して払わないようなものに、平気でお金を払う。非日常への憧れのパワーを思い知った。

 それにしても、レンタル着物で京の街を歩き、写真を撮りまくる人の多いこと!
 これはある種のコスプレで(事実、和装でありながら観光客ではない人は、容易に見分けがつく)、キーワードは「SNS映え」。SNSにアップした写真がさらに観光客を呼ぶのだ。
 今や、どの観光地もPR手法としてのSNSを、重要視しなければならない。

 さて、私は京都で何をしたのか。
 外国人観光客に頼まれて写真を撮ること数知れず、中学生に降りるべきバス停を教え(堀川今出川に一体何の用があるのかと思ったら、晴明神社だそうだ。陰陽師、恐るべし)、岐阜から来たマダム・グループにJR八条口を案内する。好物である豆腐と湯葉と生麩、老舗のお弁当、にしん蕎麦を食べまくり、1日2万歩以上も歩いても体重が増える。
 そして寺社仏閣巡り。司馬遼太郎のようにタクシーを駆使して、普通は入れないような所まで行くことは出来ないので、オーソドックスに有名寺社仏閣をめぐることになる。

 東寺、伏見稲荷大社、東西・本願寺、下鴨神社、慈照寺(銀閣)、南禅寺、八坂神社、高台寺、六波羅蜜寺、三十三間堂、智積院、豊国神社、二条城、北野天満宮。

 清水寺と鹿苑寺(金閣)に行っていない以外は、かなりコテコテのコースではないだろうか。  個人的なベスト3は以下の通り。

1位 智積院
 これはダントツに良かった。午前中に行ったということもあるが、とにかく空いていて静か。修学旅行生がいない。長谷川等伯の本物が見られる。レプリカも上手く展示してある。境内や庭が綺麗。修行僧のみなさんと挨拶できる。

2位 三十三間堂
 当初、人の多さを予想して敬遠していたのだが、やはり仏像の数の多さには魅力がある。朝の8時から公開しているので、朝イチに出かけた。これが正解。13世紀の物である本堂にひしめく千手観音と風神・雷神、二十八部衆は圧巻。

3位 東寺
 弘法市を翌日に控え、車が多くて地元のおっちゃん、おばちゃんが賑やかだが、意外と観光客は少ない。午前中で、他の観光地から離れているからだろうか。ここも仏像が量で迫ってくるので、見応えがある。

 ほかには、南禅寺も比較的人が少なくて良かった。六波羅密寺の建物は新しいが、持っている彫像はやはり見逃せない。

 さて、このブログは音楽雑記である。何か京都で音楽的な収穫はあったのかというと。これが全くなかった!雅楽も能楽もあるはずの古都だが…そもそも、TP&HBを見に行けないことへの、腹いせのような衝動旅行だったので、何も調べていなかった。
 伏見稲荷大社で神楽を奉納している人がいたのだが、背後の拝殿でグワングワン鳴りまくる鈴の音で、何も聞こえない。結果、収穫なし。
 次回があるとしたら、せめて金剛流の能くらいは調べて見ることにしよう。

12-String Guitar2017/04/13 22:43

 チャック・ベリーが亡くなったり、J.ガイルズが亡くなったり。
 そうかと思ったら、15年以上前に亡くなったジョージが、未だにリンゴ・ラブラブ爆弾を投下したり。


Olivia Harrison Discovers George Harrison Song Written For Ringo Starr

 ジョージもジョージだが、絶妙に投下してくる当事者である、オリヴィアもなかなかのものだ。さすがは最強の嫁。次はどんなラブコールが飛び出すのか、ドキドキしているおじさん方も多いのでではないだろうか。
とにかく。この世は色々なことがある。

 そんな中で、いつもお世話になっているトム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズの日本のファン組織,Heartbreaker's Japan Partyに教えてもらった、「12弦ギターを使ったロック史上・最高の曲」というランキングが気になった。

The Top 30 12-String Guitar Songs of All Time

 まてまてまてまて、ちょおっと待て!
 納得がいかないぞ。この雑誌と趣味が合わないのだろうが、とにかく納得がいかない。1位の曲はたしかに偉大だが、12弦と限定して強調するべき脈絡の曲だろうか?(もっとも、このバンドが好きではないという事情もあるのだが…)

 バーズとビートルズの曲でトップ5を固めるべきだ!そもそも "If I Needed Someone" がランクインしていない時点で、論外だ!

 そしてこれ。リッケン馬鹿はかくあるべし!



 どうやら、私の頭では12弦ギターというと、リッケバッカーのエレクトリック・ギターしかないらしい。やはりアイドルの存在は大きい。
 どうでも良い事だが、ウクレレにも8弦というシロモノがあるそうだ。冗談半分で買ってやろうかとも思うが、先生に全力で止められそうだ。

Un Sospiro2017/04/06 20:26

 去年、ピアノでスカルラッティを弾いた後、リストの「三つの演奏会用練習曲 第3曲」を弾いていた。
 タイトルをこう書くとピンと来ないかも知れない。「ため息」という通称で良く知られている曲だ。
 「ため息」はショパンの「別れの曲」のように、日本でだけ通じる通称なのかと思ったら、どうやら "Un Sospiro" でも広く知られているようだ。ウィキペディアによると、リスト自身がつけたわけではなく、フランスの出版社がつけたらしい。特にこの「ため息」は素晴らしいネーミングだ。

 どういう訳だか、この曲が収録されているCDを持っていない。ルービンシュタインのリスト集に入っていると思い込んでいたのだが。
 YouTubeでいくらかの演奏を聴いてみたが、いずれも「ため息」というには、やや威勢の良い、賑やかな演奏が多い。冒頭に関しては、もっと密やかで、静かな演奏が好きだ。
 ここでは、チリ出身、20世紀の伝説,クラウディオ・アラウの演奏。



 ちなみに、この動画に使われているリストの肖像画は、ハンガリー,ブダペストにあるリスト記念博物館所蔵のもの。悲鳴をあげる女性に追い回される音楽家のルーツのような人なので、この肖像画もそういう雰囲気を意識しているに違いない。

 アラウの演奏は、コーダのところが、私が弾いた版とは異なる。
 
 「ため息」には、古い古い想い出がある。
 まだ私が 4, 5 歳の頃のこと。生まれて初めて、ピアノの発表会というものに出た。椅子から両足をぶらぶらさせている初心者なので、当然発表会の冒頭に弾いたと思う。
 その発表会のトリが、この「ため息」だった。あれを弾いたのは、現役音楽大学生だったのだと思う。音大生というものは、こういうものなのだ、これがピアノだという印象を強くしたと同時に、「ため息」というタイトルが記憶に焼き付いている。
 あれから数十年、私が「ため息」を弾いている。あの音大生だった人は、いま、どこでどうしているのだろうか。知る術もないが、ただ名曲「ため息」の美しいメロディだけが、今もかわらず流れている。

Movie: Into the Great Wide Open (Directed by Brent Carradine)2017/04/01 00:00

 ブレント・キャラダイン監督の映画 [Into The Great Wide Open] の公開が決まった。

 これは、キャラダイン監督が1970年代にマッドクラッチがフロリダからLAまで車で向かった時のエピソードをもとに、ロック・スターを夢見る青年たちの珍道中を、コメディ・タッチで描いたロード・ムービーだ。
 キャラダイン監督によると、トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズのドキュメンタリー [Runnin' Down a Dream] に登場した、マッドクラッチのゲインズヴィルからLAまでの苦労多き旅の様子を見て、インスパイアされたという。
 お馬鹿コメディとのことだが、ポスターは一見、真面目なロード・ムービー風。そのギャップがなんとも言えない。



映画 [Into the Great Wide Open] あらすじ
 1970年代、フロリダの田舎から、スターになることを夢見て、ロックバンド,ダーティレンチの五人組は、LAへ旅立つことを決心する。しかし旅費が足りず、ありとあらゆる物を売り飛ばし、家族の車を強奪するはめに。
 出発するや、初めて見るサボテンや、雪に大はしゃぎしつつ、道中様々な事件を起こしながら西に向かう。しかし、オクラホマでのトイレ爆破事件をきっかけに、警察に追われることになる。
 音楽あり、カーチェイスあり、乱闘あり。涙と笑いと友情の珍道中は、果たして夢のLAまでたどりつくのか?!

登場人物
トミー:ダーティレンチのボーカル兼ベーシストで良きリーダー。度胸も決断力もあり、年寄りにも可愛がられるが、車酔いをするため、車中では役に立たない。

ミック:ダーティレンチのギタリスト。無口で大人しいが、いったん乱闘になると一番強い。LAには文通相手の彼女がいる。爆弾の解体が得意。

ランディ:ダーティレンチのドラマー。行く先々で女の子たちのハートをわしづかみにするが、それがトラブルの元となる。

ベン:ダーティレンチのキーボーディスト。バンドで唯一、金持ちのお坊ちゃまだが、大学からトミーによって拉致され、無理矢理LAへ向かわされる。

ジミー:ダーティレンチのローディー。彼女に振られて自暴自棄になっているときに、宇宙人のお告げを聞いて勝手にローディーとなり、LAへ同行する。

モンティ:ミックの飼い犬。ミック以外の人にまったくなつかない。特にトミーとは仲が悪く、ミックをめぐって争ってばかりいる。

デル:怪しい自称音楽プロデューサー。言動が支離滅裂だが、ダーティレンチで一攫千金を狙っている。

バートン:ダーティレンチを追い回す警官。偶然ラジオで聴いたダーティレンチの熱烈なファンになるが、バンド名を聞き逃したため、正体が分かっていない。

 音楽担当はもちろん、TP&HBおよび、マッドクラッチ。
 アメリカでの公開は夏。日本では秋公開予定で、邦題は「爆走!俺たちロックンロールな珍道中」。もう少しマシな邦題は思いつかなかったのだろうか。