Figure Skating: Olympic Game2018/02/20 21:11

 週末は、フィギュアスケートで大盛り上がりだった。
 私はどうしていたかというと、当然、大盛り上がりだった。どのくらいかと言うと、金曜日のランチは「フィギュア師匠」と中継が見られる店で落ち合い、がっつり第4組を見て、勝手に採点し、最終組への展望を語り合った。そしてその後はネットなどの一切の情報を遮断し、人のお喋りも聞こえないようにイヤホンを装着して仕事を終え、SPの結果を知らないまま急いで帰宅し、家族にテレビを点けるべからずと言い、ビデオで見たというほど。
 そして月曜日は、採点詳細をプリントアウトし、再び師匠と同じ店で落ち合い、総括をするという徹底ぶり。

 私がこのブログの記事で「良い」と名をあげたSPの三名は、いずれもミスしており ― ネイサンはミスどころか、致命傷だった ― 師匠曰く「デス・ノートか!」だそうだ。
 「トゥーランドット」は良かったじゃないかと言ったら、冒頭の 4Lo を成功していれば、金だったろうとのこと。なるほど。

 ペアには興味がないが、アイス・ダンスはかなり好き。贔屓にしているシブタニ・ペアがメダルを取ったのは嬉しかった。

 曲について、いくつか質問を受けた。
 金メダリストのSP。ショパンの「バラード1番」は、誰の演奏か?これは分からない。冒頭がツィメルマンっぽいが、断言できないし、コーダはまったく違う。むしろ、あのコーダの弾き方はかなり特殊なので、誰かの演奏を編集して速くしているか、このプログラムのために録音したか、どちらかだろう。
 金メダリストのFP。冒頭の笛は誰の、何か。これも分からない。少なくとも、私が知っている雅楽関係者ではない。伶楽舎の人もピンときていなかった。そもそもあの笛は、龍笛ではなくて、能管かも知れない。もしくは、龍笛を能管吹きしている可能性もある。

 銀メダリストのSP。ヴィヴァルディの「四季,冬」だが、今シーズンの途中で、編集が替わってはいないだろうか。その通り。シーズンはじめは、編集で終盤の同じ小節を2回繰り返していた。不自然で気持ち悪かったのだが、オリンピックでは編集を替えて、繰り返しをなくし、不自然さが解消していた。
 銀メダリストのFP。「トゥーランドット」の歌手は誰か。これは以前にもここに書いた。あれはホセ・カレーラス以外の誰でもないだろう。私は今回のオリンピックでカレーラスの凄さを再認識した。

 刑事さんのSP(けっこう好き)。演奏者は、誰か。ゲイリー・ムーアっぽいなと思いながら確認したら、その通りだった。

 女子は男子ほど、私のなかで盛り上がってはいない。ただし、長洲未来のことはとても応援している。
 実は、彼女のことは一度このブログで記事にしている。

 2016年4月5日 Demons

 この時は「特に好きな人ではない」と言っているが、その後、見方がかわった。今の女子シングルにして3Aに挑戦し、団体戦で認定,加点されている。あの気迫を前面に押し出した演技には感動してしまった。

 実のところ、例の「フィギュア師匠」も、私も、今回のオリンピックで一番のヒットは、長洲とアダム・リッポンの胸キュン友情物語なのだ。

Four years ago, USA’s Adam Rippon, Mirai Nagasu shared burgers and a dream. Now they’re Olympic medallists

 代表落ちをした4年前、二人で泣きながら屋根でハンバーガーを食べ、そして今ふたりはチーム(&ルーム)・メイトで、長洲は会心のFPでガッツポーズ、リッポンが泣き、長洲にキスをして、団体で銅メダルを取る。

 師匠「映画だ!これは映画化モノの友情物語だ!」
 私「屋根でのハンバーガーは、夜のシーンにして、曲はトム・ペティを流してやる!」(勝手に決める)

 リッポンはメダル級の人ではないが、自分を貫いていて、けっこう好き。
 そして、長洲は明日からシングルの試合。彼女の渾身の滑りと、客席のリッポンに注目だ。

 師匠「デス・ノートだから、言わない方がよくない?」
 もう遅い。

CFG: Fashion Check !2018/02/16 22:31

 何度でも言うが、私は [CFG] こと、「コンサート・フォー・ジョージ」が大好きだ。
 どのくらい好きかと言うと、[CFG] のポスターを1万円で買ったくらいだ。
 ビートルズグッズ専門店に問い合わせた当初は、無いとのことだった。その後、店から入手できたが、1万円でどうかというオファーが来たのだ。即購入。5万円でも買っただろう。

 さて、今日は [CFG] のファッション・チェック!

 まず女性陣から言えば、サム・ブラウンの圧勝だろう。大胆なドレスで、圧倒的な歌唱力。帽子も格好良いし、それを拾う仕草、小さい頃からよく知っているダニーの手を取る仕草、どれも姐さん、貫禄十分です。
 オリヴィアはこのコンサートのために、ドレスをあつらえたのだろう。雰囲気に合っていて、とても素敵だ。

 さて、男性陣。
 一番多いのは、スーツでびしっと決める面々。ジェフ・リン,ポール、そしてトム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズは細身のスーツで格好良い。マイクがちょっと怪しい感じだが、でも格好良い。
 アメリカのツアー中にロンドンに飛んでくれたハートブレイカーズ。そういえば、トムさんの脂肪吸引疑惑が囁かれたのはこの頃だったか。
 アメリカからびしっとスーツで、気合い十分で乗り込んできたハートブレイカーズ、その前に現れたのは…

 カジュアル勢。
 まず、クラプトン。…ユニクロ…?ユニクロ?そして覚えておかなければならないのは、クラプトンのソックスは、白いということ。どこで分かるのか?それは見てのお楽しみ。ヒント、前半。
 そしてダニー。インド風の上下でとても清楚で可愛い…すごくセンスのあるチョイス。哀れな感じなんて微塵も無くて、天使…?!というか、ジョージ…?彼の佇まいも、このコンサートを温かく、心地よいものにしている一つの要素だろう。
 そして、なぜかひとり南国気分の、ジョー・ブラウン。娘とは正反対の、アロハー!な、リラックス・スタイル。このアロハがコンサートのトリで、号泣させる。

 そして、どう分類すれば良いのか分からない、大ボス。それがリンゴ。
 追悼コンサートなのに、真っ赤なジャケットにハデハデ刺繍、カジュアルなボトムズ。リンゴだから合っているファッションなのだろう。
 若い頃からそうだが、リンゴは何を着ても様になる。

 さぁ、「コンサート・フォー・ジョージ」を買うのです…見るのです!ジョージ・ファンならずとも、ぜひ。

Multi-Format [Concert For George] Reissue2018/02/10 20:12

 2018年2月23日、[CFG] こと 「コンサート・フォー・ジョージ」のリイシュー版が、世界同時発売される。

 さぁ、いまこそ!名作 [CFG] を買うときです!

 今回のリイシューは、ジョージの生誕75年を記念してのもの。形態によって四つのバリエーションがある。これまでもBlu-ray化や、期間限定のフリー視聴などなど、様々なかたちでCFGは送り出されてきた。まるで "The Last Waltz" だ。それほどの価値のある、極上のコンサート、[CFG]。

 今回は初めてアナログ盤が出る。私はアナログ盤を集める趣味がないのでこれは遠慮する。さらにデラックス・ボックスは、コンサート当日に飾られたタペストリーの断片が入るという、マニア向けのシロモノだ。
 私は、CDとBRボックスを予約した。すでにDVDも、BRも、CDも持っているが、CFGはいくらあっても良い。買って人にプレゼントしたことも、一度や二度ではない。
 そもそも、トレイラーからして既に名作。



 クラプトン,ジェフ・リン,TP&HB, ポール,リンゴ,ビリー・プレストン,ゲイリー・ブルッカー,ジョー・ブラウン,サム・ブラウンなどステージの中心に立つミュージシャンたちのみならず、バンドを構成する大物ミュージシャン ― ジム・ケルトナー,レイ・クーパー,ジム・キャパルディ,ジュールズ・ホランド,マーク・マン,アルバート・リー,ジム・ホーン,そしてクラウス・フォアマン…その他大勢 ― 豪華すぎて舞台の床が抜けそうで、しかも若かりし頃のジョージとまったく同じ容姿(少し小さいだけ)のダニーがいる。
 ついでに、客席にいるスティーヴ・ウィンウッドとビル・ワイマンを捜すという、おまけつき。
 インド音楽のパートもかなり魅力的で、CFGのBRをウクレレの先生(ギタリスト)にプレゼントしたら、インドパートにはまっていた。
 忘れてはいけない、モンティ・パイソン!私はこれでパイソン・ファンになった。
 映像作品としては、コンサートの完全版はもちろんだが、劇場上映版のインタビューや、リハーサル風景なども必見だ。

 「でも、ジョージ本人はいないじゃん?」と言った友達がいた。
 私に騙されたと思って、とにかく見ろ!…と言ったら、次に会ったとき彼は「泣いちゃったよ…」と報告してきた。
 そう、ジョージの追悼コンサートでジョージ本人はいないのに、ジョージはまちがいなく「いる」のだ。絶対そう確信できる。
 何度見ても、ボロボロ泣ける。

 今回のリイシューを見たら、今までとはまた違う感慨だろう。当時52歳だったトムさんと、ハートブレイカーズが「若手」として活躍している。
 "Taxman" はこのコンサートで一番にロックな格好良さであり、"Handle with Care" はまさに夢の実現。そして、ここでは "I Need You" をあげておこう。CFGで演奏された中で、ジョージのもっとも初期の曲だ。
 いわゆる、「ギタリスト声」というそうだ。ああいう、ジョージやトムさんのようなやや薄くて、儚げで、でも説得力のある声。ビートルズでの録音時、ジョージは23歳くらいだったと思うが、52歳のトムさんが、あの若さ、若さ故の苦さ、胸がいっぱいになるような切なさを、完璧に再現している。
 ロイヤル・アルバート・ホールの天井 ― そしてその上の空を見上げ、歌を捧げるトム・ペティ。歌い終わり、ちょっとだけうつむくトム・ペティ。ああ、きっとジョージとトムさんは一緒に歌っていたのだろう。そして今もきっと、一緒に歌っている。



 ことが [CFG] となると、もはや落ち着いてなどおられず、片っ端から人をつかまえて、勧めたくなる。ジョージや出演者のファンでもなくても、勧めたくなる。音楽が好きなら、きっと何かを得るはず。 ― いや、音楽に特に興味のない友人に、「パイソン物」として貸したら、「あのコンサート、いいね」という感想が返ってきたことすらある。
 きっと、音楽を抜きにしても、人間が生きていること、友達がいるということ、友達への愛情を表現するということが、どれほど人の心を動かすのか ― そして、それをいきいきと、明るく、そして感動的に伝えきっているものこそ、[CFG] だからだろう。

 さぁ、いまこそ!「コンサート・フォー・ジョージ」を買うのです!見るのです!本当に、本当に素晴らしいから!

Day Tripper / I'm Looking Through You2018/02/06 19:13

 NHKの語学番組、「旅するドイツ語」。ウィーン編に続いて、ベルリン編も見ている。

 観光地,名所案内としては、やはりベルリンはウィーンに比べて分が悪い。その不足分を、ニクラス(クマ系)とベルナルド(ガリガリ系)という若い俳優コンビが、月に一回ベルリン以外の街をネイティブ・ドイツ語を話しながらめぐるというコーナーで、埋めている。このコンビ、無駄にイチャイチャするので面白い。
 アニメコーナーでルートヴィッヒくん(なぜかサムライ口調)と、ヴォルフガングくん(数字に弱い)が文法のまとめをするのは、ウィーン編と同じ。カラヤン氏は赤いスポーツカーをぶっ飛ばしている。月に一度、大喜利のようなことをするのだが、ゲストが凝っていて面白い。シャイすぎてほとんど喋れないブラームスに、オレ様すぎるヴァーグナー、そして金持ちすぎて話が合わないメンデルスゾーンなど。

 さて、この番組。ドイツ語のくせに、テーマ音楽がビートルズ。"Day Tripper" から始まる。最高なんだけど、突っ込まずにはいられない…。分かっている。ドイツ語でビートルズみたいな、素敵ロックはないのだ…
 エンディングもビートルズで、"I'm Looking Through You"





 "I'm Looking Through You" と言えば思い出すのが、ザ・ウォールフラワーズによるカバー。
 確か、これは映画のサウンドトラックとして収録されていたのだと思う。凄く良い曲だし、演奏も良い。
 しかし。しかしだ、ジェイコブ・ディラン!きみに期待するのは、そうじゃない。じゃぁ何だと言われると困るのだが ― "Taxman" かな? ― とにかく、どうしてポールの曲なんだろうって、思う。格好良いけどね。

It's Best Frend's Birthday2018/02/01 21:51

 マイク・キャンベルが自分のバンド、ザ・ダーティ・ノブズのライブで、友人であるトム・ペティのために、"Something Good Coming" と、Runnin' Down a Dream" を演奏したという。
 ダーティ・ノブズのライブで、ハートブレイカーズの曲をやるのは初めて。





 これはもう、多くを語る必要はないだろう。トムは世を去り、その親友であり、相棒だったマイクは、この世に生き、音楽を奏でている。
 マイクの歌が、あまりにもトムさんに似ていて、言葉を失う。最初は他人だった夫婦が、長年連れ添うと、似てくるという現象と同じだろう。しゃべり方もそっくりだ。

 そして生きる世界を異にしてもなお、二人は魂の親友であり、相棒であり続けている。いま、この瞬間も ―
 マイク、お誕生日おめでとう。トムさんも、きっとそう言っている。

When Prince Met Tom Petty2018/01/27 22:33

 「俺の二大スターは、デイヴィッド・ボウイと、プリンス」 ― と、いう同僚がいる。彼にとって、去年はショッキングなことが立て続けに起こったわけだ。
 プリンスが亡くなってから少しして、彼が私にふと話しかけてきた。

 「トム・ペティって……」

 ああ、あれを見たなと悟った。
 2004年、ジョージのロックンロール・ホール・オブ・フェイム授賞式。"While My Guitar Gently Weeps" ―
 プリンスのファンとしてこれを見て初めて、まともにトム・ペティを認識したというわけだ。



 何度見ても凄い。この曲に関して、クラプトンとジョージ以外のソロ奏者としては、プリンスが一番だろう。トムさんとジェフ・リン、プリンスがもの凄い存在感を発揮しているが、さらに贅沢なことに、スティーヴ・ウィンウッドとジム・キャパルディ,そして二人のハートブレイカーまで揃っている。特にウィンウッドのオルガンがふるっている。この曲はギターだけではなく、オルガンも非常に重要なサウンド・ファクターなだけに、最高の布陣だ。
 ダニーもこういう豪華な場には慣れているだろうが、プリンスのファンだけに、とりわけ楽しそう。プリンスのソロが始まろうとするときに、彼の顔を見て顔一杯に笑うダニー。そしてプリンスが観客席へ倒れ込むのを圧倒されたような顔で見て、おそらくジェフ・リンに向かって「あれ、見てよ!」という表情をしている。

 プリンスのギター・ソロもさることながら、私はこの演奏に関して、トム・ペティのヴォーカルも抜群だと思っている。これまた、ジョージっぽい憂いを帯びた、でも自信に溢れたヴォーカル。プリンスがソロを弾いている間にも、"Look at you all..." と歌っているのが最高にエレガントで、格好良い。

 例の同僚は、実は去年10月3日の早朝、私の次にオフィスに入ってきた人だった。思わず呼び止め、トム・ペティの悲しいニュース(この時点では情報が混乱していた)を話さずにはいられなかった。
 そして先日、その死因の公式発表があり、それがプリンスと同じであったことを話すと、「そう!俺も見ました!」との返事。
 「記事で読んだんですけど、トム・ペティが、プリンスが亡くなる数日前に電話しようと思ったって言うんですよね…」

 この話は初耳だったので、確認してみると、たしかにあった。トムさんがプリンスの死を受けて、Times紙に語っているのだ。

 When Prince Met Tom Petty for ‘While My Guitar Gently Weeps'

 "I almost told myself I was going to call him and just see how he was," he mused. "I’m starting to think you should just act on those things all the time."
 「ぼくは、彼(プリンス)に、元気か、って電話しようかなと思っていたんだ。」彼(ペティ)は思いにふけった。「それからは、やろうと思ったことは、すぐにやろうって考えるようになったよ。」



 賢者の言葉だ。

Pain no more2018/01/23 21:15

 先週半ばから、病気に伏してしまった。大した話ではなく、はやりの流感にかかっただけではあるが、快復したばかりで体力がない。昨日も、どうしても参加したいトム・ペティ関連のイベントがあったのだが、欠席せざるを得なかった。
 私の場合、問題だったのは流感そのものよりも、その後だった。処方された薬はごく一般的なものだったが、その一つがアレルギー反応を起こし、体中が真っ赤に腫れ上がったのだ。これには参った。数日でおさまりはしたが、今後はその薬を避けなければならない。

 そんな時期に、トム・ペティの死因に関する公式声明が出た。丁寧な翻訳をしてくれた、Heartbreaker's Japan Party さんに感謝。

Passed away due to an accidental drug overdose as a result of taking a variety of medications.
 複数の薬物の偶発的な過剰摂取による死 ―

 「オピオイド危機」と呼ばれる、鎮痛薬の多用が引き起こす問題が、アメリカでは深刻化しているという話を聞いたことはある。そういえば、あれやこれやの有名人が亡くなった時も、この手の薬のことが話題にのぼっていたような気がする。
 トム・ペティという、心から愛して止まない人をこれで失って、はじめてその重大さを思い知らされた。

 社会問題に関しては、まずおいておく。
 とても悲しかったのが、トム・ペティがとても多くの痛みに耐えていたという事実だ。なんて辛いことだろう。なんて心の痛むことだろう。

 トムさん、ごめん。
 いつも、いつも求めてばかりいて。
 新曲も、新譜も聴きたい、ライブも見たい、ツアーもしてほしい。あなたが必死に痛みに耐えていたときに、ずっとあなたの才能と寛容さに甘えていたんだ。ほんとうに、ほんとうにごめん。
 「ファンが一人でもいれば、やり続けるさ」 ― あなたはいつかそう言っていた。そのままを実行していたトムさん。肺や喉が痛くても、膝が痛くても、股関節を骨折するまで、トムさんはステージに立ち、ギターを弾き、観客たちを全力で楽しませ、幸せにしてくれていた。
 あなたはプロ中のプロであり、ロックンローラーとしての ― そしてきっと、人間としての誇りだ。
 きっとあなたは笑って許すだろう。自分が愛していたことを、全力でやるためなら、どんな痛みにも耐えると、きっと言っただろう。
 でも、いまだけは言わせて欲しい。ほんとうにごめん。そしてありがとう。心から、ありがとう。もう痛みに耐えることなく、静かに休んで。

 トム・ペティに安らいで欲しいのに、トム・ペティの曲というのもおかしな話だが、どうしてもこの曲しか浮かばない。

Hard Rock Cafe Ueno-eki Tokyo2018/01/14 20:50

 新年会ということで、上野駅のハードロック・カフェに行った。ここに来るのは、何年ぶりだろう。
 前回きたときは、トム・ペティのギター ― [Long After Dark] のテレキャスターっぽい黄色いギターが展示されていた。
 今回驚いたのは、ギターが替わっていたこと。何かは良く分からないが、とにかくファイヤーグローのリッケンバッカーになっていた。



 一緒に飾られている写真がいい。

 さて席につけば、HRCお馴染みのヘヴィな食事や飲み物をとりながら、流れるミュージック・ビデオにあれやこれやと言いながら過ごすのが、常である。
 普通、TP&HBなんて流れることはまずないのだが、今回は関連ビデオが四つも流れた。
 まず、"The Last DJ"。



 この時点では、なんという偶然!と、純粋に喜んでいた。
 "The Last DJ" のビデオは、萩原健太さん曰く、ハートブレイカーズでウィルベリーズのあの雰囲気を再現している、トム・ペティにとっての理想型なのだという。確かにそうだし、そういうバンドのまま終焉を迎えたと思うと、感慨深い。

 さて、しばらくして流れたのが、なんと "Handle with Care"。これはさすがに、他の席からも、「おっ、ジョージ!」という声が聞こえた。



 「こうなると、次に何を流すのか、ハードルが高くなるね」などと話していたら、直後にこう来た。



 ここまで来て分かったのだが、予約の時に「トム・ペティのギターは今も展示されていますか?」と確認したことが、影響していたようだ。HRCがこういう気遣いをしてくれるとは知らなかった。

 TP&HB関連として最後にながれたのが、"Into the Great Wide Open" ― 海賊になる前のジョニー・デップの熱演。



 トム・ペティがこの世にいない、新たな年が始まったけれど。彼がそばにいるかどうかは、結局聴く側の心の問題であり、つまりは、彼の音楽と存在は、いつもファンと共にあるのだ。そういう気持ちを新たにする、新年会だった。

Figure Skating2018/01/10 20:10

 野球とF1がオフシーズンのため、いまはフィギュア・スケートを観戦する時期である。
 私はフィギュア・スケートが好きだ。純粋にスポーツとしても面白いし、そこに音楽やダンスなどの芸術的な要素がからみ、完璧に合致したときの爽快感がたまらない。もっとも、そんな完璧な演技というのは、そうめったに見られるものでもない。
 友人に「師匠」とでも言うべきフィギュア識者がおり、毎年、曲の選定の時点からああだこうだと語り合っている。

 今は男子シングルの技術面の凄まじい進化と、それに芸術性が追随できるか、このせめぎ合いが面白い。
 今シーズンの選曲で一番だと思うのが、アメリカ,ネイサン・チェンのショート・プログラム。初めて聴いたときは本当にびっくりした。それほど素晴らしい曲だった。
 ベンジャミン・クレメンタインの "Nemesis"。



 私は彼を知らなかったので、イントロを最初に聞いたとき、本気でニーナ・シモンだと思った。歌がはじまってからも、しばらくそうだと思っていたほどだ。
 ショートはジャンプの回数が少なく、尺も短いため、要素のバランスがうまくとれて名作ができやすい。ネイサンの今回のSPも非常に良くて、今シーズンのSPの中では一番好きかも知れない。彼がオリンピックで金を取れるかどうかは、アクセルの出来にかなり左右されるだろう。

 今シーズンの大本命ではないが、パトリック・チャンも良い選曲をしている。彼は数年前からかなり選曲が良くて、昨シーズンのビートルズ・メドレー,その前のショパン・メドレーも素晴らしかった。4回転を何種類も跳べる人ではないが、センスの良い選曲に、振り付けとジャンプが、がっちりとはまったときの完成度は凄い。
 今シーズンのSPは、カンザスの "Dust in the Wind"。これは完全にイントロで「勝ち」の選曲だろう。



 クラシック勢の白眉は、宇野昌磨の「トゥーランドット」 "Nessun dorma"。最初の一声ですぐに「カレーラス!」と分かる。



 オリンピックに出るかどうかは分からないが、ロシア,ミハエル・コリヤダの SP モーツァルトも、ちょっと面白い ― いや、彼の場合は一発の4回転ルッツが凄い。もちろん、成功した場合だが、あまりにも凄かったので、あれだけでもいいから見たいくらいだ。せっかくなので、FPのエルヴィス・メドレーも見たい。

春鶯囀 (舞楽・管絃)2018/01/06 22:12

 伶学者の雅楽コンサート(No.33)「伶倫楽遊 鶯の囀りというしらべ~春鶯囀を観る、聴く」に行った。

 「春鶯囀」― しゅんのうでん ― と読む。春のウグイスのさえずりという曲なのだから、とても明るく、雅やかで素敵な曲だ。今回は、舞楽と管絃、両方で堪能した。



 伶楽舎のコンサートに行くと毎回思うのだが、やはり古典は良い。復曲も良い。いわゆる「現代雅楽曲」というのは勘弁してほしい。
 今回は前半も後半も完全なる古典で、本当に素晴らしかった。

 普通、管絃と舞楽があると舞楽を後に演奏するのだが、今回は舞楽が先で、管絃が後だった。どうしてかと不思議だったのだが、どうやら演奏する上での体力の問題だったのではないかと思っている。
 春鶯囀の管絃を全曲 ― 「一具」で演奏すると、雅楽で四曲のみ定められている「大曲」で、すっかり疲れてしまうのだろう。実際、後半は途中で気合いを入れ直している楽人の表情などもあって、それが覗えた。
 大曲は四曲のみということは解説にも述べられていたが、あと三曲が何であるのかには一度も触れなかった。伶楽舎は素晴らしい演奏団体なのだが、こういう解説のところで、いま一歩惜しい。ちなみに、あとの三曲は、「皇麞」「万秋楽」「蘇合香」 ― 確かに大曲だ。私はこれらを一具で聴いたことがないと思う。「蘇合香」はいちど伶楽舎が一具で演奏したのだが、この時は都合が悪くて聞きに行けなかったのだ。今回、「春鶯囀」を一具で聞くことが出来たのは幸運だった。
 舞楽も華やかでまさに雅楽の醍醐味。舞人の技量に関しては、もう少し伸びしろがあると思うのだが、それでもとても素晴らしかった。

 伶楽舎の音楽監督であり、私の音大時代、雅楽の先生だった芝祐靖先生は、去年文化勲章を受章された。今回はその記念の展示などもあった。
 また、芝先生の業績をまとめた本「伶倫楽遊 芝祐靖と雅楽の現代」が発売されている。芝家の来歴や、先生の経歴がまとめられているほかは、いくらかのエピソード。あとは業績を列記した資料的な本で、巻末に添えられた、先生自身のコラムの方が面白い。
 筆者が芸大出身のため、芸大でのたのしげな雅楽の授業の様子が描かれていたが、わが母校も同じような雰囲気だったと思う。それにしても、どうしても間が取れなくて、「6秒くらい」と言われた太鼓の人が、秒針を観たという話には驚いた。さすがに自分が雅楽をやっていた時には、そういう話はなかった。もっとも、私が学生のころは、いまや伶楽舎の「太鼓の達人」が一緒だったという事情もあるのだが。
 ちなみに、このブログの2017年10月14日 There Are Places I Remenber の冒頭に登場した音大の和室での話は、芝先生の雅楽の授業中の事である。

 伶楽舎と芝先生の活躍、今後も期待している。