Foreign Tongues2026/07/25 20:45

 ストーンズの新譜、[Foreign Tongues] も、もちろんヘヴィ・ローテーションで聴いている。端的に言って、とても良いロックンロール作品で、前作よりも好きだ。ドラマーのスティーヴ・ジョーダンの音をかなり強くミキシングしてあり、重量感があって良い。
 お気に入りの曲についていくつかの感想がある。

 2曲目の ”In the stars” は、さながらシングル・カットされそうなキャッチーな曲だ。 “Steel wheels” 収録の “Rock and a hard place” のメジャー・コード版とでも言うべきか。オルガンには、我らがベンモント・テンチも参加している。
 ミュージック・ビデオが面白い。70年代(Black and Blueあたり?)のストーンズを再現して、大勢でセッションする様子が凝っている。前作の露出の多い女の子を踊らせるビデオよりずっといい。




 ”Jealous Lover” は “Hot stuff” のようなミックのファルセットを堪能できる。今年83歳になるミックとキース。録音された歌声は、どの程度加工が施されているのかは分からないが、不自然なところはまったく無い。
 この曲も含めて、何曲かにスティーヴ・ウィンウッドが参加している。ストーンズならではの豪華な布陣だ。

 ”Mr. Charm” は自信過剰な男の歌で、Aメロの語り口がディラン風で、さらにサビのメロディアスな感じの対比が素晴らしい。  ”Divine intervention” は [Begger’s banquet] に収録されていそうな雰囲気から、ぐっとポップなサビを持ってくる大人な展開が爽やかだ。かなり作り込まれたサウンドで、トランペットなども入っている。  ”Ringing hollow” はとても長閑な曲。ストーンズにはこういうほっとする一面があって好きだ。多分、ロニーと思われるスティール・ペダル・ギターが美しい。
 ”Hit me in the head” は亡きチャーリー・ワッツがドラムスを叩いている。ミックのカウントに続いて、これぞストーンズ!というチャーリーが格好良い。スティーヴ・ジョーダンを聴いてからチャーリーを聴くと、重すぎず、ドライブ感たっぷりのストーンズの心臓であったことがよくわかる。
 エイミー・ワインハウスのカバーもあるが、うーん。ロックのソングライティングにおいては、ミックとキースにはやはり叶わないだろう。それにしてもミックのハープは良い。彼のハープはどんどん上手くなっている。

 ”Some of us” はキースがリード・ヴォーカルを取るロック・バラード。キースは本当にこういうバラードを歌わせると素晴らしい。しかもミックがバックヴォーカルを担当しているのだから、鼻の奥がツンと痛くなる。ロック史上最高の親友であり、悪友であり、戦友。彼らにしかわからない絆が滲み出る名曲。私はストーンズの新譜が出るたびに、こういうロック・バラードを楽しみにしている。まず期待を裏切らない。
 それにしても、ベンモントとウィンウッドというダブル使いとは、なんと贅沢な。




 ”Covered in you” には、ポール・マッカートニーがベースで参加している。うーん。だから?…という感じ。ポールを使うなら「おお!ポールだ!」という何かが出てほしかったかなぁ。もちろんポールは優秀なベーシストだろうが、彼の真骨頂ではないだろう。

“Back in your life” アルバムの終盤を飾る壮大なロックバラードだ。名曲過ぎて怖くなる。60年代のロックスターが、60年経ってもこれほどの力を発揮するのだから、ロックンロールという音楽ジャンルの強さと、ストーンズの凄さを思い知らされる。
 ギターソロのロニーが最高。特にミックが “Comon’ Ronnie!” というところは、やや「やりすぎ」感があるほどだ。一部は、ジョージ風のスライドも活かしている。あまりにも感動的なので、映画が一本できてしまいそうだ。



 最後はチャック・ベリーのカバー。今年は生誕100年だそうだ。バス・ドラムは、チャド・スミス…ってレッチリのチャド・スミスか。あのウィル・フェレルとドラムス対決してた人。

 さすがのストーンズも、もうツアーは辛いとのこと。そりゃそうだろう。キース曰く、やるなら一箇所で数回のライブとなるだろうと。
 あまり大きすぎるところでやって欲しくないというのが本音。見えないんだもの。ロイヤル・アルバート・ホールなんかが良いなぁと思ったりして。でもそうすると、チケットが取りにくい。RAHで3ヶ月くらいかけて30回くらいやってくれないかなぁ。絶対に行くんだけど。

Mission of Mercy2026/07/11 08:26

 うかうかしている間にストーンズの新譜が届いてしまったので、慌ててマイク・キャンベル&ザ・ダーティ・ノブズの新譜 [Missioin of Mercy] の感想をあげなければ。

 まず冒頭の “No redgrets” 後悔なく旅立つという内容のフォーク・ロック。過剰にオーバー・レコーディングせず、トム・ペティ風に仕上がっている。冒頭を飾るにふさわしい曲だ。



 ”Let me back in my dream” はダーティ・ノブズ独特のダークで不思議なロック。スピード感が良い。
 ”My mama told me” はミドル・テンポのギター・リフが印象的。これもまたダークで不思議なサウンドだ。

 ”I remember” はイントロのピアノが印象的。このアルバムのピアノは、どうやらクリス・ホルトが弾いているようだ。ブリッジの緊張からギター・ソロへのつながりが格好良く、さらにそれが短いところがマイクらしい。
 この曲のミュージック・ビデオが面白い。有名無名、バンドメンバーの今昔、いろいろな写真が出てくるのだが、途中でジョンとポールがマッシュルームのころの写真が出るからには、ジョージも出てくるんだろうなと、睨むように観察。そして本当に最後になかなか良い写真が出てきて満足。



 ”More than gold (feat. Morgane Stapleton)” では、マイクのダミ声が意外と女声と合うことがよく分かるデュエット・バラードが披露される。控えめなホーンセクションも良い。

 このアルバムのタイトルにもなっている、”Mission of Mercy” が、一番のお気に入りだ。A メロは静かに始まり、掴みどころがない。マイクのヴォーカルも控え目だ。ところがサビは一転、マイクがファルセットで歌っている。彼がファルセットを使うのは稀だし、初めてではないだろうか。まるでパーニース・ブラザーズのような雰囲気でとても素敵。
 マイクにとっても、75歳にして新たなチャレンジをした、記念碑的な作品で、だからこそアルバム・タイトルにもしたのではないだろうか。
 エンディングのジョージ系スライドの応用も良い。
 ミュージック・ビデオがこれまた、ジョージ風。フォントからしてジョージ風だ。



 ”Bongo Mania (feat.Kate Pierson)” はタイトルそのままにボンゴの連打が印象的。聴いたことのない曲調に、疾走感たっぷりのエンディング・ソロが最高。
 ”Wrecking ball” はTP&HBの [Mojo] にあるようなヘヴィなブルース・ロック。
 ”Done to me” はちょっとしゃれた一曲。 ブリッジの ”Oh, my mine” が良い。
 ”Armagedon" はタイトルの通り壮大で、迫力のある一曲。マイクの終末観だろうか?
 ”Vicious hangover” はエッジの効いた、イカしたロックンロール。
  最後を飾る ”Vagrant” は放浪する、さすらいの、気まぐれなといった意味のタイトルだが、マイクの語りが印象的で、謎を残すようにアルバムを締めくくる。ちょっと悪魔の笑い声のようで面白い。

 バンドの演奏はさすがのヴィルトゥオーソ揃い。スティーヴ・フェローニがすっかり正式 メンバーになっているのも嬉しい。
 アルバム・ジャケットは明らかにビートルズの “Let it be” のオマージュだろう。

 日本のアマゾンではなかなか CDで買えるようにならなかったので、さっさとアメリカから取り寄せた。やっぱりCD、物理的な盤がないと我慢できない。
 トムさん亡きあとのマイク・キャンベル&ザ・ダーティ・ノブズのアルバムも、これで四枚目。この夏はツアーも行うとのこと。さらなる活躍を期待している。

Keith Richards: Under the Influence2026/03/21 19:22

 Netflix の契約期間に、気になる作品を見ておこうと思っている。先週はとても話題になった日本の大規模不動産詐欺のドラマを視聴。期待値が高かっただけに、ちょっとイマイチだった。やっぱり詐欺師物の最高傑作は [The Sting] だなぁと再認識する。

 音楽関係でなにか面白いものはないかと検索したら、2015年の作品、キース・リチャーズのドキュメンタリーがあった。題して “Keith Richards: Under the Influence”  当時ソロ・アルバムを作っていたキースに取材して、キースが影響を受けたものなどを中心に紹介する作品だ。



 まず面白かったのは、オープニングがモーツァルトの「魔笛序曲」だったこと。キースの母親が音楽好きで、ポップスのみならず、クラシックも身近に聴いていたそうだ。
 祖父のがこれまた音楽好きで、キースにギターを仕込んでくれたのはの有名な話。絵本にもなっている。そして大音量で鳴り響くブルース。キースが影響を受けたものとして、やはり一番多くの時間を割いているのはブルースだ。
 マディ・ウォータースとチャック・ベリーのレコードを抱えた幼馴染のミックに数年ぶりに会ったキースが、すぐさま意気投合してバンドを作るという、有名なエピソード。このレコードそのものが非常に重要なのであって、もしこの時ミックが別のものを持っていたら、歴史は変わっていただろう。

 キース曰く、アメリカのフォーク、ブルース、カントリーなどには、ケルト音楽の要素を感じるのだという。カントリーは当たり前だが、フォークやブルースというのは意外だった。
 キースといえども、影響をうけた音楽はブルース一辺倒ではない。カントリーも好きで、グラム・パーソンズがその導き手になったくれたとのこと。そこで登場するのが、あのヌーディー・スーツだ。私がカントリーはダサいと思っている要素の一つで、あれを見ると背筋が痒くなる。キースもやや呆れ気味だったが、カントリー・ミュージシャンはワルが多く(それこそキースなんて可愛いもの)、かなりの変人が多いということを教えてくれた。

 一つエピソードで面白かったのは、マディ・ウォーターズと、キース、ミック、ロニーが共演した時、さすがのキースも緊張してロニーと「何着る?何着る?」とうろたえたとのこと。二人で相談しての、白シャツにベストとなったそうだ。ミックはその場にいなかったらしく、ひどく浮いた格好をしている…ミックだからなぁと今までは納得していたが、やっぱり浮いている。



 出演もしているが、当時キースのアルバムの共同プロデューサーを努めていた、スティーヴ・ジョーダンがとても印象的だった。さすがドラマー三大スティーヴの一人。すばらしいドラミング技術で、こういうドラマーになりたいと思わせる人だ。

 キースは終始ゴキゲンで、ずっと笑っている。そしてずっとタバコを吸っている。この作品は11年前だが、今のキースも喫煙しているのだろうか。今でも生きていることが不思議なほど薬物とアルコールに耽溺した人物だが、ある人は「悪運が強い」のだと評していた。
 悪運もそうだが、このゴキゲンなロックンローラーを見ると、人に愛されやすい人物で、その愛され加減が彼をこの世にとどめているのではないかとも思う。
 そう、彼はロックンローラーであり、ロッカーではない。キース曰く、「ロック」というのはちゃんちゃらおかしいポップスで(口ずさんでいた曲もなんとなくアレだなぁと分かる)、自分がやるのは、あくまでも「ロックンロール」だと。それはトム・ペティも名言していたので、私の好みもそのあたりに範囲があるのだと確信するに至った。

David Crosby: Remember My Name2026/03/06 20:29

 2019年のドキュメンタリー映画、[David Crosby: Remember My Name] を見た。制作の一人は、おなじみのキャメロン・クロウである。



 ソロアルバムの制作や、ツアーに勤しむ78歳くらいのクロスビー。愛する家族と過ごす素敵な家で、上機嫌にインタビューに答えている。
 曰く、冴えない太った少年だったクロスビーは、ギターを手に入れて歌い始めると俄然その存在が輝き始める。映画全体を通じてもっとも印象的だったのは、クロスビーの力強く、つややかで、唯一無二の、その歌声である。
 彼は1941年生まれ、時代が時代である。またたく間にバーズという伝説のバンドの一員となり、その才能を発揮した ー と思ったらクビになった。その間、数枚のアルバムは発売しているのだが、人生の長さからすればあっという間かもしれない。ある日、バーズのメンバー2人がポルシェでクロスビーの家に乗り付けて、クビを宣告するところなどは、アニメーションを使っている。

 面白かったのは、クロスビーがバーズをクビになった後、船を買って海に出るという彼の独自の生き方だ。60年代ロックンローラーのなかでそういうタイプはあまりいない。

 やがてグレアム・ナッシュと運命の出会いをするのだが、彼のことを「どこの誰かも知らなかった」とのこと。そこにスティーヴン・スティルスも加わって、CS&N の結成である。若い頃のスティルスという人は、モンキーズ候補になっただけあって、歯並びと頭髪に問題がある以外はなかなかの美男子だ。
 レコーディングの合間、バルコニーでなにやら言い合うクロスビーとナッシュ。言い合いなのだが、その2人の声がまた良い声なのが面白かった。ナッシュの声が高い…!

 クロスビーと女性たちとの関係も語られている。特にジョニ・ミッチェルに関しては興味深かった。それにしても、早々にバーズをクビになるし、CS&Nもナッシュの人格で保たれていることは誰でも知っていそうだが、そこにジョニ・ミッチェルとは劇薬混ぜるな危険という感じだ。
 ある時の恋人が若くして事故で亡くなったとき、深く悲しむクロスビーを、仲間たちが献身的に支えたという話が泣かせる。音楽的才能が豊かでありながら、人間性に多少問題のあるクロスビー。でも、友人たちにとっては放っておけない存在だったのだろう。

 ウッドストックに限らず、60年代末から70年代のライブシーンが素晴らしかった。CS&N (もしくは CSN&Y)というと、美しいハーモニーが特徴だが、ライブでの熱さ、パワフルさも決して引けを取るものではなかったようだ。CS&Nのアルバムは何枚か持っているが、ライブ・アルバムは持っていない。何か良いものがあったら買ってみようと思う。

 60年代から蓄積していった薬物の問題は、クロスビーの命こそ奪わなかったものの(不思議なことに)、人生を破滅させようとしていた。とうとう1985年に逮捕、収監された。刑務所で完全に薬物と縁が切れたかどうかは知れないが(あまり信じていない)、クロスビーは社会復帰し、また仲間と音楽活動を始める。

 普通なら、90年代を経て21世紀も、歳を取りながら円熟した演奏を聴かせ続ける ― と思ったら、その後に波乱があるのがクロスビーのある意味すごいところである。
 私も見た2015年の来日公演後、北欧でのCS&Nのツアーで、長年クロスビーを許し、守ってきたナッシュが耐えきれなくなり、完全な決裂となったのだ。しかもステージ上で。原因はたぶん自分にあるのだろうというクロスビー。
 以降、彼はかつての仲間から完全に孤立してしまっているという。ナッシュも、ロジャー・マッグインも、スティルスも、ヤングも。彼らの連絡先も知らないし、また一緒になにかやる見込みはまったくないという。
 自分でも分かっているようだが、やはりクロスビーはかなり強烈な個性の持ち主で、人と上手くやっていくのが得意ではないのだ。映画の随所に表れるのだが、彼は怒りの処理が苦手だ。悪感情を持つと、決めつけが激しく、場をわきまえずに強い表現で(そして汚い言葉で)罵倒してしまう。「正直に生きる」といえば聞こえが良いが、人間は思いやりなしには一緒にいることは出来ない。
 若いミュージシャンと音楽活動を続けるクロスビーの姿で、映画は終わる。持病が多く、いつ死んでもおかしくないと言っていたが、実際に彼が亡くなるのは4年後のことだった。友人たちと決裂したままというその死が、ちょっと寂しい。でも愛する家族はいたのだから、彼なりに幸せだったことだろう。

 蛇足ではあるが、仲間の連絡先を一つも知らないクロスビーを思うと、ある日突然、ボブ・ディランから電話がかかってきて、「バンドを頼む」といわれるマイク・キャンベルってすごいなと、改めて感心した。

Let the Good Times Roll2026/02/01 19:28

 ボブ・ディランのブートレグシリーズ Vol. 18 [Through the Open Window] を購入。バカでかい箱にはこりているので、CD二枚のコンパクトタイプにする。
 最初の一曲は、1956年 ー ディランまだ15歳のときの、プライベート音源。とても印象的だった。曲は “Let the Good Times Roll” ー シェリー&リー が同年に発表した曲なので、ロバート少年は最新ヒット曲を録音したことになる。



 この曲、どこかで聴いたなぁと記憶をたどると、ハリー・ニルソンの録音だった。



 ほかにどんなカバーがあるのかと検索してみると、ロイ・オービソン御大があった。もっとも、彼のあの美声の魅力を活かしているとは言えないと思うが…



 ディランにとってはとてもお気に入りの曲だったらしく、トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズとのツアーでも披露している。



 残念ながらディラ様とトムさんのツインヴォーカルを楽しめる!というけではないが、このコラボレーションらしい格好良い仕上がりだ。

Mike Cambplell and The Dirty Knobs in LA2026/01/12 19:33

 Heartbreaker’s Japan Party さんのメールマガジンによると、マイク・キャンベル&ザ・ダーティ・ノブズは去年のクリスマスに LA のユナイテッド・シアターでライブを行い、[Christmas All Over Again” をプレイしたとのこと。フロントマン亡きあと、物語の続きがあるバンド、それがトム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズである。



 何が素晴らしいといって、スティーヴ・フェローニのドラムスである。前のドラマーさんも悪くはなかったが、桁違いの巧さである。特にこの曲は冒頭のドラムが特徴的なだけに、図抜けていることが分かる。
 マイクは相変わらずのトムさん憑依っぷり。マイクの自伝を読むと、初めて歌ってみようと試みたときから、自分の歌い方も歌声も、トムさんにそっくりであることを自覚していたとのこと。今となってはインタビューに答える喋り方、声もトムさんにそっくりなので、本当に特異なコンビだったと感心する。

 同日のライブでは、”Jammin’ Me” も演奏している。これの面白いところは、マイクがアコースティック・ギターに終始しているところだ。



 マイクのアコギのほかは、ベースと、キーボード、ドラムス。それだけで、これほどしっかりしたロックンロールをかっ飛ばすのだから、彼らの腕の良さが際立つ。
 それと同時に、ディランとの共作でもあるこの曲が、いかに根っからのロックンロールで、ほかにどうにもならない名曲だということだ。スクリーンにディランとのツアーのときの写真が映し出されるが、当時の若きロックンローラーたちの息遣いが再現されていて、とても素晴らしいと思う。
 ディランとマイクが奇跡の共演を果たしたのは、一昨年だったか。今年辺り、また何か一緒にやってほしい。YouTubeのウィルベリーズ映像がいったん下げられたりしているので、ウィルベリーズ関係でなにかあるのかもしれない。期待している。

Steve Cropper2025/12/17 20:53

 12月3日にスティーヴ・クロッパーが亡くなったと聞いた。彼の死去を受けていろいろな写真をネットで見たが、とびきり若い頃(20代?)の美男子っぷりに度肝を抜かれた。

 スティーヴ・クロッパーと言えば、私にとっては「ニール・ヤングと握手する人」である。ボブ・フェスの一番の盛り上がりどころ、”My Back Pages”の冒頭だ。



 ボブ・フェストと言えば、ジョージの出番でのスティーヴ・クロッパーも忘れがたい。ギター・ヒーローのくせに、このときはリズムギターしか弾かなかったジョージ。ボブのためのコンサートだということもあるし、スティーヴ・クロッパーがいるなら、彼に任せるべきだとでも思ったのだろう。ジョージは本当に幸せそうにプレイしている。
 ジョージはあまりライブが得意ではなく、声に波のある人だが、ボブ・フェストは絶好調だった。



 そしてもう一つ、私にとってのスティーヴ・クロッパーは、ブルース・ブラザーズ・バンドの人だ。特にお気に入りは名曲(というか、ブルース・ブラザーズの中でも特にお気に入り) “Soul Man” 。あのギター・リフは超名作である。
 改めて映像を見ると、曲良し、演奏良し、ダンスも良し。非の打ち所がない。

Ugly - Tom O'dell2025/12/14 19:22

 2008年6月にこのブログを始めて以来17年、こんなに記事にブランクを空けたことはなかった。空いてもせいぜい1週間とか、10日くらいだったのだが、このたびはじめて約2か月記事をアップしない日が続いた。
 なんのことはない、現代人らしく仕事が多忙過ぎた。もともと多すぎる業務をこなしているという実感はあったが、11月からはそれに拍車がかかり、さらに毎日出社するという負荷が加わったために、すっかりブログをアップできないでいた。
 その間、ショパン・コンクールが終わり、フィギュアスケートのGPシリーズも終わり、そしてF1もシーズンが終わっていた。

 音楽的には、ピアノの発表会があった。いつもならバッハしか弾かない私だが、今回は忙しすぎてバッハの準備が間に合わず。それまで弾いていたショパンを仕方なしに弾いたのだが ― 発表会のたびに思うのだが、びっくりするほど酷い演奏だった。とんでもなくだめな演奏でも、場数を踏んでるだけあって、落ち着いていたのは良かったのだが。ともあれ、やはり私はバッハ以外はだめだなぁと自覚するに至る。

 トム・オデールが新譜を出しているのに気づいたので、購入。
 彼のアルバムはここ2枚ほど低迷していたのだが、今回はドラムとベースの入ったバンド・サウンドに戻ってくれて嬉しい限りだ。
 私の中で、トム・オデールがちょっとエリオット・スミスのカテゴリーに入りそうな感じがする。初期のアルバムのもっと明るくて弾けた感じは、もっと戻り代があるので、まだまだ期待している。そういえば彼も生で見てみたいアーチストの一人だ。
 改めて聴いてみると、相変わらず苦しそうに歌う、絞り出しスタイル。私が好きなジョージ・ハリスンやトム・ペティのスタイルと共通していると、改めてトム・オデールの良さを認識した。

Midas Man2025/10/12 10:23

 映画「ブライアン・エプスタイン 世界最高のバンドを育てた男」を見た。原題は “Midas Man” マイダスとはギリシャ神話に登場するミダス王のことで、触れるものが黄金に変わるという男だ。触れたバンドが黄金ビートルズになったという意味だろう。



 どこが見どころかと言えば、もちろんどの程度ビートルズを再現できているかである。ブライアンについてはだいたい知っている話ばかりだったので、それほど興味があるわけではない。
 結論として、どの程度ビートルズに寄せられていたかというと…65点といったところだろうか。ジョンは顔も喋り方も似ているけど、背が低いのと、やや鋭さが削がれてむしろジュリアンに似ていた。ポールは顔の上半分はそっくり!下半分は似ていない。ジョージは、眉を足した(だろう)ことは良いが、それ以外はあの輝くような美少年ぶりは不発。リンゴにいたっては全く似ていなかった。
 演奏する姿はまぁまぁ。選択する楽器も違和感がなかったし、四人の仲の良さがよく出ていた。
 ブライアンは俳優ありきで、べつに似せるつもりもなかったらしい。それはエド・サリバンもしかり。ジョージ・マーティンは姿こそかなり似ていたが、喋り方がまったく似ていないので、中途半端な仕上がり。ビートルズ・ファンは、マーティンの喋り方も熟知しているのだ。

 この映画の苦労のしどころは、ビートルズを描くのにビートルズのオリジナル楽曲を、一切使えないところだ。初期はカバー曲だけでなんとか乗り切れるのかもしれないが、”Please Please Me” “I Want to Hold Your Hand” が大ヒットする重要な場面で、使えないという足かせはいかんともしがたい。その後はだいたいビートルズっぽい雰囲気だけで話が流れていき、この話は別にビートルズのマネージャーじゃなくても良いのでは?ということになった。

 要はビートルズという世界最高のバンドを世に送り出した、大成功者であったブライアンだが、薬物という悪癖と、当時はさらに生きづらかった同性愛者だったことの苦悩を描く映画だった。60年代は魔法の時代であり、音楽文化が黄金期を迎え、色とりどりの花で彩られ、様々な奇跡が起きたが、人間にとってそのスピードはついていけないものであり、その負の側面である薬物によって、多くの人は若くして命を落としいった。ビートルズという象徴的な太陽の影にそんな物語がある。

 そのほかに印象的だったのは、シラ・ブラックがけっこう良くフューチャーされていたこと。キャバーンのクローク係だったところから登場している。ブライアンのことを全ては理解していないが、優しく友愛に満ち、支えになろうとする姿が良かった。
 もう一つ良かったのは、ブライアンのアシスタントだった、アリステア・テイラーがしっかり出てきたところ。テイラーは、私が初めてビートルズにはまった小学生の時、ビートルズの情報を得るべくまず図書館でかりた本の著者だった。ビートルズの良き理解者で、欠くべからざる人のはずだが、その後のビートルズを取り巻く環境の変化で彼は歴史から弾き出されてしまった。そのことが私個人として悔しかったのだが、今回は日の目を見た。

 そしてこの映画で一番良かったところは、ジェリー&ザ・ペースメイカーズの “ You'll Never Walk Alone” が流れるところ。これぞ Liverpool !という感じで、すべてを持っていってしまった感じ。良かったなぁ。

Cheap Trick in Budokan2025/10/04 20:57

 三日前の水曜日に、日本武道館でチープ・トリックのライブを見た。
 三日も経ってから言うなと、ファンからは怒られそうだ。詳しくは知らないのだが、どうやらフェアウェル・ツアーだったらしい。

 そもそも、私はチープ・トリックのファンというわけではない。親しい友人たちにファンの一団がいて、彼らと過ごしたときにチープ・トリックのビデオを一緒にみたこと、そのついでにベスト盤を一枚購入したこと。私がチープ・トリックについて知っているのはその範囲である。
 それがどうして、大事な大事な武道館公演などに行くことになったのかというと、例のファンの一団が盛り上がっており、「誰かぴあの会員になっていないか」、「席を取ってくれ」、「私会員だよ、取ろうか?」…という流れでなんとなく私も行くことに。
 しかも私にしては珍しく、武道館のアリーナを引き当てた。一番後ろの方で決して視界は良くなかったが、まぁアリーナが取れたというそれなりの興奮がある。

 コンサートが始まってみると、ちょっと困ったのは全然曲を知らないことだった。こんなに知らないんだ…とびっくりしてしまった。しかしファンである友人たちにとっては「おなじみの」ナンバーだったらしい。
 私の知っている曲が増えたのは後半からアンコールまでで、これなら私も一緒に歌えると楽しく過ごした。

 日本は世界でも有数のチープ・トリック好きの国だそうだ。そもそも、ヒットのきっかけも日本での人気とのこと。その割には観客は大人しいなぁと、バンドメンバーは思わなかったっだろうか。コール&レスポンスなんて、もっと凄くて良いのにと、客席に居ながら思う。アメリカで体験したものすごい歓声や合唱(うるさすぎて騒音である場合もある)を懐かしく思う。

 たぶん、バンドのオリジナル・メンバーの平均年齢も70歳を超えているだろう。それでもパワフルで、たった四人の音であれだけの迫力を出すのだから、偉いものだと、感心しきりだった。