There are places I remember2017/10/14 20:00

There are places I remember
All my life though some have changed
想い出の場所がある 人生の中で変わってしまったものもあるけれど
( In My Life: The Beatles )


 母校の音大には、邦楽演奏用の和室があった。畳に座り込み、仲間や先生ともども、お茶を飲んだり、お菓子を食べたりしてくつろいでいた。
 私は好きになったばかりの、トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズのことを、しゃべり倒していた。すると、同級生の一人が言った。

 「俺、テレビでトム・ペティのビデオ見て、ぜってーこいつ、人形か何かだと思ったわ。すっげーでっかい帽子かぶってる、あやつり人形みたいでさ。」

 学生時代、人からトムさんの話を聞いた、ほぼ唯一の機会だった。

 今はドイツに住んでいる彼に、そんなことを想い出したとメールしたら、返事がきた。無論、トム・ペティのニュースは知っている。

「もちろん、NIぶちの事を思い出していました。月並みな言葉だけど、音楽の中では生き続けるのだね。間違いなく後世に残るものを作ったと思うし。」

 ありがとう、Mくん。その通りだよ。



 2006年、私はちょっとレイザーライトが好きだった。コメディ,The Mighty Boosh がきっかけて知ったバンドだが、クールな若いUKバンドだった。
 単独来日公演が渋谷クアトロであり、私はひとりノコノコ出かけていった。ライブの開始を待つ間、何か音楽がかかっているのはいつものことだ。
 やがて、客席のライトが落ちて、真っ暗になった。さぁ、ライブが始まる。そのとき、真っ暗な会場に、大音響で聞き慣れたイントロが流れた。

American Girl .... !!

 トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズのオリジナル録音が流れたのだ。私は声を出さずに絶叫していた。
 最初から最後まで、暗闇で、大音響で、フルで流れた "American Girl" 。これが何を意味するのか、クアトロに集った観衆のうち、どれだけの人に分かったのだろうか。
 レイザーライトが憧れ、目指しているにはほかでもない、TP&HBであり、"American Girl" なのだ。その後のライブのことは、あまり良く覚えていない。"American Girl" が強烈すぎた。

 レイザーライトはその後どうなったのか知らなかったので確認してみると、当時のメンバーはリーダーのジョニー・ボレルしか残っておらず、彼のバンドとして続いていた。
 今年9月10日に行われたデイヴ・スチュワートのライブに、ジョニー・ボレルがゲスト出演し、"Don't Come Around Here No More" を演奏した。TP&HB自身のパフォーマンスに似て、イカしている。
 そして一番のツッコミどころは、スチュワートのギターだろう。デューセンバーグのマイク・キャンベル・モデルだ。



 トム・ペティのことをどう記事にすれば良いのか、今はまだ分かっていない。何となく、想い出を重ねて、私にとってのトム・ペティへの思いが形になっている。

Bidin' My Time2017/10/10 22:17

  何事にも時があり 天の下の出来事にはすべて定められた時がある。(コヘレトの言葉 3:1)

 トム・ペティが亡くなって1週間。彼のほか、何か聴く気が起きなかったのだが、クリス・ヒルマンの新譜 [Bidin' My Time] が届いた。Produced by Tom Petty ―
 何事にも時があり、いま、このアルバムを聴く時がきたのだろう。アメリカでの発売は先月のことだったが、私のもとに届いたのがトムさんの死後だったことも、何かの巡り合わせだ。



 トムさんを失った悲しみの時に、このアルバムはそっと寄り添ってくれる。心が沸き立つわけでもないし、何か新しい興奮が起きるわけでもない。よく知っている人と、気持ちを共有するようなサウンド。
 ある意味、クリス・ヒルマンには気の毒だった。彼の立派なソロ・アルバムにもかかわらず、トム・ペティによる、ザ・バーズ・トリビュート作品にしか聞こえない。今は、そういう時期なのだろう。

 ザ・バーズの曲の中では、ジーン・クラークの "She Don't Care About Time" が一番良かった。もともと、あのぎこちないようなギター・ソロが好きだった。さすがにこちらは、こなれて端正だが、この曲の持っている、ちょっとひねくれたようで、本当は素直なロックンロールが格好良い。
 そして前にも記事にしたが、"Here She Comes Again" の破壊力すごい。ロジャー・マッグインと、トム・ペティがエレクトリック・ギターを弾いている上に、ベンモント・テンチとスティーヴ・フェローニである。最高のロックにならない方がどうかしている。押しつけてでも人に聞かせたい。

 トム・ペティの "Wildflowers" は原曲の良さを再確認させる録音だった。ちょっと言葉が見当たらない。
 "Given All Can See" のハーモニカが、トムさんの呼吸かと思うと、ひどく切なかった。

 今は、感性や、考える力が鈍っている時。そういう時に聞くのも良いし、数年してまた改めて聞いてみたいアルバムでもある。

 スリーブの写真には、「ジョージっぽいグレッチ」を弾くトム・ペティの姿がある。そして、クリス・ヒルマンの言葉が添えられていた。

 トム、あなたはインスピレーションの源であり、本当の友達だ。
 あなたの優しさと、寛容さにどれほど救われたか。あなたの助けと、導きがなければ、決してこのアルバムを作りあげることは出来なかった。ありがとう。

 良き言葉は蜜のしたたり その甘さは魂を癒やす(箴言 16:22)


(注:アルバムのジャケット裏に印字されているのは、"Good words are a honeycomb, And their sweetness is a healing of the soul. Preverbs 16:22"
 私が持っている聖書では、おそらく第22節ではなく、第24節にあたり、英語では "Gracious words are a honeycomb, sweet to the soul and healing to the bones" のようだ。)

6th Avenue Heartache2017/09/28 20:24

 9月16日に記事にしたザ・ヘッド・アンド・ザ・ハートが思いの外良くて、何度もリピートしている。特に3枚目のアルバム [Signs of Light] が良い。
 そんなつながりで、同様のテイストのアルバムを聴いているうちに、ザ・ウォールフラワーズの [Bringing Down the Horse] に回って来た。

 名作 [Bringing Down the Horse] が発売されて、もう20年以上経つ。
 2曲目の "6th Avenue Heartache" を聴いて、思わずため息が出た。あの冒頭の、マイク・キャンベル ― まるで、ジョージ・ハリスンが憑依したようなあのスライドギター、至高のサウンドと言うべきだろう。



 ジェイコブ・ディラン、さすがに若い。

 マイク・キャンベルはこの曲でリードギターを弾くに至った経緯について、2003年にSong Facts のインタビューに答えている。

 T-ボーン・バーネット( [Bringing Down the Horse] のプロデューサー)がある日電話してきて言ったんだ。「こういう曲があるんだけど、ギターを入れてくれるか?」
 ぼくは答えた。「今は、本当にスタジオに行って録音する時間が無いんだ。」そしたら彼は、「テープを送ったら、きみの家でオーバーダブしてもらえる?」と言うので、ぼくはOKした。
 それでバーネットがテープを送ってきて、そいつには、いくつかのリズムトラックに乗ったオープン・トラックが入っていた。ぼくはある日の午後、何時間かでギターを持ってきてつなぐと、幾つかのパートに、複数のオーバー・ダブをしていった。良さそうなのができたので、テープをバーネットに送り返した。ぼくは一度も(ウォールフラワーズの)連中には会わなかったよ。
 そうしたら、バーネットがぼくに電話をよこして言った。「やぁ、すごく良かったよ。」それで、あの曲がラジオで流れるようになった。

 この曲のあるギターのラインが、ほんとうに好きなんだ。すごくジョージ・ハリスンっぽいサウンドで。スタジオであのサウンドをモノにしたとき、すごく誇りに感じたよ。バーネットたちがあれを採用してくれたのが、とても嬉しかった。
 可笑しいのは、その後なんだ。ぼくはジョージに偶然会って ― ジョージっていうのは、本当に気まぐれで、シニカルな人なんだけど、ぼくを見て、クスクス笑いながらこう言ったんだ。「やぁ、あの曲をラジオで聞いたよ。今度は、ぼくっぽくやる事にしたの?」


 ジョージはどうして、あのギターがマイクと分かったのだろうか。ラジオでコメントがあったのか、例によって電話魔の彼のことだから人に訊いたのか。もっともジョージらしいとしたら、「マイクだと、分かってしまう」のかも知れない。
 ジョージを知る人たちには、それぞれに「俺のジョージ・エピソード」がある。それを語る彼らは幸せそうで、誇らしげだ。
 マイクにも、初めてジョージに会った時、両手で握手してもらったことが嬉しかったことをはじめ、色々な「俺のジョージ・エピソード」があり、この "6th Avenue Heartache" の話は、すごく素敵だと思う。
 クラプトンも言っていたが、ジョージのスライド・ギターは本当に独特で、彼の演奏だとすぐに分かる。そしてなかなか真似できる人が居ない。マイクはその数少ない、ジョージに限りなく近づく領域のギタリストだ。

 ウォールフラワーズのことだから、もしバーネットがジョージにテープを送っても録音してもらえたかも知れない。
 かなえられない夢を見るなら、ジョージとマイクのスライドギター共演を、夢に見たい。

Handle with Care / Stills & Collins2017/09/23 19:27

 クリス・ヒルマンの新譜 [Bidin' My Time] の発売日は9月22日なので、今日には届く物だと思って、ワクワクしていたのだが、一向に届かない。確認してみると、どうやら輸入の都合らしく、届くのは再来週以降だというのだ。
 ここはぐっと我慢。いちいち、ディスクとダウンロード両方で購入していたら、破産してライブ遠征ができなくなってしまう。

 一方、スティーヴン・スティルスとジュディ・コリンズの新譜 [Everybody Knows] もまた、22日が発売日だった。
 こちらは購入予定ではないが、さすがにトラヴェリング・ウィルベリーズの "Handle with Care" のカバーは気になる。ダウンロードで1曲買いした。



 音楽は決してパソコンのスピーカーで聴いてはいけない。高性能のスピーカーを備えている機種もあるだろうが、大抵はそうではない。きちんとした外付けスピーカーか、ヘッドホンで聴くべきだ。
 このスティルスとコリンズのカバーでは、重いベースラインがまず印象的なので、スピーカーの良さは必須。

 オリジナルの "Handle with Care" と言えば、アコギサウンドと、滑らかなスライドギター、そしてハーモニカがサウンドの特徴のフォーク・ロック調。一方、スティルスとコリンズのカバーでは、まず重いベースとドラム、そして熱いオルガンが鳴り響き、よりソウルフルな仕上がりになっている。
 このソウルフルでパワフルなアレンジも格好良い。
 それに乗るスティルスとコリンズの声だが、こちらはちょっとパワー不足。そもそもが男の友情の曲なので(歌詞がという意味ではなく、曲そのものの存在が)、コリンズの声は曲をリードする方ではなく、ロイ・オービソン・パートだけにフォーカスしても良かっただろう。
 もしくは、スティルスの [Love the One You with] のようにもっと大勢を揃えてきたら、このソウルフルなバージョンの良さが生きたに違いない。

 今回のカバーで改めて思ったのが、ジョージ独特の節回しの妙だった。ジョージはAメロのほとんどで、拍の頭を一瞬空けて、後ろへつんのめるように、言葉の頭を歌う。一方、スティルスとコリンズは、たびたび言葉の頭を拍にぶつけている ― オン・タクトなのだ。こちらの方が簡単だが、オリジナル独特の軽やかさと爽やかさが損なわれてしまう。
 ジョージのあの歌い方はもちろん、ディランの影響が強い。オリジナルはディランとジョージの、一瞬間を取る歌い方と、オン・タクトなロイ・オービソンの歌い方とのコントラストが、鮮やかに発揮されていたのだと、再認識させられた。

 ともあれ、スティルスとコリンズのカバーは、"Handle with Care" の新しい解釈として、とても面白い。そして原曲の良さがさらに分かる。
 友情というものを思うとき、いつもこの曲が思い浮かぶ。損得でもないし、何かを目指すわけでも無い。ただ、友人の事が好きだと思うとき、この曲がぴったりくるのだ。スティルとコリンズも、きっとそうだと思ったに違いない。

The Head and the Heart2017/09/16 20:40

 テレビでミュージック・ビデオを見て、少し気になっていたのだが、バンド名と曲名を記憶していなかったために、私の中で行方不明になっていたバンドが、インターネットのおかげでわかった。
 シアトル出身の6人組 ”インディ・フォーク・バンド”,The Head and the Heart ザ・ヘッド・アンド・ザ・ハート 。私が見たのは、彼らの3枚目にして、メジャー・レーベルとしては最初のアルバムである [Signs of Light] からのシングル、"All We Ever Knew" だった。



 聞き直すと、やはり良い曲だったので、iTunes store でアルバムを購入した。
 後悔した。
 これはダウンロードではなく、ディスクを買うべきバンドだった。そのようなわけで、デビュー作からアルバム3枚を、先ほど注文したところ。

 シンプルで美しいメロディに、アコースティックとエレクトリックの上手いブレンド、厚みのある豊かなコーラスなどが目一杯詰まっており、[Signs of Light] には、ほぼ捨て曲が無い。一曲だけ、"Oh My Dear" だけは素の作りすぎて退屈だったが、それ以外は粒ぞろいで、素晴らしいロック楽曲ばかりだ。
 フィドルを入れているところが、バンドの特徴になっているが、別にこのフィドルが、もの凄く上手いというわけでもないし、彼女のヴォーカルもさほどのものではない。しかし、そういう絶妙な加減での「親近感」が、ロックの良さには必要なのだ。

 こういう、最近の音楽らしくオーバープロデューシング気味ながらも、フォークロックの要素が強く、「強さ」よりも「弱さ」に対する共感や、押しつけではない「美しさ」への憧れ、近所の若者たちが、既に巨大音楽産業の中心ではなくなっているロックンロールへの、忠誠心を表すような音楽 ― そういうものに、どうしても心を奪われてしまう。
 ジェイホークスや、ウォールフラワーズ、ルビーホース、シスター・ヘイゼルなどが好きになる感覚に、絶妙にマッチしてくるのだ。彼らに共通することは、ビートルズや、トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズのファンであり、実際の関わりもあるところだ。
 要するにFab やTP&HBファンである私と好みが同じなのだから、彼らが作るの音楽を好きになって、当然だろう。
 アルバム [Signs of Light] のプロデューサーは、ジェイ・ジョイスという人物なのだが、この人はウォールフラワーズとルビーホースとも仕事をしているので、彼らの音楽に共通する肌触りを感じるのは頷ける。

 散々 [Signs of Light] をヘヴィ・ローテーションして、さっきやっと知ったのだが、このザ・ヘッド・アンド・ザ・ハートというバンド、TP&HBと縁の深いバンドだった。
 今年2月、トム・ペティがMusiCareを受賞したときのトリビュート・ライブに出演して、"You Got Lucky" を演奏していたのだ。
 何たる迂闊さ!ジェイコブ・ディランや、アイルトン・ウィルベリー、ジェフ・リンなどに目を奪われて、全く気づいていなかった。
 しかも、7月のハイドパークでもルミニアーズ,シェルターズと共に、名を連ねているではないか。
 偶然テレビでMVを見て、気になるには当たり前すぎるバンドだった。

 こうなると、MusiCare トリビュート・ライブの映像のソフト化を速く実現してほしい。
 ザ・ヘッド・アンド・ザ・ハートは、彼ら自身のライブでも "You Got Lucky" をレパートリーに入れており、そのオーディエンス・ショットで、いまは我慢して、彼らの最初の2枚のアルバムの到着を待っている。

Here She Comes Again2017/09/10 13:32

 トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズの公式 twitter が、Guitar World のツイートをリツイートし、クリス・ヒルマンの新譜紹介,新曲を聴こう!…と言う。ええ、もちろん行ってみましょう。

Chris Hillman Premieres "Here She Comes Again," Featuring Roger McGuinn

 ロジャー・マッグインにデイヴィッド・クロスビーが参加しているのも大事だが、ハートブレイカーズも関わっている、ヒルマンの新譜[Bidin' My Time] 。9月22日が発売日なのでまだ手元には届いていないが、まずは "Here She Comes Again" がフルで公開された。

 新譜のトレイラーにも使われていたこの曲だが、フルで聴くとさらにその素晴らしさに衝 撃を受ける。



 何て美しいギター・サウンド、何て温かなメロディとハーモニー。曲全体を包む光彩、1960年代の青春の息吹。満を持して迸るギター・ソロ。私の大好きなザ・バーズの良さが再現されている。
 私はデイヴィッド・クロスビーが居た頃までのバーズが好きで、カントリー色が強くなると、それほど魅力を感じない。ヒルマンの新曲 "Here She Comes Again" はまさに、「好きなバーズ」そのものだ。
 もちろん、サウンド的には60年代よりずっとゴージャスで、その点はTP&HBの影響でうまく頭の中ではブレンドされている。

 Guitar Worldの記事によると、"Here She Comes Again"は、70年代後半にヒルマンとマッグインが共同で作っていた。1978年のライブ音源も残っている。



 ヒルマンの新譜[Bidin' My Time] については、手元についてから記事にするつもりだったが、この曲をフルで聴いたら、いてもたってもいられなくなった。

 タイトルの "Here She Comes Again" と言えば、ザ・スタンズの同名曲のことも、記しておきたい。本当に素晴らしい曲だし、「バーズ愛」に溢れている。

Here She Comes Again / The Stands ― 2012/02/20

A Little Help from a Friend2017/08/29 20:54

 ザ・ビートルズの原曲は、"With A Little Help From My Friends"。でも、今回は "A Little Help from a Friend" なぜなら…



 F1ベルギー・グランプリは本当に良いレースだった。これぞF1、最後までハラハラさせつつも、F1の良さが詰まった決勝となった。

 さて、その "A Little Help from A Friend" というのは、予選での出来事である。
 最終計測時に、ポールポジションを狙っていたフェラーリのキミ・ライコネンは、ターン9でコースアウト。計測を諦め、予選4位に終わった。
 一方、週末のセッションを通じてライコネンに及ばなかったチームメイトのセバスチャン・ベッテルが、最後の計測で突然1分42秒台を叩き出し、予選2位に躍り出たのだ。ベッテルはライコネンの「トウ」を得ており、タイムがあがったのだ。

 フォーミュラカーの場合、他の車の直ぐ後ろを走ると、乱気流のためにスピードが出ない場合と、空気抵抗が弱まり、スピードが上がる場合がある。後者を「トウ tow」と言う。つまり、前の車に引っ張ってらうのだ。
 予選などでナンバーワン・ドライバーに良いタイムを出させるために、チームがセカンド・ドライバーにわざと高速ストレートで前を走らせ、トウを与えるというのが、普通の方式だ。ただし、引っぱり役になった方は、トウが終わったら道を譲るので、自分のタイムを犠牲にしなければならない。今回のベルギーでも、マクラーレン・ホンダが非常に分かり易く実行し、効果を得ていた。

 一方、フェラーリの二人の場合、ライコネンの方がこの週末は調子が良く、このサーキットも得意にしているので、ライコネンがベッテルを引っぱる筋合いはなかった。むしろ、日本の実況席で「ベッテルが、ライコネンを引っぱれば良いんじゃないですか?」「実質ナンバーワン・ドライバーが?!ないでしょー!」「ないですよね~」などと言われていたのだ。
 実はベッテルがライコネンからトウを得ていたということは、予選直後のインタビューにおけるベッテルの感謝のコメントで判明した。
 この出来事について、ライコネンは…

ベッテルを“トウ”で助けたのは僕自身の判断

 チームの指示ではないと強調している。どうやら、自分がチームやベッテルに良いように使われているように思われるのが、気にくわないらしい。チームプレイに徹した「美談」にされるのもご免のようだ。自分は何も犠牲にしていないし、これからも犠牲にするつもりはない。

 いやいやいやいや、ちょっと待て、キミ、ちょっと待て!自分の判断でやった?それって、もの凄いことだよ?!どこまでセブのことが好きなの?!

 無線を聴くと、さすがのキミも後ろにセブがいてトウができるとまでは、分からなかったらしい。ただ、チームからの無線で「後ろにセブがいる」とだけ伝えられると、「セブを助けられるか、やってみる」と答え、あとはバックミラーを見ながらの走行になったのだ。
 ネットにあがっている動画は主に第2セクターのカーブの連続で、ここでは乱気流で遅くならないように、セブとの距離を取っている。おそらく、やや速くなる第3セクターでセブがキミに接近して、トウを得たのだろう。そうでないと、突如出たあのタイムの説明がつかない。
 セブの無線はタイムが出た直後で、チームとキミに感謝している。セブはキミが引っぱってくれるとは知らされていなかったが、キミの気持ちは分かったらしい。要するに、チームからのちょっとした期待を含んだ無線と、キミのセブをトウで助けようという強い意志、それを理解したセブによって、今回の顛末となったのだ。

 キミ・ライコネン、格好良すぎ!
 無愛想、無表情、無口、滑舌悪い、F1に友達居ない、そもそも人間関係に興味がないなど、散々な言われようだが、相手がセバスチャン・ベッテルとなると、人が変わり過ぎ。私もセブが大好きだが、キミにはかなわないな…

 もっとも、ライコネンが格好良かったのは予選まで。決勝ではイエローフラッグがでかでかと出ているのに、思いっきり全開で、当然10秒ペナルティをくらい、まだゴチャゴチャ文句を言っている。

 フェラーリのツイートは、ベッテルがビートルズ・ファンであることを意識したもので、ナイス・アイディア。
  "With A Little Help From My Friends" の一番好きなバージョンは、[Nobody's Child: Romanian Angel Appeal] だ。初めて聴いたライブバージョンでもある。この曲が最後に来るところが、このアルバムの良いところ。
 こちらの動画では、ドラムにジム・ケルトナーも居る。まさに、友達一堂の助けと、リンゴ。

The Jayhawks2017/08/05 20:58

 本題の前に、お知恵を拝借。どなたか、お分かりの方はコメント欄に、一言おねがいしたい。
 今年に入ってから、何となくテレビをつけていて、目に付いたロック・バンド(だと思う)のミュージック・ビデオがあって、検索までしたのだが、そのときは「別にどうってことないか」と思って、それきり忘れていた曲がある。
 しかし、今になってまた気になって調べたいのだが、曲目もバンド名も完全に忘れている。
 曲自体は、おそらく2016年か、今年の曲。5人程度のイギリスか、アメリカのバンド。たぶん、一人だけ女性で、フィドル担当。フォークロックっぽいけど、ややヘヴィな音。普通に良い曲。ヒゲあり。帽子あり。古いお城か、カントリーハウスみたいなところで撮影、草花の美しいお庭もでてくる。バンドメンバー以外のお仲間みたいのが、ささやかなパーティをしている。女性はニット帽を被っていた…かも知れない。サウンド的には、UKっぽい…
 これだけのヒントでピンと来る方、よろしくお願いします。映像的には鮮明に覚えているのだが。ググろうとしても材料が少なすぎる。"fiddle" と入れてしまうと、どうしてもこの言葉の引きが強くて、うまく行かない。

 さて、本題。なぜフィドルが居るバンドの事を思い出したのかというと、ザ・ジェイホークスというバンドのことを考えていたからだ。
 散々働き、疲れ果てて短くもない帰途につくとき。歴史の本を読みながら、iPodをアルバム・シャッフルにして、たまたまジェイホークスが流れると、「ああ、当たりだな」と思う。
 熱狂的なファンというわけでもないし、わざわざ見に行くほどではないけれど、聴くと嬉しくなる、やっぱりロックって良いなと思わせるバンドだ。アルバムは6枚持っている。
 メンバーにフィドル奏者はいないが、レコーディングでは時々フィドルを効果的に使っている。

 ジェイホークスを知るきっかけはトム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズだ。日本のファンコミュニティのミーティングで、彼らのアルバム [Hollywood Town Hall] が紹介されたのだ。
 アルバムジャケットも印象的だし ― 多分に "CS&N" 的 ― 音楽的にも好みだった。当然TP&HBとのつながりも深い。例によってベンモントがセッション・マンとして参加しているし、プロデューサーは後にTP&HBのプロデュースも手がけた、ジョージ・ドラコウリアスだ。
 有名な話だが、冒頭の "Waiting for the sun" はTP&HBの "Mary Jane's Last Dance" のイントロとそっくり。正しくは逆で、ジェイホークスの方が先で、TP&HBが後だ。こういうのは、パクリだの何だのと言う下らない話ではなく、同じ価値観の音楽で、一部演奏者が被ろうものなら、同じような曲ができるということだ。



 はっきりとは確認できていないのだが、この曲でピアノを弾いているのは、ベンモントではないかと思う。
 このアルバムのセッション・マンとして、ニッキー・ホプキンズも記載されている。[Hollywod Town Hall] のリリースは1992年9月で、ニッキーが亡くなったのは2年後だ。

 ジェイホークスで一番好きな曲は、間違いなく "Blue"。1995年のアルバム [Tomorrow the Green Grass] のオープニングを飾る曲で、文句なしに名曲。ザ・ソーンズもカバーしている。
 公式ビデオもあるが、ややダサいので、ここではテレビ番組でのライブ演奏を貼り付けておく。名演。ツイン・ヴォーカルというのは本当に贅沢で、最高に格好良い。

Summertime Blues2017/07/22 22:39

 いつもお世話になっている Heartbreaker's Japan Party さんが呟くことには、トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズが "Summertime Blues" を演奏したことがあるとのこと。

 "Summertime Blues" って何だ?…から、私は始まる。

 確認すると、ああ、ザ・フーのあれか ― と思った。



 名演すぎて、すっかりザ・フーの曲かと思い込んでいたら、オリジナルはエディ・コクランというのだから、自分の無知無礼加減が知れる。



 このエディ・コクラン、21歳というのに驚いた。ものすごい貫禄がある。

 トムさんがコクランについて言及していることがあるだろうかと、"Conversations with Tom Petty" と "Petty The Biography" のインデックスを確認したのだが、コクランの名前はない。

 一方、女子ファン・センス溢れる "Tom Petty: Rock 'n' Roll Gurdian" だが、こちらにはインデックスがない。しかし、気の利いたことに、トムさんが自分のラジオ番組 "Buried Treagure" でかけた曲のアーチスト別一覧表があるのだ。
 その中に、エディ・コクランの曲も5曲あるのだが、"Summertime Blues" はない。ザ・フーも26曲かけているのだが、この曲はかけていないようだ。
 ただし、この本の出版年は2014年。ラジオの最終シーズンも、たしか2014年なので、このリストが完全版なのかどうかは不明。

 さて、肝心のTP&HBによる "Summertime Blues" の演奏だが、世界で最も信用のおけるハートブレイカーズ情報を持っている(事によると、本人たちよりも信用できる)、Heartbreaker's Japan Party さんは、記憶に無いと言っている。
 もっとも、マッドクラッチのライブ演奏では披露されたようだ。その映像がこちら。



 いつも思うのだが、マイクはどうしてこうも無闇に格好良いのだろうか。
 それにしても、マッドクラッチというのが惜しい。私は先月ハートブレイカーズを見て以来、マッドクラッチのまずさ ― 致命的に下手なドラム ― がぞっとするほど嫌になってしまっている。
 でも、ハートブレイカーズの3人が好きすぎて、まずい音を削除し、上手いところだけを、あたかも音大の和声聴音課題のように、抜き出して聴く技術を体得しつつある。結論として、彼らの "Summertime Blues" は格好良い。

57th 9th2017/06/16 08:02


 スティングのファン向け。ちなみに私は持っていない。