CFG: Fashion Check !2018/02/16 22:31

 何度でも言うが、私は [CFG] こと、「コンサート・フォー・ジョージ」が大好きだ。
 どのくらい好きかと言うと、[CFG] のポスターを1万円で買ったくらいだ。
 ビートルズグッズ専門店に問い合わせた当初は、無いとのことだった。その後、店から入手できたが、1万円でどうかというオファーが来たのだ。即購入。5万円でも買っただろう。

 さて、今日は [CFG] のファッション・チェック!

 まず女性陣から言えば、サム・ブラウンの圧勝だろう。大胆なドレスで、圧倒的な歌唱力。帽子も格好良いし、それを拾う仕草、小さい頃からよく知っているダニーの手を取る仕草、どれも姐さん、貫禄十分です。
 オリヴィアはこのコンサートのために、ドレスをあつらえたのだろう。雰囲気に合っていて、とても素敵だ。

 さて、男性陣。
 一番多いのは、スーツでびしっと決める面々。ジェフ・リン,ポール、そしてトム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズは細身のスーツで格好良い。マイクがちょっと怪しい感じだが、でも格好良い。
 アメリカのツアー中にロンドンに飛んでくれたハートブレイカーズ。そういえば、トムさんの脂肪吸引疑惑が囁かれたのはこの頃だったか。
 アメリカからびしっとスーツで、気合い十分で乗り込んできたハートブレイカーズ、その前に現れたのは…

 カジュアル勢。
 まず、クラプトン。…ユニクロ…?ユニクロ?そして覚えておかなければならないのは、クラプトンのソックスは、白いということ。どこで分かるのか?それは見てのお楽しみ。ヒント、前半。
 そしてダニー。インド風の上下でとても清楚で可愛い…すごくセンスのあるチョイス。哀れな感じなんて微塵も無くて、天使…?!というか、ジョージ…?彼の佇まいも、このコンサートを温かく、心地よいものにしている一つの要素だろう。
 そして、なぜかひとり南国気分の、ジョー・ブラウン。娘とは正反対の、アロハー!な、リラックス・スタイル。このアロハがコンサートのトリで、号泣させる。

 そして、どう分類すれば良いのか分からない、大ボス。それがリンゴ。
 追悼コンサートなのに、真っ赤なジャケットにハデハデ刺繍、カジュアルなボトムズ。リンゴだから合っているファッションなのだろう。
 若い頃からそうだが、リンゴは何を着ても様になる。

 さぁ、「コンサート・フォー・ジョージ」を買うのです…見るのです!ジョージ・ファンならずとも、ぜひ。

Multi-Format [Concert For George] Reissue2018/02/10 20:12

 2018年2月23日、[CFG] こと 「コンサート・フォー・ジョージ」のリイシュー版が、世界同時発売される。

 さぁ、いまこそ!名作 [CFG] を買うときです!

 今回のリイシューは、ジョージの生誕75年を記念してのもの。形態によって四つのバリエーションがある。これまでもBlu-ray化や、期間限定のフリー視聴などなど、様々なかたちでCFGは送り出されてきた。まるで "The Last Waltz" だ。それほどの価値のある、極上のコンサート、[CFG]。

 今回は初めてアナログ盤が出る。私はアナログ盤を集める趣味がないのでこれは遠慮する。さらにデラックス・ボックスは、コンサート当日に飾られたタペストリーの断片が入るという、マニア向けのシロモノだ。
 私は、CDとBRボックスを予約した。すでにDVDも、BRも、CDも持っているが、CFGはいくらあっても良い。買って人にプレゼントしたことも、一度や二度ではない。
 そもそも、トレイラーからして既に名作。



 クラプトン,ジェフ・リン,TP&HB, ポール,リンゴ,ビリー・プレストン,ゲイリー・ブルッカー,ジョー・ブラウン,サム・ブラウンなどステージの中心に立つミュージシャンたちのみならず、バンドを構成する大物ミュージシャン ― ジム・ケルトナー,レイ・クーパー,ジム・キャパルディ,ジュールズ・ホランド,マーク・マン,アルバート・リー,ジム・ホーン,そしてクラウス・フォアマン…その他大勢 ― 豪華すぎて舞台の床が抜けそうで、しかも若かりし頃のジョージとまったく同じ容姿(少し小さいだけ)のダニーがいる。
 ついでに、客席にいるスティーヴ・ウィンウッドとビル・ワイマンを捜すという、おまけつき。
 インド音楽のパートもかなり魅力的で、CFGのBRをウクレレの先生(ギタリスト)にプレゼントしたら、インドパートにはまっていた。
 忘れてはいけない、モンティ・パイソン!私はこれでパイソン・ファンになった。
 映像作品としては、コンサートの完全版はもちろんだが、劇場上映版のインタビューや、リハーサル風景なども必見だ。

 「でも、ジョージ本人はいないじゃん?」と言った友達がいた。
 私に騙されたと思って、とにかく見ろ!…と言ったら、次に会ったとき彼は「泣いちゃったよ…」と報告してきた。
 そう、ジョージの追悼コンサートでジョージ本人はいないのに、ジョージはまちがいなく「いる」のだ。絶対そう確信できる。
 何度見ても、ボロボロ泣ける。

 今回のリイシューを見たら、今までとはまた違う感慨だろう。当時52歳だったトムさんと、ハートブレイカーズが「若手」として活躍している。
 "Taxman" はこのコンサートで一番にロックな格好良さであり、"Handle with Care" はまさに夢の実現。そして、ここでは "I Need You" をあげておこう。CFGで演奏された中で、ジョージのもっとも初期の曲だ。
 いわゆる、「ギタリスト声」というそうだ。ああいう、ジョージやトムさんのようなやや薄くて、儚げで、でも説得力のある声。ビートルズでの録音時、ジョージは23歳くらいだったと思うが、52歳のトムさんが、あの若さ、若さ故の苦さ、胸がいっぱいになるような切なさを、完璧に再現している。
 ロイヤル・アルバート・ホールの天井 ― そしてその上の空を見上げ、歌を捧げるトム・ペティ。歌い終わり、ちょっとだけうつむくトム・ペティ。ああ、きっとジョージとトムさんは一緒に歌っていたのだろう。そして今もきっと、一緒に歌っている。



 ことが [CFG] となると、もはや落ち着いてなどおられず、片っ端から人をつかまえて、勧めたくなる。ジョージや出演者のファンでもなくても、勧めたくなる。音楽が好きなら、きっと何かを得るはず。 ― いや、音楽に特に興味のない友人に、「パイソン物」として貸したら、「あのコンサート、いいね」という感想が返ってきたことすらある。
 きっと、音楽を抜きにしても、人間が生きていること、友達がいるということ、友達への愛情を表現するということが、どれほど人の心を動かすのか ― そして、それをいきいきと、明るく、そして感動的に伝えきっているものこそ、[CFG] だからだろう。

 さぁ、いまこそ!「コンサート・フォー・ジョージ」を買うのです!見るのです!本当に、本当に素晴らしいから!

Day Tripper / I'm Looking Through You2018/02/06 19:13

 NHKの語学番組、「旅するドイツ語」。ウィーン編に続いて、ベルリン編も見ている。

 観光地,名所案内としては、やはりベルリンはウィーンに比べて分が悪い。その不足分を、ニクラス(クマ系)とベルナルド(ガリガリ系)という若い俳優コンビが、月に一回ベルリン以外の街をネイティブ・ドイツ語を話しながらめぐるというコーナーで、埋めている。このコンビ、無駄にイチャイチャするので面白い。
 アニメコーナーでルートヴィッヒくん(なぜかサムライ口調)と、ヴォルフガングくん(数字に弱い)が文法のまとめをするのは、ウィーン編と同じ。カラヤン氏は赤いスポーツカーをぶっ飛ばしている。月に一度、大喜利のようなことをするのだが、ゲストが凝っていて面白い。シャイすぎてほとんど喋れないブラームスに、オレ様すぎるヴァーグナー、そして金持ちすぎて話が合わないメンデルスゾーンなど。

 さて、この番組。ドイツ語のくせに、テーマ音楽がビートルズ。"Day Tripper" から始まる。最高なんだけど、突っ込まずにはいられない…。分かっている。ドイツ語でビートルズみたいな、素敵ロックはないのだ…
 エンディングもビートルズで、"I'm Looking Through You"





 "I'm Looking Through You" と言えば思い出すのが、ザ・ウォールフラワーズによるカバー。
 確か、これは映画のサウンドトラックとして収録されていたのだと思う。凄く良い曲だし、演奏も良い。
 しかし。しかしだ、ジェイコブ・ディラン!きみに期待するのは、そうじゃない。じゃぁ何だと言われると困るのだが ― "Taxman" かな? ― とにかく、どうしてポールの曲なんだろうって、思う。格好良いけどね。

When Prince Met Tom Petty2018/01/27 22:33

 「俺の二大スターは、デイヴィッド・ボウイと、プリンス」 ― と、いう同僚がいる。彼にとって、去年はショッキングなことが立て続けに起こったわけだ。
 プリンスが亡くなってから少しして、彼が私にふと話しかけてきた。

 「トム・ペティって……」

 ああ、あれを見たなと悟った。
 2004年、ジョージのロックンロール・ホール・オブ・フェイム授賞式。"While My Guitar Gently Weeps" ―
 プリンスのファンとしてこれを見て初めて、まともにトム・ペティを認識したというわけだ。



 何度見ても凄い。この曲に関して、クラプトンとジョージ以外のソロ奏者としては、プリンスが一番だろう。トムさんとジェフ・リン、プリンスがもの凄い存在感を発揮しているが、さらに贅沢なことに、スティーヴ・ウィンウッドとジム・キャパルディ,そして二人のハートブレイカーまで揃っている。特にウィンウッドのオルガンがふるっている。この曲はギターだけではなく、オルガンも非常に重要なサウンド・ファクターなだけに、最高の布陣だ。
 ダニーもこういう豪華な場には慣れているだろうが、プリンスのファンだけに、とりわけ楽しそう。プリンスのソロが始まろうとするときに、彼の顔を見て顔一杯に笑うダニー。そしてプリンスが観客席へ倒れ込むのを圧倒されたような顔で見て、おそらくジェフ・リンに向かって「あれ、見てよ!」という表情をしている。

 プリンスのギター・ソロもさることながら、私はこの演奏に関して、トム・ペティのヴォーカルも抜群だと思っている。これまた、ジョージっぽい憂いを帯びた、でも自信に溢れたヴォーカル。プリンスがソロを弾いている間にも、"Look at you all..." と歌っているのが最高にエレガントで、格好良い。

 例の同僚は、実は去年10月3日の早朝、私の次にオフィスに入ってきた人だった。思わず呼び止め、トム・ペティの悲しいニュース(この時点では情報が混乱していた)を話さずにはいられなかった。
 そして先日、その死因の公式発表があり、それがプリンスと同じであったことを話すと、「そう!俺も見ました!」との返事。
 「記事で読んだんですけど、トム・ペティが、プリンスが亡くなる数日前に電話しようと思ったって言うんですよね…」

 この話は初耳だったので、確認してみると、たしかにあった。トムさんがプリンスの死を受けて、Times紙に語っているのだ。

 When Prince Met Tom Petty for ‘While My Guitar Gently Weeps'

 "I almost told myself I was going to call him and just see how he was," he mused. "I’m starting to think you should just act on those things all the time."
 「ぼくは、彼(プリンス)に、元気か、って電話しようかなと思っていたんだ。」彼(ペティ)は思いにふけった。「それからは、やろうと思ったことは、すぐにやろうって考えるようになったよ。」



 賢者の言葉だ。

Figure Skating2018/01/10 20:10

 野球とF1がオフシーズンのため、いまはフィギュア・スケートを観戦する時期である。
 私はフィギュア・スケートが好きだ。純粋にスポーツとしても面白いし、そこに音楽やダンスなどの芸術的な要素がからみ、完璧に合致したときの爽快感がたまらない。もっとも、そんな完璧な演技というのは、そうめったに見られるものでもない。
 友人に「師匠」とでも言うべきフィギュア識者がおり、毎年、曲の選定の時点からああだこうだと語り合っている。

 今は男子シングルの技術面の凄まじい進化と、それに芸術性が追随できるか、このせめぎ合いが面白い。
 今シーズンの選曲で一番だと思うのが、アメリカ,ネイサン・チェンのショート・プログラム。初めて聴いたときは本当にびっくりした。それほど素晴らしい曲だった。
 ベンジャミン・クレメンタインの "Nemesis"。



 私は彼を知らなかったので、イントロを最初に聞いたとき、本気でニーナ・シモンだと思った。歌がはじまってからも、しばらくそうだと思っていたほどだ。
 ショートはジャンプの回数が少なく、尺も短いため、要素のバランスがうまくとれて名作ができやすい。ネイサンの今回のSPも非常に良くて、今シーズンのSPの中では一番好きかも知れない。彼がオリンピックで金を取れるかどうかは、アクセルの出来にかなり左右されるだろう。

 今シーズンの大本命ではないが、パトリック・チャンも良い選曲をしている。彼は数年前からかなり選曲が良くて、昨シーズンのビートルズ・メドレー,その前のショパン・メドレーも素晴らしかった。4回転を何種類も跳べる人ではないが、センスの良い選曲に、振り付けとジャンプが、がっちりとはまったときの完成度は凄い。
 今シーズンのSPは、カンザスの "Dust in the Wind"。これは完全にイントロで「勝ち」の選曲だろう。



 クラシック勢の白眉は、宇野昌磨の「トゥーランドット」 "Nessun dorma"。最初の一声ですぐに「カレーラス!」と分かる。



 オリンピックに出るかどうかは分からないが、ロシア,ミハエル・コリヤダの SP モーツァルトも、ちょっと面白い ― いや、彼の場合は一発の4回転ルッツが凄い。もちろん、成功した場合だが、あまりにも凄かったので、あれだけでもいいから見たいくらいだ。せっかくなので、FPのエルヴィス・メドレーも見たい。

The Lumineers / Walls2017/12/29 21:59

 トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズのフォロワーで、縁のある若手バンドを聴く企画(そういうことにした)。ザ・ヘッド&ザ・ハート,ザ・シェルターズと来て、最後のバンド、ザ・ルミニアーズを聴いた。
 発表されているアルバムは、二つ。[The Lumineers] と、[Cleopatra]。



 若手バンドとは言っても、結成されたのは2005年と Wikipedia にはある。意外と古い。
 とは言え、最初のアルバムが2012年。2枚目は2016年だそうだ。

 何度も繰り返し聴いたところ…ちょっと物足りないかも知れない。私の好みとしては、もう少しロックバンドサウンド的な要素が濃く欲しかった。アーシー,フォーキー過ぎて、やや大人しい。バンドの人数も少ないし、この路線で頑張っている…という感じ。
 もっとドラムとベースを利かせたロックなサウンドになると、かなり好きだと思う。ザ・ヘッド&ザ・ハートに近いが、彼らほど「作り込み」が深くはない。そこが良い所でもありそうだ。
 それから、もう一つ思ったのが ― どこかで聴いたことがありそうな曲が多くて、それがアップル製品のおしゃれな CM なんじゃないかということ。なんだかそういう感じ。

 TP&HBのオープニング・アクトをつとめたり、トリビュート・ライブに出演したり。もちろん、ハイド・パークにも出ている。そこで、ザ・ルムニアーズによるTP&HBのカバー,"Walls"。



 これを見たら、本家の方も見たくなった。
 1997年。これは悶絶モノ。美しくて、渋いトムさん。演奏後の、「ジャーマン・シェパードだからドイツ語を話す」というよく分からないジョークと、エルヴィスに会った時の話も含めて。格好良すぎて、ルミニアーズが吹っ飛んだ。

 

The Shelters2017/12/25 20:23

 トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズと縁のあるアーチストでありながら、すっかりそのことを知らずに聞き始めたのが、ザ・ヘッド&ザ・ハート。とても良かったので、同じく、TP&HBに縁のあるバンドを聞くことにした。
 そのような訳で、ザ・シェルターズを購入。デビュー・アルバムは、2016年 [The Shelters]。



 私はこのバンドをアメリカのバンドだとばかり思っていたが、UKバンドだったのか ― と思った。ほんとうに、これはUKロックの音に違いないと。
 実際は、もちろんザ・シェルターズはアメリカ,LAのバンドである。
 ザ・ヘッド&ザ・ハート風のアーシーな響きを想像していたのだが、実際のシェルターズは、ソリッドでエッジの利いたパンキッシュなサウンド。そしてビートルズ、キンクス、ザ・フーなどを彷彿とさせる、ワクワク感。ELOのような精緻さもある。さらに、時としてカラフルでサイケデリック。
 リバーブを抑え、エレクトリック・ギターの弦に触れるその瞬間すら聞こえそうな、素晴らしい音。プロデューサーのトム・ペティ,ライアン・ウリヤーテらの手腕が存分に発揮されているのではないだろうか。
 短くて、習作揃いの良いアルバムで、何度もリピートしたくなる。

 動画はまず、今年のハイド・パークから。



 お次は、スタジオにて。ちょっと音のバランスに難があるけど、格好良い。ハイド・パークといい、これといい、ギターのチョイスがイカしている。



 トム・ペティのMusicare Award トリビュート・ライブにも出演しているし、トムさんが亡くなってから、マッドクラッチの "Scare Easy" を、これまた縁のあるタルサのチャーチ・スタジオで演奏している。
 しかし、ここでは去年のペティ・フェストでの、楽しそうに "Listen to Her Heart" を演奏する様子を。しっとりも悪くないが、こういうロックンロールな弾け方が良い。

On Air a BBC recording2017/12/05 21:23

 ザ・ローリング・ストーンズの [On Air a BBC recording] が届いたので、繰り返し聞いている。
 1963年から1965年まで、もちろんブライアン・ジョーンズのいた頃の、今思えば本当に「駆け出しの」ストーンズだ。
 ジャケットの左隅に、ロゴと official の文字がある。ブートが幾らでも出ているのだろう。



 トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズが突然、思わぬ早さで終わってしまい ― あれだけ成功し、バンドを維持したアーチストとしては十分な長さなのだが ― 思っていたよりは早かった ― ファン仲間と、あれこれと話していたときのことだ。青少年時代に始めたバンドを成功させ、長く維持することの難しさが話題になり、必然的に、ストーンズはなぜ今でも継続し、現役なのだろうかという話になった。

 ある人が、「悪運」と言った。

 なるほど、これはなかなか示唆に富んだ指摘だと思った。
 私など浅薄なもので、「ロックンロールを愛する純粋な気持ち」で50年以上現役と思っていたが、さすがにそういう訳にはいくまい。

 「悪運」を辞書で引くと、「①運が悪いこと。 ②悪事をしても悪い報いを受けずに栄える運命」とある。
 ストーンズは後者だろう。
 もちろん、ストーンズは悪事など働いていない(いや、そんなことないか…)。しかし、バンドが終わりになってしまう危機や、大事件、とんでもない出来事はいくらでもあったはずだ。それでも、それがバンドの終焉にはつながらなかったという、凄まじい紙一重の道のりだったはずだ。

 今回の [On Air] を聴くと、ストーンズは大変貌を遂げたバンドなのだと実感した。ブライアンのハープが炸裂する、むっちりとしたブルースの味付けと、チャック・ベリーに代表されるロックンロール。英国少年のとんがった清らかさがぶつかり合う、素朴な音楽。ブライアンは、ある程度 、幸せだったのではないだろうか。
 ストーンズがこういう音楽を奏でていたのは、いまから思うと、ほんの短い期間だった。
 1967年頃にはすっかりカラフルで、大仕掛けで、うまくプロデュースしている ― 即ちいま私が知っているストーンズへと、変貌していく。彼らのルーツをそのまま純粋に抱いていただけでは、すぐに行き詰まってしまっただろう。実際、ブライアンには居場所がなくなり、生きることも叶わなかった。
 ある意味、ルーツとなった音楽だけを演奏していくという点については「忠誠心」が薄く、極めて野心的で、挑戦的だ。もの凄い向上心と、欲があり、自らの悪運を自覚しているからこそ、ストーンズは何があってもストーンズとして、自信満々に、続いてきたのだろう。

 まだ初々しいストーンズの演奏が並ぶ中、さすがに "(I Can't Get No) Satisfaction" は異色だった。これこそ、ストーンズがその後何十年と続いていくことの予言だった。ブルースと、ロックンロールへの忠誠心だけではなく、自立心と野心が現れている。他とは、明かに異なる音楽だ。
 私はストーンズの「悪運」と、「自立心」に感謝している。この時代から後、格段に強力なロックバンドへと成長し、まだ続いている。ロック・ファンとして幸運なことだ。

A Whiter Shade of Pale (Guitar cover)2017/11/29 20:22

 長かった、今年のF1の全レースが終了した。みなさん、お疲れ様。ルイス・ハミルトン、4回目のワールド・チャンピオン、おめでとう。まさに堂々たる、勝者中の勝者だった。
 フェラーリの二人と、チームもお疲れ様。今年ほど彼らの走りに一喜一憂した年はなかった。悪夢のアジア・シリーズでは、私の身辺でほかにも色々あって、心が揺れ続けた。
 思えば、全く歯が立たなかった去年までと比べて、セバスチャン・ベッテルのチャンピオン獲得に期待を抱かせたのは、格段の違いだった。
 川井さんは最後に、「ライコネンはドライバーズ・ポイントでリカルドに勝てて良かった。速い車に乗っているのだから、そうじゃなきゃ恥ずかしい」と言っていた。確かにその通り。だが、同時にキミはセブにかなりポイントを譲っていることを忘れてはいけない。もし、キミが何度もセブをサポートする方に回らなければ、最終戦より前に、リカルドに対して勝ちを決めていただろう。もっとも、私はリカルドのファンでもある。

 F1の話題になると良く私が引っ張り出すのが、1993年の総集編オープニングである。
 この年で引退したアラン・プロストと、翌年に亡くなったアイルトン・セナのモノローグのような作品で、とても感動的だ。
 曲は言うまでもなく、"A Whiter Shade of Pale"。



 もう24年も前の映像で、何度見たか分からないほど好きなオープニングだ。
 しかし、私は最近、急にふと思った。

 この曲、一体、何なんだ?

 もちろん、オリジナルがプロコル・ハルムの "A Whiter Shade of Pale" であることは、最初から分かっている。
 私はこのオープニングに使われたカバー・バージョンを、フジテレビが適当に録音した、どこかのセッション・ミュージシャンによる、適当な演奏だと思っていた。
 もしかして、それなりに名のある人の演奏ではないのか…?と、最近になって、急に気になり始めた。

 最初に予想したのが、ゲイリー・ムーア。でも、これはハズレ。

 色々ググった結果分かったのが、こちら。この演奏の3分40秒から、最後までの一部を編集して、オープニングに使ったのだ。



 マーク・ボニラという人は、キース・エマーソンのバンドで、ギタリストをしていたそうだ。

 キース・エマーソン?!キース・エマーソンか!キース・エマーソンなのか!!

 どうやら、エマーソンがこの曲をライブでカバーしており、その時のギタリストが、ソロとして録音するにいたったらしい。
 キース・エマーソンのことなんて、殆ど知らないものだから、驚いてしまった。なんだか、勉強になった。

There are places I remember2017/10/14 20:00

There are places I remember
All my life though some have changed
想い出の場所がある 人生の中で変わってしまったものもあるけれど
( In My Life: The Beatles )


 母校の音大には、邦楽演奏用の和室があった。畳に座り込み、仲間や先生ともども、お茶を飲んだり、お菓子を食べたりしてくつろいでいた。
 私は好きになったばかりの、トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズのことを、しゃべり倒していた。すると、同級生の一人が言った。

 「俺、テレビでトム・ペティのビデオ見て、ぜってーこいつ、人形か何かだと思ったわ。すっげーでっかい帽子かぶってる、あやつり人形みたいでさ。」

 学生時代、人からトムさんの話を聞いた、ほぼ唯一の機会だった。

 今はドイツに住んでいる彼に、そんなことを想い出したとメールしたら、返事がきた。無論、トム・ペティのニュースは知っている。

「もちろん、NIぶちの事を思い出していました。月並みな言葉だけど、音楽の中では生き続けるのだね。間違いなく後世に残るものを作ったと思うし。」

 ありがとう、Mくん。その通りだよ。



 2006年、私はちょっとレイザーライトが好きだった。コメディ,The Mighty Boosh がきっかけて知ったバンドだが、クールな若いUKバンドだった。
 単独来日公演が渋谷クアトロであり、私はひとりノコノコ出かけていった。ライブの開始を待つ間、何か音楽がかかっているのはいつものことだ。
 やがて、客席のライトが落ちて、真っ暗になった。さぁ、ライブが始まる。そのとき、真っ暗な会場に、大音響で聞き慣れたイントロが流れた。

American Girl .... !!

 トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズのオリジナル録音が流れたのだ。私は声を出さずに絶叫していた。
 最初から最後まで、暗闇で、大音響で、フルで流れた "American Girl" 。これが何を意味するのか、クアトロに集った観衆のうち、どれだけの人に分かったのだろうか。
 レイザーライトが憧れ、目指しているにはほかでもない、TP&HBであり、"American Girl" なのだ。その後のライブのことは、あまり良く覚えていない。"American Girl" が強烈すぎた。

 レイザーライトはその後どうなったのか知らなかったので確認してみると、当時のメンバーはリーダーのジョニー・ボレルしか残っておらず、彼のバンドとして続いていた。
 今年9月10日に行われたデイヴ・スチュワートのライブに、ジョニー・ボレルがゲスト出演し、"Don't Come Around Here No More" を演奏した。TP&HB自身のパフォーマンスに似て、イカしている。
 そして一番のツッコミどころは、スチュワートのギターだろう。デューセンバーグのマイク・キャンベル・モデルだ。



 トム・ペティのことをどう記事にすれば良いのか、今はまだ分かっていない。何となく、想い出を重ねて、私にとってのトム・ペティへの思いが形になっている。