Backing Vocal by Mick Jagger2024/03/13 20:37

 ピーター・ウルフのソロ曲で、"Nothing but the Wheel" というものがあり、それが素晴らしく名曲だと思った。そして、バッキング・ヴォーカルにいる人が、ちっともバックになっていなくて、それはそれで良いと思う。



 もちろん、ミック・ジャガーである。ハーモニカも吹いている。この曲、フォーク・ロック色が強くて私の好みに合致するのだ。そしてディラン様のお気に入り曲でもある。作曲は、ジョン・スコット・シェリルというナッシュヴィルのソングライターだそうだ。

 ピーター・ウルフというか、J・ガイルス・バンドというか。決して私と相性が悪いわけではなさそうに思えるが、今のところ特にハマってはいない。JGBのライブを最初に聴いたのだが、何かがズレていた。あの熱過ぎる感じがイマイチなのだろうか。考えてみればビートルズやトム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズにはスマートさ、クールさ、そしてちょっとだけ華奢な感じががあって、そこにぐっとくるのだ。

 ちっともバックになっていないミックのバック・ヴォーカルといえば、ロニーの最初のソロ・アルバムでの "I Can Feel the Fire" である。ロニーは典型的なギタリスト声の人で、けっしてヴォーカルがうまいわけではないので、そりゃあミックに圧倒されて当たり前だ。



 「俺と仲間」という邦題で有名な [I've Got My Own Album to Do] というこのアルバムは、録音が1973年から74年頃で、フェイセズ末期の頃。翌年にはロニーはストーンズに加入するので、その辺りで人の行き来があったし、ミック、キース、ロッドが揃って参加している。そんな素敵な70年代の雰囲気を湛えている。
 仲間の何人かはもうこの世を去ったりして寂しいが、生きている人は生きている人で、友情の素晴らしさを精一杯楽しみ、味わって欲しいと思う。

Steve Ferrone of Tom Petty & the Heartbreakers - Full Interview2024/02/23 20:51

 Secret Chord というYouTube チャンネルに、スティーヴ・フェローニの長いインタビューがアップされている。
 中々興味深い内容だ。字幕も出せる。たぶん、Heartbeaker's Japan Party さんがメルマガで日本語訳を出してくれる…と思う。



 スティーヴはイングランド南部海辺の保養地としても有名なブライトンの出身。12歳の時、町にやってきたバンドのドラマーを見て、その手さばきを見よう見まねし始めたのが、ドラマーとしての出発点だったとのこと。
 エリック・クラプトンのバンドで活動していたときの話も興味深かった。エリックには、ロンドンのハーロドック・カフェでフィル・コリンズを介して出会ったとのこと。クラプトンは飲んだくれているか、しらふでいるか、とにかく行ったり来たりだったとか。でもスティーブもかなり飲んだくれていたのでそれなりの時代だったらしい。
 トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズがスタンと上手くいかなくなってドラマーを探しているときに、スタジオに呼ばれたスティーヴ。マイクとジョージのバックバンドで一緒になった以外は、トムのこともよく分からず、心ぼそかったところ、スタジオのガラスの向こうで、録音を聴いたトムさんとマイクが顔を見合わせるのを見て、「なに?!なに?!なんなの?!」とドギマギしてたら、トムさんがひとこと。「心配するな。あんたで決まり。」
 スタンのことはまだ未解決の時期だったが、スティーヴの希望としてはハートブレイカーズの一員になりたかった。結局、その通りになったというわけ。

 最近も時々エリックに会うけど、そのたびに彼は「また一緒にやろうよ」というけど何も起きない。
 ハートブレイカーズのスタンや、ストーンズのチャーリーのように、バンドにとってオリジナルのドラマーがいて、その後に座ることについて。オリジナルドラマーをコピーすることは出来ない。彼らの演奏は彼らの演奏。そして後釜の演奏は後釜自身の演奏。それは知った上で割り切るしかないとのこと。示唆に富んでいる。

 終始笑顔でにこやかなスティーヴ。また日本にも来て欲しい。

(Get Your Kicks On) Route 662024/02/16 20:15

 元同僚の友人が、仕事でオクラホマに行っている。
 オクラホマ!その響きだけで気分が上がる。出張先の最寄り都市はタルサで、そこから通うのだそうだ。カウボーイ・ブーツ買わなきゃ!

 オクラホマ州。アメリカ中南部、州都はオクラホマ・シティ。ナット・キング・コールによるジャズの名曲 "(Get Your Kicks On) Route 66" には、"And Oklahoma city is might pretty" と登場する。



 もちろん、私がこの曲を知っているのは、オリジナルのジャズではなく、ロックンロール・バージョンである。
 最初にこの曲をロックンロールにした最大の功労者は、チャック・ベリーである。まさにロックンロールの父、神。



 さらに、ザ・ローリング・ストーンズや、ゼムがカバーして大爆発させた。どちらも素晴らしいが、ここはゼムのバージョンを聴いてみたい。



 まぁ、そうはいってもやはり最高なのはトム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズである。私が最初に聴いたのは [Pack up the plantation: Live!] の演奏だと思う。
 そしてここに貼り付けるのは、デビューして間もないころの、ロックプラストでの演奏。注目するべきは、トムさんとマイクが揃ってフライング V を弾いているところだ。リッケンバッカー二本もやらかし感があるが、ダブル・フライング V はもっとやらかしている。たぶんバンドのロゴの関係で、デビュー当初はフライング V を前面に押し出す必要があったのだろう。
 そもそも、この二本のフライング V、トムさんとマイクの所有物なのだろうか。この二人のギターは時として所有者がよくわからない。共有というか、互いのギターは互いの物という感じ。一本はともかく、もう一本は現地での借り物かも知れない。

ルイスがフェラーリにやってくる ヤァ!ヤァ!ヤァ!2024/02/05 19:53

 2025年から、ルイス・ハミルトンがフェラーリに移籍すると発表した。

 「フェラぁ~リ?!」
 声が裏返ってしまった。

 いやいや、待て待て。確かに一昨年来、ルイスがメルセデスに不満を持っているということは分かっていた。だがしかし。フェラーリだけは!フェラーリだけは無いと思っていた。アロンソやキミ(出戻り含む)、セバスチャンはアリだったが、ルイスだけは無いと。
 アロンソやセバスチャンだってチャンピオンシップで善戦した年もあったから、フェラーリにだってそれなりの戦闘力は期待できるだろう。ルイスが加入して、化学反応が起きて、びっくりな展開になったら…?!面白いだろうな。いや今年のうちに、勢力図が変わっても構わないのだが。私は今のチャンピオン以外が勝ってくれればそれ良いのだ。(6月にオランダに行く予定なのだが、これで良いのだろうか)

 フェラーリの動画を探したら、トム・オデール の "Time to rise again" のイケてる動画があった。



 それにしても、ルイスがメルセデス・エンジンから離れる日が来るとは思わなかった。彼はマクラーレンでデビューしてから、2チームにしか所属していないし ―― しかもメルセデス初年に、マクラーレンのピットにはいってしまったことがある ―― エンジンは一貫してメルセデスだった。
 おかげで「ルイスの穴は誰が埋める?!」という話題が熱い。だれもが「欲しい」ランド・ノリスはマクラーレンと契約済みだし…まぁ、F1 の世界は契約アクロバットがいくらでも跋扈するので、何が起るのか分からない。
 一番おもしろい説は、「セバスチャンのカムバック」である。しかも真っ先に名前が挙がったから笑ってしまった。トト・ウルフは明確に否定しているし、まぁ無いんだろうけど、みんなセバスチャンが帰ってきてくれるといいなと、期待しているのだ。言うなれば、「ディラン,ノーベル賞受賞」のような一種のネタである。現実になる事もある。

 最後に、BBC の古い映像を貼り付けておこう。12歳のルイスがカートを操る姿が ―― 特に背中の筋肉の動きが ―― 既に一流ドライバーだ。当時セナを模したヘルメットを被っており、なぜ今のカーナンバーが44なのかが分かる。そして本当に彼は「ロン・デニスの秘蔵っ子」であったことがよく分かる。

When 12 year old Lewis Hamilton dreamt of F1 stardom, 1997

Blue Sky2024/02/01 21:43

 そういえば、しばらくシスター・ヘイゼルをチェックしていなかったなぁと思ったら、新曲を出していた。そのうちニュー・アルバムが出るかも知れない。
 そして相変わらず活発なライブ。故郷ゲインズヴィルでも複数回公演をする。
 ふむふむ、ヘイゼルも元気だなぁと思っていたら、去年のライブでオールマン・ブラザーズ・バンドの "Blue Sky" をカバーしていた。しかもライアン・ニューウェルがリード・ヴォーカル!!
 これはびっくり。ヘイゼルはコーラス・ワークの美しいバンドで、リード・ヴォーカルのケン、ドリューも同等で、そこにジェットとライアンの二人がコーラスをつけるが、ライアンが独りでリード・ヴォーカルというのはとても珍しい。



 ライアン、歌うまい!いつもコーラスは担当しているのだからあたり前だが、ちゃんとしたリード・ヴォーカルも歌えるんだ!
 ライアンがこの曲を選んだのは、もちろん ABB のギター・サウンドに惹かれてのことだろう。
 "Blue Sky" のオリジナルはは1972年で、作曲はディッキー・ベッツ。デュエイン・オールマンとのツインギター作品で、リード・ヴォーカルもベッツである。要するに、この曲はバンドのギタリスト用の曲というわけか。脈絡があるのか無いのか、なんとなくマイク・キャンベル先生に歌って弾いてもらいたい。

A Hard Day's Night2024/01/27 22:49

 私のウクレレの腕はショボい物だが、ウクレレのレッスンの時間はクリエイティブで、とても好きだ。
 まず、普通はウクレレ・ソレでは弾かない(弾けない)ような、ロックの曲を私がリクエストする。先生はネットや市販の楽譜のコードやタブ譜をあまり見ないので、まず音を聞き、ギターでおおまかなコードを決める。このとき、私は「そのコードはちょっと違う」と突っ込みを入れることがある。
 先生はギターから4弦しかないウクレレ(しかもG線は Highである。Low G 邪道連盟なのだ)に落とし込む。さらに私が「それはちょっと違う」「そんなに明るくない」「そんなに脳天気なじゃない」「もっと閉じている」などと突っ込みを入れる。
 さらにやっかいなのは、私が極小の手の持ち主で、ウクレレですら抑えられないことが多い。そのくせギターソロはちゃんと再現したいという。
 そうやって先生と一緒に作ったロック・ウクレレ・ソロ曲の数々は、先生曰く「売れる」そうだ。

 さて、最近の課題曲は "A Hard Day's Night" である。例によって私は歌わないので、ウクレレ・ソロである。
 今日ちょっと気になったのが、 A メロ最後のコードである。キーが G なので、まぁGというのは普通なのだが、実際ジョンが歌っているのを聞くと、メジャーのGに聞こえないのだ。ちょっと影のあるマイナー気味に聞こえる。
 歌詞で言うと、"will make me feel alright" の "alright", "you know I feel okay" の "okay" のところだ。



 何度も先生と一緒に聴いて頭をひねったのだが、どうしてもギターやウクレレのコード的には、G になってしまうが、ジョンの声がフラット気味なのだ。そのため、サウンド全体的にはマイナーに聞こえてしまうし、対照として続くブリッジの、ポールの高音が輝くように響くのだ。
   このサウンドの妙はさすがビートルズ。こういうところが、彼らを世界最高のロックンロールバンドたらしめている。リッケンバッカーの響きを最高に使いこなしているという意味でも、特筆するべき名曲で、これをせいぜい21歳か23歳の彼らがやってのけたのが超のつく奇跡であった。

 オリジナルが良すぎて、あまり名カバーの多い曲ではないが(ピーター・セラーズのローレンス・オリヴィエ・リチャード3世風はともかく…)、動画サイトを見ていたら、ザ・ナックがライブでカバーしていた。
 これが文句なしに格好良い!さすがナック。どうせならギター・ソロは手元のアップが見たかった。

You'll Never Walk Alone2024/01/22 20:56

 電車に乗ったら、向かいに座った少年が、真っ赤なスマホケースを持っており、そこには大きく "You'll Never Walk Alone" と書いてある。どうやらイングランド・プレミア・リーグ、リヴァプールのファンらしい。
 "You'll Never Walk Alone" はもともとミュージカルの一曲だったが、その後フランク・シナトラなどがカバーし、リヴァプール出身のバンド,ジェリー&ザ・ペースメイカーズがヒットさせた。その後リヴァプールFC の代表的な応援歌となっている。  と、ここで普通ならジェリー&ザ・ペースメイカーズの演奏動画を貼り付けるのだが、あまりにも私の好みの音楽からはかけ離れているので、ここではしない。
 むしろリヴァプールFCファン(KOPなどと呼ばれる)が歌う様子を見た方が感動的だ。



 ヨーロッパの、とりわけイングランドのフットボールファン、スタジアム観戦というとちょっと緊張してしまうが、見るかぎり子供や女性の姿もある。チケットが高くなっても、せっかくの楽しいスポーツなのだから、安全に観戦できると良いと思う。

 "You'll Never Walk Alone" はまったくギター・グループ向きの曲ではなく、BBC プロムス向きだと思ったら、やはり演奏した年があった。



 リヴァプールFCファンのチャントとしては、ビートルズも当然レパートリーの一つで、"Yellow Submarine" の替え歌 "Red and White KOP" がある。red and white というのは、もちろんリヴァプールFCのチームカラーである。



 ちなみに、"Yelloe Submarine" の主な作曲者であるポールは、エヴァートンのファンである。

Mama Tried / Alone Again Or2024/01/18 21:12

 ロック好きな割に、カントリーは好きではない。トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズやジョージ、ディラン様がカントリーを演奏しているのを聞くのは好きだが、カントリー・シンガーが歌う正真正銘カントリー・ソングが苦手。ロック・ファンとしては、ビートのきつさと鬱情が足りてないと思う。
 そういう訳で、ディラン様が大ファンである、マール・ハガードは守備範囲ではないが、ディラン様がラジオでチョイスした "Mama Tried" には魅入られた。イントロのリフの良さでこの曲の評価が決定したようなものだ。



 いかにもカントリーな軽快さはイマイチ感を否めないが、やはりこのリフは素晴らしい。たぶん、"Here Comes the Sun" のように、変拍子ではないのに、変拍子に聞こえるところが好きなのだろう。クラシックで言う「ヘミオラ」。
 "Here Comes the Sun" だけではなく、ラヴ(アーサー・リーのバンド)の "Alone Again Or" にも似ているところもあり、そこが私の心の琴線に触れるようだ。



 マール・ハガードに話は戻るが、ちょっと驚いたのはウィキペディアの彼の項目に日本語がないこと。カントリーに興味がないくせに、ディラン様の大好きなマール・ハガードの日本語解説がないのもどうなんだと思う。

The Greatest Rock 'n' Roll Singer2023/12/09 21:30

 昨日、12月8日はジョン・レノンが亡くなった日である。当時、私は生まれてこそいたが、 ビートルズもジョン・レノンも知らない頃で、そのニュースの記憶も全くない。周囲にジョンの死に衝撃を受ける人も居なかった。
 銃撃はニューヨーク,1980年12月8日午後10時頃におきた。日本は9日朝。当時のことを覚えておいる人は、9日の出来事として認識しているだろう。ちょうど私がジョージの死を11月30日、トムさんの死を10月3日と認識しているように。

 ジョン・レノン。もちろん、ビートルズのメンバー。史上最高のロックンロール・シンガーだと思っている。エルヴィスのような深みのある美声ではなく、青春の甘さ、苦さ、美しさを地声に乗せて歌いきる。長時間歌うと喉がかれるという、本来は「ナシ」な声なのだが、反逆のロックンロールはその歌声の独壇場だった。
   私は、ジョンのビートルズ・レコード・デビュー後、初期アルバムにおける歌唱がたまらなく好きだ。これほど素晴らしいロックンロール・シンガーは二度と出ないだろう。

 ビートルズの中で一番好きな曲の一つ、そしてジョンの歌唱の素晴らしさを思い知らされる、"Twist and Shout"。ついで、ポールとリンゴのグルーヴ感も最高である。かなり重い演奏で、完コピしようとしたらだいたいテンポで音を上げるだろう。



 ジョンの冒頭のシャウトが、オリジナルも、ほかのバージョンも、その後の作品をも吹っ飛ばしてしまった "Mr. Moonlight"。ポールとジョージのコーラスも素晴らしく美しい。ジョンの声にポール(エルヴィス系)とジョージ(声薄い)というコーラスが揃ったのも、ビートルズが他のバンドとは一線を画する点だ。

Every Shade of Blue (The Heads and The Hearts)2023/11/23 22:01

 ザ・ヘッズ&ザ・ハーツの2022年発表の最新アルバム [Every Shade of Blue] をおそまきながら購入。
 好きなバンドなので、当然 CD を購入。昨今はやりのサブスクでは、突然聴けなくなるリスクがあるとか。恐ろしい。Amazon で買ってみたら意外にもプラスチックケース。このバンド、ずっと紙ジャケだったと思うのだが、どうしたのだろう。しかもバキバキに割れていて箱のケースの体をなしていない…まぁ、ディスクが無事だから良いのだけど。

 相変わらず安定のソングライティングと演奏で、安心して聴ける。これといったキラー・チューンがあるわけではないが、ザ・ヘッズ&ザ・ハーツらしい美しくてしっとりとして、でもちゃんとビートのあるロックが心地よい。
 やや優しい曲調が多いののでブルージーな強さが好きが人には物足りないかも知れないが、フォーキーな手触りと優しさが好きな人にはたまらないだろう。

 まず、タイトル曲の "Every Shade of Blue" ―― 少しオーケストラサウンドが余計かも知れないけど、彼らしい曲だ。



 お次は、このアルバムの中では私が一番好きな "Virginia (wind in the night)" ―― 叫びたくなる心情が溢れている感じでたまらない。



 最後は、"Tiebreaker" ―― 女性メンバー,チャリティのヴォーカルがうまくフィーチャーされている。実はわたし、これまでのアルバムでの、彼女が担当するリード・ヴォーカルがあまり好きではなかったのだ。わざと拙くしている感じなのだが、実際に拙くて嫌だった。
 しかし、今回は彼女の歌がとても良かったので、素敵だと思う。ちょっと残念なのは、彼女のフィドルが堪能できる曲が無かったことかな。今回はそういうコンセプトだったと言うことだろうか。