ルイスがフェラーリにやってくる ヤァ!ヤァ!ヤァ!2024/02/05 19:53

 2025年から、ルイス・ハミルトンがフェラーリに移籍すると発表した。

 「フェラぁ~リ?!」
 声が裏返ってしまった。

 いやいや、待て待て。確かに一昨年来、ルイスがメルセデスに不満を持っているということは分かっていた。だがしかし。フェラーリだけは!フェラーリだけは無いと思っていた。アロンソやキミ(出戻り含む)、セバスチャンはアリだったが、ルイスだけは無いと。
 アロンソやセバスチャンだってチャンピオンシップで善戦した年もあったから、フェラーリにだってそれなりの戦闘力は期待できるだろう。ルイスが加入して、化学反応が起きて、びっくりな展開になったら…?!面白いだろうな。いや今年のうちに、勢力図が変わっても構わないのだが。私は今のチャンピオン以外が勝ってくれればそれ良いのだ。(6月にオランダに行く予定なのだが、これで良いのだろうか)

 フェラーリの動画を探したら、トム・オデール の "Time to rise again" のイケてる動画があった。



 それにしても、ルイスがメルセデス・エンジンから離れる日が来るとは思わなかった。彼はマクラーレンでデビューしてから、2チームにしか所属していないし ―― しかもメルセデス初年に、マクラーレンのピットにはいってしまったことがある ―― エンジンは一貫してメルセデスだった。
 おかげで「ルイスの穴は誰が埋める?!」という話題が熱い。だれもが「欲しい」ランド・ノリスはマクラーレンと契約済みだし…まぁ、F1 の世界は契約アクロバットがいくらでも跋扈するので、何が起るのか分からない。
 一番おもしろい説は、「セバスチャンのカムバック」である。しかも真っ先に名前が挙がったから笑ってしまった。トト・ウルフは明確に否定しているし、まぁ無いんだろうけど、みんなセバスチャンが帰ってきてくれるといいなと、期待しているのだ。言うなれば、「ディラン,ノーベル賞受賞」のような一種のネタである。現実になる事もある。

 最後に、BBC の古い映像を貼り付けておこう。12歳のルイスがカートを操る姿が ―― 特に背中の筋肉の動きが ―― 既に一流ドライバーだ。当時セナを模したヘルメットを被っており、なぜ今のカーナンバーが44なのかが分かる。そして本当に彼は「ロン・デニスの秘蔵っ子」であったことがよく分かる。

When 12 year old Lewis Hamilton dreamt of F1 stardom, 1997

お薦めの曲2023/10/29 20:50

 スポーツをテレビで見るのが好きな私。ただでさえ、野球,F1,フィギュアスケートの三大スポーツに、ラグビーが重なったので、さぁ大変。
 今週末のタイムテーブルはこのようになった。

28日土曜日 4:00 ラグビー・ワールドカップ三位決定戦
28日土曜日 14:00 フィギュアスケートGPシリーズカナダ男女ショート(録画)
28日土曜日 18:30 プロ野球日本シリーズ第一戦
29日日曜日 4:00 ラグビー・ワールドカップ決勝戦
29日日曜日 6:00 F1 メキシコGP 予選
29日日曜日 14:00 フィギュアスケートGPシリーズカナダ男女フリー(録画)
29日日曜日 18:30 プロ野球日本シリーズ第二戦
30日月曜日 5:00 F1 メキシコGP 決勝

 実は先週、ラグビーの準決勝があって、同じような進行が二週連続なのだ。これらを全て見るのだが、さすがに全てをオンタイムで見るわけには行かない。基本的にラグビーと野球は生で見て、フィギュアとF1は録画で後追いという形を取っている。

 いよいよ始まるフィギュアスケート本番。4Aを飛ばずに勝ったマリニンの今後の作戦に注目している。スケートアメリカの女子フリーを放映しなかったテレビ編成、許さん。ルナヘン(ベルギーの、ルナ・ヘンドリクス)のフリー見たかったのに!!
 大好き坂本、好き好き坂本。坂本花織はGPシリーズ初戦から絶好調である。ジャンプもスケーティングも、振り付けの切れも絶好調で、笑顔も絶好調。これだから坂本ファン幸せなのだ。

 フィギュアスケートはスポーツとしてだけではなく、舞踊の要素があるところが面白い。当然、音楽との相性などは重要だ。フィギュアの場合はシンクロナイズドスイミングとは違って、既存の良い音楽を巧みに踊るところが良い。私はシンクロのあのオリジナル音楽がダメ。うけつけない。
 しかし、そのフィギュアスケートの人気曲にも、私の好みに合わないものもいくつかある。この数年、ずっと好きじゃないのが、映画「ムーランルージュ」と、ミューズの「エクソジェネシス交響曲」。両方とも大袈裟で空振り気味な曲調。前者は全体的に騒々しく、後者は下手なベートーヴェンとショパン要素のなんちゃって加減が我慢ならない。

 私個人的には、この曲でだれか滑ってくれないかなぁと思っている曲もある。
 今、自分で弾いているせいか、ショパンのプレリュード3曲くらい組み合わせたどうだろう。16番に、4番を挟んで、24番で締めるとかどうだろう。うまく編曲してほしい。

 単独の曲では、ベッド・ミドラーの "Rose" これで滑る人が居ないのが不思議。



 モーツァルト,ドン・ジョヴァンニによる幻想曲も、個人的にとてもお薦め。だれかショートで滑ってくれないかな。



 GPシリーズも始まったばかり。これからさらなる名作の登場を心待ちにしている。

セブが鈴鹿にやってきた、ヤァ!ヤァ!ヤァ!2023/09/24 19:41

 去年、セバスチャン・ベッテルが引退して以来、すっかり F1 関連の記事はご無沙汰である。
 もちろん、全レースを観戦しているが、やはりセバスチャンがいない F1 は寂しい。しかもチャンピオン争いはまったく面白くなく、独走状態の彼は、数少ない「好きでははいドライバー」なのだ。彼以外ならほぼ全員応援しているんだけどなぁ…
 救いは、シンガポールでフェラーリが優勝したこと、お気に入りのノリス君がシンガポール、日本と連続で2位だったこと。チャンピオン争いは、諦めるとして、残り数レース、少しでも面白いレースを魅せてくれることを期待している。

 一方、わがセバスチャン・ベッテルは引退してインスタグラムを更新しつつ、マイペースな活動を続けている。
 セブがとりわけ愛している鈴鹿では、"Buzzin' coner" 「コーナーを飛ばせ!」と題して、F1 公式に食い込んで生物多様性へ啓発活動を行った。
 鈴鹿の2コーナーの縁石をミツバチ色にする男、セバスチャン・ベッテル。コーナーの内側に、自ら道具をふるって手伝った「虫さんホテル」を設置(日本の伝統的な手法で、伊勢神宮風の作り)し、地元との子供達とも交流してペイント会。
 しかも、全20名のドライバーを動員してこの「虫さんホテル」をチームごとにペイントしてもらって生物多様性への働きかけを F1 としてアピールした。ここまでできるのも、セブの人徳の賜物。アロンソやハミルトンも、セブのためなら喜んで集ってくれる。
 セブのインスタグラムではかなり長文の日本語でアピールしてくれた。ありがとう、セブ!

Sebastian Vettel and The Grid Build 'Bee Hotels' At Suzuka! | 2023 Japanese Grand Prix



 気候変動問題、生物多様性問題、人権問題、戦禍、貧困、飢餓。そのほかにもいろいろ、この世にはたくさんの問題がある。人気者がその影響力を利用して、問題を解決へ向かわせるための、より良いムーヴメントを起こそうというのは、ジョン・レノンやジョージの例のように、何十年も昔から行われている。
 昨今、問題解決をアピールしたいあまり、かえって人々の心を逆行させる活動家がいる一方で、セブは賢く、考え深く、そして自分が身を置いた F1 の素晴らしき世界への賛辞を惜しまずに行動している。彼の愛する F1 も、どこかで多様な問題と折り合いをつけなければならない。エンジンのハイブリット化はその一環だったし、セブがいま力を入れている環境に優しい新しい燃料へのアプローチも、遠からず F1 に影響してくるだろう。
 私は今後50年、100年と F1 が続き、その面白さが継承されると良いと思っている。その一方で、このスポーツは政治、経済、テクノロジーのスポーツであり、自然環境への負荷をかけるスポーツでもある。どこかで折り合いをつけなければならない。その点を、セブはあの人なつっこい笑顔で、分かりやすくメッセージにして伝えてくれている。
 私はできる限りでセブのサポートをしたい。というか…ええ、買いましたとも!"Race without trace" のフーディも、"Buzzin' corner" の T-シャツも!一体何ユーロ吹っ飛んだんだ?もうなんでもいいよ、トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズのボックス物と同じで、いくらでも出すよ!

 おまけ。セブの二択!
 プロストか、セナかで、セナを選ぶかと思ったけど、セブ曰く「フェアじゃ無いな、ぼくはアランとは知り合いだから」といって、両方とのこと。
 やっぱりセブの笑顔は最高だな…!

Tina Turner2023/05/25 21:04

 ティナ・ターナーが亡くなったとの報が入った。83歳だったという。R.I.P.

 アーチストが亡くなると、俄にその業績が注目され、評価されたりするが、従来からのファンにしてみれば「もっと前からもっと評価しろ」と言いたいところだろう。しかし、人はいつ亡くなるかは分からないし、亡くなることは生まれることと同様に大きな出来事だ。致し方の無いことだと思う。

 ティナ・ターナーといえば、もちろんロックの女王ではあるが、私にとっては私の好きな誰かとの共演者という印象が強い。
 まずはこちら。1993年の F1 GP最終戦(オーストラリア?)のアフター・パーティと思われる。ああ、セナってこういう声だったっけ…?うろ覚えだ。



 私が購入したアルバムでは、エリック・クラプトンのアルバム [August] (1986)に収録されている "Tearing us apart" に、ティナ・ターナーが参加している。前にも述べたが、クラプトンの80年代というのは意外に好きなのだ。
 これは、プリンスズ・トラスト。1986年かな?



 もっと古い動画を探すと、70年代初頭にエド・サリバンン・ショーに出演している動画があった。



 これは熱い!凄まじく格好良い。いまさらどんなに奇抜なファッションで踊って見せても、このイカした熱量には敵わない。
 曲は CCR の "Proud Mary" ―― オリジナルとはかなり違う解釈だが、まさに物にした感じで、文句なし。

Vielen Dank, Sebastian!2022/11/22 21:18

 ええ、買いましたとも attitude! UK から海を渡ってきましたよ、attitude! 棚でオタマトーンやトムさん、ディラン様に囲まれて微笑んでおりますとも!



 F1 最終戦が終わり、セバスチャン・ベッテルが引退した。
 名残惜しく、寂しくてたまらないが、週末に号泣しないで済んだのは、みんなが全力でセブとの別れを惜しんだからだと思う。ドライバー20人全員揃っての夕食会(ルイス、ありがとう)に、古巣のレッド・ブル、フェラーリでも送別会とプレゼント贈呈。セブ主催で大勢の関係者とトラフィック・ランを楽しみ、テレビ中継オープニング映像はセブ・スペシャル・エディション。決勝の国歌演奏後に、ドライバー達がセブのために花道を作り、一人一人と握手(ルイスとは固くハグ)、アロンソはコックピットに入る前にわざわざ手を握って挨拶。
 無事に完走して(入賞おめでとう!)、一人特別にメイン・ストレートでドーナツ・ターンを披露し(トップ3以外は別のコーナーでやっていた)、インタビューも特別に行われた。
 予選でも鬼気迫る走りを見せて、まだまだ出来るじゃないかと惜しまれ、ルイスは「帰ってくると思う」とまで言う。
 感謝と笑顔の週末が終わり、キミ・ライコネンがセブへのお疲れ様メッセージをSNS に投稿する。
 私が泣いている暇なんてないくらい、セブの引退は感謝と祝福、友愛に満ちたものだった。こういう引退ができるドライバーが、どれくらいいるだろうか。右京さんは記憶にないと言う。

Sebastian Vettel's Farewell To Formula 1 | 2022 Abu Dhabi Grand Prix

 私にとって最初セブは、 F1 関係者がオークションに出品したビートルズのサイン入りレコードを入手した、面白くて可愛いドイツ人だった。あっという間にチャンピオンに駆け上がり、最年少ポール・ポジション、最年少ワールド・チャンピオンの称号を手にして、未だに保持している。若くしてチャンピオンに君臨すること、なんと4年。F1 がハイブリッドに移行する前の、最後の最強チャンピオンだった。
 ビートルズのファンで正格は天真爛漫、やんちゃでレース中に頭に血が上るとエラいこともしてくれた。笑顔が可愛いナイス青年で、宿泊施設の不足しているレースでは「自分たちはいいけど、報道関係のみんなが気の毒だからどうにかしてほしい」などと、気遣いも出来る素敵な大人へと成長していった。
 フェラーリに移籍してからも、けっこう活躍したと思う。優勝もたくさんしているし、ルイスとチャンピオン争いを繰り広げて、F1 を面白くしてくれた。
 ドライバーたちの代表者としても本当によく働いたし、気遣いもした。ミスをして落ち込む若いドライバーを励まし、アドバイスもした。ミックにとっては友人でもあり、父親代わりでもあった。安全・公正で、ファンのためのレースに貢献し、大雨の中クラッシュしたノリスのことを、わざわざ車を寄せて確認してくれたりもした。
 レース以外で悪目立ちして孤立しがちなルイスを、いつもサポートし、自らもこの世界をより良くするためのメッセージを説得力を持って発信し続けた。

 セブはこれから、愛する家族と幸せに暮らしつつ、川井ちゃんも言ったように、若者たちへのメッセージ発信者として活躍していくだろう。
 若者というか…ええ、私、買いましたよ!セバスチャン・ベッテル・ショップで Tシャツを!Save the Bees を!送料込みで90ユーロが吹っ飛びましたよ!

 今まで本当にありがとう、セバスチャン。お疲れ様。
 セブにいま贈る一曲 … ちょっと考えたんだけど … これかな。またお会いしましょう。
 Bleiben Sie wohlauf!

Arigato gozaimasu, Suzuka!2022/10/11 20:15

 あまり F1 に入れ込みすぎると、心が疲れてしまうし、結果が心苦しかったりすると、精神安定に支障をきたす。そのような訳で、鈴鹿での日本GPだからといってあまり目を血走らせないように、努めて冷静に、ちょっと距離をおいて見たいと思っていた。

 しかし、鈴鹿からの中継が始まると、やはり平静を保っては居られなかった。20人全ドライバー分の応援が観客席を彩る中、やはりセバスチャン・ベッテルへの応援が目に付くし、中継陣も「最後の鈴鹿」を連呼する。余り期待しすぎると、あとで辛いからやめてほしい…でも、やっぱり期待してしまう。
 その期待にまず予選 Q1で応えるセブ。アウトラップのとき、ズバズバ前を抜いて行き、最後のシケインでだけちょっと減速。本当に鈴鹿を知り尽くし、どうしたら一番早く、そして美しく走れるのかを知っている。
 Q2 はさらに鮮やかだった。おそらくエンジニアも、すべてセブに任せていたのだろう。鈴鹿でセブに指示するべき事なんて無いのかも知れない。川井ちゃん曰く、「この人、鈴鹿でトップ10逃したこと無いです」――
 そして今年の鈴鹿で、屈指の名場面となった Q3。ソフトの新品は1セットしかないので、一人だけタイミングをずらして、悠々と、美しく、爽快に駆け抜けて見せた。自分でも満足の行く走りだったようだ。まだ後ろで真剣勝負の9台が血眼になっているのに、観客席に手を振り、メッセージを送る…



 「ありがとうございます」はこちらの台詞だ。浜島さんは、「サーキットの人が泣いてるでしょうね」と言っていたが、私が号泣していた。

 さて、雨の決勝である。セブに何事も起きませんように、どうかトップ10に入れてもらえますように ―― という祈りも虚しく、最初にぶつかって、スピンして、グラベルに突っ込む ―― もう既に心がかなり疲れていたので、「ああ…人生なんて、そんなものだよね…」と、諦めの境地に入る。
 だがしかし、本当の鈴鹿の幸運は、セブのものだった。赤旗があけて、やっと始まったスプリント・レース、「誰がまっさきに突っ込んでインターにするかですよ!」と川井ちゃんは言う。要は博打だ。それがセブだった。セブ自身が、セーフティ・カー明けにインターミディエイトにすることを決断したという。
 この決断以降、幸運はずっとセブのものだった。あのアロンソに、いったんはタイヤ交換を決断させ、再度追いつかれたのは最終周回であり、フィニッシュ・ラインを通過したとき、セブのほうが何センチか前だった ―― あと1周でもあったら、セブは 7位だっただろう。
 結果はあの車で望める最高位であろう、6位、8ポイント獲得。おめでとうセブ!ありがとう、セブ!You are the driver of the day!



 セブが心から愛し、一番好きなサーキットである鈴鹿が、素晴らしい結果で本当によかったと思う。日本人のファンとしては、何の心残りもなく、セブに楽しませてもらい、セブも楽しんだことだろう。
 F1 なんて、しょせん政治,経済,テクノロジーであって、お金まみれの汚い競技かも知れない。それでもセバスチャンはこうして多くの人に愛され、温かく見送られてゆく。そういうことだって、F1にもあるのだ。これもスポーツであり、人間の良い面を見せてくれるのだ。



 パルク・フェルメに車が並んだところでテレビを消してしまったので、チャンピオンが決定したことを知ったのは、数時間後だった。特に感慨は無いのだが…まぁ、去年のような絶望的な悲劇にならなくて良かった。

Queen's Piper2022/09/21 21:39

 UK史、UK文化に興味のある者として、エリザベス女王の国葬は必見であった。がっつりテレビにかじりつき、NHKが中継を終えても、CNNで引き続き追っかけ、結局ウィンザー,セント・ジョージ・チャペルでの礼拝までつきあった。
 ウェストミンスター・アビーも見所だし、紋章官たちや、ビーフィーター達が居並んでいるのも壮観。紋章官といえば、紋章院(College of Arms)の総裁は代々のノーフォーク公爵だが、現公爵の長男(アランデル伯爵。これまた中世以来の由緒あり)ヘンリー・フィッツアラン=ハワードは、2000年代にカー・レーサーをしていて、ライコネンのチームで走ったりもしていた。彼も葬儀の席のどこかに居ただろう。
 女王の棺はウェリントン・アーチで車に乗り換えたのだが、ケンジントン・ロードを西にたどったので、ロイヤル・アルバート・ホールの前(厳密には裏)を通ったときも、おお!と思った。私はここでハートブレイカーズとディラン、計5回コンサートを見ていて、とても思い出深い。

 音楽的にも何か興味深いことがあるのではないかと期待していたが、こちらの方はそれほどサプライズもなかった。お祝い事の時は何でもありだが、さすがに葬儀となると、そうは行かないか。ヘンデルの曲くらいは聴きたかったかも知れない。
 しかし葬儀全体を通しても、もっとも印象深かったのは、"Queen's Piper" という、「女王のためのハイランド・バグパイプ奏者」の演奏だった。物の記事を読むと、女王のお目覚めのために窓の外で演奏する人が居たらしい。本当に日常的にそうしていたのかどうかはともかく、「スコットランド」のパイパーが、UK国王の棺が地下に降ろされようとするときに、別れの一曲を奏で、そして去って行ったのはかなり良かった。



 ところで、「70年ぶりの英国王の国葬」というが、果たしてそうなのだろうか。2015年にレスターでリチャード三世の葬儀が執り行われたではないか!現グロースター公爵(エリザベス女王の従弟)も出席したし、ベネディクト・カンバーバッチも来てくれた(そこか!)。リカーディアンの端くれとしては、一応強調しておかないと。
 厳密に言うと、これは funeral ではなく burial だったので、「埋葬式」とでも言うべきだろう。



 そんなこんなで、色々と動画を見ていたら、プラチナム・ジュビリーの時のオープニング映像,「女王陛下とくまのパディントンのお茶会」を改めて見て、気付いたことがある。
 女王とパディントン、そしてもう一人の登場人物である給仕。この給仕、サイモン・ファーナビーではないか!
 思えば、あの可愛くなくて、やや不気味 ――「そうじゃない感」満載 ―― でもUKカルチャー好きとしては、けっこう楽しめる映画「パディントン」の監督は、ポール・キングだ。「ザ・マイティ・ブーシュ」に、「バニー&ザ・ブル」の監督でもある。そうなると、この辺りのコメディ作品でお馴染みのファーナビーは自然なキャスティングだったわけだ。それこそ、リチャード三世の発掘ドキュメンタリーの案内役も、彼だった。
 ブーシュ・ファンとしては、ジュリアン・バラットだったらもっと面白かったな!

Ich bin Sebastian2022/08/23 20:12

 2022年7月28日、セバスチャン・ベッテルは今季限りでフォーミュラ・ワンから引退することを公式に発表した。
 これまで一切ソーシャルメディアに関わってこなかった彼が、初めてインスタグラムを開設し、その最初の投稿として英語とドイツ語で、自ら引退する旨、そのほかの思いを語った。

Instagram / Sebastian Vettel

 今シーズン、マシンは決して速くないが、彼個人としては善戦が続いていたし、チームとの関係も良好。来シーズン以降の契約継続を望まれていたので、この引退表明には驚いた。
 正直言ってとてもショックで、受け入れがたい、嘘だろうという気持ちがした。しかし、彼自身の口からはっきりとその意志、今思っていること、大事にしていきたいこと、F1 を愛していることを伝えられると、やがて彼の決意を受け入れられるようになった。
 万事は移ろいゆき、時代は変わる。最年少ワールド・チャンピオンの記録を持つセバスチャンも、引退の時が来ることはわかっていたのだ。それが今年というわけだ。

 思えば、セブというドライバーが好きすぎて、ドイツ語をかじり始めたくらいである。スポーツ観戦は好きだが、一人の選手にここまで入れ込んだのは彼だけではないだろうか。先日、ゲイ向けの雑誌の表紙を飾ったときは、本気で買いそうになった。



 今回のインスタグラムのコメントももちろん英語で聞いたし、ドイツ語も全て手書きで書き写して、ちまちま翻訳している。英語とほぼ同じ事を話しているが、所々表現が違ったりする。
 一番分かりやすいのは、もちろん "Wer bin ich? Ich bin Sebastian. Vater von drei kindern und Mann einen wundervollen Frau" だろう。自分が何者で、どんな物が好きで、どんな性格であるのか。F1 ドライバーとても、人間であり、チョコレートが好きだったり、好きな色は青だったりする。
 そして何度か出てくるのは、Zeit (時)という言葉である。何事にもその「時」がある。レースを愛する人々にとっての共通の時、自分が引退を表明する時、家族と過ごす時。人はそれぞれ、その時どきに必要な選択をしなければならない。それが人生なのだろう ―― 
 そういうセバスチャンの選択を支持したいし、今後の彼の人生が豊かで幸せなものであることを祈っている。

 考えてみれば、私はもはやセバスチャンの個人的なファンであって、F1 ドライバーではなくても良いのかも知れない。世界のどこかで ―― 多くはスイスの湖畔で、家族と幸せに過ごしてくれれば良いし、社会問題に対してメッセージを発したり、運動したって構わない。
 インスタグラムを開設したということは、F1 後のセバスチャンは、自分を発信していくつもりだということではないか?それはそれで楽しみが増えるというものだ。彼の引退レースを迎えるのはとても寂しいし、きっと号泣するだろうけど。リタイアしてマッサのように万雷の拍手で迎えられたり(翌年戻ってきたけど)、ライコネンのようにいつの間にか居なくなったりするかもしれないけど。それもきっと、たくさんのレースのなかの一つなのだ。

 それにしても ―― !セブの引退を惜しむ声ったらない!特に F1ドライバーからのコメントはいちいち報道されるので、本当にきりがない。
 思えば、ハミルトンなどはかなり寂しい思いだろう。同世代のライバルだったし、多数回チャンピオンとしての気持や、社会問題への発言をする勇気も分かってくれる、同士、理解者だったのだから。
 ドライバーズ・アソシエーション理事としての役割も大きかったようで、セブがはっきりと物を言ってくれるおかげで、ドライバーたちはかなり助かっていたようだ。それは会社組織などにいると良く分かる。説得力のある人が、ズバリと問題に切り込み、意見してくれるというのは、とてもありがたいのだ。現役ドライバーは引退しても、理事として残ってもらっては?なんて話も出るくらいだ。セブに対する信頼感はとても大きかったのだろう。
 ミック・シューマッハは公私ともにとてもセブと親しかったし、ガスリーも親身になってアドバイスをもらったり、「トロ・ロッソ優勝者の会」の会員にもしてもらった。ノリスに関しては去年、大雨のスパで、大クラッシュした彼の様子を、セブはわざわざマシンを止めて確認してくれたが、そのノリスだって子供の頃に撮影してもらった、セブとのツージョット写真が自慢だ。
 そう、去年のスパでのセブに関しては、日本の解説陣も「なんか優しさを見ちゃったな」「ベッテルは優しいですよ」とか言ってた。そういう「優しさ」が、実は「トップの」 F1 ドライバーではなくなった証拠なのかも知れない。それはきっと人間として良いことに違いない。

 しんみりばかりも、していられない。夏休みが終わり、レースが再開されるのだ。
 私が好きではないドライバーが最もチャンピオンに近く、フェラーリに期待するとがっかりする!罰金はセバスチャンが払いまくり(スクーターなんて乗り回して、わざと払っているような…)、アロンソは移籍が決まる、リカルドは危ないと噂される!
 今シーズンはまだ終わっていないのだ。

Nessun Dorma2022/07/30 21:07

 木曜日に飛び込んできた大きなニュースに関して、いま私は一日一日、ゆっくりと消化しようとしている。そうして理解して、自分を納得させる必要がある。だから、 とりあえずこの週末、ハンガリーGP が終わって、夏休みに入ってから整理しようと思う。
 やはり、悲しいことを乗り越えるには、少し時間がかかるのだ。

 オタマトーンのせいで、すっかり “Nessun Dorma“ ばかりが動画の履歴に残っている。
 そもそもは、プッチーニのオペラ「トゥーランドット」に登場する、テノールのためのアリアであり、日本語では「誰も寝てはならぬ」の題名で知られている。
 劇中では、最初から最後までテノールがソロで歌うわけではなく、合唱も加わった形式になっている。宇野昌磨がこの曲で滑った時は、その合唱の加わったバージョンの、ホセ・カレーラスの歌唱が用いられた。私はカレーラスのファンでもあるので、とても良い選択だったと思う。
 カレーラスというのは、言うまでもなく最高のテノールだが、独特の悲哀や脆さ、危うい雰囲気をその声に持っていて、少し音程も不明瞭な時があるのだが、それがかえって個性となり、感情に訴えかけてくる。女性ファンが圧倒的に多いのも頷ける。



 近年の “Nessun Dorma“ 人気を作ったのは、ルチアーノ・パヴァロッティと言って良いだろう。クラシックでは異例のことだが、彼はこの曲をシングル盤として発売して、大ヒットを記録したのだ。
 そのおかげで、コーラスを省いたテノールだけの短いバージョンがコンサートでよく歌われるようになり、パヴァロッティ自身や、その後のアンドレア・ボチェッリ、そして Britain's Got Talentの初代優勝者ポール・ポッツ、果てはオタマトーンまでもが、”Nessun Dorma” を熱唱するに至るというわけだ。

 もう一つ、動画を貼り付けようと色々な動画を見たが - それこそ、アレサ・フランクリンなども見たが、これはさすがにダメだった。 - 結局1990年7月7日カラカラ浴場での三大テノールほど豪華なものはないという結論に達した。指揮のズビン・メータも含めてのパフォーマンスである。動画冒頭でのメータのジェスチャーは、「寝ては、ならぬ!」という意味である。確か、これはアンコールだったような気がするが、ちょっと記憶が定かではない。
 ともあれこれを聴くと、音楽をやるものは誰しも、この曲に挑戦してみたくなるものだ。



 面白いところでは、ジェフ・ベックによる演奏というものもある。これはこれでアリかな。ただ、ギタリストはジェフ・ベックなのだし、別に技巧的に難しいことはない。ただ、プッチーニの曲が絶対的に素晴らしいのである。そこに目を付けたセンスを評価する。

British GP / Williams FW14B (1992)2022/07/05 20:17

 盛りだくさんのブリティッシュ・グランプリだった。色々な意味で…

 まずなんと言っても、ジョウとアルボンが無事で良かった。ジョウのクラッシュは本当に吹っ飛んだ感じで、ぞっとする。ラッセルじゃなくても、誰だって全速力で駆け寄らずにいられなかっただろう。チェッカーの後で、ジョウがちゃんと立って話しているのを見て、心底安心した。次戦に影響しなければ良いが。

 あのタイミングで、あそこで止まるオコン、ピットストップで分かれる明暗…去年の最終戦でも同じようなものを見たような気がする…。サインツの初ポール、初優勝はめでたいが、ルクレールのタイトル争い的にはどうなのか。ルクレールの不運がどうにも歯がゆい。
 いっそのこと、ペレスがチャンピオンになれば、私的には良いような気がしてきた。そもそも、レッド・ブルが嫌いというわけではない。(ちなみに飲みものとしてのレッド・ブルは大好物である。悪癖。)ペレスがチャンピオンになる分には、全然オッケーだな!頑張れ、チェコ!応援してる!
 ハミルトンもかなり良くなってきたので、かなりワクワクした。悪いシーズン前半ではあったが、彼のフィードバックもあっての、メルセデスの改善だろう。諦めずに、頑張って欲しい。

 ミックも初ポイント、おめでとう!多くの言葉は要らない。この人が充分祝ってくれている。

Vettel Congratulates Schumacher On His First F1 Points! | 2022 British Grand Prix

 セバスチャンこそ、お誕生日おめでとう!
 F1 の中でも特別感のあるシルバーストーンで、セブが所有(!)するウィリアムズ FW14B ―― ナイジェル・マンセルが1992年にチャンピオンになったマシンをデモンストレーション走行するという素敵なイベントがあった。なんだかもう、突っ込みどころ満載!



 格好良いなぁ。マンセル、プロスト、ヒル、ヴィルヌーヴをチャンピオンにした時代のウィリアムズ。ステアリングなんて、あんなモノだったっけ…?あまり手を振ったりすると、間違えてエンジン・ストップのボタンを押したりするから、要注意。(いつの話だ…)
 そもそも、これがセブの私物で(オークションで手に入れたらしい)、カーボン・ニュートラルの燃料で走っているという。一体どこの誰がどうやってそういう改造をしたのか?言い出したのはセブ自身なのか?シルバーストーンでデモ走行という素敵なアイディアはどこからの企画なのか?
 何はともあれ素敵なイベントの中心に、私のセバスチャンがいるのは、この上なく嬉しい。

 マンセルもお変わりなく。後ろにいる若い子は?お孫さん?ヘルメットにマンセルのサインをもらっていたのは、セブの広報担当のブリッタさん。



 「信じらんない!手が震える!」と、はしゃぐセブ!Happy Birhday の大合唱を受けるセブ!見物に来るルイス。ルイスとマンセルが手を挙げると異常に盛り上がる観客席!いいなぁ。F1 ってスポーツマンシップとか、爽やかさとは縁遠いスポーツだけど、こういうシーンを見ていると、気持ちが温かくなるじゃないか。

 最後に。川井ちゃん…。現地解説復活!…と盛り上がったら、やおら PCR 検査陽性で、日曜日にはホテルに自主隔離になってしまった!おおーい!川井ちゃーん!ルクレール並みに運が無いぞー!右京さんじゃないけど、これはびっくりである!
 ともあれ、川井ちゃんだっていい歳だ。発症したら大変だろうし、大事に至らないと良いと思う。7月はあと3レースあるし、お大事に。復活を待っています。
 クラッシュした人、勝った人、悔しかった人、嬉しかった人。みんな元気で、安全に、良い F1 シーズンにしてほしい。