Last Dance2024/12/09 19:56

 2024年のF1 GPが全戦終了。コンストラクターズ・チャンピオンにはマクラーレンが輝いた。ランド・ノリスの Pole to Win は圧巻で、来年のさらなる活躍を予感させるものだった。いまから来シーズンが楽しみだ。ただ、ランドは性格が良すぎるのが心配。あのセバスチャンだってアレコレやらかしている。gentle 過ぎると、F1 ワールド・チャンピオンにはなれない。それとも、あの良い性格のまま、ぶっちぎりで勝ち逃げてくれるか。それはそれで、私の心が穏やかで良いのだが。
 フェラーリの復活も今年を面白くしてくれた。二人のドライバーがどちらも脂ののった時期にきていたし、フェラーリ名物の不手際も最小限で、良かったと思う。
 レッド・ブルは前半に絶対的な強さを誇り、後半は強いのか弱いのかよく分からず、ドライバーによるのか、何かうまくマネージメントされていないのか、不思議な展開だった。こういうF1 の政治、経済、テクノロジーが現代の最高次元で駆使されつつも、びっくりするような失敗や悪循環があるようなところが好きだ。

 ルイス・ハミルトンは長年共に戦い、6度のワールド・チャンピオンとなった、メルセデスでの最後のレースとなった。特別なお別れセレモニーも許可されており、やはり格が違う。うっかり、引退でもするのかと勘違いしそうだが、来年はフェラーリ。サインツを押し出しての移籍だ。色々な意味でドキドキする。
 
 同じ週末に、フィギュアスケート・グランプリ・ファイナルが行われた。男子のフリーの録画を失敗するという凡ミス…!佐藤のフリー、見たいぞ!
 女子は、我が坂本花織が珍しく大舞台でミスり、男女ともアメリカが勝つという近年では珍しい展開になった。ジャンプはもちろんだが、調子の良い時に比べて、完成度がイマイチ。まぁ、坂本にも調子の悪いときはある。彼女が完璧な演技を揃えたとき、グレンがどんな点をたたき出すのか、二人の勝負が楽しみだ。グレンには 3Aというかなり確実性の強い必殺技があるが、演技構成的には坂本に劣る。世界選手権では良い勝負になるのではないだろうか。

 今回のGP ファイナルで目立ったのは、なんと言っても女子2位の千葉百音だろう。あのコーチのところの選手としては、例外的にけっこう好き。特に今年の SP は凄く良い ―― というか、今年のGPシリーズの選曲のなかで、一番良いのが、千葉のSP ドナ・サマーの "Last Dance" だ。
 調べてみると、1979年のヒット曲とのこと。いかにもこの時代の最先端ポップスで、特に後半にアップテンポになるところが格好良い。千葉はかなり頑張っているが、もっと!もっと弾けて良い!こういうのは、高橋大輔、鈴木明子、友野一希という、私のなかの「三大ダンサー」を見習って、ぶっ飛ぶくらい弾けなきゃ!
 日本選手権が楽しみだ。

右京さんとジョージさん2024/11/25 19:35

 F1 ラスベガスGP で、今年の年間チャンピオンが決定した。本来なら、もっと早くに決まっていても良さそうだったが、シーズン中盤から俄かに王者が調子を崩し、マクラーレン,とりわけノリスの猛追が今シーズンを面白くした。のこす2戦、さらに面白いレースを期待している。 ―― たしかに、今のチャンピオンは偉大な業績を残しているが、私個人的には今回が4度目のワールド・チャンピオンだとは思っていない。彼の1度目のチャンピオンタイトルは、手違いで彼の物になったといのは、私の解釈。
 角田君も良いパフォーマンスが続いていて嬉しい。彼は、これまでの日本人トライバーにはないキャラクターで、かなりびっくりさせられるが、その分結果も出してくれる。大好きなお友達の近所にも引っ越したことだし(笑 きみらは、現代版セブ&キミか…?)、これからもどんなチームにしろ、がんばってほしい。

 片山右京さんが、インスタグラムにジョージとの思い出を語ったというので、話題になっている。
 ジョージは言わずと知れた F1 の大ファンで、ドライバーやチーム関係者にも友人が多い。今回の右京さんのコメントはというのが…

ジョージさんはF1が大好きで、ジャッキー・スチュワートさん​の頃からサーキットに足を運んでて僕も彼の世界中にあるだろう別荘に何度も誘ってもらった。ただ現役の頃は余裕無くてなかなか遊びに行けなかったんだよね。
ジョージさんは日本の文化が大好きだったから、僕のことも凄く応援してくれてたのに、いま考えたら申し訳なかったなーって、彼の愛にあふれた笑顔を見て思った


 実は私、右京さんにファンレターを出したことがある。私がこれまでの人生で出した、たった2通のファンレターのうちのひとつが、右京さん宛てだ。しかも結構最近。数年前のことだ。
 ふと思い立って、ジョージのピクチャー・シングル [Faster] を2枚手に入れ、1枚を自分のものとし、もう1枚をファンレターと一緒に右京さんに贈ったのだ。右京さんはご丁寧に返事を下さり、このときも「ジョージさんの優しい笑顔を思い出します」て書いていた。
 そう、右京さんて、ジョージのことを「ジョージさん」って呼ぶんだよね…

 やっぱり右京さん、ジョージの別荘に招待されていたか!さすが「人たらし」のジョージ。カミカゼ・ウキョウを逃すわけがないよね。
 面白かったのが、右京さんとジョージの記念撮影の写真。これは右京さんのインスタグラムで確認してほしい。

Ukyo Katayama ukyokatayama8163

 右京さん、首ふとっ!!!!当時、ほかのドライバーに比べて華奢だと思ってたけど、さすがに首は太い!!というか、角田くんそっくり!!!やっぱり F1 ドライバーたるもの、この強靱な首の太さは生命線だよな…。ラスベガスでのコラピントのクラッシュなんて、"I'm OK." とか言ってたけど、全然 OK じゃないよ!
 F1 は本当にスポーツか疑問を持たれる点も多いけど、最後はフィジカルなのであって、強靱な肉体がないと20人のF1レーサーにはなれないし、やっぱりお金だけではないのだと思う。"Paydriver" という言葉もあるけれど、彼らだって首は強靱なはずだ。

Finding Out2024/11/03 22:03

 本来はもっと早くこの記事を書くつもりだったが、ビジネス・デイはチャレンジングでハード。かなり遅くまで働く日が続き(work from home であることが救い。仕事を終えて30分でシャワーを浴びて就寝できる)、今日になったら今日になったで、地球の裏側の F1 予選がとんでもないことになって大騒ぎをしている。しかも、日本プロ野球も横浜が1998年以来の日本一。
 ほんとうに、色々なことが一度に起きる。あと二時間半で F1 の決勝だ。

 今回の [Long After Dark] のデラックス・エディションに関して、私は完全に誤解をしていた。Bluray discが付くと聴いた時点で、動画が収録されていると信じて疑わず、即ち例のトムさんが首にブルーのバンダナを巻いている "French TV" とやらの完全版とかが、収録されると思ってウキウキしていたのだ。
 平日の激務の後、いよいよと思って Bluray disc を再生してみて、ぽかんとしてしまった。ただの静止画コラージュとサウンドだけではないか。
 これは私がどこかでメニューを間違えたに違いないと思って、人に訊いてみると「Bluray Audio って書いてあるでしょ。そもそも動画が収録されているとは報じられていない」と言われて、しばし目が点になり、そして悶絶した。ええ、私が馬鹿でしたよ。

 気を取り直して、公式が YouTube にアップしている、いわゆる "French TV" を鑑賞する。昔から思っているのだが、金髪サラサラに青いバンダナのトムさんが、ゴールデン・レトリーバーに見えて仕方がない。
 しみじみ思うに、私にとってトム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズのベストメンバーは、ハウイとスタンのいた時期だった。バンド全体に若さがみなぎっていて、ロックンロールで、コーラスワークが最高に充実している。スティーヴ・フェローニと比較してスタンのドラミングに難ありとする人も居るが、私はそれほどとは思わず、むしろ躍動感があって、溌剌としていて好きだ。スタンのドラミングが合わなくなったのは、すなわちトムさんの変化ゆえであり、歩調を合わせるマイクやベンモントの変化ゆえだったのだと思う。

"Finding Out" はマイクとトムさんの共作らしく疾走感があって、すごく格好良い。



 マイクの手つきが無性に好きだ。私は手に ―― 特に男性の手に魅力を感じる性質で、とりわけマイクのこの手つきがたまらない。ジョージも同じような手をしているが、細くて骨張っていて、指の間がしなやかに伸びて離れている。そういう手が好きで、実は自分がピアノを弾くときも ―― 骨張ってはいないが ―― 類似の手をしている。
 トムさんのマイクを見るまなざしが愛しくていい。「良いギタリストがいるなぁ」という視線。初めて会ったときから、こいつを絶対に離さないを決めたトムさんの意志は、その後何十年と、彼らの人生とロックンロール・ミュージックを、より豊かなものにしたに違いない。

Do you know Tom Petty?2024/08/26 21:00

 オランダGP決勝。右京さんから、さらっと良い言葉でました。
 「F1 に根性はない」
 勝つために必要なのは根性ではない。その通り!

 ふだんは快適な Work from Home なのだが、月に1回程度は都心のオフィスに出社する。今日は、新しく就任した偉い人(アメリカ人)とのミーティングだった。
 自分のプレゼンのために資料とデータを用意し、喋る内容もスクリプトにしておく。どうせ喋る間に質問が挟まるので、それに答えるのに英語瞬発力は温存するのだ。ちなみに、スクリプトは毎回手書きしている。筆記体でアルファベットを綴るのが好きなのだ。最近は安物の万年筆を買って、ドイツ語を書いたりしている。

 ともあれ、私のプレゼンが終わり、偉い人たちは客先へ出かける前のブレイク。
 ここで、初対面のアメリカ人に対する我が必殺技が炸裂する。
ぶち「アメリカ人に会うと毎回同じ事を訊くのだけど…
Do you know Tom Petty?"

「イェイ!もちろん知ってるよ!」
"I love Tom Petty! I'm a big fan of Tom Petty and the Heartbreakers!"
「ワァオ!アメリカ人はみんな大好きだよ!」

 ほぼ間違いなくこの展開になり、小柄ジャパニーズの私は、「トム・ペティの人」で認識されるのである。
 しかも今日の偉い人の場合、好きな曲は?などと訊き返してきて、"American Girl" とか "Free Fallin'" とかいってワオワオ盛り上がり、しかも彼女はコンサートにも2回行っていると言う!おっと負けちゃいられないぜ、私だって…!…とまぁ、必殺トム・ペティ作戦は今日も成功するのであった。

 アメリカの会社に勤めているので、ロック好きとはいってもビートルズやストーンズは、やっぱり UK だし、ボブ・ディランとなるとちょっと固いかなぁとなる。ザ・バーズとか、ザ・バンドなんて話は、かなりロック友情を深めないとならないだろう。
 その点、トム・ペティはアメリカ人にとって「みんな大好きトム・ペティ。」一瞬でがっちり心を掴む。最悪、トムさんを知らなくても "Free Fallin'" を歌うと、「ああ、あの人か!」となる。



 ちなみに、アメリカ人と言っても様々な人種があるので、トムさんがヒットしない希な場合は、スモーキー・ロビンソンである。

One Hit (To The Body)2024/07/02 20:41

 F1 オーストリア GP, フェルスタッペンとノリス君のバッドエンド。ああ、とうとうやってしまったなという感じ。
 ずっと1位、2位をこの二人が占めていたし、レースの展開としても終盤にノリスが追いつくようになっていた。フェルスタッペンのアドヴァンテージがみるみるうちになくなり、とうとう接触、双方パンクという結末におわった。
 私はこれを待っていたような気がする。とにかくフェルスタッペンが好きではないのだ(別に致命的に嫌いなのではなく、なんとなく好きじゃ無いポイントが多いだけ)。そこへ、お気に入りのノリス君が追いついたのだ。
 チャンピオン交代劇のファースト・コンタクトというべきだろう。双方真剣であり、譲れない勝負だった。どちらが思慮不足だったとは思わない。
 「友情の危機!」などと言われているようだが、それほどの友情でもあるまい。基本、仕事の仲間であり、同士であり、ライバルなのだ。セブとキミのような友情を想定してはいけない。

 男の友情の危機 ―― と言う音楽となると、だいたいは女性がらみになり、ほぼ間違いなく友情は破綻する。まぁ、本当の友達だったら、彼女を好きになっても自制できるのが人間の理性というものだろう。野生動物じゃあるまいし。(ジョージとクラプトンだけは人類の例外…じゃなくて、ジョージが特異なのだ)。
 ロックバンドというものは、往々にして友達同士で組む場合がある。しかし、その音楽的能力の差や、価値観の違いで仲違いをしてしまうことも多い。バンドがたくさん組まれると同時に、たくさん解散するのは当然の流れだ。

 1985年、ローリング・ストーンズは解散の危機にあった。ミックとキースがかなり険悪な関係になったためである。主な理由はミックが秘密裏にソロ契約を結んでいたことらしいが、ストーンズ第一のキースにはそれが許せなかっただろう。
 40年経ったいまなら、ソロ契約なんてそれほど深刻に考える必要もなかったことがわかるが、当時は本当に厳しかったようだ。でも、ミックもキースもストーンズを解散させることはさすがに考えなかったらしい。そこでロニーの力も借りてなんとか曲を「共作」し、アルバム [Dirty Work]を完成させた。
 "One Hit (To The Body)" のミュージック・ビデオは、その頃の二人の険悪な関係をよく表しているとも言われているが、それにしてもうまく撮れている。
 二人の仲はアルバム発表後もさらに悪化したとされているが、1989年までには関係修復している。誰かが言っていたが、ミックとキースは「なんとなく仲直りしてしまう」そうだ。


At Last ... Lando Norris Won !2024/05/08 20:38

 F1 第6戦、マイアミGP でランド・ノリスが優勝した。まさに誰からも祝福される、素敵な優勝だった。
 ノリスはデビューした時からその才能を認められ、近年ではいつ優勝してもおかしくないと思われつつ、どうしても優勝だけは手が届かないでいた。時間の問題だったとは言え、やはりほっとせずにはいられなかった。
 レース終了早々、たくさんの祝福を受けるシーンには感動した。



 そもそも、ノリスくんは好きになる要素だらけなのだ。まず明るいキャラクターで、みんなに好かれる。おとぼけ発言をする。
 実は子供の頃にセバスチャンと記念撮影をしている。その縁なのか、スパで大クラッシュした時は、セブがコース上でノリスの様子を確認。セブの優しさが世界に発信される。
 スパと言えば、大雨でほとんど走らない決勝後に、優勝した(ことになった)フェルスタッペンのインタビューに乱入して、「すんばらしい走りだった!」
 フェルスタッペンと言えば、去年のハンガリーでは、優勝トロフィーをノリスくんに破壊される。



 優勝が手に届きそうになったそのとき、大雨にたたられ、意地で走り続けチャンスを逃す。寿司が嫌い。ミルクが好き。今時の UK ロックバンド好き
 今回のスプリントではあっという間にリタイアに追い込まれ、コースを無断横断して罰金を取られる…右京さんか!

 ここ2年、チャンピオン争いがつまらなかっただけに、今年はノリス、フェラーリの二人あたりがシーズンを面白い物にしてくれると良いと思う。
 角田君も連戦良い仕事をして強い印象を残している。今やドライバーランキング10位だ。成長してきている角田君にも、何か素晴らしい結果がついてくると良いと思う。

 一応、マグヌッセンの dirty な走りについて。
 ハースにはハースなりの戦い方があって、変化球を投げることだって、致し方がないだろう。チームメイトにポイントを稼がせるために、後ろをブロックするのはトップ・チームだって頻繁にやることだ。
 ただ、今回のマグヌッセンは「やり過ぎ」であり、それは許されないレベルだった。特にスプリントでルイスをコース外から押さえ込んだのは、トップ・カテゴリーらしからぬお粗末な走りだった。
 以前から散々 dirty だと言われつつ、なんだかんだと今日まで走っているマグヌッセンだ。レースを面白くしてくれる人でもあるので、ここは素直に修正してくれれば良いと思う。それはチームで取り組むべき事だろう。

odd Concertina effect2024/04/24 19:46

 先日の F1 中国GP は色々なことがあったが ―― ノリスくんの多数2位ぶりは、キミ・ライコネンと、全米2位の長期間記録を持つトム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズを彷彿とさせる ―― レース後のニュース記事の一つに、私は目が釘付けになった。
 
Ricciardo blasts Stroll after Chinese GP collision

 セイフティ・カー・エンディングになったとき、全開になる前はだれもがぐっとスピードを落とし、車間が縮まるのは見慣れた光景である。そんな中ランス・ストロールは前のダニエル・リカルドに追突し、リカルドが激怒しているのだ。それに対して、ストロールのコメントは、
"It was a really odd concertina effect"
 日本語の記事では、「アコーディオン効果」と日本人にも分かりやすいようにしているものもあるが、とにかくストロールはコンサティーナを選んだのが、とても興味深かった。
 ストロールの言う「コンサティーナ効果」とは、一般道でも起きる渋滞のメカニズムのことで、それこそ「アコーディオン効果」とも「のびのびバンド効果」という言い方もあるそうだ。

 ついでに、決勝後のクールダウン・ルーム。追突を見て OMG!! なマックス。「My fault. 俺のせいです」まぁ、そうと言えばそうかもね。



 日本は学校教育の現場で、鍵盤のついた大きな鍵盤アコーディオンがよく用いられていたため、蛇腹のついたフリーリード楽器の中ではアコーディオンが一番良く知られている。逆にコンサティーナではイメージが湧かないほど、その楽器の名は知られていない。むしろ、バンドネオンの方が知名度があるくらいだ。

 私はアイルランドの音楽をやっているので、だんぜんコンサティーナに憧れがある。鍵盤ではなく、左右の手を固定して指先だけを動かして音程を出すため、早弾きも訓練すれば可能。
 近年もっとも素晴らしいコンサティーナ奏者の一人は、タリスクのモーゼン・アミニで間違いない。"Echo" があまりにも素晴らしすぎて、うっかりこの楽器に手を出しそうになってしまったほどだ。
 そういえばタリスクは最近どうしているのだろう?最新アルバムはちょっとテクノっぽくて好きではないが…ライブがあったら見に行きたい。

Tomorrow Is a Long Time2024/04/07 19:26

 初めての春開催となった F1 日本GP も無事終了。角田くんが入賞して、めでたしめでたし。本当によかった。来日したご一行様も秋とはひと味違う ―― しかも幸運にも桜の満開と重なった、日本での開催を楽しんでくれたのではないだろうか。
 GPの週末が始まる前は、やたらと「あなたが読みそうな記事」に、セバスチャン・ベッテルのF1 復帰か、はたまたポルシェなのかと、そういう記事が上がってきて、いちいち「いやいや、それは無いから」と、自分を落ち着かせていた。
 困るのは、世の中には「エイプリルフールのネタ」としか思えないほど、突拍子も無いことが起きることだ。もっとも顕著な例は、「ボブ・ディランのノーベル文学賞受賞」と、「高橋大輔のアイスダンス転向」。話題になっては「冗談」として扱われてきたのに、実現してしまうのだから世の中わからない。
 私にとっての、いまのところ実現しないであろうというネタは、「セバスチャンの現役復帰」、「坂本花織の4回転ループ」、「トラヴェリング・ウィルベリーズ再結成」の三つだ。

   最後の一つは、難しいが意外と不可能でも無いような気がする。そもそもウィルベリーズはオリジナルから一人欠けた状態でも二枚目のアルバムを制作しているのだ。
 ダニーがジョージの代理を務めるのはまずハードルが低いと思うし、トムさんの代役はマイクがつとめて全然不自然ではない状況になっている。そうなったらあとはジェフ・リンを引っ張り出すのはこれまたハードルが低く、最終的にはディラン様次第ということになる。
 そりゃあ無理だ ―― というのは当然だが、去年はディラン様とハートブレイカーズの共演という、とんでもないことが実現したことを忘れてはいけない。ウィルベリーズ再結成と言いつつ、私としてはハートブレイカーズ込みである。

 80年代のディラン様とハートブレイカーズ。"Tomorrow Is a Long Time" を演奏している珍しい動画を発見。これはほとんどベンモントとディラン様の二人だけ ―― マイクのナイスアシストあり ―― で成立した、しっとりとして美しいパフォーマンスだ。思わず息を詰めて聴き入り、終わるなり「素晴らしい!」と声を上げずにはいられなかった。

Sue Me Sue You Blues2024/03/17 20:37

 F1 はスポーツとして好きなので、レースが見られればそれだけで良いのだが、世の中はいろいろ複雑で、面倒なことが周囲でおこり、フェリペ・マッサの2008年のチャンピオンシップをめぐる訴訟の話もその一つだ。確かにこの年、彼はシンガポールGPでポイントを失ったし、最終戦は渾身の走りで優勝したが、チャンピオンシップだけは彼の指の間からすり抜けた。
 16年後の今、マッサの心の内はどんなものか、想像すらできない。すきなドライバーだったので、彼の人生がより豊かで幸せな物になることを祈っている。それは必ずしも訴訟とは結びつかないかも知れないけど。

 デイモン・ヒルはさすがのユーモア感覚を披露している。

F1王者ヒル「もし父の王座を奪うなら...訴えてやる!」とジョーク飛ばす

 ヒルの顔を見ると、必ず思い出すのはジョージの姿。ジョージと訴訟と言えばもちろんこの曲だ。



 この曲は、ビートルズ解散以来、泥沼化していた訴訟のやり合いにインスピレーションを得ている。ジョージ自身、訴訟を起こしたり、起こされたりでだんだん馬鹿馬鹿しなってきたのだろう。ビートルズのパロディ・バンド(ジョージも制作に関わっている)ザ・ラットルズでもメンバー同士が訴え合い、一人は間違えて自分で自分を訴えたりしているのだ。
 演奏に参加しているのは、ゲイリー・ライト、ニッキー・ホプキンズ、クラウス・フォアマン、そしてジム・ケルトナー。さすがジョージのセッション、豪華メンバーがお揃いだ。

 この曲は、ジェシ・エド・デイヴィスに提供されている。



 ジョージの演奏より、よりブルーが濃い感じがする。ヴォーカリストとしては、さすがにジョージのほうが上手だ。ギタープレイとしてはジェシ・エド・デイヴィスの魅力を存分に味わうことが出来る。

Why Didn't They Ask Evans2024/03/10 16:25

 アガサ・クリスティのファンなので、映像化はそこそこ見るのだが、近年の映画もテレビも不作続きである。ケネス・ブラナーの映画も、ジョン・マルコビッチのテレビも最初の作品で見る気を失った。
 今夜から NHK で、いわゆるノン・シリーズの「なぜ、エヴァンズに頼まなかったのか?」の放映が始まる。あまり期待していなかったのだが、制作がヒュー・ローリーだときいて俄然興味が湧いた。彼も出演するし、エマ・トンプソンまで出演するというのだから、必見である。



 ヒュー・ローリーといえば、ブリティッシュ・コメディ界の大スター。名門ケンブリッジ大学のフットライツ出身で、盟友のスティーヴン・フライとともに名作スケッチの数々を生み出した。ちなみに、エマ・トンプソンもフットライツ以来の盟友である。ローリーはコメディのみならず、医療ドラマの主演を経て俳優としても活躍している。

 ローリーの良いと思うところの一つが、音楽が得意なところだ。ギターもピアノも玄人はだし。
 以前も貼り付けたことがあるこちらの [Protest Song] というスケッチでは、ボブ・ディランのパロディとおぼしきミュージシャンが活躍する。



 歌詞の肝心な所を忘れてしまい、適当にごまかすのが最高。
 もう一つ面白かったのが、F1 ウィナーのインタビュー。最初に挿入される映像を見ると、80年代末頃かな?面白いことに、ボソボソとしたしゃべり口がキミ・ライコネンに、姿は痩せすぎたセバスチャン・ベッテルに似ている。要するに好きだ。



 ひどく後ろ向きなウィナーに、どうしても "happy" と言わせたいインタビュアーがどんどんエスカレートする辺りは、[Dead parrot] を彷彿とさせる。ローリー&フライのスケッチは、最終的に切れたフライがローリーをぶん殴って終わらせることが多い。

 今夜からの放映は、ブリティッシュ・カルチャー好きを満足させることが出来るのか?要チェックである。