12-String Guitar2017/04/13 22:43

 チャック・ベリーが亡くなったり、J.ガイルズが亡くなったり。
 そうかと思ったら、15年以上前に亡くなったジョージが、未だにリンゴ・ラブラブ爆弾を投下したり。


Olivia Harrison Discovers George Harrison Song Written For Ringo Starr

 ジョージもジョージだが、絶妙に投下してくる当事者である、オリヴィアもなかなかのものだ。さすがは最強の嫁。次はどんなラブコールが飛び出すのか、ドキドキしているおじさん方も多いのでではないだろうか。
とにかく。この世は色々なことがある。

 そんな中で、いつもお世話になっているトム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズの日本のファン組織,Heartbreaker's Japan Partyに教えてもらった、「12弦ギターを使ったロック史上・最高の曲」というランキングが気になった。

The Top 30 12-String Guitar Songs of All Time

 まてまてまてまて、ちょおっと待て!
 納得がいかないぞ。この雑誌と趣味が合わないのだろうが、とにかく納得がいかない。1位の曲はたしかに偉大だが、12弦と限定して強調するべき脈絡の曲だろうか?(もっとも、このバンドが好きではないという事情もあるのだが…)

 バーズとビートルズの曲でトップ5を固めるべきだ!そもそも "If I Needed Someone" がランクインしていない時点で、論外だ!

 そしてこれ。リッケン馬鹿はかくあるべし!



 どうやら、私の頭では12弦ギターというと、リッケバッカーのエレクトリック・ギターしかないらしい。やはりアイドルの存在は大きい。
 どうでも良い事だが、ウクレレにも8弦というシロモノがあるそうだ。冗談半分で買ってやろうかとも思うが、先生に全力で止められそうだ。

ジョージの紙ジャケがやってきた ヤァ!ヤァ!ヤァ!2017/03/10 22:15

 お待ちかね、ジョージの紙ジャケットが届いた。[All Things Must Pass] から、[Brainwashed] までのソロアルバム、11タイトル。私は苦行をする趣味はないので、[ATMP] の前二つのインスト・アルバムは買わない。必要なし。

 ジョージてんこもり!



 買い込んでおいて言うのもなんだが、私はジャケットや箱をためつすがめつ、愛でるという習慣がない。要は音楽が記録された盤さえあれば良い。それじゃぁ、紙ジャケを買った意味が無いが…
 でも、帯は面白い。たぶん、これは最初にアルバムが世に出たときと同じなのだろう。売り文句が時代を反映しているようで面白い。

All Things Must Pass
 ロック界に不滅の金字塔

Living in the Material World
 (なぜか売り文句は無し。かわりにジョージの写真)

Dark Horse
 エリック・クラプトン、アルヴィン・リー、リンゴ・スター、ビリー・プレストン、トム・スコット、ウィリー・ウィークス、ニッキー・ホプキンス他の超強力陣を配した、ジョージの鮮やかなロック・セッション!!含蓄のある詞に絡みつくジョージ独特の滑らかサウンドはまさに孤高の境地か!!

ジョージ・ハリスン帝国
 (参加ミュージシャンの名前を連ねただけ。それにしても凄い邦題だ)

33 & 1/3
 約一年の歳月を費やし遂に築きあげたジョージ・ハリスンの新しき境地。ダーク・ホース・レーベル、移籍第1弾!!自分の音楽を求め続け、孤高の人生を歩むジョージに、さらに新しい世界が開かれた。

慈愛の輝き
 二年以上の空白を吹き飛ばす夢の共演!!親友エリック・クラプトン、スティーヴィー・ウィンウッド等を迎え ジョージ・ハリスンが作りあげた待望のニュー・アルバム!!

想いは果てなく-母なるイングランド-
 ジョージ・ハリスンの愛が、優しさが世界を包み込む!!ジョン・レノンを歌った超話題曲、「過ぎ去りし日々」を含む待望のニュー・アルバム!!

Gone Troppo
 ★輝く太陽の下、爽やかな風がジョージの愛を運ぶ!!ロマンの香り漂うニュー・サウンドにジョージの新しい魅力を発見する改心の意欲作!!

Cloud Nine
 ジョージ・ハリスン、5年振りの凱旋。「ゴーン・トロッポ」('82年)発表後の長い沈黙を破って、全世界待望のジョージの傑作ニュー・アルバム、遂に完成!エリック・クラプトン、エルトン・ジョン、リンゴ・スター他、豪華ゲスト・スターが夢の協演!!

Live in Japan
 '91年12月、日本列島を熱狂と感動の嵐が駆け抜けた ジョージ・ハリスンの25年ぶりの来日、17年ぶりのコンサート・ツアー、そして、親友エリック・クラプトンとともに…あの感動、興奮のステージを収録した待望のライヴ・アルバム

Brainwashed
 悠久の輝きを放つ崇高な魂の旋律 ―。1999年から亡くなる直前まで3年の歳月をかけ制作されたジョージ・ハリスン最後のオリジナル・アルバム。静かな魂の慟哭がスピリチュアルで無限の優しさに包まれた感動の傑作。

 なに言ってんだか分かりません状態の物も多数。[Brainwashed] なんて、静かな魂の慟哭がなぁんだってぇ?![Gone Troppo] に至っては、最初に★なんぞつけて、ふざけているとしか思えない。
 あと、「親友エリック・クラプトン」でて来すぎ。[Live in Japan] はテレビ欄のストーリー紹介みたい。
 はじめは「約一年を費やし」とか言っていたのが、「二年以上の空白」、「5年ぶりの凱旋」となる過程も興味深い。

 帯も再現したのなら、中身の日本語解説も当時のものが欲しかった。今回のリイシューのために、天辰さんの新しい文章が読めるのは嬉しいが…
 天辰さんの文章で思い出したことがある。長くなるので、また次回。

All Things Must Pass2017/02/26 19:40

 CRTジョージ祭りで、本秀康さんがお勧めしていたドキュメンタリー映画が、「オール・シングス・マスト・パス」。タワーレコーズの誕生と隆盛、そしてその終焉までを追っている。



 監督はコリン・ハンクス。名前でピンと来るが、トム・ハンクスの息子だそうだ。
 インタビューに登場するのは、タワーの創始者であるラス・ソロモンをはじめとする、草創期のスタッフたち。彼らが、タワーレコーズがいかに発展していったのかを楽しげに語る。そして、ブルース・スプリングスティーンや、エルトン・ジョン、デイヴ・グロールなどが、巨大レコード店で膨大な在庫に目を輝かせた想い出を懐かしむ。デイヴ・グロールという人は、この手のドキュメンタリーには必ず登場する。
 タワーの隆盛は、まさに60年代から始まったポップミュージックの爆発的な発展と、歩みを共にしていた。そしてその雰囲気も、自由ではちゃめちゃ。服装も髪型も自由だし、アルコールやドラッグ、パーティの日々も謳歌していた。それでも誰もが音楽を愛し、その知識も豊富で、若者たちと情報を交換していた。
 あぶなっかしいが、とりあえずは絶好調で、アメリカ西海岸を足がかりに、まずは日本、さらにアメリカ東海岸、ヨーロッパ、南米へと店舗を広げる。
 80年代のCDの登場は、さらなる業界の発展を予感させたが、それは終わりの始まりだった。音楽のデジタル化は、ディスクというものを介さない、インターネット上の音楽の拡散となり、それがタワーレコーズの店舗を維持することを不可能にしたのは、周知のとおり。もっとも、それだけが原因ではないかも知れないが。

 勢いのある頃を語る人々が、やがて会社の解体となると、人を非難しがじめるのが、辛い。何事にも、そういう時期はある。このドキュメンタリーは、まだタワーの終焉の傷が癒えないうちに作られたことが分かる。
 アメリカのタワーが消滅し、悲しみだけが残る中、日本ではタワーの看板が輝いている。その不思議さにも思うところがある。もっとも、日本のタワーがこれからどうなるかは、私にも分からない。

 音楽は、ディスクという「盤」を完全に必要としなくなるのだろうか。音楽を愛する人は、「物」を集めたがるはずだという考えは、個人的には賛成だ。確かに、かつてほど多くの人がディスクを必要とはしていないし、その商業が衰えるのは仕方が無いことだろう。
 しかし、かつてエジソンがレコードを発明したとき、演奏を生業とする人が職を失うことを心配しつつも、100年以上経過した今でも、「演奏家」は存在する。映画が登場しても舞台芸術は滅びていないし、テレビが普及しても、映画は滅びていない。
 確かに、インターネット普及前ほどの爆発的な利益は得ないかも知れない。音楽にお金を払わずに楽しむ人も多いかも知れない。しかし、音楽にお金をかけたい人も、必ずいると私は信じている。
 音楽が好きな人なら ― ディスクを買う人も、買わない人も ― 一度見てみて欲しい作品だ。

 さて、タイトルでも分かるとおり、このドキュメンタリー作品は、ジョージ・ハリスンファンには必見の作品でもある。アルバム [All Things Must Pass]や[Cloud Nine] が良いところで登場するし、楽曲 [All Things Must Pass]の使われ方など、最高で、かなり涙腺に来る。
 エンディングクレジットの Special Thanks の冒頭に、オリヴィア・ハリスンの名前がある。映画のタイトルを拝借する許可をもらったのだろう。

 All Things Must Pass
 万物は変わりゆく。すべては移りゆく。それでも、音楽と、音楽を愛する人々は存在し続けるに違いない。

CRT & レココレ ジョージ・ハリスン誕生祭2017/02/21 17:55

 年に一度のお楽しみ、レココレ・プレゼンツ CRT ジョージ・ハリスン祭りが開催され、例年のとおり参加した。

 今回の話題の中心は、2月24日に迫った"THE VINYL COLLECTION"の発売。ジョージのオリジナル・アルバムと、日本公演のLPレコードセットの発売だ。



 ジョージ大好き、本秀康さんが会場に集ったジョージファンたちに、「レコードボックス買う人!」と訪ねたところ、まさかのゼロ!なんと誰も予約もしていないし、買う人も居なかったのだ。ショックを隠せない本さん。
 さらに追い打ちを掛けることに、日本限定CD紙ジャケを購入予定なのは、二人だけだったのだ。ちなみに、そのうちの一人が私。
 「この場に居る人が買わなかったら、誰が買うわけ?!」とは、萩原健太さん。

 思うに、どうやらCRTに集まるジョージファンは、ジョージのファンではあっても、コレクターではないということのようだ。殆どの人が [Dark Horse Box] と[Apple Box] を持っているわけだし、かさばる上に高額で、聴くにはターンテーブルが必要なLPボックスには食指が動かないのも分かる。
 私はトム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズのLPボックスも購入していない。もしCD紙ジャケセットがあれば買うのだが。ジョージも小さいのなら持っていていても良いだろうと思い、予約している。もっとも、発送は3月以降だそうだ。

 アンケートコーナーでは、イベントについて「マニアック過ぎでは?」との意見があった。
 確かにその通り。「あえて」メジャーでポップな曲を流すことを避けているし、「電子音楽の世界」と「不思議の壁」を苦行のように聴こうとするのは、あまり意味がないと思う。
 我等こそはジョージのファンだという力みは否めない。気持ちは分かるが、もっと気楽に、好きな曲、多くの人に分かり易い曲を楽しんだ方が良さそうだ。
 「ジョージを世に広めるには、どうすれば良いか?!」と大まじめに考えているが、よく考えれば、既にジョージは世に広まっているし、音楽が好きな人が素晴らしき音楽を探索する過程に、ジョージが居ればそれだけで良いと思う。

 そうは言っても、欧米と日本での知名度に落差のあるTP&HBのファンである私としては、「もっとよく知って欲しい!」と努力したい気持ちも良く分かる。このブログだって、そういう意義が無いとは言えない。
 「いくらか知識があって、それを前提とした音楽の話」も良いが、もっと基本的な「彼らの良さ」から語るのも、重要な切り口だと、改めて思った。

Wah-Wah2017/01/11 20:52

 ジョージの公式ツイッターによると、1969年1月10日は、ジョージが「バンドから抜け出して家に帰り、"Wah-Wah" を作った」日だそうだ。
 ツイッターにはそうとしか書いていないが、どうしてバンドから抜け出したかというと、もちろんポールにムカついたからである。
 そんなわけで、まずはスタジオ・レコーディングの "Wah-Wah"。収録アルバムは、もちろん名作 [All Things Must Pass]。



 ジョージの曲のなかで一番好きな曲はと聴かれたら、一応 "Isn't it a pitty" と答えることにしているが、実のところ "Wah-Wah" も捨てがたい。これらの曲が同じアルバムに収録されているところが、ジョージの凄まじさなのだ。
 クールだけど熱くて、煌びやか。こんな名作が生み出されるのだから、ポールに感謝しても良いかも知れない。
 ジョージにとっても自信作だったのではないだろうか。[Concert for Bangladesh] ではバンド・パートのオープニングを飾っている。あれだけの人数がステージ上に揃っていれば、やりがいのある曲だ。

 ライブといえば、"Wah-Wah" の一番の名演は [Concert for George] だろう。



 目一杯の人数をステージ上に揃え、ありったけの音を響かせまくる。この曲の演奏はこうでなくてはいけない。このコンサートはジョージの追悼コンサートだが、とてもそうとは思えないほどの、ハッピーな祝祭感。音楽監督を務めたエリック・クラプトンと、ジェフ・リンに拍手喝采である。
 そして動画で見るたびに笑うのだが、トムさんの位置取りが最高。ダニーとクラプトン、どちらを捉えてもしっかり映り込むニコニコ・トムさん。金髪も目立つし、大口開けて笑っているし。大好き。

 "Wah-Wah" にはカバーも多いが、私の印象に残っているのは、オーシャン・カラー・シーンによるカバーだ。2004年のレコーディングだというから、[Concert for George] の演奏を見て、録音する気になったのではないかと、推察している。
 オリジナルの良さをよく理解して、カラフルに、ハッピーに、華やかな音作りをしているところが、とても好感触だ。

Nobel Prize: Bob Dylan2016/12/13 21:37

 トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズの全米ツアーと、ロンドン,ハイドパークでのライブが告知された。
 7月までは、どうしても都合が悪く、行けそうにない。泣く泣く諦めている。西海岸の日程がまだ発表になっていないが、アメリカ西海岸には、行く気がしない。とても残念。自分で、何か埋め合わせをしなければと思っている。

 悲しい気持ちを癒やす、ディラン様の話題。何せ、ノーベル賞受賞である。
 NHK が「NHKスペシャル」で10日に放映した、「ボブ・ディラン ノーベル賞詩人 魔法の言葉」の感想から。

 この番組を見た多くのディランファンは、「予想より悪くなかった」と思っているのではないだろうか。要するに、"Blowin' in the wind" だけではなかったということ。代表曲だけでではなく、色々な曲が登場し、濃密な自筆原稿がビジュアル的に迫ってくる様子は、なかなか良かった。

 番組制作上での印象なのだろうが、ディランのミステリアスな面が強調されているのは、ちょっと気になった。
 ヒョウ柄ソファのアル・クーパーも、どうすれば会えるか、皆目見当が付かないという。(もっとも、彼とディランの関係がどの程度の深さのか、良く分からないのだが。)
 確かに、そう簡単には会えないし、テレビにも出演しない、インタビューにもめったに応じない。ある意味「謎多き有名人」なのだろう。

 しかし、ディランは沈黙の人ではないし、隠遁もしていない。賞の授賞式で喋りまくり、ラジオ番組のDJもするし、本も書く。何と言っても、アルバムも出すし、ライブ・ツアーに至っては延々と続けている。彼のコンサートにさえ行けば、ステージ上でニヤニヤしながら、変な動きをしつつ歌いまくるディランを体感できる。ミュージシャンとしては、「アウォードのプレゼンターは務めるけど演奏しない人」よりは、よほど肉体的だ。
 私などは、ジョージやハートブレイカーズを通してディラン様を見ることも多いだけに、それほど神秘的だとは思っていないというのも、「ミステリアス」の強調にはピンとこない理由だろう。

 ノーベル文学賞の理由である、詩について。
 俳優をわざとらしく出してこなくても良いとは思うが、普段はディラン自身の声の英語で聞いている詩を、日本語で語られると、またひと味違う。
 ちょっといただけないと思ったのは、戦争とそのエグい映像が多かったこと。反戦を歌っているのは真実だが、それほど残酷な画像が必要かというと疑問だ。もう一度見たい番組のはずが、この点で二の足を踏んでしまう。
 ディランの詩の世界は反戦や、社会問題を歌っているのはもちろんだが、それだけでは無い。ごく身近で、気楽な、ただ美しい、愛の歌、家族の歌、生活の歌、そういう詩もたくさんある。彼の多面性を、強烈で悲惨な画像の焼き印で制限してしまうのはどうだろう。

 そんな事を言いつつ、実は私、文学というものが全く分からない。本は好きだが、文学というものに興味がないし、詩にはなおさら興味が無い。私は無類の音楽好きであり、ディランの作品は、音楽があるから好きなのだ。ミュージシャン,ボブ・ディランのファンであり、そしてあの容姿の格好良さが大好きなのだ。
 そう!私はディラン様の顔が好きだ!姿が好きだ!キャー!ディランさまー!!約50分間、テレビの前でキャーキャー騒ぎまくり、曲が流れれば、一緒に歌いまくる。
 NHKは [No Direction Home] の制作に関わっているので、あの時期の神々しいディラン様をたっぷり見せてくれたのも嬉しい。
 ノーベル「文学賞」なんて言われても、私には皆目分からない。でもディラン様が格好良い事は分かる。それを再確認した番組だった。

 残念だったのは、ジョージの眉毛もトムさんの金髪も、ちらりとも映らなかったこと。50分でウィルベリー兄弟までも盛り込むのは難しいのは分かるが、かなり期待していたので、がっかりだ。
 でも、たっぷりディラン様を拝めたので良いことにする。

 いよいよノーベル賞授賞式となり、ディランのスピーチが代読された。その全訳がこちら。

ボブ・ディラン、ノーベル賞晩餐会で代読されたスピーチ全文

 分かり易くて良いスピーチだと思う。解説もいらないし、ただ読めば良い。
 面白いと思ったのは、シェイクスピアの話。シェイクスピアは戯曲を書いている最中に、「文学」を意識してはいなかっただろうという話。

 “資金は大丈夫なのか?”“パトロンに十分いい席を用意できるのか?”“骸骨はどこで手に入れたらいい?”など、考えなくてはならない、対処しなくてはならない、より俗世的な事柄もあったでしょう。

 これはニヤリとさせられる。特に小道具の心配がいい。

 せっかくなので、シェイクスピアが登場する、"Stuck inside of mobile with the memphis blues again"。オリジナル・アルバム収録は最高だが、こちらのデモ版も素晴らしい。

Jupiter2016/12/09 22:28

 唐突だが、私は星を見るのが好きだ。
 天気の良い夜は道を歩きながら、よく空を見上げ、知っている星を探す。天体観測を趣味にしても良かったが、寒さが苦手という致命的な弱点のため、そうはなっていない。
 ともあれ、星を確認するために、よくこのサイトを見る。

 今日のほしぞら - 国立天文台暦計算室

 今はちょうど、日没後の南西に金星が煌々と輝いている。さらに火星と、フォーマルハウト(みなみのうお座)が金星とともに三角形を成している。北西にはベガ(こと座),デネブ(はくちょう座),アルタイル(わし座)が沈んでいき、逆に南東からはアルデバラン(おうし座)とカペラ(ぎょしゃ座)が昇ってくる。
 最近、朝は夜明け前に家を出るのだが、北西にプロキオン(こいぬ座)やカストル,ポルックス(ふたご座)が沈む一方、白む南東に昇る春の星々,スピカ(おとめ座)、デネボラとレグルス(しし座),アークトゥルス(うしかい座)が美しい。
 その上、今はちょうど同じ方向に、木星が明るく見えるのだ。同日の朝と夕に、三つの惑星が見られるのは運が良い。

 木星はジュピター(Jupiter)というが、ホルストの組曲「惑星」(1916年)の中でも、一際有名なのが、この [Jupiter] だ。



 ゆったりとした中間部が圧倒的に有名なのだが、私は冒頭が一番良いと思っている。あの格好良さは尋常ではない。一時期、NHKの「N響アワー」のオープニングに使われていた。

 とは言え、中間部の人気は凄まじく、ホルストの存命中に、愛国的な歌詞が付けられ、[I vow to thee, my country] として親しまれている。今でも、戦没者慰霊式や葬儀のみならず、王族の結婚式でも演奏されるそうだ。



 ジュピターと言えば、もう一つ。ノーベル賞授賞式には出席しないボブ・ディランの曲にも、"Jupiter" が登場する。
 私がかなり好きなアルバムの一つ、[Street Legal] のオープニング・チューン "Changing og the Guards" の、"She was torn between Jupiter and Apollo" という歌詞だ。

 数々のディランの詩の中でも、この曲は特に難解な内容で、支離滅裂にも思える。曲が良いから、大好きな曲だが。
 ともあれ、訳詞をされる方々も苦労しているようだ。"Jupiter" のところは、だいたい「彼女はジュピターとアポロの間で引き裂かれた」としてる。
 果たして、この「ジュピターとアポロ」とは何を指すのか。ギリシャ神話のゼウスとアポロンにあたるから、この二人の間で引き裂かれたのか。私は「木星と太陽の間」ではないかと思っている。どちらにせよ、意味不明だが。

Blue & Lonesome / The Real Royal Albert Hall 1966 Concert2016/12/05 20:28

 ボブ・ディランの [The Real Royal Albert Hall 1966 Concert] と、ザ・ローリング・ストーンズの [Blue & Lonesome] の発売日が同じだったため、徒党を組んでやって来た。
 ディラン様にストーンズなんて、最強タッグ。一方は過去のライブ音源、一方はトラディショナルのカバーアルバムだったから対処できるが、両方ともオリジナル楽曲新譜だったら、神経がついていかない。
 思えば、60年代はそういう最強クラスの怒涛が押し寄せていたわけだ。ビートルズは毎年アルバムを発表していたし、初期は年に2枚だった。



 まずは、ストーンズの [Blue & Lonesome] から。
 ストーンズの好きなところの一つが、彼らのオリジナル楽曲の出来の良さなので、そういうメリットのないこのカバー楽曲のみのアルバムはどうなのかと思っていた。しかし、これはこれでストーンズらしい格好良さがある。
 ありがちなのが、ロックスターしてではなく、「ブルースマン」として「渋い」演出に走ることだが、ストーンズはそういう逃げは打たない。敬愛するブルースに対するリスペクトはあるけれど、演奏するのは飽くまでもUK出身,ロックバンドのストーンズなのだという強烈な自負がある。
 言うなれば、彼らがデビューしたころにブルースを演奏していたのと、スタンスが変わらないように聞こえて、それがロックファンとして嬉しい。
 ビデオも、「渋く」は作らずにイメージするストーンズのとおりで良い。



 ミックの踊りって大事なんだと初めて実感する。あれがなかったら、「渋い」演出に逃げかねない。毎度のことながら、チャーリーの上品な背筋の伸び方が最高。
 ゲスト・プレイヤーとしては、エリック・クラプトンが2曲に参加している。べつに彼ではなくても良いような演奏で存在感はイマイチ。もっともクラプトンが存在感を発揮すると、いろいろ困るのだが。
 クラプトンは「偶然、隣りのスタジオで録音していたので、飛び入り参加した」ということになっているが…それを頭からすっかり信じるほど、純粋でもない。
 それよりも、"Hoo Doo Blues" に参加している、ジム・ケルトナーの方が嬉しい。パーカッションというから、あの印象的なクラベスの音だろう。きっと「世界一高いクラベス」に違いない。

 ブルースのカバーだけど、ストーンズ。ストーンズだけどブルースのカバ-。こういうアプローチも、良いだろう。ただ、これを続けて欲しくはない。2年以内に、オリジナル楽曲の新譜を絶対に出して欲しい。ストーンズには、ストーンズでいて欲しいのだ。

 ボブ・ディランの [The Real Royal Albert Hall 1966 Concert] 。ブートレグ・シリーズの [The "Royal Albert Hall" Concert] が、実は5月17日のマンチェスターであり、誤解として「ロイヤル・アルバート・ホール」が定着しているのに対し、「本当の」ロンドン,ロイヤル・アルバート・ホールで、5月26日に行われたコンサートを収録したものだ。
 これほど綺麗にのこっているのに、今まで公式にならなかったのが不思議だが、それほどまでにマンチェスターでの、「事件」が強烈だったのだろう。
 「事件」はともかくとして、こちらの「本当のRAH」は、演奏の出来が良くなっている。マンチェスターから9日後だから、本番という名の練習も、リハーサルも重ねているので、上手いのは当然。私はこういう上手さが好きだ。

 まず、印象的な前半のアコースティック・パート。水を打ったような静けさのRAHが目に浮かぶ。そこにディランがひとり、闇を突き抜けるように歌い上げる [Desolation Row] がもっとも鬼気迫る。
 "Mr. Tambourine Man" のコーダがやけに長く感じる。後半のエレキ・パートへの気後れのようにも聞こえる。
 しかし、後半も落ち着いているし、大した騒ぎもない。ヤジも少しはあるようだが、ディランはだいたい機嫌が良いように思えた。

   「裏切り者!」「お前なんか信じない」「お前は嘘つきだ」「でかい音で行こう」という、あの一連のやりとりがないぶん、これまでの[RAH] よりも悲壮感は少ないが、[The Real RAH] の "Like a Rolling Stone" はかなり良いし、こちらの方が好きかも知れない。
 「タジ・マハールに捧げる」と言って始まり、イントロはさすがにひっくり返ること無く、落ち着いている。上手く盛り上げ、爆発するようなサビでのシャウトでは、ディランらしからぬシャウトが飛び出した。私が真っ先に連想したのはジョン・レノンのシャウトだ。ここまでのディランはちょっとほかには無いと思う。特に4番が素晴らしい。
 従来の [RAH] では、演奏後に騒々しい "God save the Queen" が鳴り響くのだが、私はあれが苦手で、すぐに停止ボタンを押していた。[The Real RAH]は感動的に、"Like a Rolling Stone" が終わってくれる。これも好きな理由かも知れない。

 ディラン様は出そうと思えば、いくらでも出てきそうだが、次こそは、トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズとのツアー音源,映像を出して欲しいところだ。

Rosewood Telecaster2016/11/30 21:29

 私は11月が苦手だ。

 このブログは音楽雑記であって、日記ではない。だからこの類いのことは余り書かないのだが。とにかく、私は11月が苦手だ。
 喜ばしいこともあった月だが、あまり良くないことの方が多く、重く、記憶が暗い。もともと寒がりなので、冬へ向かう気候も苦手だし、体調も総じて悪い。
 その良くない11月の記憶の一つが、2001年のジョージの死だったかも知れない。それも含めてジョージの美しき人生なのだし、あの素晴らしい [Concert for George] も11月だったのだからと、考えを転換するべきなのだろう。

 フェンダーは様々な名器のリイシューをしているが、今年の前半、ジョージのローズ・ウッド・テレキャスターをリイシューしたそうだ。

THE GEORGE HARRISON TRIBUTE ROSEWOOD TELECASTER



 [Let It Be] の時に使っていたことで有名なこの楽器。後にデラニー・ブラムレットに譲られたとのこと。ジョージの死後にデラニーがオークションに出し(出したのか…)、ハリスン家の代理人が競り落としたそうだ。今はダニーに頼めば見せてくれるのか。

 ローズウッドの演奏で一番印象的なのは、何と言っても、"Let It Be" のアルバム・バージョンだろう。
 と、ここまで書いて不安になったのだが、あのソロはローズウッドで間違いないのだろうか?ルーシー(レスポール・スタンダード)ということは?ギターの違いなんて、そうそう分からない。詳しい方がいたら教えて下さい。
 ここでは、ローズウッドだということにして、"Let It Be" アルバムバージョンを貼り付ける。いい奴かどうかはともかくとして、ポールの容姿で一番格好良いと思っているのは、この「Let It Be ヒゲ期」である。
 ジョージを称えるのに、ビートルズの、しかもポールの曲?と思われるかも知れないが、私はビートルズもジョージの輝かしいキャリアの一つなのだし、そもそもビートルズ・ファンなので、抵抗感がない。

Delta Lady2016/11/19 21:23

  レオン・ラッセルが亡くなったという報に接して、真っ先に思い出すのは、やはり [Concert for Bangladesh] での活躍だ。
 旗振り役のジョージや、目玉ゲストのディランだけでは、あの名演奏は成立しなかった。レオン・ラッセルと彼が率いてきたバンドメンバーがいなければ。
 一番格好良いのは、やはり "Jumpin' Jack Flash - Young Blood" ではないだろうか。



 トム・ペティがフロリダからLAに出てきたばかりの頃、ラッセルの世話になったことも有名だ。
 以下は、[Conversatins with Tom Petty] 通称「カントム」からの抜粋。翻訳は私なので、悪しからず。

 ぼくはバーバンクの小さなゲストハウスに引っ越した。文字通り、部屋二つにバスルームつきのゲストハウスだよ。ぼくと最初の妻と一緒に。
 ぼくらはそっちに引っ越して、エンシノにあったレオン・ラッセルの家へ通った。レオンがツアーにでているときは、ぼくが彼の家のルスを預かるために、移ったんだよ。だからぼくは二部屋の家から、大きなお屋敷に通ったんだ。
 ぼくとレオンの出会いはそんな具合だった。彼がツアーにでている間、ぼくが彼の家を維持するのさ。悪い仕事じゃなかったね。
(中略)
 少し金ができると、レオンの家から遠くないところにアパートを借りた。エンシノにね。レオンが住んでいたから、ぼくはエンシノには詳しい。あそこを拠点にしていれば、レオンの仕事場にも行きやすい。
 小さなアパートを借りたのだけど、とにかく金はない。でも悪くない人生だと思った。ぼくは文句は言わなかった。

Q:レオンはあなたを、歌詞制作として雇ったのですか?

TP:うん。ぼくは彼の出版部門と契約したんだ。彼はぼくの曲を聞いて、曲作りの時はいつでも歌詞を書くためにぼくを呼び出せるようにしたかったんだ。
 レオンは自分自身のスタジオで毎日たくさん録音しているような生活を送っていた。レオンにはものすごく感謝している。彼がぼくに、ありとあらゆるものを観察する機会を与えてくれたのだから。たくさんの人たちが働く姿をね。いろんな人に会ったよ。
 その中の何人かはすごい有名人たちだった。そういう人たちの仕事を観察できたんだ。
 ぼくはあそこで、それほど曲づくりをしていないと思う。何度も仕事をするために一緒に座ったなんてこともなかったと思うし。ごくたまにはしたかな。
(中略)
 レオンはぼくをロールス・ロイスで迎えに来てくれた。ロールス・ロイスなんて乗ったこと無かった。そんなことがしばらく続いた。
 レオンはアルバムの曲それぞれを、違うプロデューサーで作っていた。ぼくはその人たち皆に会えたよ。ブライアン・ウィルソンにも会ったし、家にも行った。それから、テリー・メルチャー。そしてジョージ・ハリスンに、リンゴ・スター。

 痩せた、青白く金髪の青年(子持ち)が、レオン・ラッセルが率いるビッグネームたちの間にちょこんと座っている様子が目に浮かぶようだ。

 レオン・ラッセルのアルバムとなると、2枚ほどしか持っていない。
 その中で一番好きな曲のひとつが、"Delta Lady"。ジョージやクラプトンも参加している。1970年の空気が、その熱量とともに噴き出すよう。