Nowhere Man2018/05/10 20:54

 ジョージの可愛い歯並びを見るために、ビートルズの画像を検索しつつ思ったのだが、ひとに「ビートルズで一番好きな曲は?」と訊かれた時に、何と答えるだろうか。

 以前は"She Said, She Said" と答えることにしていた。
 本当は "Here Comes the Sun" なのだが、「ビートルズの曲」というくくりで行くと、"Here Comes the Sun" は卑怯な気がするのだ。
 "She Said, She Said" が、もの凄く好きなのはもちろんだが、ビートルズの中でメジャーな曲とは言いがたい。そこで、最近は "Nowhere Man" と答えることにしている。



 美しいハーモニーと、ギターの組み合わせに、フォークの味わい。歌詞に表れるの孤独への共感。永遠の青春、清らかで生意気なビートルズ。
 しかし、ライブで演奏するにはきつい曲だっただろう。その点、ポールは正直に「難しかった」と言う。すかさず、「うまくいったじゃん」と言い返すジョージ。「上手くいったけど、難しかった」― このやりとり、いかにもポールとジョージという雰囲気で好きだ。



 歌い出しはまさに、地獄のよう。もちろん、入りだけはギターで音を確認してから三人で歌い出すのだが、そのあと四小節は三人のヴォーカルのみ。ギター・リフが入る瞬間の「音程答え合わせ」は、戦慄ものだ。音楽高校時代の声楽の授業を思い出して、震えてしまう。
 ともあれ、そこはさすがビートルズ。立派にやってのけている。しかし、ポールの言う通り、かなり演奏は難しそうだ。ギターやアンプの選択も良くなかったのだろう。バランスが悪く、歓声もあって、自分の音程が確認しづらい。ジョンやポールはまだ良いが、低音を支えるジョージは、かなり大変だったというのが本音だろう。

 "Nowhere Man" ほどの「ビートルズ的」な曲だと、どんなカバーも存在感がないのだろうが、さすがにディラン様は桁が違う。キーも違う。



 これはいつの演奏なのか。公式ページのセットリスト記録を見ると、1990年8月12日とのこと。これ一回きりしか記録がないようだ。
 1990年という時期を考えると、トラヴェリング・ウィルベリーズからの流れが、ディランの中にあったのかも知れない。演奏も素敵だし、"Nowhere Man" を歌いたいと思ったディランの気持ちそのものが、素敵だと思う。

Teeth2018/05/06 21:40

 誰が何と言おうと ― たとえ、ゲインズヴィルでトム・ペティにギターを教えたドン・フェルダーが「反っ歯だった」などと言おうとも ― トムさんの前向きでポジティブな歯並びが大好きだ。



 彼は、歯並びを直しているのだろうか…?若い頃の方がたしかに前に出ているような感じがするが、かと言って明らかにこの時に直した ― という時期も良く分からない。

 前向きでポジティブな歯並びの人と言えば、ディランも同じく。このビデオを見て、しみじみと「ディラン様って歯並びがセクシーだよね…」と呟いたら、どん引き去れたことがあるのだが、どうしてだろう。



 歯の話と言えば出てくるのが、スティーヴン・スティルス。モンキーズのメンバーに決まりかけていたが、歯並びが悪くて外されたと言う話がある。歯の問題なのか。頭髪じゃなくて?



 よく、ジョージのことを「八重歯だ」と評す人がいるが、あれは正確ではない。日本語で言う八重歯とは、正確には歯が前後に重なるように生えた結果、犬歯が前に突きだした状態を言う。
 ジョージは八重歯ではなく、単に犬歯が長くて鋭いのが目立つだけ。しかも可愛い…!



 ちょこっとだけ見えるのも可愛いよね。



 ジョージがいつ犬歯を削ったのか、実は定かではない。[Let It Be] のジャケットでは直していないのだが、その後になるとヒゲ期に入るので、犬歯の形が確認できないのだ。 ビートルズ後であることは確実だと思われる。

Hohner Harmnicas2018/03/24 21:59

 何気なく雑貨屋の棚を見ていたら、4cmほどの小さな黒い箱がたくさん皿に載っていた。でかでかと "HOHNER" と書かれている。パカっと開けると、中には小さなハーモニカが入っていた。
 ホーナーの小型ハーモニカ、Little Lady ― チェーンをつけてネックレスにつけたり、キーホルダーにつけることができるようになっている。以前、これを身に着けていた人がいて、私も欲しくなったのだが、ここで出会ったいうわけ。さっそく購入。

 私は三つのハーモニカを持っている。



 一番大きいのは、ホーナーの Puck。これはTP&HBファンの間で、「プレゼント交換会」なるものが行われたときに、もらったもの。音域は1オクターブ半あるが、ボブ・ディランやジョン・レノンが使うようなものよりは小さいだろう。
 二番目の大きさのものは、ヤマハ。これは浜松の楽器博物館の売店で買った。当時は世界最小のハーモニカだった。Cで1オクターブ出せて、楽器としてもそれなりに立派。装飾も綺麗なので、気に入っている。
 そして、最少が今回入手したホーナーの Little Lady。楽器としては分が悪く、完全にアクセサリー。ケースが良い。

 ハーモニカの中には、おもにブルース・ハープ称される物もある。そのため、よくロッカーもハーモニカのことを「ハープ」と呼ぶことがある。
 「ハーモニカ」が一般的なため、ときどき「ハープ」という言い方が混乱を呼ぶことがある。
 ビートルズが出演したテレビ番組 ― たしか、"Ready Steady Go" だったと思うが ― で、ジョンがインタビューで「どんな楽器を弾きますか?」と聞かれて、「ギターとハープ」と答えたところ、インタビュアーが驚いて、「ハープ?冗談でしょう?」「本当だよ」というやりとりがあった。
 トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズのドキュメンタリー番組でも、最初のハートブレイカーズセッションに、「トムはハープ」を持ってきたというスタン・リンチのコメントを、そのまま日本語字幕にしていたことがある。これも撥弦楽器のハープと取り違えていたと思われる。

 ハーモニカの演奏といえば、真っ先に思いつくのは、ディランの "Tangled up in Blue"。私が初めて見たディランであり、魅入られてしまったディランだった。

CRT ジョージ・ハリスン生誕祭2018/02/28 21:29

 リイシュー版「コンサート・フォー・ジョージ」も届いて、一安心。[CFG] はいくつ持っていても構わない。



 リマスターではないので、画質も何もまったく変わらない。国内版はまだ出ていないと思うが、日本語の字幕もあるので、今回のリイシュー版で十分だ。
 そのような訳で、また見ている。

 日曜日は、毎年恒例、レココレ・プレゼンツ CRT ジョージ・ハリスン生誕祭だった。これまた例年の如く、参加する。

 今年の本秀康さんは、「インドに行く!」だそうだ。以前にも行って野犬に襲われていたが、今回は数日リシケシュに滞在して、修行プログラムみたいなものを実践するそうだ。
 ジョージ・ファンを極めると、インドに行くことになるのだろうか。もっとも、私はインドに行こうという気は今のところ起きていない。

 さて、これまた毎年恒例、本さんの妄想タイム。いろいろ楽しい想像をめぐらして、面白い。
 今年面白かったのは、「CFGでのジェフ・リンの服装がダサすぎる」だった。
 細身のスーツに身を包んで格好良いと思っていたので、ちょっとビックリした。本さん曰く、あの帽子はおかしいとのこと。なるほど、絵を描くひとは違う。そこで本さんが言い出したのが、
「あの帽子は、ジョージの遺品ではないのか?」ということ。2000年 [All Thing Must Pass] のプロモーション映像で、ジョージが被っていた帽子と似ているのだという。
 私も確認してみたが…どうも、違うようだ。ジョージの帽子の方が深いだろう。それにしても、そういう想像は楽しい。年中友達にプレゼントをしていたジョージのことだから、何かの拍子に帽子をくれてもおかしくない。

 [CFG] の話になり、これがどれほど良いか ― まったく無駄な人が居ないと言う。「なんでこの人?」という人が一人もいないというのだ。同感だ。
 ゲイリー・ブルッカーがジョージの親しい友人だということを、クラプトンがどう知ったかということを、本さんはこう想像していた。
 「クラプトンとジョージが一緒にメシ食ってるときに、ゲイリー・ブルッカーから電話がかかってきて、ジョージが15分くらい電話し続けて、クラプトンが『この俺と一緒にいるのに、こんなに放置されるほどの相手って一体何もんだ?!』となる」
 もちろん、そんなことはないだろう。ブルッカーとジョージは古い付き合いだろうから、クラプトンとも長いだろう。…いや、ひょっとして?70年くらいにそういうことがあったかも知れない…

 [CFG] の映像もたくさん見た。"Handle with Care" と、"I Need You" を大画面で見られたことはとても幸せなことだった。
 あのポールが聞き分け良いなんて希有な機会で、演奏も最高だった…ということで、[For You Blue], [Something] と続けて観賞。後者は、リハーサルを見ていたマイク・キャンベルが、「ポール・マッカートニーと、エリック・クラプトンの高音ハーモニーだなんて!」と鳥肌モノに感動していた演奏だ。私もこの演奏は名演だと思う。
 ポールはあのメンバーの中でも、ジョージの十代を知っている数少ない人の一人で、振り返るとそこにいるダニーの姿に、ドキっとして、思うところがあるだろうという話にもなった。もっとも、[CFG] の時ダニーは二十代だが。

 そして、本さんはこうも言った。「ジョージが死んじゃったのは悲しいけど、この時期で良かったですよ。トム・ペティも、ビリー・プレストンも出てくれて」
 その通りだ。あのときでないと、あのメンバーは揃わなかった。

 色々な成り行きと、幸運、友情と愛情と、最高の音楽とで、「コンサート・フォー・ジョージ」は出来ている。
 さぁ、今こそ、[CFG] を買うのです、見るのです、人にプレゼントするのです!

Concert for George (not reissue)2018/02/24 22:04

 さぁ![CFG] こと、「コンサート・フォー・ジョージ」リイシュー版の発売!見るぞ!…と思ったら、まだ手元に届かない!!

 ……………!!

 よし、旧版のBlu-rayを見よう!

 我ながら何をやっているのか、分からなくなってきた。

 しかしまぁ、もう何十回見たか分からないし。泣きはしないだろうと。高をくくる。
 駄目だった…やはり、パイソンのところと、エンディングで泣いてしまった…

 トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズで号泣するかと思ったら、それがそうでもない。なんだか凄くロックンロールなバンドが出てきて、"Taxman" を演奏するところなんて、ゾクゾクするほど格好良い。マイクの短いソロは、このコンサートの中でも最もイカした演奏だろう。
 マイク・キャンベルといえば、ハートブレイカーズが演奏を始めようとするとき、トムさんと顔を見合わせ、「いいよ」と言う声が PA に拾われている。待てよ、もしかしてステージ上でマイクが出した声が、PAに拾われて聞こえるって…これが初めてのことではないだろうか?
 トムさんももちろんだが、マイクも出てきたときから笑顔全開で、ジェフ・リンやダニーの顔をみると、さらに笑顔が輝く。このコンサートに参加したことが本当に誇らしく、嬉しく、幸せなことだったのだろう。
 "I Need You" で、泣きはしなかったが、トムさんの美しいグレイッシュ・ブルーの瞳が印象的だった。ほんとうに、美しい目をしていた。

 [CFG] を見ていると何から何まで、細かいことがいちいち素敵に思える。
 アヌーシュカのピアスが最高。あれ、欲しい。
 ジム・ケルトナーのシャツはボブ・ディラン。
 "Handle with Care" でトムさんのカウントに続いて一発目のドラムが鳴るとき、背後でマイケル・ケイマン(ストリングスの編曲・指揮者)が手を「パン!」と叩いている。
 リンゴが出てきたとき、とっさにクラプトンが振り返って、「ちょっと待った!」をやっている。そしてビートルめがけて、ジェリー・ビーンズが飛んでくる。ダニーがびびる。
 ポールが歌っている間も、後ろで大熱唱するクラプトン。
 花びらの散る "I'll See You in My Dream" でダニーの肩を抱くクラプトン。ダニーがオリヴィアと抱き合うと、ウルウルした目をして、小さく "Yeah" と呟くクラプトン。

 クラプトンは、本当に、本当に素晴らしい仕事をした。"While My Guitar Gently Weeps" の最後で、演奏と終わらせるために振り返った姿は、クラプトン史上もっとも格好良い。燃え尽きたみたいに、うつむいてしまうクラプトン。それに声をかけるダニー。美しい。
 そしてジェフ・リン。彼のヴォーカルの良さがすごく味わえる。"Something" などはサポート役に徹しているが、その存在感、美しさ。彼はソングライティングや、プロデューシングなどで高評価だが、そのヴォーカルも素晴らしいと思う。
 そして共演者と顔を合わせると、「テヘッ」と笑ってみせる。素敵。

 編集も良い。最後の方になると総立ちになる観客に視界が阻まれる感じに、臨場感がある。

 そして、相変わらず感心するのが、"Wah-Wah" におけるトムさんの位置取りの妙。あれほど完璧な立ち位置があるだろうか。クラプトンの顔を見て大笑い、ダニーを見てニコニコ。見事な金髪を輝かせ、ややいい加減にギターを弾くトム・ペティ。彼がもうジョージのところへ行ってしまった悲しみよりも、あの輝くばかりの存在に幸福感が溢れる。

 [CFG] を見ると、何もかもが素敵で、まとまりがなく、爽やかな感動と満ち足りた気持ちが残る。そして人間は捨てたもんじゃないし、友達っていいな、そう思う。

CFG: Fashion Check !2018/02/16 22:31

 何度でも言うが、私は [CFG] こと、「コンサート・フォー・ジョージ」が大好きだ。
 どのくらい好きかと言うと、[CFG] のポスターを1万円で買ったくらいだ。
 ビートルズグッズ専門店に問い合わせた当初は、無いとのことだった。その後、店から入手できたが、1万円でどうかというオファーが来たのだ。即購入。5万円でも買っただろう。

 さて、今日は [CFG] のファッション・チェック!

 まず女性陣から言えば、サム・ブラウンの圧勝だろう。大胆なドレスで、圧倒的な歌唱力。帽子も格好良いし、それを拾う仕草、小さい頃からよく知っているダニーの手を取る仕草、どれも姐さん、貫禄十分です。
 オリヴィアはこのコンサートのために、ドレスをあつらえたのだろう。雰囲気に合っていて、とても素敵だ。

 さて、男性陣。
 一番多いのは、スーツでびしっと決める面々。ジェフ・リン,ポール、そしてトム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズは細身のスーツで格好良い。マイクがちょっと怪しい感じだが、でも格好良い。
 アメリカのツアー中にロンドンに飛んでくれたハートブレイカーズ。そういえば、トムさんの脂肪吸引疑惑が囁かれたのはこの頃だったか。
 アメリカからびしっとスーツで、気合い十分で乗り込んできたハートブレイカーズ、その前に現れたのは…

 カジュアル勢。
 まず、クラプトン。…ユニクロ…?ユニクロ?そして覚えておかなければならないのは、クラプトンのソックスは、白いということ。どこで分かるのか?それは見てのお楽しみ。ヒント、前半。
 そしてダニー。インド風の上下でとても清楚で可愛い…すごくセンスのあるチョイス。哀れな感じなんて微塵も無くて、天使…?!というか、ジョージ…?彼の佇まいも、このコンサートを温かく、心地よいものにしている一つの要素だろう。
 そして、なぜかひとり南国気分の、ジョー・ブラウン。娘とは正反対の、アロハー!な、リラックス・スタイル。このアロハがコンサートのトリで、号泣させる。

 そして、どう分類すれば良いのか分からない、大ボス。それがリンゴ。
 追悼コンサートなのに、真っ赤なジャケットにハデハデ刺繍、カジュアルなボトムズ。リンゴだから合っているファッションなのだろう。
 若い頃からそうだが、リンゴは何を着ても様になる。

 さぁ、「コンサート・フォー・ジョージ」を買うのです…見るのです!ジョージ・ファンならずとも、ぜひ。

Multi-Format [Concert For George] Reissue2018/02/10 20:12

 2018年2月23日、[CFG] こと 「コンサート・フォー・ジョージ」のリイシュー版が、世界同時発売される。

 さぁ、いまこそ!名作 [CFG] を買うときです!

 今回のリイシューは、ジョージの生誕75年を記念してのもの。形態によって四つのバリエーションがある。これまでもBlu-ray化や、期間限定のフリー視聴などなど、様々なかたちでCFGは送り出されてきた。まるで "The Last Waltz" だ。それほどの価値のある、極上のコンサート、[CFG]。

 今回は初めてアナログ盤が出る。私はアナログ盤を集める趣味がないのでこれは遠慮する。さらにデラックス・ボックスは、コンサート当日に飾られたタペストリーの断片が入るという、マニア向けのシロモノだ。
 私は、CDとBRボックスを予約した。すでにDVDも、BRも、CDも持っているが、CFGはいくらあっても良い。買って人にプレゼントしたことも、一度や二度ではない。
 そもそも、トレイラーからして既に名作。



 クラプトン,ジェフ・リン,TP&HB, ポール,リンゴ,ビリー・プレストン,ゲイリー・ブルッカー,ジョー・ブラウン,サム・ブラウンなどステージの中心に立つミュージシャンたちのみならず、バンドを構成する大物ミュージシャン ― ジム・ケルトナー,レイ・クーパー,ジム・キャパルディ,ジュールズ・ホランド,マーク・マン,アルバート・リー,ジム・ホーン,そしてクラウス・フォアマン…その他大勢 ― 豪華すぎて舞台の床が抜けそうで、しかも若かりし頃のジョージとまったく同じ容姿(少し小さいだけ)のダニーがいる。
 ついでに、客席にいるスティーヴ・ウィンウッドとビル・ワイマンを捜すという、おまけつき。
 インド音楽のパートもかなり魅力的で、CFGのBRをウクレレの先生(ギタリスト)にプレゼントしたら、インドパートにはまっていた。
 忘れてはいけない、モンティ・パイソン!私はこれでパイソン・ファンになった。
 映像作品としては、コンサートの完全版はもちろんだが、劇場上映版のインタビューや、リハーサル風景なども必見だ。

 「でも、ジョージ本人はいないじゃん?」と言った友達がいた。
 私に騙されたと思って、とにかく見ろ!…と言ったら、次に会ったとき彼は「泣いちゃったよ…」と報告してきた。
 そう、ジョージの追悼コンサートでジョージ本人はいないのに、ジョージはまちがいなく「いる」のだ。絶対そう確信できる。
 何度見ても、ボロボロ泣ける。

 今回のリイシューを見たら、今までとはまた違う感慨だろう。当時52歳だったトムさんと、ハートブレイカーズが「若手」として活躍している。
 "Taxman" はこのコンサートで一番にロックな格好良さであり、"Handle with Care" はまさに夢の実現。そして、ここでは "I Need You" をあげておこう。CFGで演奏された中で、ジョージのもっとも初期の曲だ。
 いわゆる、「ギタリスト声」というそうだ。ああいう、ジョージやトムさんのようなやや薄くて、儚げで、でも説得力のある声。ビートルズでの録音時、ジョージは23歳くらいだったと思うが、52歳のトムさんが、あの若さ、若さ故の苦さ、胸がいっぱいになるような切なさを、完璧に再現している。
 ロイヤル・アルバート・ホールの天井 ― そしてその上の空を見上げ、歌を捧げるトム・ペティ。歌い終わり、ちょっとだけうつむくトム・ペティ。ああ、きっとジョージとトムさんは一緒に歌っていたのだろう。そして今もきっと、一緒に歌っている。



 ことが [CFG] となると、もはや落ち着いてなどおられず、片っ端から人をつかまえて、勧めたくなる。ジョージや出演者のファンでもなくても、勧めたくなる。音楽が好きなら、きっと何かを得るはず。 ― いや、音楽に特に興味のない友人に、「パイソン物」として貸したら、「あのコンサート、いいね」という感想が返ってきたことすらある。
 きっと、音楽を抜きにしても、人間が生きていること、友達がいるということ、友達への愛情を表現するということが、どれほど人の心を動かすのか ― そして、それをいきいきと、明るく、そして感動的に伝えきっているものこそ、[CFG] だからだろう。

 さぁ、いまこそ!「コンサート・フォー・ジョージ」を買うのです!見るのです!本当に、本当に素晴らしいから!

When Prince Met Tom Petty2018/01/27 22:33

 「俺の二大スターは、デイヴィッド・ボウイと、プリンス」 ― と、いう同僚がいる。彼にとって、去年はショッキングなことが立て続けに起こったわけだ。
 プリンスが亡くなってから少しして、彼が私にふと話しかけてきた。

 「トム・ペティって……」

 ああ、あれを見たなと悟った。
 2004年、ジョージのロックンロール・ホール・オブ・フェイム授賞式。"While My Guitar Gently Weeps" ―
 プリンスのファンとしてこれを見て初めて、まともにトム・ペティを認識したというわけだ。



 何度見ても凄い。この曲に関して、クラプトンとジョージ以外のソロ奏者としては、プリンスが一番だろう。トムさんとジェフ・リン、プリンスがもの凄い存在感を発揮しているが、さらに贅沢なことに、スティーヴ・ウィンウッドとジム・キャパルディ,そして二人のハートブレイカーまで揃っている。特にウィンウッドのオルガンがふるっている。この曲はギターだけではなく、オルガンも非常に重要なサウンド・ファクターなだけに、最高の布陣だ。
 ダニーもこういう豪華な場には慣れているだろうが、プリンスのファンだけに、とりわけ楽しそう。プリンスのソロが始まろうとするときに、彼の顔を見て顔一杯に笑うダニー。そしてプリンスが観客席へ倒れ込むのを圧倒されたような顔で見て、おそらくジェフ・リンに向かって「あれ、見てよ!」という表情をしている。

 プリンスのギター・ソロもさることながら、私はこの演奏に関して、トム・ペティのヴォーカルも抜群だと思っている。これまた、ジョージっぽい憂いを帯びた、でも自信に溢れたヴォーカル。プリンスがソロを弾いている間にも、"Look at you all..." と歌っているのが最高にエレガントで、格好良い。

 例の同僚は、実は去年10月3日の早朝、私の次にオフィスに入ってきた人だった。思わず呼び止め、トム・ペティの悲しいニュース(この時点では情報が混乱していた)を話さずにはいられなかった。
 そして先日、その死因の公式発表があり、それがプリンスと同じであったことを話すと、「そう!俺も見ました!」との返事。
 「記事で読んだんですけど、トム・ペティが、プリンスが亡くなる数日前に電話しようと思ったって言うんですよね…」

 この話は初耳だったので、確認してみると、たしかにあった。トムさんがプリンスの死を受けて、Times紙に語っているのだ。

 When Prince Met Tom Petty for ‘While My Guitar Gently Weeps'

 "I almost told myself I was going to call him and just see how he was," he mused. "I’m starting to think you should just act on those things all the time."
 「ぼくは、彼(プリンス)に、元気か、って電話しようかなと思っていたんだ。」彼(ペティ)は思いにふけった。「それからは、やろうと思ったことは、すぐにやろうって考えるようになったよ。」



 賢者の言葉だ。

Christmas All Over Again2017/12/21 21:49

 クリスマスと言えば、トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズの "Christmas All Over Again" ― ポップスのクリスマス・ソングでは、これが一番好きだ。
 録音版は、ジェフ・リンがサポートしており、リッケンバッカーが高く鳴り響き、TP&HBの楽曲では唯一ではないかと思われるドラム・ソロが効果的。ウィルベリー兄弟の化学が素晴らしいものを作りあげた見本だろう。

 2000年には、ホワイトハウスで演奏しており、その動画も有名。
 何が有名って、トムさん史上もっとも短い髪の毛。ついでにマイクも短い。トムさんはちょっと太り始めている…でも楽しそうで可愛い。
 そして私のお気に入りは、トムさんとマイクが、揃いも揃ってゴージャスなリッケンバッカーを鳴らしまくること。私もプレゼントにリッケンバッカーが欲しい。弾けないけど。



 この時について、「カントム」こと、[Conversations with Tom Petty] では、このように述べている。

 いったい誰が、ゲインズヴィルから出てきたガキどもが、大統領の前でプレイするなんて想像した?大統領と、ファースト・レディが最前列に並んでいるんだぜ。
 ぼくは数度、ホワイトハウスに行ったことがある。大統領に会って、執務室に入れてもらった。ゴキゲンだった。子供の頃はこんなことになるだなんて、想像もできないだろう。単にバンドが好きで、ギターを弾いていただけなんだから(笑)。それがノコノコと執務室に入っていくのだから。
 そうしたら、アル・ゴアが言ったんだ。「大統領と、トラベリング・ウィルベリーズをやろうじゃないかと、話し合ったんですよ。」(笑)でもウィルベリーズは却下されちゃった訳で。とにもかくにも、どえらい事がやたらと起こったものだった。


 この曲に関しては、ウクレレで作ったというエピソードも忘れてはならない。
 ジョージがウクレレをくれて、その日の午後はつきっきりで弾き方を教えてくれたという。この世でもっとも幸運な人、トムさん。そのウクレレを真夏のフロリダに持っていき、このクリスマス・ソングを書いた。
 トムさんがウクレレを弾いているところは見たことはないと思うが、きっとロックでクールなユークだったに違いない。

 私には宗教心もないし、神様も信じていないけど。どんな人にも良いことがありますように。トム・ペティの魂が安らかで、しかもロックンロールでありますように。

レコード・コレクターズ 2017年12月号2017/11/17 20:25

 もはや、「キミはもう見たか?!」状態の、レココレ。第二特集が、トム・ペティの追悼記事である。
 私も購入。レココレを買うのは何年ぶりだろうか。もしかしたら、ウィルベリーズ・リイシューの時以来かも知れない。
 私は音楽好きな割に音楽雑誌を買わない。音楽を「読む」という習慣がないし、モノを増やしたくない。そして、私は音楽好きではあっても、コレクターではない。
 しかし、今回はさすがに購入必至だ。内容も素晴らしい。



 買ってみて驚いた。これほど紙数を割いているとは思っていなかったのだ。こんなにたっぷり載せてくれて、とても嬉しい。
 ヒストリーはトム・ペティのキャリアを簡潔、かつ的確な表現で書いていて、とても読み応えがある。
 ディスコグラフィーも、さすがはレココレという充実ぶりではないだろうか。

 第一特集であるディランのゴスペル時代の解説も、面白かった。ファンとしては「何だったんだ」というボンヤリとした時代が、一定の形になって掴めるようになっている。

 今回の2017年12月号で、もっとも重要な点は、結局、表紙ではないだろうか。1986年。ボブ・ディランと、トム・ペティの、信じられないほど素晴らしい共演。べつにワン・マイクにする利点はないだろうに。でもワン・マイクに憧れる永遠のロック少年たち。
 この二人がロックバンドとしてツアーをしていたという、およそ現実離れしているような、でも本当に起きた出来事。素晴らしい出来事というものは、起きるものなのだ。

 急に思い出したことがある。
 私はピアス・ホールを両耳にあけて、外出時には必ずピアスをする。忘れて外出しようものなら、外出先でピアスを購入する。予備のピアスも常備している。
 ピアスのきっかけは、このTP&HBとの共演時の、ディラン様のピアスが格好良かったから。男性に憧れて、あけたのだ。今でも、すごく格好良いと思っている。

 ピアスを揺らし、ニヤニヤしながら、金髪くんはどこだと見回すディラン。そして飛び込んでくるトムさん。最高に輝いている。