You Ain't Goin' Nowhere2022/12/22 21:59

 トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズの [Live at the Fillmore 1997] の、ロジャー・マッグインとの共演 “You Ain't Goin' Nowher” を繰り返し聴いていて、ふと思った。この曲はすっかりザ・バーズによる演奏がすり込まれているが、オリジナルはボブ・ディランのはずである。そのオリジナルって、どのアルバムに入っているのか、ピンとこないのだ。
 確認してみると、公式に発表したのはザ・バーズの方が先で、ディランの公式録音は “The Greatest Hits II” (1971) に入っていた。私はこの二番目のグレイテスト・ヒッツを持っていなかったので、ピンとこなかったらしい。
 その後、”The Basement Tapes” そのまたブートレッグシリーズなどに収録されたが、公式なオリジナルはこのバージョンということになるようだ。



 1992年のボブ・フェストでは、三人の女性による演奏が印象的だった。改めて見ると、豪華なバンドで、G.E. スミスのリードギターもかなり華やかだ。
 この時のライブの特徴なのだが、ホスト・バンドとゲストとのリハーサルがやや不十分だったようで、この曲も終わり方で一斉にスミスを振り返るのがおかしかった。




 [Live at the Fillmore 1997] では、ハートブレイカーズによる豪華なコーラスがかなり控えめにミックスされ、ロジャー・マッグインの声を引き立てるように響き、この上なく美しい。ギター・ソロはたぶんマイクだと思うが、彼の個性を押し出す感じはせず、あくまでもザ・バーズへのリスペクトに溢れていて、とてもすがすがしい。

I Need You2022/12/01 21:45

 11月29日はジョージが亡くなった日ということになっているが、私の実感では30日である。2001年のあの日、11月末日だった。翌日にはお能を見る約束をしていた。やはり実体験として記憶すると、日本時間で意識するようだ。逆に実体験していないジョンの亡くなった日は12月8日である。

 亡くなった翌年の2002年の11月29日には、ロンドンのロイヤル・アルバート・ホールで、史上最高のトリビュート・ライブ [Concert for George] が開催された。当時からそのメンバーからして凄いということはわかっていたが、その全容が明らかになったのは、そのまた翌年2003年11月末に発表された映画、フル・パフォーマンスの映像、そして CD によってだった。
 この [Concert for Goerge] ―― CFG が良すぎて、何回見たのか、そして買ったかすらもわからない。DVDを何セットも人にプレゼントしているし、モンティ・パイソン布教(そういうこともしていた)にも使った。パイソンの総仕上げで CFG を見た人は、特に音楽好きでもなかったが、CFG にはいたく感動していた。

 CFG をまだ見ていない人も、だまされたと思って見て欲しい。ジョージ・ファンではなくても全然大丈夫。映画ではなく、フル・コンサートがお薦めだ。びっくりするほど素晴らしく、感動的で、友達って、人間っていいなと思える。

 CFG で名曲を一つあげるというのは、とても難しい。全てが名演だからだ。
 でも、あえて今年一曲挙げるなら、"I Need You" にしておく。この曲は、私が音大時代、図書館の映像資料室で何十回も 映画 [Help!] を見ていた最中に、ビートルズの中で実はジョージが一番美男子であることに気付いた曲だ。映画全編にわたって、ジョージは格好良いのだが、特にこの "I Need You" のシーンのジョージに魅了された。
 その場面を切り取った動画もあった。ちなみに、なぜミリタリー・ファッションに戦車、狙撃兵なのかというと、カルト集団がビートルズの(と、いうかリンゴの)命を狙っているからである。地下では爆弾の設置が着々と行われている。カイリー!



 素晴らしいラブ・バラードだ。
 これだけの名曲なのに、意外とカバーが少ない。調べてみると、スティーヴ・ペリーがカバーしているとのこと。ステゥーヴ・ペリー?それってちょっと違わない…?と思って動画サイトで確認したけど。やっぱりちょっと違った。あれは違う。そうじゃない!
 やはりここは、トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズの出番だろう。なんと言っても、まずこの曲を選曲したトムさんたちのセンスが最高だ。CFG で演奏された曲の中で、もっともジョージの作曲年代が古いのがこの曲だ。
 トムさんの健気で、可憐で、繊細な面が良く出ていて、女子はこういうところにキュンとくるし、たぶん男子もキュンとするのだと思う。何も特別なことはない素直な演奏だが、限りなく美しく、ジョージへの愛情に溢れていて、泣き所の多い CFG の中でも、かなり感動的で心を揺るがす演奏だ。
 よく見るとマイクとスコットがエレキなので、アコースティックなのはトムさんだけ。よくある「アコギ押し出し&しんみり強調系」でもない。ちゃんとロック・バラードしているところが良い。

Fillmore 19972022/11/26 22:18

 トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズのライブアルバム、[Fillmore 1997] が発売になった。私は4枚 CD のボックスセットを注文している。
 もっとも、現物がいつ手元に届くかはわからない。しかし、ダウンロードも商品に含まれているので、さっそく今日から聞いている。

 有名なブートレグが耳なじみだが、やはりそれよりもずっと音が良い。特にトムさんやスコットのアコースティックギターの音、一粒一粒が弾けていている。そしてベンモントのピアノもはっきりと浮き立っている。
 思えば1997年といえば、[Full Moon Fever] や [Into the Great Wide Open] から10年経っていない。[Echo]以降の重厚でハードなライブ・バンドとは、またひと味違う感じがする。若く弾けるような青いハートブレイカーズが、いぶし銀になろうとする、その端境期が [Fillmore 1997] と言えるだろう。
 即ち、若さ、もしくは重厚さへの偏りが少なくて、とてもバランスのとれているライブ・パフォーマンスということだ。全20公演で取り上げた曲目数も多く、ゲストも豪華。様々なカバー・ソングも楽しめる。これからTP&HBを聴こうとしている人にも、お薦めできるライブ版ではないだろうか。

 このライブ・アルバムを語ろうとしたらいくら記事があっても足りないのだが、今日は2曲とりあげる。両方ともカバーだ。
 まずは、"Johnny B. Goode" なんと刷り物(ジャケットやスリーブなど)には、誤って "Bye Bye Johnny" と記載されてしまったというレアなエピソードつきだ。
 確かに、TP&HB というと、"Bye Bye Johnny" を歌っている印象が強いくて、誰も間違いに気付かなかった可能性がある。演奏が始まってもしばらく違和感なく "Bye Bye Johnny" のノリでいたら、あれ?これ、"Johnny B. Goode" だ!というオチ。ちょっと面白くて、こういうハプニングは好きだ。
サビでのハウイ、スコット、ベンモントのシンプルなコーラスが格好良いし、マイクのギターソロもやり過ぎない手加減が絶妙。



 もう一曲は、このアルバムの発売が発表されてから一番楽しみにしていた、"Knockin' on the Heaven's Door" である。ディラン様とのライブでも披露されているが、あれは女声コーラスがちょっとうるさい。マッドクラッチの名演も素晴らしいが、こっちはドラマーが上手くないし、上手くない癖におかずを入れすぎなのが耳に付く。
 そういう意味で、純粋にトム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズの演奏が公式でずっと聴きたかったのだ。
 ディランとのツアーですっかり馴染んでいる曲なので、演奏に余裕が感じられる。ディランのようにハーモニカのソロが無いぶん、ロック・バラードっぽさが強調されていて良い。
 注目は、サビの歌詞。"Knock knock knockin' on the heaven's door" を4回繰り返すのが、ディランのオリジナル録音だが、ディランとトム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズのツアーから、四回目を "Just like so many times before" と歌うようになり、それがディランの通例となった。このアレンジ詞をライブで歌う人と言えば、ディラン自身以外には、トムさんくらいしかいないのである。マッドクラッチの演奏でも、アレンジ版だった。
 では、この1997年 Fillmore ではどうだったかというと?なんと、1番と2番では"Knock knock knockin' on the heaven's door" を四回繰り返し、3番になって初めて最後に "Just like so many times before" と歌うのだ。コーラスもちゃんと合っているので、これはハプニングではなく、前もってそのようにリハーサルをしていたのだ。
 ああ、やはりトム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズは、このディランの名曲をディラン以外で最高に演奏してみせる唯一無二の存在だなと、再実感した。

Vielen Dank, Sebastian!2022/11/22 21:18

 ええ、買いましたとも attitude! UK から海を渡ってきましたよ、attitude! 棚でオタマトーンやトムさん、ディラン様に囲まれて微笑んでおりますとも!



 F1 最終戦が終わり、セバスチャン・ベッテルが引退した。
 名残惜しく、寂しくてたまらないが、週末に号泣しないで済んだのは、みんなが全力でセブとの別れを惜しんだからだと思う。ドライバー20人全員揃っての夕食会(ルイス、ありがとう)に、古巣のレッド・ブル、フェラーリでも送別会とプレゼント贈呈。セブ主催で大勢の関係者とトラフィック・ランを楽しみ、テレビ中継オープニング映像はセブ・スペシャル・エディション。決勝の国歌演奏後に、ドライバー達がセブのために花道を作り、一人一人と握手(ルイスとは固くハグ)、アロンソはコックピットに入る前にわざわざ手を握って挨拶。
 無事に完走して(入賞おめでとう!)、一人特別にメイン・ストレートでドーナツ・ターンを披露し(トップ3以外は別のコーナーでやっていた)、インタビューも特別に行われた。
 予選でも鬼気迫る走りを見せて、まだまだ出来るじゃないかと惜しまれ、ルイスは「帰ってくると思う」とまで言う。
 感謝と笑顔の週末が終わり、キミ・ライコネンがセブへのお疲れ様メッセージをSNS に投稿する。
 私が泣いている暇なんてないくらい、セブの引退は感謝と祝福、友愛に満ちたものだった。こういう引退ができるドライバーが、どれくらいいるだろうか。右京さんは記憶にないと言う。

Sebastian Vettel's Farewell To Formula 1 | 2022 Abu Dhabi Grand Prix

 私にとって最初セブは、 F1 関係者がオークションに出品したビートルズのサイン入りレコードを入手した、面白くて可愛いドイツ人だった。あっという間にチャンピオンに駆け上がり、最年少ポール・ポジション、最年少ワールド・チャンピオンの称号を手にして、未だに保持している。若くしてチャンピオンに君臨すること、なんと4年。F1 がハイブリッドに移行する前の、最後の最強チャンピオンだった。
 ビートルズのファンで正格は天真爛漫、やんちゃでレース中に頭に血が上るとエラいこともしてくれた。笑顔が可愛いナイス青年で、宿泊施設の不足しているレースでは「自分たちはいいけど、報道関係のみんなが気の毒だからどうにかしてほしい」などと、気遣いも出来る素敵な大人へと成長していった。
 フェラーリに移籍してからも、けっこう活躍したと思う。優勝もたくさんしているし、ルイスとチャンピオン争いを繰り広げて、F1 を面白くしてくれた。
 ドライバーたちの代表者としても本当によく働いたし、気遣いもした。ミスをして落ち込む若いドライバーを励まし、アドバイスもした。ミックにとっては友人でもあり、父親代わりでもあった。安全・公正で、ファンのためのレースに貢献し、大雨の中クラッシュしたノリスのことを、わざわざ車を寄せて確認してくれたりもした。
 レース以外で悪目立ちして孤立しがちなルイスを、いつもサポートし、自らもこの世界をより良くするためのメッセージを説得力を持って発信し続けた。

 セブはこれから、愛する家族と幸せに暮らしつつ、川井ちゃんも言ったように、若者たちへのメッセージ発信者として活躍していくだろう。
 若者というか…ええ、私、買いましたよ!セバスチャン・ベッテル・ショップで Tシャツを!Save the Bees を!送料込みで90ユーロが吹っ飛びましたよ!

 今まで本当にありがとう、セバスチャン。お疲れ様。
 セブにいま贈る一曲 … ちょっと考えたんだけど … これかな。またお会いしましょう。
 Bleiben Sie wohlauf!

Yesterday2022/11/18 22:08

 フィギュアスケート、NHK杯の季節がやってきた。本命は、(世界ランキング的にも、わたし的にも)女子が坂本、男子が宇野。そしてアイスダンスの日本勢の争いに注目。なにせ村元・高橋組のリズム・ダンスがイケているので、小松原組も油断はできない。それから、個人的に贔屓にしているのが友野一希。あの表情ができるスケーターは本当に少ないので、推しなのだ。
 さて、金曜日、第一ラウンド終了。本命の二人がいきなり軽く躓いたのだが、まぁ、明日のフリーで逆転する流れなんだろうなぁ…と思う。坂本も、宇野も準備段階であまり良い手応えがしていなかったらしく、あれくらいになると自己分析も精密になる。でもそこは百戦錬磨の世界チャンピオンズである。フリーでは充分に魅せてくれるだろう。
 村元・高橋組が後半グループに残ったのはびっくり。最初はおっかなびっくり、昨シーズンは派手にミスってたりしたのに。やはり高橋大輔という希有なスケーターには本当に驚かされる。大谷翔平以上の驚異である。

 もうひとつびっくりしたのは、私が不覚にも "Yesterday" で感動してしまったことである。山本草太のSP, 歌っているのはマイケル・ボルトン。曲目もさることながら、この歌手で感動するというのもまたびっくり。すべて山本君のスケートの良さのおかげである。
 山本君、怪我に悩まされ、ジャンプがきまらず、なかなかトップ・オブ・トップには届かないスケーターだったが、独特の優雅さがあって、とても好かれている。今年はそこにジャンプの調子の良さも相まって、曲と歌手の重さに負けていない。
 何せ、"Yesterday" は「あまり好きでは無いビートルズの曲」のうちの一つである。なんというか… [Help!] というロック色の強いアルバムの中で浮いている。バラードとしては "I Need You" の方が上等だと思っている。しかもマイケル・ボルトン…私との接点がなさ過ぎで、意外な取り合わせだが、山本君のおかげで素晴らしい作品になったと言えるだろう。



 そういえば、フィギュアスケートの曲にビートルズを選ぶということを、かなり先進的にやったのは高橋大輔だ。まだヴォーカル入りが使えなかった頃に、インストゥルメンタルのビートルズ・メドレーを使ったのだ。あれもまた、高橋という希代の表現者だからチャレンジできたのであって、その後たくさんの人がビートルズやストーンズを使うきっかけになった。

 マイケル・ボルトンだけでこの記事を終わらせるのもどうかなぁと思ったが、かといってディラン様の "Yesterday" は、台無し感が半端ない。でも載せる。ディラン様とジョージの楽しい時間だからね。

Love Minus Zero /No Limit2022/10/23 21:26

 ボブ・ディランのファンとして、彼のどのアルバムも大好きだが、60年代はそのみずみずしさがなんとも言えない。彼の若く気高い雰囲気の容姿も相まって、形容しがたい魅力がある。
 動画サイトを見たら、1965年のディランが、"Love Minus Zero / No Limit" をライブ演奏する、カラー動画があがっていた。最近の技術でカラーにしたものらしい。



 かなりの強風の中、ディランはたてがみのように、髪をなびかせている。穏やかな表情に、なんの力みも無い歌唱。リラックスしていて、すごく雰囲気が良い。
 伝記作家が言うには、この曲には禅の思想が取り入れられているらしい。禅が何か一向に分からない私には、歌詞を理解するのは難しいだろうが、この曲のちょっとした浮遊感、心地よさが気持ちよく聞こえるのだ。

 もちろんカバーも多いのが、このザ・タートルズのカバーが面白い。



 いかにもフォーク・ロックというアプローチで、やがてコーラスが分厚くなる。その分厚さといったら、スタンダードなザ・バーズよりもすごくて、ちょっとびっくりするほどだ。どこかのグリークラブっぽい。
 しかも、エンディングは既聴感が半端ない。ザ・バーズの "The Bells Of Rhymney" とちょっと見分けが付かない。プロデューサーがわざとそうしたとしか思えないほどだ。
 ディランの曲をフォーク・ロックにするとこうなるという典型と言って構わないようだ。

Meeting The Beatles in India2022/09/29 20:21

 映画 [Meeting The Beatles in India] を見た。
 1968年、カナダ人の若者ポール・サルツマンは瞑想を学ぼうと、インド,リシケシュのアシュラム(僧院)を訪れる。偶然、同時期にザ・ビートルズの四人と彼らのパートナー、友人たちがアシュラムに滞在していた。
 友人として受け入れられたサルツマンが撮り溜めた写真を中心に、インドにおけるビートルズとの日々を振り返るドキュメンタリー。



 この映画、とてもつまらなかった。予想はしていたが、びっくりするほど面白くなかった。時間と交通費と映画代金が丸々もったいないほどだ。
 これからこの映画を見ようとしている人のために言っておくが、ビートルズの音楽は一音たりとも鳴らない。ビートルズの姿を視覚的に楽しめるという点では意味があるが、ビートルズの音楽を楽しみたいのであれば、全く見る価値がない。
 ビートルズがインド哲学を学んでリシケシュに滞在したこと、後に主に [White Album] に収録された多くの曲が作られたこと、彼らが気さくで良い奴だったこと。どれも周知の通りである。別に新鮮味も何もない。
 期待もしていなかったが、ここまで徹底的になーんにもないと、かえってビートルズの偉大さを思い知らされる。ビートルズともなると、ミュージシャンのくせに音楽を一音も聞かせなくても映画ができて、お金が取れるのだ。もの凄いことではないか。

 まぁ埋め合わせに、1974年ジョージの北米ツアーの [Dispute and Violence] でも貼り付けておこう。おそらく、格好良すぎて当時理解されなかっただろう。

George Harrison's Ransom Les Paul2022/09/13 19:20

 ジョージに関連するギターがオークションに出るというので、記事を読んでみたのだが…これはジョージゆかりのギターと言えるのだろうか?

ジョージ・ハリスンがルーシー・レスポールを取り戻すために交換として引き渡した身代金レスポールがオークションへ

 盗難にあったレス・ポール "ルーシー”(クラプトンから譲られた)が転売された末、所有者を知ったジョージが、ルーシーを取り戻すために、交換品として提供したのが、今回オークションに出される "ランサム(身代金,人質)・レス・ポール”というわけ。あくまでも交換されたレス・ポールであって、ルーシーそのものではない。
 この話は、ノーマン・ハリス自伝にも登場した。ルーシーの所在を知ったジョージが、交換する「同等の」レス・ポールを調達するために、ハリスの協力を得たと言う話だ。ノーマンにとっては「大物」を相手にする最初の機会だったため、まさか本物のジョージのはずがないと疑っていた。ところが、会ってみると本当にジョージ当人だったので飛び上がってしまい、ご近所さんも大騒ぎになったという。つまり、ハリスが調達したレス・ポールが、オークションに出るというわけだ。



 ジョージやビートルズの曲を演奏している辺りは、先だっての「ロッキー」のレプリカの動画よりは何倍もマシである。あれはひどかった。

 それにしても、George Harrison's とうたうのはどうなのだろうか。確かにジョージが一度購入して、ルーシーと交換したのだろうが、だからといって、ジョージが所有していたギターとは言えないと思う。
 ハリスが周旋した1958年のレス・ポールなのだから、良い楽器なのだろう。それにしても最低入札価格が25万ドルというのはとんでもない金額だ。
 最近、ヴィンテージ・ギターの価格は天井知らずだという。投機目的で買い漁られているらしい。なんともはや。しかも、ヴィンテージ・ギターを上手くコピーした1970~80年代の日本製のギター(ジャパン・ヴィンテージと言うらしい)も高騰しているというのだから、こういう世界はよく分からない。
 良い楽器であるのなら、良い演奏家に弾いてもらいたいと思う。マイク先生はもう良いレス・ポールを持っているが…一度でもジョージが握ったかも知れない物なら、欲しがるだろうか?25万ドルなんて出す気は無さそうだな…
 そうだ、ダニー!ダニーが買えば良いのだ。ダニーが競り落として、誰か友達にプレゼントすれば良い。「ランサム」の物語が増えて良いではないか。我ながら妙案である。

Harmony Hotel / Askil Holm2022/08/19 20:40

 1980年生まれのスウェーデン人ミュージシャン,アスキル・ホルムは、2003年のデビュー・アルバムが強烈だった。超名作 [Daydream Receiver] ―― これはかなりヘヴィ・ローテーション、かつ長く愛聴しているアルバムだ。
 現在でもミュージシャンとして活動はしているが、寡作らしい。英語の曲のアルバムは 2007年にこのたび私が購入した [Harmony Hotel] を発表しただけで、あとは2012年に母国語でのアルバムのみである。しかも後者はディスクで手に入らない。

 二作目 [Harmony Hotel] も、デビュー・アルバムに引けを取らない優秀作である。ポップでロックで、ややカントリー気味。トム・ペティが好きで、なおかつマッチボックス20が好きだったりすると、間違いないだろう。
 まずは、アルバム冒頭の "Living in the Countory" ―― キャッチーなリフから始まる明るい曲で、誰が聴いても楽しくなるだろう。



もう一曲、[The Record Store] ―― フォーク・ロック調で、ハーモニカがクラシカルでひねりは無いが、効果的に用いられている。



 良いなぁ、良いなぁと思いながら動画を見ていたら、アスキル・ホルムが恐らくスウェーデンの仲間と、2020年に "Handle with Care" を録音しているのが見つかった。どうもトム・ペティ・トリビュートのようだ。
 歌い方を微妙にウィルベリーズに似せているし、ウクレレのサウンドをかなり強く出している辺りが特徴だろうか。スライドギターはさすがにジョージやマイク・キャンベルほどの凄さはないが、繰り返して効果的に用いている。



 セカンド・アルバムも良いし、ウィルベリーズ,ハートブレイカーズ・リスペクトぶりも良い。もっとアルバムを出して欲しいし、母国語の三枚目のアルバムもディスクで欲しいところだ。

George Harrison “Rocky” Stratocaster2022/08/03 19:42

 フェンダーが、ジョージ・ハリスンの “Rocky” を再現した、シグネチャー・モデルのストラトキャスターを販売し始めた。

フェンダー、ジョージ・ハリスンの”Rocky”を再現した新シグネイチャー・ギターを発売

 ロッキーは1961年のモデルで、ジョージは1965年に入手。オリジナルはライトブルーだが、ジョージがサイケデリックなペイントを施したため、見た目のインパクトとしてはかなり有名である。

 フェンダーの公式紹介動画がこちら…なのだが…?!



 なんだ、この動画は?突っ込みどころ満載ではないか。
 あのジョージ要素皆無のギタリストと言い、曲と言い、演奏方法と言い…はっきり言って、センスが無さ過ぎて救いようがない。やるならちゃんとダニーを連れてくるなり、少なくともマイク・キャンベルを連れてくるなり(マイクのツアー先に出向くなり)すれば良いのに。
 あまりのひどさに、ギターそのものへ目がいかない。私はギターを買う趣味がないからなんとも言えないが、コレクターであっても、買う気を削がれるのではないだろうか。

 フェンダー公式が当てにならないのだから、ここはすかさず、”I Won’t Back Down“ で行ってみよう!
 ハートブレイカーズのUKツアー中(直後?)に撮影されたこのビデオでは、ジョージ自らロッキーを持参してマイクに持たせている。ジョージと友達になると色々良いことがあるが、これもそのうちの一つだろうか。
 本当に一瞬しかロッキーは登場しないが、よほどこちらの方が見ごたえがあるし、マイクのスライド・ギターもジョージ要素満載。実際の演奏に使われてはいないとはいえ、ロッキーが欲しくなるだろう。