Stephen Foster2021/11/28 20:01

 ティン・ホイッスルのレッスンも、再開している。1年以上レッスンから離れていると、呼吸と指がついていかない。音楽は日々の鍛錬が必要だ。

 ちらっと初心者教室とご一緒したら、もうすぐクリスマスだから、ケンタッキーの曲をやろうと言う話になった。
 そもそも、クリスマスで、アメリカのケンタッキー州という連想は、某ファストフード会社に完全に洗脳されている気がするが…(そもそも、アメリカではクリスマスでチキンって食べるのか?感謝祭の七面鳥と混同していないだろうか…)
 更にそもそもの話で、アイルランドの音楽であるティン・ホイッスルでどうして、スティーヴン・フォスター (1826 - 1864) の曲なのか?しかし、先生にはそれなりの根拠があった。フォスターはアイルランド系移民の子孫だそうだ。その音楽の根底には、先祖の国の音楽があるというわけ。

 

 たしかにアイルランド風の ―― 日本人も懐かしさを感じる音楽だ。
 フォスターはクラシック音楽の脈絡で語られることもあるが、一般的にはポップミュージックの人と認識されているだろう。私は「金髪のジェニー」で歌われている女性と結婚し、困窮し、早く死んだということしか知らない。

 フォスターには様々な有名曲があるが(死後に評価された)、ロックファンとしては、"Oh! Sussana" は外せないだろう。ジェイムズ・テイラーのバージョンもあるが、ここはザ・バーズで。どこかゆるっとして、ネジが抜けている感じに愛嬌を感じる。

Autoharp2021/11/23 20:11

 ラヴィン・スプーンフルの代表曲といえば、"Do You Believe in Magic?" だが、1965年の映像があった。この時期の特徴として、お嬢さんがたが騒々しい。



 出だしでドラムスがミスるのがご愛敬。ディランのアンプラグドでもそういうシーンがあった。ポップスでは笑えるので良いが、クラシックだったら、全員真っ青である。
 ラヴィン・スプーンフルは特に好きなバンドというわけではないが、この曲は名曲だ。ちなみに、エリック・クラプトンが初めてジョージに会ったのはラヴィン・スプーンフルのライブの楽屋だったというエピソードがある。

 目立つのは、ジョン・セバスチャンが抱えている楽器である。(どうでも良いが、日本語で「ジョン・セバスチャン」を検索したら、真っ先にセバスチャン・ベッテルが上がってきて、しばらくその記事を読みふけった。)
 オートハープ Autoharp というそうだ。ハープとは言うが、実際にはチターを縦に抱えたような楽器だ。特定のダンパー(音止め)を抑えることで、コードを奏でる仕掛けになっている。
 ウィキペディアによれば、フォークやカントリーのバンドで使用されたとのことで、カーター・ファミリーの動画でもオートハープの演奏シーンがあった。ただ、大して面白くはない。

 コードを弾く分には豊かな響きがして良いのだが、メロディ楽器としてはちょっと向いていない。そういう意味で私にも向いていない。私はウクレレ弾きだが、コードとメロディを同時に演奏しようとして、先生が笑いながら悲鳴を上げている。それから、私の体格だと、この楽器を抱えるのも難しいだろう。

 動画を見ていると、アイリッシュ・バンドのメンバーがオートハープを用いてソロを演じている物があった。動画のタイトルにはないが、曲目は有名な "Kesh Gig"。これくらい出来たらいいなと思う。

The Lowground, Beehive2021/07/10 21:09

 チャンネル登録しているタリスク TALISK が新しい動画を上げたというので、早速チェック。題して "AURA" ――  新アルバムの予告かもしれず、ちょっとワクワクする。



 相変わらずの素晴らしい技術に裏打ちされた、演奏の格好良さ。私のウクレレの先生は彼らを見て、「演奏するための『体格』がガシッとしている」という表現をした。これは良くわかる。
 でもこの曲 "AURA" のプロデューシングはどうかな … かなり微妙。というか、オーバープロデューシング。ここまでオーバーダビングを駆使して、リバーブもかけまくると、ちょっとついていけない。もっと素朴な方が好きなんだけどな…
 実力もしっかりして、国際的な評判を勝ち取ると、こういう路線に行きがちなのだろうか。ボシー・バンドのように無骨一辺倒というのは、ビジネス的にダメなのか…?。

 うーん…と思っていたところで、コンサティーナの、モーゼン・アミニがかつて所属していたバンド、ザ・ロウグラウンド The Lowground の動画が出てきた。短命に終わったバンドのようだが、実のところ、これはアイリッシュ・バンドで、凄く良い。
 私としては、タリスクでこの路線の録音をして欲しい。

Hornpipe2021/06/10 21:53

 野球をなんとなく見ていたら、西武ライオンズ,山川穂高の応援歌が、どう聞いてもホーンパイプだった。



 このように合唱形式で、沖縄風の笛が加わると分かりにくいが、今は声援なしでトランペットだけが球場に鳴り響く。そうなると本当に、完全なるホーンパイプ。

 ホーンパイプは、アイルランドやイングランドのフォーク・ダンスの曲で、私が言っているのはアイルランドの方だ。
 基本的に四拍子で、一拍を三等分して前二つをつなぐ。これで付点を使う四等分のものに比べて、緩やかなバウンス(跳ね)がうまれる。
 日本人におなじみの曲でいうと、「ドラえもん」のテーマ曲も、アイルランドのホーンパイプと同じリズムだ。

 アイルランドの代表的なホーンパイプを、二曲続けてフィドラーが弾いている。
 このフィドラー、すごく弓使いが独特に見える…持ち方もちょっと変わっているし。フィドラー,およびヴァイオリニストの意見が聞きたい。



 アイルランドのダンス・チューンとしては、のんびりした方で、私の先生曰く、「バカっぽい」。確かに能天気な感じがして、あまり長く聞いていると、退屈してくる。演奏している方は、気楽で良い感じなのだが。

 「バカっぽい」などと言われても、ダンスがはいると、そうはいかない。ハードシューズでビシっときめる … うーん、それでもやっぱり、ジグやリールに比べると、格好良さはいまいちかな?
 庶民的で、親しみやすいと言うべきだろう。

Angel Dream2021/04/27 21:34

 "Angel Dream" は1996年、[She's the One] に収録された。
 トムさん曰く、二人目の奥さんに出会ったときに、彼女のために作ったとのこと。ああ、はいはい。

 ケルト音楽には、特にヴォーカルに特化したジャンルがあり、中でもケルト風の女声が人気だ。ケルティック・ウーマンなども、ヴォーカルを前面に押し出している。
 イーマ・クインもそういった女性歌手の一人だが、なんと "Angel Dream" をカバーしているのだ。



 うーん。こういう歌い方や演出をする気持ちは分かるけど、ちょっとつまらないかなぁ。

 せっかくなので、ほかのカバーも探すと、ノラ・ジョーンズ登場。彼女はジョージも好きだが、トム・ペティも好き。独特のハスキー・ヴォイスで、下手にためずに、淡々と歌うところが良い。



 トムさんご本人は、2003年のサウンド・ステージ。サビでのビブラートがぐっとくる。そして、マイクがよく使っている、緑色のリッケンバッカー風マンドリン。最高。
 ちなみに、タイトルに "No.2" をつけたのには、特に意味はないそうだ。

St. Patrick's Day2021/03/17 20:37

 セント・パトリックス・デイである。
 例年なら、聖パトリックが何者かも知らない人も含めて、飲めや歌えや踊れや練り歩けやの、世界各地での大騒ぎなのだが、さすがに今年はそうも行くまい。
 私自身、このパンデミック下で、感染リスク減少のために犠牲にしているのが、アイルランド音楽のティン・ホイッスルである。最近すっかりご無沙汰で、腕もなまっている。
 セント・パトリックス・デイを期に、アイリッシュ・ミュージックを聴いて、やる気を掘り起こさねば。

 まずは、ヒストリー・チャンネルによる、「3分でわかる聖パトリック」から。
 アイルランドにキリスト教を広めたパトリックは、今やアイルランドの守護聖人だが、実のところアイルランド人ではないとか、アイルランドにヘビが居ないのは彼の力ではなく寒いからだとか、華やかな祝祭日になったのは、アメリカからとか、豆知識がいっぱい。



 では、音楽。
 やはり、ザ・ボシー・バンドが最高。とてつもなく凄い演奏なのに、涼しい顔をしているところが格好良い。



 そして、ケネディズ・キッチン。このバンドは、ホイッスルが上手い人を堪能できるので好きだ。
 この演奏では、途中で曲が "Rip the Calico" になったとたんに、どっと盛り上がって駆け込む感じが最高。



 こういう名演奏を見ると、自分もホイッスルを吹きたくなる。まずはセッション・チューンズ(曲集)の頭から順番に吹いていくことにしよう。

 番外編だが、リバーダンスも貼り付ける。
 ショー要素が強すぎるが、リバーダンスがアイルランド文化人気を爆発させたことは間違いなく、大きな功績がある。

St. Patrick Day2019/03/17 20:29

 今日は3月17日、セント・パトリック・デーだ。
 セント・パトリックは、5世紀にアイルランドで布教行ったとされるキリスト教の聖人。その命日がセント・パトリックの祝日として祝われる。
 今のように世俗的かつ盛大なイベントになったのはアメリカから始まったことで、シカゴでは川が緑色になる。



 そのような訳で、アイルランドの音楽を聴く。
 まずは、モダン・アイリュッス・バンドの雄、ザ・ボシー・バンド。私が目標にしているバンドだ。



 笛吹きとしては、やはりマット・モロイのフルートがすごい。まったく微動だにせずにものすごい早さと力強さ、正確さ。こういうのこういう体格の男性にしか無理なんじゃないかなぁと思う。ちなみに私は、手が小さくてアイリッシュ・フルートを諦めた。

 お次は、アメリカ,インディアナ州のアイリッシュ・バンド、ケネディズ・キッチン。



 やはり笛吹きとしては、この左右の手が通常と逆のホイッスル兄さんが凄い。べらぼうな早さなのに、揺るぎない技術!こういうのになりたい・・・のだが、練習量が足りていない。反省のセント・パトリック・デー。

LADY Chieftains - Celtic Heart2018/04/15 14:23

 4月13日、めぐろパーシモンホール小ホールでの、レディ・チーフタンズのコンサートに行った。
 収容人数200人のホールが、七割ほど埋まっていただろうか。



 レディ・チーフタンズは、アイルランドの大物バンドザ・チーフタンズ結成50周年来日記念として結成された、日本人女性によるトリビュートバンドだ。最初は軽い余興的な、カバー・バンドのようなものだったが、本家チーフタンズとの舞台上での共演や、各地パブ、野外フェスなどでの演奏を経て、すっかり立派なアイリッシュ・バンドになっている。
 こうなると「レディ・チーフタンズ」という名前がそぐわなくなっている観もあるが、ともあれ、このバンドのホールでの演奏会が開かれたというわけだ。

 実のところ、私はお酒の席、薄暗いところ、人で混雑しているところ、音楽を聞きたいのに人の話し声が聞こえるところ、そして野外が苦手なため、なかなかレディ・チーフタンズの演奏を聴く機会がなかった。そういう点で言うと、今回のようなホール公演はとても嬉しい。
 演奏は、五人のレディ・チーフタンズに、ゲストの男性ギタリスト、そしてアイリッシュダンサーが三人ゲストが参加した。

 曲目は、多くは良く知られているアイルランドのトラディショナルな楽曲を様々にとりまぜ、絶妙なセットにして聞かせてくれた。ボシー・バンドを理想としている私としては、このトラディショナルの曲を上手く組み合わせて演奏してくれるのはありがたかった。
 演奏は、総じて上手い。特にフィドル,フルート,ハープの三人は熟練しており、自信と独創性を持ってこのバンドを支えている。ホールという場所と、PAの力を借りて音楽の隅々までしっかりと聞かせている。
 アイリッシュ・ミュージックの演奏というと、美しくゆったりとしたエアーに終始されるのは退屈で困るのだが、今回はダンスの曲も多く、聴き応えがあった。
 上手い演奏とは言え、まだまだ伸びしろもあると思う。たとえばボシー・バンドの音が、地面からわき上がるのような落ち着きと底力に満ちているのに対し、彼女たちはまだ演奏が上半身の辺りで漂っている。ちょっとしたテンポの乱れや、フワフワした感じが、これからどう落ち着き、貫禄を身に着け、それでいて軽妙なダンスを圧倒的に放出してゆくのか、楽しみが残っている。

 曲目は総じてトラディショナルで、合間合間にアイリッシュダンサーのパフォーマンスがあって、楽しかった。ただ、後半の冒頭でリバーダンスの音を使ったのは、やや興ざめだった。ダンサーの見所作りのためだとは思うが、あの音を、レディ・チーフタンズだけで演奏しても良かっただろう。
 それから、これは非常に個人的な見解だが ― アンコールで「故郷(ふるさと)」を演奏したのは、居心地が悪かった。私はこの曲が苦手なのだ。曲そのものは良いと思うのだが、あの曲を演奏する場面で、なんとなく「郷愁を誘うよね、感動的だよね」という共通認識を強いられるような感じが、好きではないのだ。ここは "Amazing Grace" か、"Danny Boy" あたりが良かったと思う。

 レディ・チーフタンズという演奏も考えもしっかりとしたバンドは、もっと知られて良いと思うし、CDを出しても良い。真っ先に買うだろう。演奏会もどんどんやって欲しい。三人程度のグループは良くあるが、五人揃っているという強みもある。
 これからの更なる活躍を楽しみにしている。

Have I Told You Lately2016/03/22 20:35

 ニューヨークの風景が見たくて、映画「ニューヨーク 眺めのいい部屋売ります」[5 Flights Up] を見た。
 ニューヨークに暮らす人の視線で、ニューヨークの風景が楽しめる。信じられないほどの富裕層の世界でもなければ、犯罪だらけの危険地帯の話でもない。穏やかな夫婦の日常と、非日常の数日のドタバタの末に、確かめる幸せ。そういう映画だった。



 音楽で印象的だったのは、ヴァン・モリソンの "Have I Told You Lately"。1989年のアルバム [Avalon Sunset]からのシングルだ。
 誠実で切々とした歌詞と、味わい深い曲調で映画ともよく合っていた。



 1995年にチーステンズがアルバム [The Long Black Veil] を制作したとき、モリソンはゲストとして参加し、"Have I Told You Lately" をセルフカバーした。タイトルは "Have I Told You Lately That I Love You?" になっている。



 これはちょっと無理矢理っぽい。無理してアイルランド音楽っぽくアレンジした感じで、窮屈。オリジナルの方がずっと良い。

Pachelbel's Canon / Frolics / Hook2015/12/05 11:25

 ティン・ホイッスルで、 "Pachelbel's Frolics" という曲を吹いている。
 有名な「パッヘルベルのカノン」を、アイルランド風のリールにした曲で、アイリーン・アイヴァンというフィドル奏者の演奏が有名だ。彼女がリールに編曲したのかどうかは、知らない。"frolics" とは、「戯れ,陽気な集まり」という意味。

 良く出来ている編曲なので、沢山の人が演奏している。
 多くの場合、まずゆったりとしたパッヘルベルのオリジナル通りに演奏し、やがてテンポの早い "Pachelbel's Frolics" に続く。アイリーン・アイヴァンの演奏は良いのだが、途中でちょっとやり過ぎ感のある鬱陶しい展開になるので、ここではこちらの演奏。
 最初は普通に「パッヘルベルのカノン」、2分54秒から "Pachelbel's Frolics" になる。フルートが中心の演奏。



 そもそも、オリジナルの「パッヘルベルのカノン」は有名だが、その正体を詳しくは知らない。
 確認してみると、正式には「3つのヴァイオリンと通奏低音のためのカノンとジーグ 」(D-dur)という。ジーグ Gigue というのは英語の Jig と同じで、八分の六拍子の早いテンポの舞曲だ。カノンと組になっているこのジーグを聴いてみたのだが、まったくピンと来ない、要するに面白くない音楽だった。
 前半の5分間が有名な「パッヘルベルのカノン」、後半の2分ほどが「ジーグ」。



 パッヘルベル(1653-1706)はバロック期に南部ドイツで活躍した音楽家で、多くの作品を残しているが、一般的に知られているのはこの「パッヘルベルのカノン」のみ。私もこの曲しか知らない。
 バロック音楽というのは、クラシックというジャンルよりもさらに古い「古楽」に分類されており、演奏機会も少ない。バロック末期のバッハが、やや特殊な存在なのだ。そんな中でも、1曲だけでも良く知られているパッヘルベルは幸運な人と言えるだろう。

 「パッヘルベルのカノン」はシンプルな和声進行を、非常に建築的な手法で積み重ねた、ある意味堅実な作品で、そこに絶妙な高音メロディを被せた事で、パッヘルベルの勝利は決まった。
 この曲をお手本として、同じ和声進行構成の曲は多く作曲されているし、この曲自体も、多くの編曲を生み出している。

 アメリカのロックバンド,ブルース・トラベラーの名曲 "Hook" に関して、Wikipedia は "The chord progression of Hook is very similar to the basic structure of Pachelbel's Canon in D." と記述しているが、「よく似ている」どころか、私は「パッヘルベルのカノン」のロック風編曲だと思っている。しかも、恐ろしく良く出来た編曲だ。



 絶対に間違いないと思って、クレジットを見たのだが、パッヘルベルに関する言及はない。しかし、まったく「パッヘルベルのカノン」その物で、特にハーモニカのソロや、三番など、「パッヘルベルのカノン」の最後の高音メロディを上手くロック風に編曲した名作だ。
 三番の早口な歌詞は、意味よりも、カノンのメロディをロック風に再現することに重点が置かれているのだろう。ちなみに、三番の冒頭に出てくる「リンティンティン Rin Tin Tin」というのは、映画界で活躍した有名な犬の名前。「アン・ブーリン Anne Boleyn」というのは、ヘンリー八世の二番目の妻で、エリザベス一世の生母のこと。

 季節柄、「パッヘルベルのカノン」の様々なバージョンを耳にすることになりそうだ。