Hornpipe ― 2021/06/10 21:53
野球をなんとなく見ていたら、西武ライオンズ,山川穂高の応援歌が、どう聞いてもホーンパイプだった。
このように合唱形式で、沖縄風の笛が加わると分かりにくいが、今は声援なしでトランペットだけが球場に鳴り響く。そうなると本当に、完全なるホーンパイプ。
ホーンパイプは、アイルランドやイングランドのフォーク・ダンスの曲で、私が言っているのはアイルランドの方だ。
基本的に四拍子で、一拍を三等分して前二つをつなぐ。これで付点を使う四等分のものに比べて、緩やかなバウンス(跳ね)がうまれる。
日本人におなじみの曲でいうと、「ドラえもん」のテーマ曲も、アイルランドのホーンパイプと同じリズムだ。
アイルランドの代表的なホーンパイプを、二曲続けてフィドラーが弾いている。
このフィドラー、すごく弓使いが独特に見える…持ち方もちょっと変わっているし。フィドラー,およびヴァイオリニストの意見が聞きたい。
アイルランドのダンス・チューンとしては、のんびりした方で、私の先生曰く、「バカっぽい」。確かに能天気な感じがして、あまり長く聞いていると、退屈してくる。演奏している方は、気楽で良い感じなのだが。
「バカっぽい」などと言われても、ダンスがはいると、そうはいかない。ハードシューズでビシっときめる … うーん、それでもやっぱり、ジグやリールに比べると、格好良さはいまいちかな?
庶民的で、親しみやすいと言うべきだろう。
このように合唱形式で、沖縄風の笛が加わると分かりにくいが、今は声援なしでトランペットだけが球場に鳴り響く。そうなると本当に、完全なるホーンパイプ。
ホーンパイプは、アイルランドやイングランドのフォーク・ダンスの曲で、私が言っているのはアイルランドの方だ。
基本的に四拍子で、一拍を三等分して前二つをつなぐ。これで付点を使う四等分のものに比べて、緩やかなバウンス(跳ね)がうまれる。
日本人におなじみの曲でいうと、「ドラえもん」のテーマ曲も、アイルランドのホーンパイプと同じリズムだ。
アイルランドの代表的なホーンパイプを、二曲続けてフィドラーが弾いている。
このフィドラー、すごく弓使いが独特に見える…持ち方もちょっと変わっているし。フィドラー,およびヴァイオリニストの意見が聞きたい。
アイルランドのダンス・チューンとしては、のんびりした方で、私の先生曰く、「バカっぽい」。確かに能天気な感じがして、あまり長く聞いていると、退屈してくる。演奏している方は、気楽で良い感じなのだが。
「バカっぽい」などと言われても、ダンスがはいると、そうはいかない。ハードシューズでビシっときめる … うーん、それでもやっぱり、ジグやリールに比べると、格好良さはいまいちかな?
庶民的で、親しみやすいと言うべきだろう。
Angel Dream ― 2021/04/27 21:34
"Angel Dream" は1996年、[She's the One] に収録された。
トムさん曰く、二人目の奥さんに出会ったときに、彼女のために作ったとのこと。ああ、はいはい。
ケルト音楽には、特にヴォーカルに特化したジャンルがあり、中でもケルト風の女声が人気だ。ケルティック・ウーマンなども、ヴォーカルを前面に押し出している。
イーマ・クインもそういった女性歌手の一人だが、なんと "Angel Dream" をカバーしているのだ。
うーん。こういう歌い方や演出をする気持ちは分かるけど、ちょっとつまらないかなぁ。
せっかくなので、ほかのカバーも探すと、ノラ・ジョーンズ登場。彼女はジョージも好きだが、トム・ペティも好き。独特のハスキー・ヴォイスで、下手にためずに、淡々と歌うところが良い。
トムさんご本人は、2003年のサウンド・ステージ。サビでのビブラートがぐっとくる。そして、マイクがよく使っている、緑色のリッケンバッカー風マンドリン。最高。
ちなみに、タイトルに "No.2" をつけたのには、特に意味はないそうだ。
トムさん曰く、二人目の奥さんに出会ったときに、彼女のために作ったとのこと。ああ、はいはい。
ケルト音楽には、特にヴォーカルに特化したジャンルがあり、中でもケルト風の女声が人気だ。ケルティック・ウーマンなども、ヴォーカルを前面に押し出している。
イーマ・クインもそういった女性歌手の一人だが、なんと "Angel Dream" をカバーしているのだ。
うーん。こういう歌い方や演出をする気持ちは分かるけど、ちょっとつまらないかなぁ。
せっかくなので、ほかのカバーも探すと、ノラ・ジョーンズ登場。彼女はジョージも好きだが、トム・ペティも好き。独特のハスキー・ヴォイスで、下手にためずに、淡々と歌うところが良い。
トムさんご本人は、2003年のサウンド・ステージ。サビでのビブラートがぐっとくる。そして、マイクがよく使っている、緑色のリッケンバッカー風マンドリン。最高。
ちなみに、タイトルに "No.2" をつけたのには、特に意味はないそうだ。
St. Patrick's Day ― 2021/03/17 20:37
セント・パトリックス・デイである。
例年なら、聖パトリックが何者かも知らない人も含めて、飲めや歌えや踊れや練り歩けやの、世界各地での大騒ぎなのだが、さすがに今年はそうも行くまい。
私自身、このパンデミック下で、感染リスク減少のために犠牲にしているのが、アイルランド音楽のティン・ホイッスルである。最近すっかりご無沙汰で、腕もなまっている。
セント・パトリックス・デイを期に、アイリッシュ・ミュージックを聴いて、やる気を掘り起こさねば。
まずは、ヒストリー・チャンネルによる、「3分でわかる聖パトリック」から。
アイルランドにキリスト教を広めたパトリックは、今やアイルランドの守護聖人だが、実のところアイルランド人ではないとか、アイルランドにヘビが居ないのは彼の力ではなく寒いからだとか、華やかな祝祭日になったのは、アメリカからとか、豆知識がいっぱい。
では、音楽。
やはり、ザ・ボシー・バンドが最高。とてつもなく凄い演奏なのに、涼しい顔をしているところが格好良い。
そして、ケネディズ・キッチン。このバンドは、ホイッスルが上手い人を堪能できるので好きだ。
この演奏では、途中で曲が "Rip the Calico" になったとたんに、どっと盛り上がって駆け込む感じが最高。
こういう名演奏を見ると、自分もホイッスルを吹きたくなる。まずはセッション・チューンズ(曲集)の頭から順番に吹いていくことにしよう。
番外編だが、リバーダンスも貼り付ける。
ショー要素が強すぎるが、リバーダンスがアイルランド文化人気を爆発させたことは間違いなく、大きな功績がある。
例年なら、聖パトリックが何者かも知らない人も含めて、飲めや歌えや踊れや練り歩けやの、世界各地での大騒ぎなのだが、さすがに今年はそうも行くまい。
私自身、このパンデミック下で、感染リスク減少のために犠牲にしているのが、アイルランド音楽のティン・ホイッスルである。最近すっかりご無沙汰で、腕もなまっている。
セント・パトリックス・デイを期に、アイリッシュ・ミュージックを聴いて、やる気を掘り起こさねば。
まずは、ヒストリー・チャンネルによる、「3分でわかる聖パトリック」から。
アイルランドにキリスト教を広めたパトリックは、今やアイルランドの守護聖人だが、実のところアイルランド人ではないとか、アイルランドにヘビが居ないのは彼の力ではなく寒いからだとか、華やかな祝祭日になったのは、アメリカからとか、豆知識がいっぱい。
では、音楽。
やはり、ザ・ボシー・バンドが最高。とてつもなく凄い演奏なのに、涼しい顔をしているところが格好良い。
そして、ケネディズ・キッチン。このバンドは、ホイッスルが上手い人を堪能できるので好きだ。
この演奏では、途中で曲が "Rip the Calico" になったとたんに、どっと盛り上がって駆け込む感じが最高。
こういう名演奏を見ると、自分もホイッスルを吹きたくなる。まずはセッション・チューンズ(曲集)の頭から順番に吹いていくことにしよう。
番外編だが、リバーダンスも貼り付ける。
ショー要素が強すぎるが、リバーダンスがアイルランド文化人気を爆発させたことは間違いなく、大きな功績がある。
St. Patrick Day ― 2019/03/17 20:29
今日は3月17日、セント・パトリック・デーだ。
セント・パトリックは、5世紀にアイルランドで布教行ったとされるキリスト教の聖人。その命日がセント・パトリックの祝日として祝われる。
今のように世俗的かつ盛大なイベントになったのはアメリカから始まったことで、シカゴでは川が緑色になる。
そのような訳で、アイルランドの音楽を聴く。
まずは、モダン・アイリュッス・バンドの雄、ザ・ボシー・バンド。私が目標にしているバンドだ。
笛吹きとしては、やはりマット・モロイのフルートがすごい。まったく微動だにせずにものすごい早さと力強さ、正確さ。こういうのこういう体格の男性にしか無理なんじゃないかなぁと思う。ちなみに私は、手が小さくてアイリッシュ・フルートを諦めた。
お次は、アメリカ,インディアナ州のアイリッシュ・バンド、ケネディズ・キッチン。
やはり笛吹きとしては、この左右の手が通常と逆のホイッスル兄さんが凄い。べらぼうな早さなのに、揺るぎない技術!こういうのになりたい・・・のだが、練習量が足りていない。反省のセント・パトリック・デー。
セント・パトリックは、5世紀にアイルランドで布教行ったとされるキリスト教の聖人。その命日がセント・パトリックの祝日として祝われる。
今のように世俗的かつ盛大なイベントになったのはアメリカから始まったことで、シカゴでは川が緑色になる。
そのような訳で、アイルランドの音楽を聴く。
まずは、モダン・アイリュッス・バンドの雄、ザ・ボシー・バンド。私が目標にしているバンドだ。
笛吹きとしては、やはりマット・モロイのフルートがすごい。まったく微動だにせずにものすごい早さと力強さ、正確さ。こういうのこういう体格の男性にしか無理なんじゃないかなぁと思う。ちなみに私は、手が小さくてアイリッシュ・フルートを諦めた。
お次は、アメリカ,インディアナ州のアイリッシュ・バンド、ケネディズ・キッチン。
やはり笛吹きとしては、この左右の手が通常と逆のホイッスル兄さんが凄い。べらぼうな早さなのに、揺るぎない技術!こういうのになりたい・・・のだが、練習量が足りていない。反省のセント・パトリック・デー。
LADY Chieftains - Celtic Heart ― 2018/04/15 14:23
4月13日、めぐろパーシモンホール小ホールでの、レディ・チーフタンズのコンサートに行った。
収容人数200人のホールが、七割ほど埋まっていただろうか。
レディ・チーフタンズは、アイルランドの大物バンドザ・チーフタンズ結成50周年来日記念として結成された、日本人女性によるトリビュートバンドだ。最初は軽い余興的な、カバー・バンドのようなものだったが、本家チーフタンズとの舞台上での共演や、各地パブ、野外フェスなどでの演奏を経て、すっかり立派なアイリッシュ・バンドになっている。
こうなると「レディ・チーフタンズ」という名前がそぐわなくなっている観もあるが、ともあれ、このバンドのホールでの演奏会が開かれたというわけだ。
実のところ、私はお酒の席、薄暗いところ、人で混雑しているところ、音楽を聞きたいのに人の話し声が聞こえるところ、そして野外が苦手なため、なかなかレディ・チーフタンズの演奏を聴く機会がなかった。そういう点で言うと、今回のようなホール公演はとても嬉しい。
演奏は、五人のレディ・チーフタンズに、ゲストの男性ギタリスト、そしてアイリッシュダンサーが三人ゲストが参加した。
曲目は、多くは良く知られているアイルランドのトラディショナルな楽曲を様々にとりまぜ、絶妙なセットにして聞かせてくれた。ボシー・バンドを理想としている私としては、このトラディショナルの曲を上手く組み合わせて演奏してくれるのはありがたかった。
演奏は、総じて上手い。特にフィドル,フルート,ハープの三人は熟練しており、自信と独創性を持ってこのバンドを支えている。ホールという場所と、PAの力を借りて音楽の隅々までしっかりと聞かせている。
アイリッシュ・ミュージックの演奏というと、美しくゆったりとしたエアーに終始されるのは退屈で困るのだが、今回はダンスの曲も多く、聴き応えがあった。
上手い演奏とは言え、まだまだ伸びしろもあると思う。たとえばボシー・バンドの音が、地面からわき上がるのような落ち着きと底力に満ちているのに対し、彼女たちはまだ演奏が上半身の辺りで漂っている。ちょっとしたテンポの乱れや、フワフワした感じが、これからどう落ち着き、貫禄を身に着け、それでいて軽妙なダンスを圧倒的に放出してゆくのか、楽しみが残っている。
曲目は総じてトラディショナルで、合間合間にアイリッシュダンサーのパフォーマンスがあって、楽しかった。ただ、後半の冒頭でリバーダンスの音を使ったのは、やや興ざめだった。ダンサーの見所作りのためだとは思うが、あの音を、レディ・チーフタンズだけで演奏しても良かっただろう。
それから、これは非常に個人的な見解だが ― アンコールで「故郷(ふるさと)」を演奏したのは、居心地が悪かった。私はこの曲が苦手なのだ。曲そのものは良いと思うのだが、あの曲を演奏する場面で、なんとなく「郷愁を誘うよね、感動的だよね」という共通認識を強いられるような感じが、好きではないのだ。ここは "Amazing Grace" か、"Danny Boy" あたりが良かったと思う。
レディ・チーフタンズという演奏も考えもしっかりとしたバンドは、もっと知られて良いと思うし、CDを出しても良い。真っ先に買うだろう。演奏会もどんどんやって欲しい。三人程度のグループは良くあるが、五人揃っているという強みもある。
これからの更なる活躍を楽しみにしている。
収容人数200人のホールが、七割ほど埋まっていただろうか。
レディ・チーフタンズは、アイルランドの大物バンドザ・チーフタンズ結成50周年来日記念として結成された、日本人女性によるトリビュートバンドだ。最初は軽い余興的な、カバー・バンドのようなものだったが、本家チーフタンズとの舞台上での共演や、各地パブ、野外フェスなどでの演奏を経て、すっかり立派なアイリッシュ・バンドになっている。
こうなると「レディ・チーフタンズ」という名前がそぐわなくなっている観もあるが、ともあれ、このバンドのホールでの演奏会が開かれたというわけだ。
実のところ、私はお酒の席、薄暗いところ、人で混雑しているところ、音楽を聞きたいのに人の話し声が聞こえるところ、そして野外が苦手なため、なかなかレディ・チーフタンズの演奏を聴く機会がなかった。そういう点で言うと、今回のようなホール公演はとても嬉しい。
演奏は、五人のレディ・チーフタンズに、ゲストの男性ギタリスト、そしてアイリッシュダンサーが三人ゲストが参加した。
曲目は、多くは良く知られているアイルランドのトラディショナルな楽曲を様々にとりまぜ、絶妙なセットにして聞かせてくれた。ボシー・バンドを理想としている私としては、このトラディショナルの曲を上手く組み合わせて演奏してくれるのはありがたかった。
演奏は、総じて上手い。特にフィドル,フルート,ハープの三人は熟練しており、自信と独創性を持ってこのバンドを支えている。ホールという場所と、PAの力を借りて音楽の隅々までしっかりと聞かせている。
アイリッシュ・ミュージックの演奏というと、美しくゆったりとしたエアーに終始されるのは退屈で困るのだが、今回はダンスの曲も多く、聴き応えがあった。
上手い演奏とは言え、まだまだ伸びしろもあると思う。たとえばボシー・バンドの音が、地面からわき上がるのような落ち着きと底力に満ちているのに対し、彼女たちはまだ演奏が上半身の辺りで漂っている。ちょっとしたテンポの乱れや、フワフワした感じが、これからどう落ち着き、貫禄を身に着け、それでいて軽妙なダンスを圧倒的に放出してゆくのか、楽しみが残っている。
曲目は総じてトラディショナルで、合間合間にアイリッシュダンサーのパフォーマンスがあって、楽しかった。ただ、後半の冒頭でリバーダンスの音を使ったのは、やや興ざめだった。ダンサーの見所作りのためだとは思うが、あの音を、レディ・チーフタンズだけで演奏しても良かっただろう。
それから、これは非常に個人的な見解だが ― アンコールで「故郷(ふるさと)」を演奏したのは、居心地が悪かった。私はこの曲が苦手なのだ。曲そのものは良いと思うのだが、あの曲を演奏する場面で、なんとなく「郷愁を誘うよね、感動的だよね」という共通認識を強いられるような感じが、好きではないのだ。ここは "Amazing Grace" か、"Danny Boy" あたりが良かったと思う。
レディ・チーフタンズという演奏も考えもしっかりとしたバンドは、もっと知られて良いと思うし、CDを出しても良い。真っ先に買うだろう。演奏会もどんどんやって欲しい。三人程度のグループは良くあるが、五人揃っているという強みもある。
これからの更なる活躍を楽しみにしている。
Have I Told You Lately ― 2016/03/22 20:35
ニューヨークの風景が見たくて、映画「ニューヨーク 眺めのいい部屋売ります」[5 Flights Up] を見た。
ニューヨークに暮らす人の視線で、ニューヨークの風景が楽しめる。信じられないほどの富裕層の世界でもなければ、犯罪だらけの危険地帯の話でもない。穏やかな夫婦の日常と、非日常の数日のドタバタの末に、確かめる幸せ。そういう映画だった。
音楽で印象的だったのは、ヴァン・モリソンの "Have I Told You Lately"。1989年のアルバム [Avalon Sunset]からのシングルだ。
誠実で切々とした歌詞と、味わい深い曲調で映画ともよく合っていた。
1995年にチーステンズがアルバム [The Long Black Veil] を制作したとき、モリソンはゲストとして参加し、"Have I Told You Lately" をセルフカバーした。タイトルは "Have I Told You Lately That I Love You?" になっている。
これはちょっと無理矢理っぽい。無理してアイルランド音楽っぽくアレンジした感じで、窮屈。オリジナルの方がずっと良い。
ニューヨークに暮らす人の視線で、ニューヨークの風景が楽しめる。信じられないほどの富裕層の世界でもなければ、犯罪だらけの危険地帯の話でもない。穏やかな夫婦の日常と、非日常の数日のドタバタの末に、確かめる幸せ。そういう映画だった。
音楽で印象的だったのは、ヴァン・モリソンの "Have I Told You Lately"。1989年のアルバム [Avalon Sunset]からのシングルだ。
誠実で切々とした歌詞と、味わい深い曲調で映画ともよく合っていた。
1995年にチーステンズがアルバム [The Long Black Veil] を制作したとき、モリソンはゲストとして参加し、"Have I Told You Lately" をセルフカバーした。タイトルは "Have I Told You Lately That I Love You?" になっている。
これはちょっと無理矢理っぽい。無理してアイルランド音楽っぽくアレンジした感じで、窮屈。オリジナルの方がずっと良い。
Pachelbel's Canon / Frolics / Hook ― 2015/12/05 11:25
ティン・ホイッスルで、 "Pachelbel's Frolics" という曲を吹いている。
有名な「パッヘルベルのカノン」を、アイルランド風のリールにした曲で、アイリーン・アイヴァンというフィドル奏者の演奏が有名だ。彼女がリールに編曲したのかどうかは、知らない。"frolics" とは、「戯れ,陽気な集まり」という意味。
良く出来ている編曲なので、沢山の人が演奏している。
多くの場合、まずゆったりとしたパッヘルベルのオリジナル通りに演奏し、やがてテンポの早い "Pachelbel's Frolics" に続く。アイリーン・アイヴァンの演奏は良いのだが、途中でちょっとやり過ぎ感のある鬱陶しい展開になるので、ここではこちらの演奏。
最初は普通に「パッヘルベルのカノン」、2分54秒から "Pachelbel's Frolics" になる。フルートが中心の演奏。
そもそも、オリジナルの「パッヘルベルのカノン」は有名だが、その正体を詳しくは知らない。
確認してみると、正式には「3つのヴァイオリンと通奏低音のためのカノンとジーグ 」(D-dur)という。ジーグ Gigue というのは英語の Jig と同じで、八分の六拍子の早いテンポの舞曲だ。カノンと組になっているこのジーグを聴いてみたのだが、まったくピンと来ない、要するに面白くない音楽だった。
前半の5分間が有名な「パッヘルベルのカノン」、後半の2分ほどが「ジーグ」。
パッヘルベル(1653-1706)はバロック期に南部ドイツで活躍した音楽家で、多くの作品を残しているが、一般的に知られているのはこの「パッヘルベルのカノン」のみ。私もこの曲しか知らない。
バロック音楽というのは、クラシックというジャンルよりもさらに古い「古楽」に分類されており、演奏機会も少ない。バロック末期のバッハが、やや特殊な存在なのだ。そんな中でも、1曲だけでも良く知られているパッヘルベルは幸運な人と言えるだろう。
「パッヘルベルのカノン」はシンプルな和声進行を、非常に建築的な手法で積み重ねた、ある意味堅実な作品で、そこに絶妙な高音メロディを被せた事で、パッヘルベルの勝利は決まった。
この曲をお手本として、同じ和声進行構成の曲は多く作曲されているし、この曲自体も、多くの編曲を生み出している。
アメリカのロックバンド,ブルース・トラベラーの名曲 "Hook" に関して、Wikipedia は "The chord progression of Hook is very similar to the basic structure of Pachelbel's Canon in D." と記述しているが、「よく似ている」どころか、私は「パッヘルベルのカノン」のロック風編曲だと思っている。しかも、恐ろしく良く出来た編曲だ。
絶対に間違いないと思って、クレジットを見たのだが、パッヘルベルに関する言及はない。しかし、まったく「パッヘルベルのカノン」その物で、特にハーモニカのソロや、三番など、「パッヘルベルのカノン」の最後の高音メロディを上手くロック風に編曲した名作だ。
三番の早口な歌詞は、意味よりも、カノンのメロディをロック風に再現することに重点が置かれているのだろう。ちなみに、三番の冒頭に出てくる「リンティンティン Rin Tin Tin」というのは、映画界で活躍した有名な犬の名前。「アン・ブーリン Anne Boleyn」というのは、ヘンリー八世の二番目の妻で、エリザベス一世の生母のこと。
季節柄、「パッヘルベルのカノン」の様々なバージョンを耳にすることになりそうだ。
有名な「パッヘルベルのカノン」を、アイルランド風のリールにした曲で、アイリーン・アイヴァンというフィドル奏者の演奏が有名だ。彼女がリールに編曲したのかどうかは、知らない。"frolics" とは、「戯れ,陽気な集まり」という意味。
良く出来ている編曲なので、沢山の人が演奏している。
多くの場合、まずゆったりとしたパッヘルベルのオリジナル通りに演奏し、やがてテンポの早い "Pachelbel's Frolics" に続く。アイリーン・アイヴァンの演奏は良いのだが、途中でちょっとやり過ぎ感のある鬱陶しい展開になるので、ここではこちらの演奏。
最初は普通に「パッヘルベルのカノン」、2分54秒から "Pachelbel's Frolics" になる。フルートが中心の演奏。
そもそも、オリジナルの「パッヘルベルのカノン」は有名だが、その正体を詳しくは知らない。
確認してみると、正式には「3つのヴァイオリンと通奏低音のためのカノンとジーグ 」(D-dur)という。ジーグ Gigue というのは英語の Jig と同じで、八分の六拍子の早いテンポの舞曲だ。カノンと組になっているこのジーグを聴いてみたのだが、まったくピンと来ない、要するに面白くない音楽だった。
前半の5分間が有名な「パッヘルベルのカノン」、後半の2分ほどが「ジーグ」。
パッヘルベル(1653-1706)はバロック期に南部ドイツで活躍した音楽家で、多くの作品を残しているが、一般的に知られているのはこの「パッヘルベルのカノン」のみ。私もこの曲しか知らない。
バロック音楽というのは、クラシックというジャンルよりもさらに古い「古楽」に分類されており、演奏機会も少ない。バロック末期のバッハが、やや特殊な存在なのだ。そんな中でも、1曲だけでも良く知られているパッヘルベルは幸運な人と言えるだろう。
「パッヘルベルのカノン」はシンプルな和声進行を、非常に建築的な手法で積み重ねた、ある意味堅実な作品で、そこに絶妙な高音メロディを被せた事で、パッヘルベルの勝利は決まった。
この曲をお手本として、同じ和声進行構成の曲は多く作曲されているし、この曲自体も、多くの編曲を生み出している。
アメリカのロックバンド,ブルース・トラベラーの名曲 "Hook" に関して、Wikipedia は "The chord progression of Hook is very similar to the basic structure of Pachelbel's Canon in D." と記述しているが、「よく似ている」どころか、私は「パッヘルベルのカノン」のロック風編曲だと思っている。しかも、恐ろしく良く出来た編曲だ。
絶対に間違いないと思って、クレジットを見たのだが、パッヘルベルに関する言及はない。しかし、まったく「パッヘルベルのカノン」その物で、特にハーモニカのソロや、三番など、「パッヘルベルのカノン」の最後の高音メロディを上手くロック風に編曲した名作だ。
三番の早口な歌詞は、意味よりも、カノンのメロディをロック風に再現することに重点が置かれているのだろう。ちなみに、三番の冒頭に出てくる「リンティンティン Rin Tin Tin」というのは、映画界で活躍した有名な犬の名前。「アン・ブーリン Anne Boleyn」というのは、ヘンリー八世の二番目の妻で、エリザベス一世の生母のこと。
季節柄、「パッヘルベルのカノン」の様々なバージョンを耳にすることになりそうだ。
Shady Grove ― 2015/08/07 22:11
ずいぶん待たされたが、ようやくロジャー・マッグインのアルバム [Limited Album] がアメリカから届いた。
まさにマッグイン・サウンドと言うべき音楽が一杯に詰まっている。何と言っても、"If I Needed Someone" だけでも買う価値がある。
クレジットを見ると、ドラムにスタン・リンチの名前があるのが嬉しかった。
あらかじめ収録されていることを知っていたのは "If I Needed Someone" と "May the Road Rise to Meet You" だけ。だから、 "Shady Grove" が聞こえたときは、心がざわめき立った。
もちろん、私としてはマッドクラッチの録音でお馴染みだ。
ご親切なことに、ロジャー・マッグインと、マッドクラッチの録音を並べた動画がある。
これを聴くと ― トム・レドンには悪いが ― トムさんがヴォーカリストとして非常に魅力的であることを思い知らされる。
"Shady Grove" というのは女性の名前だそうだ。17世紀、アメリカで流行したフォークソングで、ケルト音楽やブルーグラスでも演奏されるという。
基本的に、エオリア旋法。これは現在のマイナー調の元となった調だが、第六音や第七音を半音上げない、素朴な古い旋律。ブルーグラスなどでは、メジャーにすることもあるらしいが、どうも脳天気すぎて、私とはセンスが合わない。やはり、微妙に暗くて悲しいような旋律が、この曲の魅力ではないだろうか。
こちらは、チーフテンズと、トム・オブライエンの共演。フレーズの後ろを長く伸ばす、独特の演奏だ。そして、勢いもそのままにリール, "Longford Tinker" になだれ込み、ダンサーが格好良く踊る。さすがの貫禄だ。
まさにマッグイン・サウンドと言うべき音楽が一杯に詰まっている。何と言っても、"If I Needed Someone" だけでも買う価値がある。
クレジットを見ると、ドラムにスタン・リンチの名前があるのが嬉しかった。
あらかじめ収録されていることを知っていたのは "If I Needed Someone" と "May the Road Rise to Meet You" だけ。だから、 "Shady Grove" が聞こえたときは、心がざわめき立った。
もちろん、私としてはマッドクラッチの録音でお馴染みだ。
ご親切なことに、ロジャー・マッグインと、マッドクラッチの録音を並べた動画がある。
これを聴くと ― トム・レドンには悪いが ― トムさんがヴォーカリストとして非常に魅力的であることを思い知らされる。
"Shady Grove" というのは女性の名前だそうだ。17世紀、アメリカで流行したフォークソングで、ケルト音楽やブルーグラスでも演奏されるという。
基本的に、エオリア旋法。これは現在のマイナー調の元となった調だが、第六音や第七音を半音上げない、素朴な古い旋律。ブルーグラスなどでは、メジャーにすることもあるらしいが、どうも脳天気すぎて、私とはセンスが合わない。やはり、微妙に暗くて悲しいような旋律が、この曲の魅力ではないだろうか。
こちらは、チーフテンズと、トム・オブライエンの共演。フレーズの後ろを長く伸ばす、独特の演奏だ。そして、勢いもそのままにリール, "Longford Tinker" になだれ込み、ダンサーが格好良く踊る。さすがの貫禄だ。
Kennedy's Kitchen ― 2015/03/17 21:47
3月17日はセント・パトリック・デー。そのようなわけでアイリッシュを何か聴こうと思った。
トラディショナル・アイリッシュ・ミュージックのオムニバス・アルバムである、[Victims of Irish Music] の内、ティン・ホイッスルの演奏でとりわけ上手いと思わせた演奏があったので、そのアーチストを改めてチェックした。
アメリカはインディアナ州に拠点を置くアイリッシュ・バンド、ケネディーズ・キッチン Kennedy's Kitchen がそれだった。
ジョン・ケネディが中心になって結成され、1998年から活動している。アルバムも何枚か出しているので、さっそくiTunes で 2006年の [A Pocket Full of Lint] を購入した。
とにかくティン・ホイッスルのリアムが上手い。ほかの人も、もちろん上手いが、自分がホイッスラーなだけに、あの超絶吹奏には感動してしまった。
特にCDだけを聴くと凄まじく速く、難しい演奏を何事もなく、鏡のように滑らかに吹いてみせる。あまりの滑らかさにややヒンヤリとした質感すらするが、私は上手さに対する崇拝があるので、この凄さは好きだ。
難しいもの、速いものを一分も乱れずに、何でもなく演奏する格好良さに憧れる。難しい曲を、いかにも難しそうに、オーバーアクションに演奏する人がいるが、ああいうのはダサいと思う。もっとも、現実の私自身は喘ぎながら笛を吹き、悶絶しながらウクレレを、七転八倒しながらピアノを弾いているのだが。
ちなみに、リアムはフルートを吹くときは普通の人とは逆に構える。左利きなのだろう。アイリッシュ・フルートならそれも可能。
それにしてもケネディーズ・キッチンの速さは度を超している。ライブになるとどんどん速くなる。これなど、本気で心配したくなるような異次元の速度に突入してゆく。
余りの速さに、大気圏はおろか地球の引力圏をも突き抜けそうな勢いだ。だれか、ギターを止めろ!たぶん、彼がリーダーのジョンだ!
しかしそれについて行くメンバーがスゴイ。さすがにこの速度で演奏したいとは思わないが、尊敬する。
もちろん、アルバムの最初から最後までぶっ飛ばしている訳ではない。スローな曲や、楽しい歌もある。
歌の方はケルト色が薄く、アメリカでモダンな感じになった曲になっている。それが残念といえば残念か。
歌からダンス・チューンに入る楽しい曲もある。
楽器もできれば、歌もできるというのは羨ましい限り。
アルバムは合計5作発表しているので、揃えてみたいと思う。
トラディショナル・アイリッシュ・ミュージックのオムニバス・アルバムである、[Victims of Irish Music] の内、ティン・ホイッスルの演奏でとりわけ上手いと思わせた演奏があったので、そのアーチストを改めてチェックした。
アメリカはインディアナ州に拠点を置くアイリッシュ・バンド、ケネディーズ・キッチン Kennedy's Kitchen がそれだった。
ジョン・ケネディが中心になって結成され、1998年から活動している。アルバムも何枚か出しているので、さっそくiTunes で 2006年の [A Pocket Full of Lint] を購入した。
とにかくティン・ホイッスルのリアムが上手い。ほかの人も、もちろん上手いが、自分がホイッスラーなだけに、あの超絶吹奏には感動してしまった。
特にCDだけを聴くと凄まじく速く、難しい演奏を何事もなく、鏡のように滑らかに吹いてみせる。あまりの滑らかさにややヒンヤリとした質感すらするが、私は上手さに対する崇拝があるので、この凄さは好きだ。
難しいもの、速いものを一分も乱れずに、何でもなく演奏する格好良さに憧れる。難しい曲を、いかにも難しそうに、オーバーアクションに演奏する人がいるが、ああいうのはダサいと思う。もっとも、現実の私自身は喘ぎながら笛を吹き、悶絶しながらウクレレを、七転八倒しながらピアノを弾いているのだが。
ちなみに、リアムはフルートを吹くときは普通の人とは逆に構える。左利きなのだろう。アイリッシュ・フルートならそれも可能。
それにしてもケネディーズ・キッチンの速さは度を超している。ライブになるとどんどん速くなる。これなど、本気で心配したくなるような異次元の速度に突入してゆく。
余りの速さに、大気圏はおろか地球の引力圏をも突き抜けそうな勢いだ。だれか、ギターを止めろ!たぶん、彼がリーダーのジョンだ!
しかしそれについて行くメンバーがスゴイ。さすがにこの速度で演奏したいとは思わないが、尊敬する。
もちろん、アルバムの最初から最後までぶっ飛ばしている訳ではない。スローな曲や、楽しい歌もある。
歌の方はケルト色が薄く、アメリカでモダンな感じになった曲になっている。それが残念といえば残念か。
歌からダンス・チューンに入る楽しい曲もある。
楽器もできれば、歌もできるというのは羨ましい限り。
アルバムは合計5作発表しているので、揃えてみたいと思う。
My Favorite Melodies Vol.2 ― 2014/12/29 21:14
アイリッシュ・フルート,ティン・ホイッスル,リコーダー奏者であり、指導者としての活躍している安井マリさんが、2枚目のアルバムを発表した。
去年発表した[My Favorite Melodies] に続き、第二弾 [My Favorite Melodies Vol.2]。今回もアイリッシュ・フルートとティン・ホイッスルをメインに据えて、穏やかでスローな曲を揃えている。
前作との違いは、まずバックがギターではなく、ハープであること。前作のギターより、存在感があり、ソロを奏でることもある。
さらに大きな違いは、主に日本で親しまれてきた曲でアルバムが構成されていること。アイルランドの曲に限らず(むしろアイリッシュの方が少ない)、スコットランドやイングランド、アメリカで作られ、明治時代以降日本に入って日本語の歌詞がつけられ、愛唱されてきた曲を多く収録している。「春の日の花と輝く」や、「庭の千草」がその代表だろう。
最近テレビでも、「埴生の宿」や「ザ・ウォーター・イズ・ワイド」などがよく流れているらしい。 さらに、純粋に日本の曲である「夏は来ぬ」や、「浜辺の歌」、「揺籃のうた」も収録されている。
前作に続き、豊かで叙情性に満ち、しかし甘くなりすぎない絶妙な美しさの演奏にが揃っている。
曲に関しては、はまる人は、はまる。日本人の愛唱歌という意味では、豪華で満足の行くラインナップ。
ただし、私には完璧にマッチするというわけにはいかなかった。せっかく安井マリさんのフルートやホイッスルを堪能するなら、アイリッシュ,せいぜいスコットランド,ウェイルズ。ケルト系の曲の方が性に合っている。日本の曲は私にはピンとこない。
超のつく有名曲が並ぶ中で、実は「庭の千草」という曲は、あまり馴染みがないことを白状しておく。まったく聴いたことがないわけではないが、ちゃんとは知らなかった。
そして、「とねりこの木立」という曲は、全くの初めての曲だった。日本で有名なのだろうか。原題は "The Ash Grove" といい、Wikipedia によると、ウェイルズのトラディショナル・ソングで、さまざまな詞をつけられてきたとのこと。もっとも有名なのは、19世紀にイングランド人のジョン・オクセンフォードの詞だそうだ。
知らない曲なので、どのバージョンをはれば良いかわからないが、素朴で美しくて、バックがそこらの教室みたいでよかったので、こちら。
ウェイルズの曲とは言え、あまりケルトっぽい雰囲気はなく、半音の使い方がモダン・クラシックの香りを漂わしている。
ともあれ、安井マリさんの今回のアルバムの中では、この曲が一番好き。
アルバムは、銀座山野楽器の管楽器コーナーや、東京古楽器センターで入手可能。私と直接知り合いなら、私からも入手できるが。もっと沢山のところで、手軽に手に入ると良いのだが。
今回の [Vol.2] のみの入手はお勧めしない。ぜひとも、[Vol.1] と一緒に聴くことを推奨する。
去年発表した[My Favorite Melodies] に続き、第二弾 [My Favorite Melodies Vol.2]。今回もアイリッシュ・フルートとティン・ホイッスルをメインに据えて、穏やかでスローな曲を揃えている。
前作との違いは、まずバックがギターではなく、ハープであること。前作のギターより、存在感があり、ソロを奏でることもある。
さらに大きな違いは、主に日本で親しまれてきた曲でアルバムが構成されていること。アイルランドの曲に限らず(むしろアイリッシュの方が少ない)、スコットランドやイングランド、アメリカで作られ、明治時代以降日本に入って日本語の歌詞がつけられ、愛唱されてきた曲を多く収録している。「春の日の花と輝く」や、「庭の千草」がその代表だろう。
最近テレビでも、「埴生の宿」や「ザ・ウォーター・イズ・ワイド」などがよく流れているらしい。 さらに、純粋に日本の曲である「夏は来ぬ」や、「浜辺の歌」、「揺籃のうた」も収録されている。
前作に続き、豊かで叙情性に満ち、しかし甘くなりすぎない絶妙な美しさの演奏にが揃っている。
曲に関しては、はまる人は、はまる。日本人の愛唱歌という意味では、豪華で満足の行くラインナップ。
ただし、私には完璧にマッチするというわけにはいかなかった。せっかく安井マリさんのフルートやホイッスルを堪能するなら、アイリッシュ,せいぜいスコットランド,ウェイルズ。ケルト系の曲の方が性に合っている。日本の曲は私にはピンとこない。
超のつく有名曲が並ぶ中で、実は「庭の千草」という曲は、あまり馴染みがないことを白状しておく。まったく聴いたことがないわけではないが、ちゃんとは知らなかった。
そして、「とねりこの木立」という曲は、全くの初めての曲だった。日本で有名なのだろうか。原題は "The Ash Grove" といい、Wikipedia によると、ウェイルズのトラディショナル・ソングで、さまざまな詞をつけられてきたとのこと。もっとも有名なのは、19世紀にイングランド人のジョン・オクセンフォードの詞だそうだ。
知らない曲なので、どのバージョンをはれば良いかわからないが、素朴で美しくて、バックがそこらの教室みたいでよかったので、こちら。
ウェイルズの曲とは言え、あまりケルトっぽい雰囲気はなく、半音の使い方がモダン・クラシックの香りを漂わしている。
ともあれ、安井マリさんの今回のアルバムの中では、この曲が一番好き。
アルバムは、銀座山野楽器の管楽器コーナーや、東京古楽器センターで入手可能。私と直接知り合いなら、私からも入手できるが。もっと沢山のところで、手軽に手に入ると良いのだが。
今回の [Vol.2] のみの入手はお勧めしない。ぜひとも、[Vol.1] と一緒に聴くことを推奨する。
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