Marianne Faithfull2025/02/06 21:22

 毎週のように誰かの訃報に触れているのだが、今度はマリアンヌ・フェイスフルだという。特に音楽的に興味のある人ではなかったが、60年代のアイコンの一人だったことは間違いないだろう。
 彼女を最初に見たのは、ローリング・ストーンズの [Rock 'n' Roll Circus] の出演だと思う。出来の良い作品ではないので一度しか見ていないが、一番印象深いシーンだった。



 やっぱりその美貌がまず強い。この曲のプロデューサーはミックだとのこと。バックで鳴っているギターは誰なのだろうか。キースとか?

 動画を見ていて初めて知ったのだが、1965年,ボブ・ディランがホテルの一室でタイプライターを打っている後ろで、ジョーン・バエズがギターを弾きながら歌っている隣で、座っているのはマリアンヌ・フェイスフルだそうだ。



 ディラン様ラジオこと、[Theme Time Radio Hour] にも「夢」についてコメントを寄せたこともある。どうして唐突に彼女が登場したのか不思議だったが、それなりにつながりがあったようだ。



 ディランのカバーも多く残しているが、中でも "It's All over Now Baby Blue" は、彼女の声にとても合っている。丁寧で味のある歌唱で、とても良い。

Typewriter2025/02/13 22:41

 ボブ・ディランが滞在中のホテルの一室で、ジョーン・バエズが歌っているシーン。ディランは、タイプライターを打っている。タイプライターの独特の音がするし、紙の右端になるとタイプライターに仕込まれたベルが「チン!」と鳴り、リターン・レバーを引いて改行する。



 私の家にも、タイプライターがある。1950年頃に祖父がアメリカから持ち帰った物とのこと。有名なタイプライター・メーカーの、レミントン・ランド製。
 私がこどものころにはすでに骨董品だったが、どこも壊れていないので立派に機能する。中学生のころはさかんにこれでバンド名や曲名、歌詞を打ったもので、作文の宿題をこれで出したこともある。



 インク・リボン式。さすがに年月を経てカラカラになってしまい、色が出ないが、かすかならが文字が打てる。このカシャカシャした打ち心地が気持ち良い。シフトキーが重くて、私には小指で押さえることが出来ないが、ディラン様はちゃんと小指で操作していた。



 タイプライターと言えば、ルロイ・アンダーソンの "Typewriter" ―― カジュアルなコンサートではお馴染みのナンバー。
 タイプライターを演奏するのは大抵、打楽器奏者。オフィスワーカーっぽい演出や、無意味なチューニングがお馴染みだ。上述の通り、本来紙の右端に来るとタイプライター内のベルが鳴るのだが、この曲では机上のベルを叩くことで音を再現している。



 楽器としてのタイプライターの使用というのは意外と珍しくはなく、ビートルズの "Revolution No. 1" の冒頭でも音が聞こえる。
 もう一つタイプライターで思い出す話と言えば、モンティ・パイソンがネタの打ち合わせ中、議論が白熱しすぎてケンカになり(主にジョン・クリーズとテリー・ジョーンズの間で)、タイプライターをぶん投げたというエピソードだろうか。

Dancing Fiddler2025/02/20 21:32

 遅ればせながら、フィドル奏者,奥貫史子さんのソロアルバム [Shared Solstice] を購入。仕事中にずっと聞いている。
 アイリッシュを中心に、各地のケルト音楽に、クラシックなども織り交ぜ、アンサンブルも楽しくて聞き飽きない。
 奥貫さんは「ケベック・スタイル」も習得している。すなわち、フィドルを弾きながらステップを踏む「踊るフィドラー」なのだ。
 普通ケルティック・ミュージックのダンス・チューンを吹くときは足で拍子をとるが、ケベック・スタイルの場合はちゃんとタップダンス用の靴を履き、音のなる床、もしくは板を用いて楽器として機能させる。
 フィドラーが踊ると言えば、ザ・チーフテンズが最後に来日した時、バンドに同行したカナダはケベックのピラツキ兄弟が有名。フィドルを演奏していたと思ったら、立ち上がって踊りだしたのは印象的だった。しかもフィドルの余技ではなく、プロのダンサーでもある。



 ここまで派手に踊りまくらなくても、座ったままステップを踏むだけでに難しいし、格好良い。
 こちらのお三人はハープとコンサティーナの方もちゃんと靴もはいているようだ。すごくやってみたいが、下手にやるとテンポが乱れるだろう…

Hold on, I'm Comin'2025/02/26 20:05

 ひさしぶりに新宿に行ったので、ディスクユニオンを覗いてみた。まず、トム・ぺティ&ザ・ハートブレイカーズのボックス,[Playback] がないかチェックし、次はケルティック・ミュージックをチェック。あまり収穫はなかったが、スウェーデンのフィドル・デュオと、Four Men and a Dog のベスト版を購入した。
 後者は存在を知らなかったのだが、なかなかの収穫だった。アイリッシュ・トラッドミュージックに、ロック、ポップ、ジャズ、ソウルなどを織り交ぜたバンドで、構成がうまい。特に、サム&デイヴの "Hold on, I'm comin'"のカバーが素晴らしかった。



 組み合わされているアイリッシュは、"Congress Reel" 素晴らしいコンビネーションで、とても気に入っている。
"Congress Reel" は何年か前に Poitin の演奏がすごく有名になり、私もティン・ホイッスルで挑んだものだ。



 "Hold on, I'm Comin'" はサム&デイヴによる1966年のソウルの名曲。バックを務めているのは Booker T.& the M.G's とのことで、さすがの上手さだ。



 この印象的なイントロはよく耳にするが、動画を見ていて感心したのが、ブルース・ブラザーズ・バンドのバージョン。かなり切れがあって早い。さすが BBB。これまた手練れの演奏だ。