Bob Dylan at Budokan2023/11/29 20:47

 ボブ・ディランの [The Complete Budokan 1978] を買うか否か、だいぶ迷っていた。
 普通、ディラン様のアイテムは迷わず買うし、ブートレッグ・シリーズは豪華版には手を出さずに通常版にしておくという選択も決まっている。
 しかし、今回の [The Complete Budokan] は、そもそもブートレグ・シリーズでもなければ、新しいライブ盤でもない。完全に1978年初来日したときのライブ音源を、CD 4枚組で完全収録しており、その一バージョンしか売り出さないのだ。
 なんとも悩ましい。もともと、1978年初来日の時の演奏そのものが余り好きではないし、とにかく箱がでかい。あんまり大きな箱というは好きではないのだ。
 悩んだ末に、いつもはネットで購入するところ、新宿のタワーレコードに出かけて行き、実物を手に取って考えることにした。
 ありました、[The Complete Budokan 1978] ―― 桜に桃色のディラン様。ピカピカのジャケットが目立つ。そして手に持つと、重い!でかい!うっとおしい!即決で却下。ちゃんと実物を目で見て良かったと思う。
 既に発売されている [At Budokan] には含まれていない楽曲の存在が惜しいが、まぁ、そういうことも人生にはあるさ。



 せっかくの桜ディラン様を買わなかった穴埋めというか、ここ数日ずっと既出の [Bob Dylan At Budokan] を聴いている。
 曲目的には、ほぼザ・ベスト盤!といった有名曲目白押しのラインナップなのだが、なにせ演奏そのものがなんだか素っ頓狂なのだ。このアルバムを買ったときから、今までずっとその「素っ頓狂だ」という感想に変化がない。
 「ローリング・サンダー・レヴュー」と同じ大編成ではあるが、前者はロック色が強くて、格好良かった。しかし、[At Budokan] は終始軽快な雰囲気で、なんだか間抜けにすら聞こえる。
 その「間抜け」の最たる物が、フルートの存在だと思う。とにかくこのフルートがうるさい。別にフルートに恨みはない(そもそも、私は11-15歳までベーム式のフルートを吹いていたし、音大時代は龍笛を吹いていた)。しかし、いかんせんフルートはロック向きではないのだ。音色がロックしていない割には、悪目立ちするオブリガード(カウンター・メロディとも言う)が耳障り。
 フルートよりはまだロック向きになれるはずのサックスもかなりうるさく、私の好みの使われ方ではない。ロックでのサックスは、歌うのでは無く、リズムをたたき出す感じで使って欲しいのだが…。

 曲目は良いのに、演奏がイマイチというのが、1978年の武道館であった。これを豪華版ボックスにするくらいなら、2001年のパシフィコ横浜を出してくれれば良いのに。私が見たディランのなかで一番良かったのがあのときだった。
 もっとも、ディラン様のライブは終わりなき旅である。彼の最高のライブは、これからなのかも知れない。

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