Don't Do It2013/06/25 21:44

 6月23日、サラトガ・スプリングスにおけるトム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズのライブ、前座はザ・ウォールフラワーズ。
 ハートブレイカーズとも縁の深いバンドなだけに、共演はあるのかなど、興味津々だったが、どうやらそれは無かった模様。"6th Avenue Heartache" にマイクが参加して、あのジョージ・スライドを聞かせてくれる…という大サービスも期待したが、それもなかったようだ。

 ウォールフラワーズのオープニング曲は、"Don't Do It"。
 何はともあれ、この名曲の最も有名と思われるバージョン。ザ・バンドの [The Last Waltz] のアンコール。映画では冒頭にあたり、私が一番すきなシーンも、ここ。冒頭の「大音量で上映すること!」から、"Good-night, Good-bye" まで。ザ・バンドのメンバーが一人ずつ大写しになるたびに、胸が締め付けられる思いがする。



 この飛び跳ねるようなグルーヴ感。長い長いライブの最後の最後に演奏したとは思えない、生き生きとした輝き。
 この素晴らしい楽曲を演奏したウォールフラワーズの動画を是非とも見たいのだが、サラトガ・スプリングスのものはまだ上がっていない。そこで、ここでは今年タンパでのライブ映像をどうぞ。




 ジェイコブ、私の記憶よりも声が低くなっている。要するに、最近のディラン様に似てきている。あれに似るのはちょっと早くないかなぁ。
 ザ・バンドに比べて、意図的と思えるほど跳ねを押さえ、フラットにプレイしている。これも格好良い。

 "Don't Do It" のオリジナルは、モータウン。作曲は名ユニットHDHこと、ホーランド=ドジャー=ホーランド。最初にマーヴィン・ゲイがレコーディングしたときのタイトルは、"Baby Don't Do It" だった。ロックの世界に来たと同時に、"Baby" が落ちたのだろうか。



 跳ねという意味では、やはりこのマーヴィンのバージョンが活発。その分、やや軽い。女性コーラスが入っているのも、その軽やかさの要因だろう。
 ザ・バンドのロックな演奏になれてしまうと、ちょっと物足りない。どうせなら、TP&HBの演奏でも聴いてみたい。

That's pretty wild s***, you know?2013/06/14 22:43

 ディラン様ラジオこと、[Theme Time Radio Hour] は、日本でのエピソード11。テーマは "Father"。これこそ、エピソード6 "Jail" の後に飛ばされた、アメリカでのエピソード7で、来週はエピソード8の "Wedding" となっている。
 どうやら、今年の父の日に合わせてエピソードの順番を入れ替えたらしい。今後はエピソード36まで、順番に放送してくれることを願っている。

 ディランが流した曲目で印象的だったのは、まずジョン・ハイアットの "Your Dad Did"。この番組にしては新しい選曲。ディランも解説していたが、曲の良さもさることながら、演奏陣が豪華なのだ。ライ・クーダーに、ジム・ケルトナー、そしてニック・ロウ。さながらスーパーバンドだ。
 それから、テンプテーションズの、"Papa was a Rolling Stone"。1972年のヒット曲とのこと。印象的ではあるが…私の好みではない。1970年代となるとフュージョン系というか、なんというかそう言うサウンドになるのだが、私が好きなモータウンはもっと古風な60年代風。でもディランは好きらしい。
 "Rolling Stone" と言えば、エルヴィス・コステロの話が面白かった。彼の父親もミュージシャンで、ラジオで色々な音楽をカバーするために、家では当時のヒット曲(ビートルズやらなにやら)をよく聞いていたし、"Like a Rolling Stone" もあったという。ディラン様ラジオの本編で、ディラン自身の曲が言葉に登場するのは珍しい。

 さて、ロッカーの父親の話。
 トム・ペティは正直言って、自分の父親が苦手だったようだ。複雑な感情があるようだし、家族のことなので踏み込めないが、少年時代のことを語る内容によると、どうも苦手であまり一緒には居たくなかったとのこと。

 久しぶりに、Cool Dry Place の自分で翻訳した[Conversations with Tom Petty] を読んだら、しばらく読みふけってしまった。素人なりに、頑張っている。
 「カントム」の冒頭に、トムさんの生い立ちの話が出てくるのだが、そこに登場するお父さんがとにかく強烈。何せ、私が「カントム」を完訳した時に選出した、「カントムに登場する強烈キャラ5」で、栄えある第一位に輝いたのが、このトムさんのパパである。

 狩りや釣りにトムさんを連れ出す、パパ・ペティ。でも、青白い金髪ヤセ少年のトムさんは、インドア派でもっとアートなことがしたい。アウトドアな狩りだの釣りだのは性に合わず、獲物も不味く、嫌で嫌でたまらない。しかも…

 ある日、小さなワニがボートのそばに近寄ってきた。実際この目で見たんだけど、父は人差し指と親指でワニを掴んで、その目にパンチを食らわせた。ワニをノックアウトするところを、ぼくに見せたのさ。親指と人差し指でつかめるようなワニをだよ。目をつぶして、ワニは水の中へ逃げていった。
 父がおかしくなったみたいだった。いや、実際おかしかった。とにかく、父は何物も恐れなかった。ある時なんて、父がガラガラヘビの尻尾を持って頭の上でグルグル回し、首に巻き付けたの見てしまった。
 とんでもないワイルドさだろう?だから、ぼくは父が怖くなってしまった。


 スギちゃんより遙か以前、既に「ワイルドだろぉ?」
 嫌々釣りに連れてこられた少年トムさんの前で、ワニと闘う父。さらに、ガラガラヘビと戦い、首に巻き付ける父。
 おびえるトムさんには悪いが、「カントム」の中で一番笑ったのは、この下り。いま読み返しても笑える。
 ガラガラヘビをグールグル振り回し、勝利する様子を「見てしまった」と訳したのには、英文法上なにか理由があったのだろうかと原書を確認してみると、"I once saw..." とあり、ただ「見た」という表現になっている。しかし、どうもドン引きしているトムさんの状況を鑑みると、「見てしまった」の方が的確だと、今でも思っている。

 ちなみに、「カントム」における強烈キャラ第二位は、たしかデイヴ・スチュアートだっと思う。探検服でトムさんの家に乗り込み、変なビデオを一緒に見ようとする変態(「変な」も、ただの「変」ではない)。
 あとはマイクや、ジョージ。もうひとりはデニー・コーデルだったと記憶している。

Tears2013/05/24 23:15

 まずは、訃報から。
 狂言大蔵流の四世茂山千作さんが亡くなった。当代一の名人の死去だった。
 私にとっては、千作さんがまだ千五郎さんだったころの印象が強い。西日本が拠点の狂言師さんだったため、残念ながら直接舞台を見ることは出来なかったが、映像で見る狂言は、本当に素晴らしかった。特に「彦一ばなし」のお殿様役は、千作さん以外には考えられないほどだ。
 何年か前に、西日本の大蔵流若手楽師さんがテレビに出ているのを見たが、びっくりするほど下手なので、ちょっとショックだった。名人亡き後、彼らが成長してゆくのを祈るばかりだ。

 さて、ディラン様ラジオこと、[Theme Time Radio Hour] は、何事もなかったかのように、アメリカでのエピソード39,日本でのエピソード8 [Tears] が放送された。そして、今日はディラン様の誕生日!72歳おめでとう!
 相変わらず面白い番組で、重ね重ね、飛ばされたエピソードがどうなるのか気になる。

今回の[Tears]は、とりわけ興味深い選曲が多かった。
まずは、ソロモン・バークの、"Cry to me"。



 私にとっては、もちろんトム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズ若かりし頃のカバーで覚えている曲。TP&HBのカバーは、バークのカバーというよりは、やはりバークをカバーした、ストーンズのそのまたカバーと言うべきだろう。

 と、言う訳で、TP&HBの "Cry to me"。この動画のトムさんは若い。若いぞ、可愛いぞ。
 2分24秒くらいに出てくる写真の左のお兄さんは、誰だろう?TP&HBのファンなら絶対に分かっていなければいけない人のような気がするが、ピンと来ない。忘れているのかも知れない。お分かりになる人、教えて下さい。(「聞くは一時の恥聞かぬは一生の恥」と言うし…)



 今回のディラン様ラジオでは、スモーキー・ロビンソンのべた褒めコーナーがあり、大喜び。マーティン先生!ディラン様が、スモーキー最高って言ってます!
 スモーキーに "Tears" と来れば、当然 "The tears of a clown" かと思ったら、そこはさすがディラン様。韻の踏み方が凄い(と、コステロも言っている)、マーヴェレッツの "No More Tear-Stained Makeup" をかけた。マーサ&ヴァンデラスではないところにも、こだわりがあるのだろうか。

 ううむ、私としては、やはり "The tears of a clown" を推したい。ねぇ、マーティン先生?



 もう一つ、気になったのは、ジェイ・ガイルズ・バンドの "Cry One More Time"。凄く格好良い演奏なのだが、YouTubeにはアルバム収録版がアップされていないようだ。
 私はこの曲をどこかで聴いたような気がしていた。ザ・バンドのような、違うような…なんだか分からないでいると、最後の解説でピーター・バラカンさんが教えてくれた。グラム・パーソンズだ。彼のカバーで聞いていたらしい。
 でも、私の好みとしては、グラム・パーソンズよりは、ジェイ・ガイルズ・バンドの方が格好良い。

 最後に、バラカンさんがテーマに沿った、ディラン様自身の曲をかけることになっている。
 毎回、何をかけるのか予想するのが楽しみで、今回どういう訳か、"The Lonesome Death of Hattie Carroll" 以外が思い浮かばなかった。
 バラカンさんが「tears といえば、ほとんどのディラン・ファンが思い浮かべる曲」というので、ドキドキしたのだが、なんと、ビンゴ。"The Lonesome Death of Hattie Carroll" だった。悲しい歌ではあるが、とても美しい。
 次回のテーマは、"Laughter"。バラカンさんがかけるディランの曲は、"Bob Dylan's 115th Dream" と予想。さぁ、どうだろう?

楽しい外国語2013/04/07 21:53

 無事にラジオ番組 [Theme Time Radio Hour] の録音、iPodへの取り込み成功。
 ディラン様の有り難いお言葉は、やはり聞き取れない。ところどころ単語は分かるのだが…。

 一回目の "Weaher" で面白かったのは、スティーヴィー・ワンダーのヒット曲、"A Place in the Sun" のイタリア語バージョン、"Il Sole è di Tutti" だ。スティーヴィー自身が歌っている。



 このイタリア語バージョンの存在を知らなかったので、びっくり仰天。スティーヴィーの唱法がイタリア語に合っていない。そして、バックコーラスは英語のまま。おそらく、オリジナルのバック・レコーディングに、イタリア語のボーカルを被せたのだろう。
 一体どういう経緯でイタリア語バージョンが録音されたのだろうか。ディランの説明は特になし。イタリア語の歌詞を例のだみ声で詠んだだけ。
 ここは、番組最後のピーター・バラカンによる解説に期待していたのだが、なんとこの曲の解説は飛ばされてしまった。仕方が無いので、Wikipedia を見たのだが、「イタリア語バージョンも録音した」としか書いていない。それならばと、イタリア語のWikipedia もチェックしたのだが、同じ事しか書いていない。
 要するに、今のところどうしてこういうものが録音、発売されたのか分からずじまい。モータウンに詳しい人なら知っているに違いない、教えて、マーティン先生!(本気!)

 英語のポップスを他の言語で歌うということで一番有名なのは、ビートルズだろう。彼ら初期の大ヒット曲 "She Loves You", "I Want to Hold Your Hand" を、ドイツ語で録音している。





 こちらは、当時のマーケティング上、当時の西ドイツEMIの強い希望があったとのこと。Fabは全く乗り気がしなかったそうだ。
 彼らが乗り気だったかどうかなど、アニメ・ザ・ビートルズは頓着しない。ドイツ語というわけで、ドイツ語圏 ― アルプスの村にやってきたビートルズが、険しい山頂にビートルズ・フラッグを立てに行くという雑なエピソード。



 必然なのか、Fabもいかにもなチロリアン・スタイルにされる。英国男子は一度はこのチロリアン・スタイルをやってみたいのだろうか。モンティ・パイソンなどを見ていてもそう思う。



 イタリア語教室なのに、生徒はイタリア人ばかり。一人、どうも勝手の違うのが紛れている。きみはドイツ語教室に行きたまえ!

4月1日 Heading for the Town2013/04/01 00:00

 トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズの新譜情報が発表になった。

 オリジナル楽曲のアルバムは来年発売されることは、かねてから話題になってたが、その前に今年、なんと全曲モータウン・カバーのアルバムを発表すると言う。タイトルは、[Heading for the Town] 。"Town"とは、モータウンのことだろう。南部出身、LAに基点を置くハートブレイカーズにとって、モータウンは戻るところではなく、向かうところなのだということが良く分かるタイトルだ。
 プロデューサーは、トムとマイク。外からのプロデューサーを採用しないという、非常に久しぶりのアルバムだ。おそらく、かなり趣味的に作ったので、そうなったのだろう。

 作曲能力がある(もしくは、「あった」)はずのミュージシャンが、カバーアルバムを作るというのは、あまり好きではない。しかし、このTP&HBの新譜は全曲モータウンのカバーだと言うのだから、これはさすがに楽しみだ。

 一足早く、サンプル盤が手に入ったので、早速聞いてみた。
 これが笑えるような、まじめに格好良いような、不思議な仕上がりで、要するに面白い。ひとつはっきり言えるのは、純粋な意味での「モータウンのカバーアルバム」とは言えないことだ。モータウンをカバーした、ビートルズやストーンズのバージョンの、そのまたカバーも多く、それらはどちらかと言うとロックのカバーである。
 ともあれ、ミスマッチも含めて聴き応えがある。全曲の簡単なレビューをアップしておこう。カッコ内は、モータウンでのオリジナル・アーチスト名。

1. Dancing in the Street (マーサ&ザ・ヴァンデラス)
 アルバム冒頭の曲から、かなりイカしている。クレジットを見ると、何とロンと、マイク、トムが同時にベースを弾いている。つまり、トリプルベース。なんでも、マイクはバス・サックスのパートを忠実にベースで再現しているとのこと。
 独特のグルーヴ感がクールで、シングルにも最適だろう。ミックとボウイのカバーより、だんぜんこのハートブレイカーズ・バージョンが好きだ。

2. Ain't No Mountain High Enough (マーヴィン・ゲイ&タミー・テレル)
 なんと、スティーヴィー・ニックスとのデュエット。うわ、これ…なんか…怖い。オリジナルのタミー・テレルは、可愛いらしい感じもするのだが、スティーヴィー・ニックスはものすごい貫禄。トムさんも圧倒されている。  ミスマッチのようで、笑えるようで、これはこれでイカしているような感じ。このアルバムの中では一番のインパクトだ。

3. You've Really Got A Hold On Me (スモーキー・ロビンソン&ザ・ミラクルズ)
 これは明らかに、ビートルズのカバーをまたハートブレイカーズがカバーしたバージョン。スコット・サーストンが、初めてツイン・リード・ヴォーカルに挑戦している。トムさんがグイグイ引っぱり、"Baby, hold me..." のシャウトは、このアルバムのクライマックスと言えるだろう。

4. Cloud Nine (テンプテーションズ)
 トムのトーキング唱法が存分に味わえる一曲。マイクのワウペラルを多用した、グニャグニャギターのリフが格好良い。バックボーカルでは、珍しくベンモントの声が前に出ている。

5. Going to a Go-Go (スモーキー・ロビンソン&ザ・ミラクルズ)
 これはストーンズのカバー。ストーンズよりもややテンポを遅くして、ブルースっぽく仕上げているのが、ハートブレイカーズのオリジナリティ。ミラクルズのような突き抜けた明るさはないが、ジワジワくる格好良さがある。

6. Please Mr. Postman (マーヴェレッツ)
 これも明かにビートルズ版。実に楽しそうに、ハンド・クラップを入れている。バックボーカルには、ジェフ・リンが参加。例の高音でビートルズっぽさを演出している。本当に楽しそうだ。

7. What Becomes Of The Broken Hearted (ジミー・ラフィン)
 テンポを落とし気味にしており、ジョーン・オズボーンのバージョンに近い。最後の方が、トムの絶叫が堪能できて、トリハダ物。

8. I Heard It Through the Grapevine (マーヴィン・ゲイ)
 これもどちらかと言うと、マーヴィン・ゲイというよりは、CCRのバージョンのカバー。最近のハートブレイカーズのアルバムによくあるような雰囲気で、重みが心地よい。

9. Nothing's too Good for My Baby (スティーヴィー・ワンダー)
 これは格好良い!ホーンセクションを全てマイクがギターで再現。トムの歯切れの良いボーカルがばっちりはまっている。ベンモントのピアノが全編にわたって堪能できる。これって、ロックンロールな曲だったんだ…。

10. One More Chance (ジャクソン5)
 オリジナルよりもぐっとテンポを落とし、ジョージの "Isn't it a pitty" のような壮大な一曲に仕上がっている。トムの切々とした歌声が、涙腺を刺激する。それに続く長いマイクのギターソロも、素晴らしい。

 ジャケットスリーブには、マーティン・フリーマンのコメントが載っている。モータウンも、ロックも大好きなマーティンならではの、素晴らしい文章だ。忙しいのに、こういう仕事は断らないらしい。
 今のところ、ライブでこのアルバムの曲を演奏するかどうかは未定。でもやってくれると嬉しいな。

Bobby Rogers2013/03/20 11:31

 先々週のニュースだが、スモーキー・ロビンソン&ザ・ミラクルズのメンバーだった、ボビー・ロジャースが亡くなったそうだ。73歳。近年は病気との闘いだったとのこと。

スモーキー・ロビンソン・アンド・ミラクルズのボビー・ロジャース、73歳で他界

 モータウン初心者の私は、すぐにはどの人かはピンと来なかったが、クローデッド(ボビーの従妹、スモーキーの元妻)の「眼鏡をかけたノッポ」というコメントでピンと来た。なるほど、あの格好良いダンスが映える人だ。



 この "You really got a hold on me" では、冒頭のデュエットでスモーキーの相棒をつとめており、ビートルズで言うとジョージのパートということになる。画面が上下につぶれているけど、これは本当に格好良い。(この後のマーヴィン・ゲイも気になるが)

 こちらは、スモーキーの公式サイトに掲載された追悼記事。

Remembering Bobby Rogers

 いろいろと興味深い内容で、モータウン初心者には有り難い。
 驚いたのは、スモーキーとボビーの運命的なつながり。何と、二人は1940年2月19日、同日に同じデトロイトのハーマン・キーファー病院で、1時間の差で生まれていたとのこと。同日生まれということは想定できなくもないが、ここまで近いと驚く。
 もっとも、二人が出会うのはボビーの従兄弟、ソニー・ロジャースを通じた15年後だそうだが。

 ボビーはソングライティングにも参加しており、中でも私の目を引くのは、何と言っても "Going to a Go-Go"。ミラクルズの中でも好きな曲だし、ストーンズのカバーも格好良い。他にも、テンプスの最初のヒット曲 "The Way You Do the Things You Do"も手がけているそうだ。



 面白いのは、マーヴィン・ゲイの有名な "What's Going On" の中で聞こえるおしゃべり、“Hey, man, what’s your name,” “Everything is everything” and “It’s just a groovy party man, I can dig it.”はボビーだという話。イエロー・サブマリン音頭の最後に、佐野元春の声は聞こえるのとは…違うか。

 Rest in Peace Bobby Rogers.

DON'T come easy2013/01/28 22:29

 シュープリームスのアルバム [The Supremes A' Go-Go] は日本盤を買った。最近はほとんど解説という物を読まないが、なぜかなんとなく眺めていた。
 その中で、大ヒット曲 "You Can't Hurry Love" の歌詞について、"Love don't come easy" は、"Love dosen't come easy" ではないのか?…という指摘があった。



 英語というのは、私にとって永遠の課題である。頑張っているつもりだが、どうにもハードルは高いままだ。指摘されるまで、この文法上の誤りにまったく気付かなかった。私ならこんな誤りは簡単にやるだろうし、人がやっても違和感を感じない。直後の "It's a game of give and take" と続くので、"don't" は明らかに間違っている。
 どうやら、この "dosen't" であるべきところを "don't" とする歌詞や言い回しは、よくあるらしい。確かに、語呂はあきらかに "don't" の方が良い。リズムカルで、メロディに完璧にのってる。

 同様の詞は、リンゴの "It Don't Come Easy" にも登場する。登場どころか、タイトルになっている。



 これも確かに "dosen't" では歌にならない。
 もう一つ、こちらはビートルズで。"Ticket to Ride"。この曲を一体何回聞いただろうか。全くこの "She don't care" には気付かなかった。



 要はネイティヴ・スピーカーで、なおかつ優れた詩人であれば、多少の文法上の誤りは許容されると言うこと。私には到底 ― 日本語においても、たどり着けない境地である。
 最後に、The IT Crowd (邦題「ハイッ!こちらIT課」)の、ロイとモス。 "We don't need no education... / オレらに教育なんていらなくなくな~い?" と歌っているロイに、モスが「要るね。ダブル・ネガティブだ。」とツッコミを入れる。はい、ごもっとも。ちなみに、モスを演じているリチャード・アヨエイドは、ケンブリッジ大学出身。

This Old Heart of Mine2013/01/15 22:02

 The Supremes もしくは、Diana Ross & The Supremes というのは、日本語表記するときに「シュープリームス」が良いのか、「スプリームス」なのか、いやそれなら「スプリームズ」の方が良いのか、とにかくよく分からない。日本盤のアルバムを買うと、「シュープリームス」と書いてあるので、これに従うことにしているが、実際に口に出して発音するときは、「スプリームス」と言っている。

 ロックでもそうだが、基本的に男声が好きな私は、シュープリームス購入はモータウン買いの第二段階となっていた。
 まずは、[Where Did Our Love Go]。ごく最近、[The Supremes A' Go-Go] と、[Let the Sunshine In] を購入。三者目は、ダイアナ・ロス&ザ・シュープリームス名義になっている。
 有名な "You Can't Hurry Love" 目当てで買ったような [The Supremes A' Go-Go] だが、驚いたのは、"This Old Heart of Mine" のカバーが収録されてていたこと。
 無知というものは恐ろしいもので、私はこの曲をロッド・スチュワートが オリジナルだと思っていた。実際はもちろん、ロッドの方がカバーであり、オリジナルはアイズレー・ブラザーズ。モータウンである。
 「オリジナル」と言うと、ロックの世界ではアーチスト自らがソングライティングをしているのが普通だが、モータウンの場合、ライターはモータウンの職人である場合も多く、"This Old Heart of Mine" もこのケースにあたる。

 まずは、アイズレー・ブラザーズから。



 いかにもモータウンと言った感じの、いわゆる「ノリノリ」というもの。格好良い。アイズレー・ブラザーズのアルバムも早く欲しくなってきた。
 そしてこちらが、シュープリームス。



 アイズレー・ブラザーズと同じノリで、元気で楽しい雰囲気。
 それに対して、ロッドのバージョンというのはとてもしっとりとしていて、味わい深い。どういうわけか、この1976年のアルバム収録バージョンが、YouTubeで見つからない。私にとって、[Atlantic Crossing] はロッドの中でトップクラスには位置しないアルバムではあるが、この曲は、ロッドの良さが非常に良く出ていて好きだ。
 後年、ロッドはロナルド・アイズレーとのデュエットで "ThisOld Heart of Mine" を採録しているが、こちらはちっとも良くない(YouTubeにはよくヒットする)。

 面白いと思ったカバーは、ゾンビーズのもの。
 いかにも60年代UK, マージービート、きらきらしたギターに、ソリッドなロック、ゾンビーズならではの格好良いキーボードがイカしている。

Going to a Go-Go (Album)2013/01/03 20:35

 モータウンのアルバムを聴き始め、まずはスモーキー・ロビンソン&ザ・ミラクルズ、スティーヴィー・ワンダー、ジャクソン5の三者が集まりつつあり、さらにマーヴィン・ゲイ、スプリームスと続く流れ。

 そんな中でも、やはりスモーキー・ロビンソン&ザ・ミラクルズが一番好きだということいには変化がない。曲としては、"The tears of a clown" が一番好きだというのは、記事にしたとおり。
 では、アルバムはと言うと、[Going to a Go-Go] が群を抜いている。まず、アルバム・ジャケットからして、とても格好良い。



 アルバム収録曲はどれも名曲揃い。なんと言っても、アルバム・タイトルになっている、"Going to a Go-Go" は、ストーンズのカバーでも有名な名曲だ。



 お恥ずかしい話、私はもモータウンを意識して聴き始める最近まで、この曲はストーンズのオリジナルだと思い込んでいた。



 "Going to a Go-Go" も無論名曲だが、私としては、"My Girl Has Gone" を推したい。この曲はモータウンによくあるベスト版やコンピレーション盤にも入って居らず、アルバムで初めて聴いたのだが、ひどく感動的で驚いてしまった。



 シンプルで美しく、切なくなるような、それでいて重くもなく、軟弱でもない。私がロックに感じている美しさや格好良さが、このモータウンの曲でも再現されている。私にとって、"My Girl Has Gone" は "The Tears of a Clown" と双璧を成している。
 ぜひとも、わがモータウンの師マーティン先生にも、この曲の感想をお伺いしたいところ。
 ちなみに、マーティンのモータウン・アルバム、[Made to Measure]にはスモーキー・ロビンソン&ザ・ミラクルズの曲が2曲入っているが、一曲はもちろん "The Tears of a Clown"、もう一曲はアルバム [Going to a Go-Go] の収録曲である、"Ooo Baby, baby"。彼のこのアルバムに関する感想も、お伺いしたいところ。

John Lennon2012/12/08 23:00

 1980年の12月8日、ジョン・レノンが亡くなった。32年前の出来事で、私はそのニュースを記憶していない。
 12月8日と言っても、ジョンが亡くなったニューヨークが8日、しかもその日が終わろうとしていたタイミングで、世界の多くの地域はすでに9日になっていた。

 ジョン・レノンというミュージシャンは好きだ。何と言っても、ビートルズのメンバーである。彼のソロ活動も、もちろん有名で素晴らしいものだったが、私の中では、断然ビートルズ時代のジョンが魅力的だ。
 強いてジョンのソロ時代の作品で好きな物を挙げるとしたら、[Walls and Bridges]か、[Rock 'n' Roll]。明らかに「いかにも」なジョンのソロワークよりは、ビートルズ時代寄り。

 ビートルズ時代のジョンでは、どれが好きかと言えば、圧倒的に初期となる。あの歌唱力、作曲能力、作詞能力、文句のつけようがない。特に声に関しては、その後、ジョンは死ぬまであれほど素晴らしい歌声を聞かせることは無かったと思っている。
 そういう初期のジョンの歌声として一番有名なのは、"Twist and Shout"、それから「シャウト」という意味では、"Mr. Moonlight" を推したい。この曲は冒頭のジョンのシャウトで、その価値の殆どが定まっているのではないだろうか。



 それから、モータウンのカバーである、"Please Mr. Postman"。ウィキペディアによると、マーヴェレッツによるオリジナルは、モータウン・レーベルにとって初めてのビルボードNo.1 ヒットだったそうだ。それは縁起が良い。
 ちなみに、この曲の収録アルバムは、私が今のところ持っているマーヴェレッツ唯一のアルバムである。



 ビートルズがこの曲をカバーするに至ったのは、「EMIが、モータウンの英国内販売権を獲得したから」という、マーケティング的な事情もあったようだが、おそらくメンバーたちも好きな曲だったのだろう。
 パワフルでロックなのに、どこか切なくて胸が苦しくなるようなジョンの歌声に、寄り添うようなポールとジョージ、そして飽くまでもロックなビートルズ。これも名曲だと思う。



 中期ビートルズでは、"She Said, She Said" が好きだ。ビートルズで好きな曲を一つだけ挙げろと言われたら、この曲を挙げることにしている。
 イントロから全般にわたるギターの格好良さ、ジョンの声は言うに及ばず、息のぴったり合ったコーラス、複雑なのにキャッチーで美しい曲の構成。ドラムがまさにこだまするようで、ロックの持つ熱が圧縮されている。この曲の評価がいまいち高くないのは、私にとって大きな謎だ。
 どうやら、この曲の録音には、ポールが加わっていないらしい。その辺り、ポールファンの耳には響かないせいだろうか。初期ジョン・レノンの良さを残しつつ、中期ビートルズのカラフルで挑戦的で、格好良いところが上手く融合しているだけに、ポールの不在は残念だ。