映画館に行こう!CFGを見よう!2023/07/30 19:22

 昨日、日比谷シャンテシネマでの 「コンサート・フォー・ジョージ」の上映を見にいき、その回の特典である、ピーター・バラカンさんのトークショーもいっしょに楽しんだ。

 CFG は、もっぱらディスクでコンプリート版ばかり見てはいちいち号泣していたので、劇場版は2003年の特別上映の時以来、初めて見たかもしれない。
 全然コンプリート版と異なる曲順に目を白黒させていた。トム・ペティ&ザ・ハーロブレイカーズなど、満を持して登場すると思い込んでいたので、ずいぶん早く出てきたなぁとびっくりしてしまった。
 モンティ・パイソンの存在が、どんなものだったのか、ジョージとそとの音楽にどう関係するか、説明するテリー・ギリアムが親切。でもパイソンの場合は歌詞の字幕をつけなかったのは不親切だった。
 入念なリハーサルの様子も豊富に挿入され、ジョージのために集った仲間たちの和やかで愛情豊かな雰囲気が伝わってきた。特にクラプトンのインタビューはたくさん採用されていた。結局のところ、彼にとってこのコンサートは、自分のためであり、自分のジョージへの愛情、ジョージを失った悲しみの消化のために必要だったと、率直に吐露していたところが印象的であり、感動的だった。ジョージが与えた音楽とその愛情の世界は、家族、友人、関係者、直接の知り合い、ただのファン、一人一人にとってクラプトンと同じような思いをもたらした。それをCFGという形で表現してくれたクラプトンに感謝だ。

 バラカンさんは大の CFG ファンであり、ラジオなどでもの大絶賛、ぜひとも見てほしいと言っている。
 今回の大スクリーンでの鑑賞で良かったのは、あの大人数 ― そう、何十人というすさまじい人数が揃ったステージの、それぞれの顔がしっかり確認できたこと。
 中でも、ゲイリー・ブルッカーもクラプトンやジェフ・リンとほぼ出ずっぱりで大活躍であり、マーク・マンやアルバート・リーの職人技が印象的だったとの事。そう、彼らの派手ではないが基礎のしっかしりた演奏に、CFGの価値は裏打ちされている。
 それから、ジョー・ブラウンと、ジュールズ・ホランドという、UK では誰でも知っている人の説明も親切で良かった。
 さらに、今は亡き人々 — ビリー・プレストンと、トム・ペティの存在は大きかったとも言っていた。ビリー・プレストンの声とオルガンは絶品で、聞いていると幸せな気持ちになる。そう、それは私も同じで、特に「コンサート・フォー・バングラデュ」でのビリー・プレストンは本当に見る方を幸せにしてくれたものだ。

 少し前に、パティ・ボイドが来日していたので、バラカンさんは彼女とも話していており、昨日の映画館でもやはりジョージ、パティ,そしてクラプトンという三人の複雑な関係にも触れた。結局のところ、ミュージシャンなんていい加減なもので、女癖の悪い連中うだったという、なかなか粋なコメントで、私は嬉しくなった。そう、ジョージって、男にもモテるけど、女性にもモテまくったからね。
 それでバラカンさんは、「Something を歌っているとき、エリックは何を考えていたのかなぁ、パティのことかなぁ」と仰っていましたが…

  ジ ョ ー ジ の 事 を 考 え て い た に 決 ま っ て る で し ょ !

 映画でも何度か涙腺にきたが、意外とコンプリート版ほどの号泣ではなかった。やはり、あの構成、”Wah-Wah” で最高潮に盛り上がった末の “See you in my dream” なのだなぁと思う。
 さぁ、映画館でCFGを見よう!そしてディスクを入手してコンプリート版を見よう!(海外輸入盤でも日本語字幕があるのでご安心を)。

Wilburys Reunion2023/07/24 20:37

 CFG こと「コンサート・フォー・ジョージ」では、様々な奇跡のコラボレーションが実現したがその最大の物は、トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズに、ジェフ・リン、そしてジョージの代理としてのダニーが加わった、トラヴェリング・ウィルベリーズの reunion ―― "Handle with Care" のパフォーマンスだった。

 トラヴェリング・ウィルベリーズは、1988年の春、ジョージがプロデューサーのジェフ・リンと急遽シングルB面用の曲を録音する必要に迫られ、たまたま一緒に食事をしていたロイ・オービソンも誘い、スタジオを借りるためにボブ・ディランに電話したら快諾され、ジョージがギターをトムさんの自宅に取りに行きがてら、トム・ペティも誘ったため、この五人が奇跡的に集い、"Handle with Care" が作られたという、歴史的大事件を発端とする。
 ディラン邸で五人揃って楽しく曲ができあがったついでに、さらなる数の録音をしてアルバムを発売するに至ったのが、[Volume One] であり、ロイ・オービソンの死後に四人で作ったのが [Volume Three] である。



 ウィルベリーズはライブ活動をしなかったので、その曲のライブ演奏は基本的にだれもしなかったが(ディランが個人的に "Congratuations" を演奏をしたことはある)、とうとう CFG において、"Handle with Care" の演奏となったのだ。
 ハートブレイカーズはもちろん手練れ揃いであり、マイク・キャンベルによるジョージ・スライドの再現は完璧、スコット・サーストンによるハーモニカもしっかり仕事をしている。
 トムさん、ジェフ、ダニーが揃っていることだけでも涙ものなのに、オリジナル・ウィルベリーズでドラムスを担当したジム・ケルトナー(サイドベリー Sidebury と言う。これはハートブレイカーズに対する、Sidebreakers に由来するジョーク)と、パーカッショニスト,レイ・クーパーも揃っているのだから、完璧だ。
 CFG で演奏されたという情報だけでも泣きそうだったし、その映像をみたらもう号泣だし、その後トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズのライブでお馴染みのナンバーとなって、ライブ映像もあるし、私も何度か生で聞くことができた。
 "Handle with Care" のカバーも続出し、バンドがいくつか集まってコラボとなれば、この曲が選ばれる。まさに、"Handle with Care" は、友情の象徴である。友情の素晴らしさ、尊さ、友人の愛しさを優しく歌い上げ、讃える名曲。CFG の中でも最高潮にみどころの一つだろう。

 さぁ、CFG のスクリーン上映まであとわずか!この機会を逃すな!そして完全版のソフトを手に入れて映画を上回る感動を得るのだ!

Concert for George を見よう!2023/06/25 19:37

 何週間か前から告知されているのだが、このたび、ジョージ・ハリスンの誕生80年を記念して、「コンサート・フォー・ジョージ Concert for George」が劇場特別版公開されることになった。
 2002年に開催され、2003年に公開されたCFGは、DVD 発売時に日本でも特別試写会があって、オリヴィアやクラプトンも会場にいた。私もその会場の大スクリーンで鑑賞したのだが、それ以降、意外なことに劇場公開はされていなかった。
 これはとても良い機会なので、ぜひともCFG 未見の方も、何度も見た人も大スクリーンで楽しんで欲しい。

ジョージ・ハリスン生誕80周年記念 劇場特別版公開



 私は自称、日本一の CFG ファン。何度見たか数知れないし、そのたびに号泣している。
 特にジョージ・ファンでもないけれど、ある程度ロックが好きな人に何セット DVDをプレゼントしたかも覚えていない。いずれの人からも大好評だった。
 あるジョージ・ファンが「だって、ジョージは出てないんでしょ?」といって見ていない。そこで「私が責任を取る!だまされたと思って見るのだ!」といって説得。結果、次に会ったとき、その人は「泣いちゃったよ…!」と言っていた。
 そして、特に音楽ファンというわけではないが、「モンティ・パイソン教育」を施した友人に、その総仕上げとして CFG を見せたのだが、「あのコンサート、なんか凄くよかったね」との、感想を得た。

 CFG の良さを挙げると切りが無い。
 まず演奏される音楽の多くが、ジョージの名曲であること。そしてその名曲の数々を超一級のミュージシャン達が抜群の名演して魅せる。「コンサート・フォー・バングラデシュ」や、日本公演での思い出、ビートルズ時代の輝き、ソロ時代の豊かな音楽世界を入念なリハーサルをしたうえで披露する。この完璧な演奏が CFG の骨幹だろう。
 そして、インド音楽のセクションが冒頭にあり、興味深いインド音楽の世界を紹介してくれる。多彩な音色、不思議と心沸き立つリズム感、たくさんの特徴的な楽器が奏でる世界が、更に広がり、西洋楽器のストリングスや、クラプトンのギターと相まって、壮大な世界を見せてくれる。なかなかない機会だ。
 そしてモンティ・パイソンがスケッチを披露して、ジョージのチャーミングな一面を懐かしみ ―― しかも、パイソンで泣かされるとは思ってもいなかったのだが、本当に感動的なのだ。
 まだ20代前半で、ジョージとうり二つのダニー、それを囲むバンド、ジョージと親しかったクラプトン、ジェフ・リン、ゲイリー・ブルッカー、ジョー・ブラウン、サム・ブラウン、ビリー・プレストン、そしてトム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズの名演奏は、迫力と説得力に満ちている。
 終盤には狂乱のビートルズ時代を共にした、リンゴとポールが登場し、さらに会場の熱量をあげる。ハンブルグ時代からの親友、クラウス・フォアマンも加わって、あの60年代を共に生きた同士を想い、その存在、音楽、愛情を讃える、温かな瞬間のひとつひとつ ―― そうして、奇跡的なコンサートを作りあげてゆく。

 最後の最後に、"Wah-Wah" を演奏するシーンは本当に圧巻だ。このパフォーマンス後、この曲をカバーするアーチストが続出するのも、納得だ。若くして亡くなった友人の追悼コンサートなのに、みんなが笑顔で幸せそうなのが印象的だ。
 そしてコンサートの締めくくり ―― おそらく、ジョージ自身がリクエストするであろう、"See You in My Dream" ―― まぁ、とにかく見てくださいと言うしかない。私はこの二十年、何度見ても号泣している。

 劇場版は一部コンサートをカットしているので、ぜひともDVD,もしくはブルー・レイ・ボックスを買って欲しい。
 トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズの "I need you”での、トムさんの切ない表情が泣かせる。
 ほかにも名場面を挙げたら切りが無い。"Something" でのポールの高音の素晴らしさ、ジェフ・リンのコーラスの絶妙さ、クラプトンとの名演は本当に極上。リンゴが登場するなり、ステージ上も、会場も、見ているこっちも笑顔になる不思議な魔法。
 "While my guitar gently weeps" 渾身の演奏後にうつむくクラプトンに、そっと声をかけるダニー。胸がいっぱいになる。

 私に CFG を語らせたら、たぶん数日はしゃべり続ける。トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズのパートだけでも丸一日かける自信がある。
 ジョージ・ファンも、そうでなくても音楽に興味がちょっとでもある人、そして友情をテーマにした作品を見たい人、全てにお薦めの作品である。
 そう、一番大きなテーマは友情。「友達っていいな。」きっとそう想うに違いない。

Down the Road Apiece2023/05/21 19:51

 一年は365日ないし、366日。自分と同じ誕生日の人を発見すると、ちょっと楽しい。それが有名人だったりするとなおさら。
 私の場合、親鸞上人と、スタン・リンチである。

 スタン・リンチ。言わずと知れた、トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズのオリジナル・ドラマー。躍動的でワクワクするようなドラミングと共に、美しくて、トムさんとの相性も抜群のコーラスワークにも定評があった。
 ハートブレイカーズのほかのメンバーよりもやや若くて、いつまでも若手かと思った彼も、今年で68歳である。
 去年、マイクに誘われてダーティ・ノブズの臨時ドラマーを務めて、ファンを驚かせ、かつ喜ばせた。

 動画サイトを見ていたら、1990年トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズのライブで、スタンがリード・ヴォーカルを務めている曲があった。お馴染みの "Phychedelic Reacion" ではなく、1940年の楽曲 "Down the Road a Piece"



 ハートブレイカーズとしては最高の演奏ではないだろうか。トムさん、マイク、ベンモントもニコニコしていて、楽しくてたまらないという感じだ。スタンのヴォーカルも格好良いし、言うことなしだ。

 この曲はザ・ローリング・ストーンズもカバーしている。恐らく、スタンはこのストーンズによるカバーを参考にしているのではないだろうか。



 スタン、これからも元気で。時々、マイクやベンモントとも共演してくれると嬉しいな。

Tied up hair Tom Petty2023/05/13 21:51

 なんとなく動画サイトを見ていたら、1989年トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズのライブ告知&インタビュー・テレビ映像が出てきた。
 注目するべきは、登場するライブシーンでのトムさんの髪型である。なんと珍しく、トムさんが長い髪を結っている。私はトムさんが髪を結っているのを見るのは初めてだ。



 トムさんの金髪はだいたい長く伸ばしているのだが、同じ長さでいわゆる「ワンレン」の時もあるし、段カットにしている時もある。"MOJO" の頃は、輪郭を丸く整えていて素敵だった。前髪を作って流している感じもお気に入り。
 それにしても髪を後ろで結っているのは本当に珍しい。すごくレアなだけにドキっとする。トムさんには両性的な魅力があるが、この映像では腕をむき出してマッチョな感じを出しつつ、髪は結って色っぽいな感じがする。要するに可愛い…!

 長髪ミュージシャンが髪を結うと言えば、まずはジョン。ジョンのアルバムジャケットにもなっている。



 ジョージも長髪の時期が多いので、よく結っていた。トムさんほどは可愛くないかな。



 こちらは、前髪がうるさくてお子様みたいに引っ詰めたスタイル。これはちょっと可愛いな。

Dr. Tom Petty2023/05/09 20:07

 5月6日、フロリダ大学はトム・ペティに名誉音楽博士号(The Honorary Doctor of Music degree)を授与した。
 それを知らせる動画は、トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズの公式と、フロリダ大学の公式、共通のものである。この動画、格好良く編集されていて、とても素敵だ。特に曲を二曲に絞っているところや、ハートブレイカーズのメンバーもたくさんフィーチャーされているところが良い。



 トムさんはロックンローラーなので、別に博士号も栄誉も要らないだろうが、ゲインズヴィルという町と、フロリダ大学がトム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズ結成のために果たした役割は大きく、むしろ名誉なのはゲインズヴィルおよびフロリダ大学の方だろう。
 大学生の多い町は当然若者が多く、活気のある独特な環境を作り出していた。そもそも、マイク・キャンベルも進学のためにゲインズヴィルに来たのであり、フロリダ大学の芝生で演奏するトムさんのバンドを見て、格好良いと思っていたのが、彼らのファースト・コンタクトなのだ。

 「ドクター・ペティ」ではあるが、厳密には The Doctor of Music degree であって、いわゆる「ドクター,博士,Ph Doctor」に相当する The Doctor of Musical Arts (DMA)とは別である。無論、Dr. ブライアン・メイとも別だ。
 優れた音楽家に名誉的に授与される博士号であり、古くはハイドン、メンデルスゾーン、リストといったクラシック・ミュージシャンから、20世紀以降のポピュラー・ミュージシャンにも多く授与されている。
 たとえば、ポール・マッカートニーの場合1988年に UK のサセックス大学からと、2008年にアメリカのイェール大学から授与された。ビリー・ジョエルに至っては1991年から2015年にわたって、バークリー音楽院を含む七つの大学から授与されている。

 多くの名誉音楽博士の中でも、さすがにボブ・ディランは破格である。彼に博士号を授与した大学こそ二校だけだが、そのうちプリンストン大学はなんと1970年、彼がまだ20代のうちに授与したのだ。さすがはディラン様。ちょっと格が違った。

Not Fade Away2023/04/27 20:58

 今回のボブ・ディランのライブは、一回しか見られなかったが、演奏そのものはこの上なく素晴らしく、この上なく満足だった。
 ただ、ほかの日のライブを見に行った人の話を聞いたり、セットリストを見ると、取り上げたカバー曲が惜しかった。私はグレイトフル・デッドにはあまり詳しくなくて、ちょっと盛り上がりきれなかったのだ。同じデッドでも、"Truckin" だったらもう少し盛り上がったかも知れないが。
 ある友人が行ったときは、"Not Fade Away" だったというのだから、とても羨ましい。私も "Not Fade Away" の日が良かった…!

 "Not Fade Away" といえば、バディ・ホリーのオリジナルよりも、ザ・ローリング・ストーンズが有名にしたと言って間違いないだろう。ミックのヴォーカルとマラカス、ブライアン・ジョーンズのハープ、キースの熱いギター、そしてチャーリーとビル・ワイマンのどっしりとしたリズム。文句の点けようが無いし、その後もライブでの人気曲になったのも頷ける。



 トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズも、ライブでプレイしているはずだと思って確認すると、2003年のサウンド・ステージでやっている。ふむふむ、これを貼り付けよう―― と思ったら、意外な物を見つけた。
 オリジナル・マッドクラッチ ―― おそらく1970年代前半のライブと思われる録音だ。これは凄い!



 どうやらトムさんはまだ発声法が定まっていない頃らしく、声がやたらとミックに似ている。ツインギターが賑やかで、しかもベンモントと思われるオルガンが煌びやか。さらに、最初にどっと音量を出して盛り上げ、一度下げて、引く、そしてもう一度最後に爆発させて、バシっと終わらせるのが決まっている。
 21世紀になってからの再結成時ではなく、オリジナル・マッドクラッチの音源もどうにか綺麗にして発売されないだろうか。そもそも、公式が音源を持っていないのだろうか。もし出してくれたら有頂天である。

The Doobie Brothers the 50th Anniversary Tour2023/04/19 20:51

 ディラン様の興奮も冷めやらないまま、昨晩はパシフィコ横浜へ、ザ・ドゥービー・ブラザーズの50周年ツアーライブを見に行った。

 今回のツアーは50周年であると同時に、マイケル・マクドナルドが参加するという点が特別だろう。彼が参加するからこそ、ライブに来るという人も多かったのではないだろうか。
 実は、私はマイケル・マクドナルドが参加したドゥービーがあまり好きではない。ドゥービーのアルバムは1975年の[Stampede] までしか持っておらず、一度買ったはずの [Takin' It to the Streets]の CD は、音楽ファイルで持っているからと売り飛ばしてしまっている。
 来日が発表されたときも、マクドナルドはどうかな…と思って、ちょっとチケット購入をためらっていたのだ。でもやはりドゥービーほどのロックバンドがあとどれほど残っているのかと思い直し、参戦したというわけ。

 結果としては、完全に1975年までの曲で盛り上がり、マクドナルドの曲では休んでいるという、彼のファンには申し訳ないライブとなった。まぁ、そういうこともあるだろう。マクドナルドという人は、間違いなくある種の天才だとは思うが、私の好みでは無いと言うだけである。
 それに七割がたは私の好きなドゥービーなので、全体としてとても楽しかった。私にとってのドゥービーは活動時期が短く、曲も多くない。その多くない曲がどれも名曲で、それを続々とライブ・パフォーマンスしてくれるのだからたまらない。
 特に "Jesus Is Just Alright" は凄まじく良かった。それから1曲挟んで、"Long Train Runnin'", "China Grove" という間違いなしの展開。
 前回、初めてドゥービーのライブを見たとき、アンコール最後の曲が "Listen to the Music" というのは、スロー過ぎるのではないかとちょっと思っていたが、今回はバッチリきまったと感じた。会場全体も大合唱。こういう体験、久しぶりである。

 さて、"Listen to the Music" も終わり、これでコンサートはおしまいです!となったとたんに、会場に流れたのはなんとトム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズの "Refugee"...! 最後は完全にハートブレイカーズに持って行かれてしまったとさ。

ロック戦隊 ビートレンジャー!2023/04/01 00:00

 新時代を彩る戦隊ヒーロー発動!「ロック戦隊ビートレンジャー!」

 世界のビートを滅ぼそうとする悪の組織ダラダラ団から、熱き魂とロックを守るため、きょうも戦うビートレンジャー!それゆけビートレンジャー!
 普段は売れないロックバンドで細々と暮らしている6人組。その正体は「ロック戦隊ビートレンジャー」の若き精鋭たち!それぞれ愛用の楽器に、「ロック・オン!」するとたちまちビートレンジャーに変身し、次から次へと襲い来るダラダラ怪人と戦うのだ!



登場人物

トミー・レッド
 真っ赤な12弦リッケンバッカ―が愛器のリーダー。サラサラ金髪を振り乱してロックの魂を叫ぶ!

ミック・ブルー
 青いデューセンバーグが愛器だが、次から次へと楽器を取り換えるギター・マニア!最近のマイブームはファイヤーバード!

ベニー・ブラック
 黒いスタインウェイが愛器のキーボーディスト。富豪なので、戦隊を金銭面からもささえている!

スティーヴィー・グリーン
 緑のグレッチを愛用する、安心安全ドラマー。ニース・コンセルヴァトワール出身の知性で敵をかく乱する!

スコッティ・オレンジ
 オレンジのギブスンを愛用する、マルチプレイヤー。カレーが大好き!

ハワード・ホワイト
 白いフェンダー・ベースを愛用するベーシスト。美しいコーラスで敵の戦意を喪失させる!

ディラン司令官
 頭の中では複雑怪奇な作戦を立てているが、何を喋っているのかは往々にして不明瞭。その場合は秘書が通訳する。

ジョージア・ハリスン
 司令官の秘書にして戦隊の女ボス。交友関係が広く、「コンサート・フォー・ロック」作戦を実行する。

AI ジェフリー・L
 ビートレンジャー司令部の人工知能。作戦にチェロを加えようとしてジョージアに怒られている。


 日曜日、朝9時30分好評放映中!イベント in 武道館でビートレンジャーと握手!変身インストゥルメント・キッズ・セット、好評発売中!

Tom Leadon2023/03/29 20:15

 マッドクラッチのメンバーであり、トム・ペティの古い友人だった、トム・レドンが亡くなった。  Leadon というファミリーネイムに関しては、日本語表記に揺れがあるが、ウィキペディアによると発音は led-un となっている。「レドゥン」の方が近いかも知れないが、彼の兄も含めて「レドン」が多いようなので、そちらに統一する。

Tom Leadon, Tom Petty’s Mudcrutch Bandmate, Dead at 70

 トム・ペティがゲインズヴィルを拠点に、フロリダ中でツアーをしていたジ・エピックスの若い方のメンバーだった頃に、レドンが加入した。彼はペティより三歳ほど若く、意気投合して一緒に行動していた。ペティの父曰く「トムトム」という仲良しコンビだったという。
 ほどなく、ペティとレドンはエピックスを抜けて、新しいバンドを結成した。それがマッドクラッチであり、ドラマーを募集したところ、応募してきたのがランドル・マーシュだった。そのマーシュのルームメイトだったのがマイク・キャンベルで、ここにマッドクラッチのメンバーが揃ったのである。
 ただ、マッドクラッチが LA に拠点を移したときには既にレドンは脱退しており、この第一期マッドクラッチで、正式メンバーとしてレドンと、ベンモント・テンチが同時に在籍したことはないと言うことになっている。
 ただし、ベンモントは学校の休みで帰省するたびにマッドクラッチのライブに加わっていたので、後年マッドクラッチが再結成するまでベンモントとレドンに面識がなかったとは思えない。

 マッドクラッチの物語が面白いのは、30年の時を超えて再結成し、アルバムを二枚製作し、ライブツアーをしたことだ。
 そもそもは、トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズ結成30周年のドキュメンタリー映画を作成するにあたって、レドンとマーシュにインタビューをする機会があり、ついでに昔のメンバーで再結成してしまうという、なんだかおとぎ話めいた経緯がある。
 これは想像だが、マイク・キャンベルが運動したのではないだろうか。「面白そうじゃん」などど言って。彼は寡黙で大人しいという印象の人だが、実のところかなりの人誑しであり、バンド仲間に引き入れたり、自分がメンバーになったりすることが、一種の特技とみている。

 とにかく、マッドクラッチは21世紀に再結成をして、素晴らしい音楽活動を行った。レドンにとって、30年の時を超えてそんなことが起きるとは、想像もしていなかっただろう。若かった頃の友達が大成功してスターになったのを、遠くで眺めているだけの人生ではなかった。
 ロックの歴史の中で、キラリと光る素敵な話の構成員であり、人生の面白さを体現してくれた人だった。大スター、トム・ペティを産みだした人の一人でもある。
 きっといまごろ、また「トムトム」が楽しく揃って、ジャムでもしているだろう。