Go Cat Go !2015/08/20 20:42

 音楽プロデューサーのボブ・ジョンストンが亡くなったというニュースが入ってきた。
 この人が誰だかはピンとこなかったのだが、ボブ・ディランの [Highway 61 Revisited] の途中から、[New Morning] をプロデュースした人物だという。なるほど、名作の森の時代 ― ディランはだいたいが名作なのだが ― の名プロデューサーだ。
 ほかにもジョニー・キャッシュや、サイモン&ガーファンクルなども手がけたとのこと。

 ボブ・ジョンストンの作品の中で、あれもそうなのかと思ったのが、カール・パーキンスの [Go Cat Go!](1996)だ。17曲のうち、8曲を手がけている。

 普通、[Go Cat Go!]と言えば、黄色地にブルー・スウェード・シューズのジャケットのはずだが、なぜだか私が持っている盤は全く違った。どうやら1999年に再版された時の物らしい。レーベルも違うかも知れない。



 パーキンス本人の演奏に、彼を尊敬する多くのアーチストとの共演が目白押し。その中に、ボーナス・トラック的に、ジミ・ヘンドリックス・エクスペリエンスとジョン・レノンのライブ音源が加えられている。
 ここまで書いて気付いたのだが、なんと私の盤にはジョンの音源が入っていない。オリジナルは17曲なのだが、私のは16曲なのだ。何か権利関係の面倒が起きたのだろうか…

 ジョージ・ファンとしても重要なアルバムで、ジョージとパーキンスの共演は "Distance Makes No Difference with Love" で聞くことが出来る。
 もっとも、ジョージは最上級に尊敬する先輩と一緒になると、自分の音を押さえ込んで相手に聞き惚れる傾向があるため、あまりジョージらしさは堪能できない。ただ、さすがにスライド・ギター・ソロは唯一無二のジョージ・サウンドである。
 ジョージとカール・パーキンスなら、1985年の "Carl Perkins & Friends" の方がずっと良い。

 トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズも3曲に登場する。
 カール・パーキンス,ボノ,ジョニー・キャッシュ,ウィリー・ネルソン、そしてトムさんが共演するという豪華な取り合わせもある。これだけ揃うと、ちょっと個性を削り合ってしまい、物足りない感じもするが。
 しかしそこはトムさんである。声の存在感はさすがにある。
 ハートブレイカーズとのアンサンブルも最高な "Restless" では、ゴキゲンなカール・パーキンスとトムさんとのやりとりも聞こえて、そのセッションが楽しく幸せな物だったことが良く分かる。

 カール・パーキンスがメインに来る共演曲が並ぶなかで、ジミ・ヘンドリックス・エクスペリエンスの "Blue Suede Shoes" はさすがに異質。すぐにはこの曲であることには気付かない。
 パーキンスらしい軽快さはなりを潜め、印象的なベースラインが不気味に響き、渦巻くようなヘンドリックスのギターがうなる。他の曲とのバランスの意味でかなり浮いているが、聞き始めると心を捉えられてしまう格好良さだ。

 ジョージやTP&HBが共演しているアルバムではあるが、私にとってこの中で一番良かったのは、パーキンスと、ウィリー・ネルソンの "Wild Texas Wind"。もちろん、ボブ・ジョンストンがプロデュースしている。
スロー・バラードで、軽快さはないが、ひたすら美しい。とくにサビのベタな展開が、さりげなく、心にしみてくる素晴らしい演奏だ。

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