Bob Dylan in Tokyo 2014 / 4月8日 ― 2014/04/10 21:16
4月8日のZEPPダイバーシティ。今回のボブ・ディラン来日公演の中で、私が行く最後の公演となった。
今回もAブロックの400番台。あまり前には行かず、バーの後ろを確保した。当然人の頭との戦い。その向こうに、かろうじてディランの頭部が見えたときの感動は、普通の身長人間には分かるまい!
これから参戦する人のためにアドバイスしておくが、女性は靴に気をつけたほうが良い。高さを確保するためにハイヒールを履くのも一つの手だが、会場の外に並び、入場から終演まで3時間強、立ちっぱなしでる。しかも、満員電車並みの混雑の中。歩きやすい、立っていても疲れない、爪先立ちしやすい靴がおすすめだ。 私だって、せっかくのライブなのだから、気合を入れてイカした靴を履きたいのだが、苦痛で音楽を楽しめなければ元も子もない。楽な靴を選んだ。
セットリストは、ほぼ同じ。去年のロンドンから、5公演連続で殆ど同じセットリストで聴くというのも、慣れると楽しくなってきた。愛着というものだろう。
登場したディラン、今回はグレーのスーツに、グレーの帽子。どうやら、初日の白い刺繍の入った黒いスーツが、一番イケてないらしい。黒だと、ただでさえ小柄なディランが、さらに小柄に見えるのからなのか。ともあれ、グレーのスーツはとても素敵だった。
いつものように、"Things Have Changed" でスタート。2曲目の "She Belongs To Me" でハーモニカを吹くのだが、バンドの演奏が止んでハーモニカのソロ(の、ようなも)をたっぷり聞かせるのが印象的だった。
3曲目の "Beyond Here Lies Nothin'" のエンディングでおかしなことが起きた。私はPA機材のことはからっきし分からないが、はっきり機材トラブルと分かる異音が響き始めたのだ。最初、ディランの弾くピアノの C の音(高さ?)に反応して、ハウリングを起こしているような、ピーピー音が混じり、やがて重低音のガーっという音が断続的に響いた。
曲が終わってもしばらく鳴り続ける。いったんノイズが止んでも、誰かが音を出すと、またおかしくなる。ステージにも、客席にも当惑の空気が流れる。よく見えないが、どうやらスタッフも出てきた模様。
ディランもピアノの C音に反応してハウリングか何かを起こしていると考えているのか、やたらとCマイナーを叩く。やがてそれが即興演奏になった。何かの曲のコードだと思うが、明らかにPAの調子を見るための即興演奏。これがなかなか楽しかった。
数分間この即興演奏が続いたが、トラブルは解決しない。やがて演奏を終わらせたディランとバンドメンバーたちはステージからさがって行った。
しばらく待っていると、ギタリストや、ドラマーがちょろっと出てはシンバルをチーンと叩いたり、ディランがぬーっと出てきてはステージを横切ってまた下がったり。会場はそのたびに盛り上がるが、しかし直らない。
今度はディランがチャーリーと出てきて、何か機材を見てゴニョゴニョ言っている風に見せて、また引っ込む。なんだか、普通ではありえないほどサービス満点なディラン。
客席からは再開を待つ間、いろいろな声が飛ぶが、センスのあることを叫ぶ人もいれば、そうでもない人もいる。「ギターでいいよ!」とか、「アンプラグド!」という声もあり、この辺りは本音だろうなと思う。一番上手いなと思ったのは、"Everything is broken !"([Oh Mercy] 1989)という、外国の人の声だった。
結局、一度客席の照明がつき、機材調整のためしばらく演奏を中止する、15分ほどかかる模様とのアナウンスがあった。こういうトラブルは、初めて目にした。
中断はのべ30分ほど。やがて客席のライトが落ち、再びディランとバンドが登場して、何事も無かったように4曲目 "What Good Am I?" をはじめた。
異音の原因は、モニタースピーカーだったとのことだが…
初日に、ディランが足下のスピーカーを蹴りまくったせいではないのか?!
日を追うごとにノリが良くなってくるのか、私の大好きな "Duquesne Whistle" も絶好調。複数回の参戦客も多くなったせいか、間奏では "Hooo!" という合いの手が入ることになった模様。
"Tangled Up In Blue" でなぜか帽子を脱ぐディラン。去年のロンドンでは泣いてしまったほど、このアレンジは素晴らしい。素晴らしいだけに、ディランのピアノの下手さが気になってきた。かねてより、私は2010年のオルガンより、よほど上手だといってきたが、おなじセットリスト,同じアレンジを短期間で何度も聴くと、さすがにマズいところが気になる。しかも、悪いことに私はピアニストだ。ぜひとも、この素晴らしい "Tangled Up In Blue" を、本職のピアニストを入れた編成で聴いてみたい。
前半最後の "Love Sick" が終わると、びっくりしたことにディランが「アリガトウ」のひとこと。私は、ディランが日本語で話すのを初めて聞いたような気がする。いつもは、「少し休憩、戻ってきます」としか言わないのに、今回は「トラブルで待たせてごめんね。」とのコメントつき。待った分、得した気分だ。
全ては30分押しで、後半もこれまでどおり進む。後半になると、また帽子を被って登場した。
後半は完全に同じセットリスト。"Blowin' in the Wind" では、機嫌よくピアノを弾いているうちに、スタンドマイクへ行くの忘れていた模様。曲も大詰めになって、急に思い出し、唐突にピアノから離れ、短いハーモニカをかろうじて吹いたのが可笑しかった。
大きな歓声に応えるディラン。仁王立ちに加え、すこし手を上げて見せながら微笑んでいるのが見える。
コンサート終了も、もちろん30分遅れ。夕食を食べ損ねてしまった。
これにて、私の2014年ディラン・ライブ観賞は終了。相変わらずパワフルで、強いディランを満喫した。ディランはこれから、東京が少しと、各都市を回る。まだまだ日本ツアーは始まったばかり。コンディションに気を配って、最後まで日本のファンを楽しませて欲しい。
次回は、どんなディランに会うことになるのだろうか。少しツアーを休んで、ギターの練習でもすると良いと思う。これは本音。
ともあれ、ありがとう、ディラン。また会いましょう。気温差で風邪をひかないように、気をつけて。
普通、ツアーグッズというものは買わない私だが、珍しくトートバッグを購入。かなり大きいのだが、肩から斜めがけができる、楽譜や楽器が入るというわけで買ってみた。
ポケットもないし、不便だとは思うが、まぁそこはディランマジックということで。
今回もAブロックの400番台。あまり前には行かず、バーの後ろを確保した。当然人の頭との戦い。その向こうに、かろうじてディランの頭部が見えたときの感動は、普通の身長人間には分かるまい!
これから参戦する人のためにアドバイスしておくが、女性は靴に気をつけたほうが良い。高さを確保するためにハイヒールを履くのも一つの手だが、会場の外に並び、入場から終演まで3時間強、立ちっぱなしでる。しかも、満員電車並みの混雑の中。歩きやすい、立っていても疲れない、爪先立ちしやすい靴がおすすめだ。 私だって、せっかくのライブなのだから、気合を入れてイカした靴を履きたいのだが、苦痛で音楽を楽しめなければ元も子もない。楽な靴を選んだ。
セットリストは、ほぼ同じ。去年のロンドンから、5公演連続で殆ど同じセットリストで聴くというのも、慣れると楽しくなってきた。愛着というものだろう。
登場したディラン、今回はグレーのスーツに、グレーの帽子。どうやら、初日の白い刺繍の入った黒いスーツが、一番イケてないらしい。黒だと、ただでさえ小柄なディランが、さらに小柄に見えるのからなのか。ともあれ、グレーのスーツはとても素敵だった。
いつものように、"Things Have Changed" でスタート。2曲目の "She Belongs To Me" でハーモニカを吹くのだが、バンドの演奏が止んでハーモニカのソロ(の、ようなも)をたっぷり聞かせるのが印象的だった。
3曲目の "Beyond Here Lies Nothin'" のエンディングでおかしなことが起きた。私はPA機材のことはからっきし分からないが、はっきり機材トラブルと分かる異音が響き始めたのだ。最初、ディランの弾くピアノの C の音(高さ?)に反応して、ハウリングを起こしているような、ピーピー音が混じり、やがて重低音のガーっという音が断続的に響いた。
曲が終わってもしばらく鳴り続ける。いったんノイズが止んでも、誰かが音を出すと、またおかしくなる。ステージにも、客席にも当惑の空気が流れる。よく見えないが、どうやらスタッフも出てきた模様。
ディランもピアノの C音に反応してハウリングか何かを起こしていると考えているのか、やたらとCマイナーを叩く。やがてそれが即興演奏になった。何かの曲のコードだと思うが、明らかにPAの調子を見るための即興演奏。これがなかなか楽しかった。
数分間この即興演奏が続いたが、トラブルは解決しない。やがて演奏を終わらせたディランとバンドメンバーたちはステージからさがって行った。
しばらく待っていると、ギタリストや、ドラマーがちょろっと出てはシンバルをチーンと叩いたり、ディランがぬーっと出てきてはステージを横切ってまた下がったり。会場はそのたびに盛り上がるが、しかし直らない。
今度はディランがチャーリーと出てきて、何か機材を見てゴニョゴニョ言っている風に見せて、また引っ込む。なんだか、普通ではありえないほどサービス満点なディラン。
客席からは再開を待つ間、いろいろな声が飛ぶが、センスのあることを叫ぶ人もいれば、そうでもない人もいる。「ギターでいいよ!」とか、「アンプラグド!」という声もあり、この辺りは本音だろうなと思う。一番上手いなと思ったのは、"Everything is broken !"([Oh Mercy] 1989)という、外国の人の声だった。
結局、一度客席の照明がつき、機材調整のためしばらく演奏を中止する、15分ほどかかる模様とのアナウンスがあった。こういうトラブルは、初めて目にした。
中断はのべ30分ほど。やがて客席のライトが落ち、再びディランとバンドが登場して、何事も無かったように4曲目 "What Good Am I?" をはじめた。
異音の原因は、モニタースピーカーだったとのことだが…
初日に、ディランが足下のスピーカーを蹴りまくったせいではないのか?!
日を追うごとにノリが良くなってくるのか、私の大好きな "Duquesne Whistle" も絶好調。複数回の参戦客も多くなったせいか、間奏では "Hooo!" という合いの手が入ることになった模様。
"Tangled Up In Blue" でなぜか帽子を脱ぐディラン。去年のロンドンでは泣いてしまったほど、このアレンジは素晴らしい。素晴らしいだけに、ディランのピアノの下手さが気になってきた。かねてより、私は2010年のオルガンより、よほど上手だといってきたが、おなじセットリスト,同じアレンジを短期間で何度も聴くと、さすがにマズいところが気になる。しかも、悪いことに私はピアニストだ。ぜひとも、この素晴らしい "Tangled Up In Blue" を、本職のピアニストを入れた編成で聴いてみたい。
前半最後の "Love Sick" が終わると、びっくりしたことにディランが「アリガトウ」のひとこと。私は、ディランが日本語で話すのを初めて聞いたような気がする。いつもは、「少し休憩、戻ってきます」としか言わないのに、今回は「トラブルで待たせてごめんね。」とのコメントつき。待った分、得した気分だ。
全ては30分押しで、後半もこれまでどおり進む。後半になると、また帽子を被って登場した。
後半は完全に同じセットリスト。"Blowin' in the Wind" では、機嫌よくピアノを弾いているうちに、スタンドマイクへ行くの忘れていた模様。曲も大詰めになって、急に思い出し、唐突にピアノから離れ、短いハーモニカをかろうじて吹いたのが可笑しかった。
大きな歓声に応えるディラン。仁王立ちに加え、すこし手を上げて見せながら微笑んでいるのが見える。
コンサート終了も、もちろん30分遅れ。夕食を食べ損ねてしまった。
これにて、私の2014年ディラン・ライブ観賞は終了。相変わらずパワフルで、強いディランを満喫した。ディランはこれから、東京が少しと、各都市を回る。まだまだ日本ツアーは始まったばかり。コンディションに気を配って、最後まで日本のファンを楽しませて欲しい。
次回は、どんなディランに会うことになるのだろうか。少しツアーを休んで、ギターの練習でもすると良いと思う。これは本音。
ともあれ、ありがとう、ディラン。また会いましょう。気温差で風邪をひかないように、気をつけて。
普通、ツアーグッズというものは買わない私だが、珍しくトートバッグを購入。かなり大きいのだが、肩から斜めがけができる、楽譜や楽器が入るというわけで買ってみた。
ポケットもないし、不便だとは思うが、まぁそこはディランマジックということで。
コメント
_ wamo- ― 2014/04/12 16:15
_ NI ぶち ― 2014/04/13 20:45
>wamo-さん
おお、ありがとうございます!あの30分もしっかり収録されていますね!
おお、ありがとうございます!あの30分もしっかり収録されていますね!
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