The Rolling Stones in Tokyo 2014 (No. 3)2014/03/08 21:14

 3月6日東京ドーム。

 今回のストーンズ来日公演は、初日と二日目を見るべく、例のバカ高いチケットを購入していた。
 ところが、二日目が終わってみると、にわかに寂しくなってしまい、どうにも最終日も見たい気持ちが抑えられなくなった。そもそも、チケットはあるのだろうか。
 翌日、さっそく確認してみると、10000円とだいぶお安い(?)値段で、当日座席指定券引き替えのチケットがまだ買える。ただし、ステージの一部や、演者が見えないと言う。この際、モニターが見えるだけでも構わないと思い、早速購入。
 当日、仕事を終えてからドームに行き、引き替えてみると席はライト側の外野席。つまり、ステージを後方から見ることになり、確かにステージは左翼側しか見えない。それでも、ステージそのものは近く、ミックやキース、ロニーは見えるし、彼らが見えなくてもモニターはちゃんと見える。これが意外と良い席だった。
 面白かったのは、この外野席、私をふくめて殆どがお一人様だったこと。おそらく、どうしても見たくなり、人を誘う余裕もなく突撃してきた人々が多いのだろう。その気持ち、良く分かる。

 セットリストは、以下の通り。友人はオープニングを "Jumpin' Jack Flash" と予想したが、これがみごと的中した。

Jumpin' Jack Flash
You Got Me Rocking
It’s Only Rock 'N' Roll (But I Like It)
Tumbling Dice
Ruby Tuesday
Doom And Gloom
Respectable
Honky Tonk Women
Slipping Away
Before They Make Me Run
Midnight Rambler
Miss You
Paint It Black
Gimme Shelter
Start Me Up
Sympathy For The Devil
Brown Sugar
You Can't Always Get What You Want
(I Can’t Get No) Satisfaction

 初日と比べたら、見違えるような演奏の良さ!まず音響が大幅に改善されていたし、ハウリングも僅かしか聴かれない。キースも調子よさそうで、どのイントロもばっちり決まっていた。
 ストーンズほどのバンドであっても、やはり回数をこなして経験を積むことで音楽はより良くなっていくのだ。当然といえば当然だが、この認識を新たにした。
 観客にも同じ事は言えるようで、おそらく2回目、3回目の人も多かったことだろう。盛り上がりもひとしきりだった。

 今回も "Tumbling Dice" で泣けてしまった。どういう訳だろうか。キースがステージの左端にきて、手を振ってくれた。涙がポロポロこぼれる。
 なんとなく、キースとはもう会えないような気がした。

 スローパートも、今回の "Ruby Tuesday" が結局一番良かった(二日目の "Angie" はちょっとテンポが速過ぎた)。モニターを見ると、キースが何かしかめ面をしてスタッフに合図をしている。どうやら、キースのコーラス用マイクがなかった模様。
 まさかミスで置き忘れるとは思えないので、キースが急に歌う気になったのではないだろうか。途中でマイクが出てくると、キースは機嫌良くコーラスを歌っていた。

 ファン投票の曲というのは、本当にファン投票の結果なのだろうか。よく分からないし、まぁ、どちらでも構わない。私は "All Down the Line" か、"Respectable" が聴きたかったので、今回の "Respectable" は嬉しかった。
 ミックが「スペシャルゲスト!」と言うので、もうミック・テイラーが登場するのかと思ったら…

 「ハッテイ!」

 …はってい?

 モニターをみてやっと分かった。布袋寅泰だった。彼のことは良く分からないが、ギターは上手い。でもやっぱり、ギターソロはロニーのものだ。あの曲では特に。

 "Honky Tonk Women" は、二日目までよりも、ぐっとテンポを落とし、重い演奏になった。これが格好良い!ミックは「テンポ上げて!」と合図していたが、大して上がらず、そのまま重い演奏で終始した。私はこちらの方が良いと思う。

 キースのパートになると、会場の熱がぐっと上がる。私の周囲のお一人様男子たちが、「キース!」「キース!」と大騒ぎ。
 キースもゴキゲンで「ムハハハハハハ…」などと笑っている。
 ごめん、前言撤回。ステージでうろつく姿を、「ギターを持ったハイカイ老人」などと言った(言ってないけど)私が悪かった。キースはやっぱり凄い!カッコイイ!パワフル無敵のロックンローラーだ!きっと、また会いに来てくれるに違いない!

 "Midnight Rambler" の見所はミック・テイラーのギター・プレイなのだが、一方でミック・ジャガーのダンスも見逃してはいけない。ストーンズに関して、いまさら年齢がどうこうと言うのはいかにもバカバカしいと思うのだが、さすがにミックのダンスは凄いと思う。
"Miss You" で二日目、ミックやロニーと一緒に花道の向こうへ行き損ねてしまったキース。今回は、ちゃんとミックが花道の入り口でキースの方を振り返って待っており、無事に三人でセンターステージへ向かった。
 最終日ということでサービスだったのか、最後にブギーのオマケパートもついた。  最後の最後、"Satisfaction" のエンディングも特別バージョン。さすが、最終日、ゴージャスだ。

 かくして、ストーンズの最終日はめでたく終わりを迎えた。
 終わりよければ全て良し。
 演奏のしにくそうな様子もなく、音楽としての仕上がりも良く、ミスも少なく、ギターとホルンの音程も合っていたし。観客達も調子よく歌えたし。
 今まで、どのバンドもどうせプロなのだからあまり変わりはしないだろうと思っていたのだが、やはり最終日の方が出来が良いらしいということを実感した。ディラン様などはそうではなさそうだが、とにかくこれからは出来るだけ後の日程の公演を見た方が良さそうだと思うようになった。

 色々勉強になり、最高にロックで楽しませてくれたストーンズ、ありがとう。また来てね。