One Chance2014/03/29 22:01

 映画「ワンチャンス」を見た。
 2007年テレビ番組 [Britain's Got Talent] の初代チャンピオン,ポール・ポッツの成功物語の映画化である。
 ポール・ポッツはスーザン・ボイルよりも前に注目を集めた歌手であり、私は彼の方が好きだった。映画化の話はだいぶ前に出て、いったん頓挫したが、去年完成し、このたび日本で公開された。



 冴えない男が、家族や友人に励まされて成功を掴むという、至って普通の物語だが、自然とポールを応援してしまうし、彼の歌声に心が震える。
 UKモノが好きな人にはとてもお勧め。ウェールズのなんの変哲もない鉄鋼町の風景、いかにもUKっぽいまずそうな食べ物、パブ、いかにも普通の ― つまり、いくらかダサいUKの人々がなんとも言えない。ポールはもちろん冴えない。ガールフレンドも特にはイケていない。でも、ユーモアがあって、心優しく、共感を覚える。
 やはり印象的なのは、ポールのお母さん。子供の頃からポールを励まし、味方になってくれる。
 そして、ポールが勤めている携帯電話販売店の店長ブラッドン。ゲームにはまっているオタクで、飲んだくれで、ギャグは滑る。それでも気の良い男で、ポールを励まし、店をまかせてくれる。

 ベニスの音楽学校の風景も良かった。校内に入ると、至る所に楽器を鳴らす学生がいる様子が懐かしい。さらに、いかにも居そうな声楽の先生が素敵。
 パヴァロッティの登場は笑ってしまった。オシャレに派手なスカーフに、白い帽子、赤ワイン、生ハム&グリッシーニ、そして手に持った白いハンカチ。パヴァロッティが普段からそんな感じだったとは思えないのだが、こだわりがあって良かった。

 劇中で流れるポールの歌は、ポール・ポッツ自身の声。
 ポール・ポッツの声は、明るく、やや軽い。当人はカレーラスに憧れたらしいが、どちらかと言うとパヴァロッティ(奥さんにバカ呼ばわりされる)の方が近いかも知れない。

 こちらは、実際にポール・ポッツが出演したときの、[Britain's Got Talent] の映像。クラシックのコンクールではなく、いろいろな出し物のあるテレビ番組ならではの盛り上がり。登場する前のインタビューでは自信がないとこぼしているポッツ。
 この一連のシーンは、映画でも再現されている。



 さて、いよいよボブ・ディランの来日公演が始まる。
 私は東京での初日3月31日と、中日4月4日、そして東京最終日の4月8日に鑑賞予定。整理番号が一番良いのは、初日。さて、ロンドンから4ヶ月。ディランはどんなパフォーマンスを見せてくれるだろうか。