Kyrie2013/03/04 22:14

 リンゴ・スターとお仲間は無事離日されたとのこと。お疲れ様。
 土曜日には、幕張メッセで開かれた何かフェストのようなモノに出演。1時間弱の演奏で、どうやら10曲しか演奏しなかったらしい。Zeppでのライブは本当に楽しかっただけに、とても物足りないだろう。
 リンゴの曲も、オールスター・バンドの曲も、半分程度。スティーヴ・ルカサーは "Rosanna" を歌ったそうだが、そこは "Africa" の方がウケが良かったのでは無いだろうか。そして、リチャード・ペイジは、"Broken Wings" だったとのことだが、個人的には "Kyrie" の方が良かったのではないだろうかと思っている。

 "Kyrie" というのは、もともとキリスト教における祈りの言葉で、"Kyrie eleison, Christe eleison, Kyrie eleison." 「主よ憐れみたまえ、キリストよ憐れみたまえ、主よ憐れみたまえ」という短い詩句である。日本語訳にはそれなりの決まりがあるようだが、ここでは特にこだわらないでおく。

 "Kyrie" と言ってまず思い出すのは、グレゴリオ聖歌だ。9世紀ごろから作られ始めた、ローマ・カトリックの宗教音楽で、おおかたの西洋芸術音楽史はグレゴリオ聖歌から始まる。もちろん、音楽そのものはずっとずっと昔から存在するのだろうが、何分にも音楽は記録が難しいため、「歴史」として構成するには、せいぜい9世紀ごろからしか始められないのだ。
 グレゴリオ聖歌の "Kyrie" は非常に多く作られたとのこと。もっとも、私にはどの曲も同じに思えるが。学生時代、音楽史の講義でネウマ譜(五線譜の前身のようなもの)を読みながら "Kyrie" を歌わされたのを思い出す。やたらと「えぇ~えーえェ~エエえ~…」とムニャムニャやっていたものだ。



 「ミサ曲」という形式が定まってからも、"Kyrie" は最初の方を構成する楽曲として用いられ続けた。モーツァルトの「レクイエム」も例外ではない。
 さすがに18世紀とあって、ぐっと近代的になる。カール・べームでどうぞ。オペラを得意としたべームらしく、ドラマチックで格好良い。



 短い詞が良いのか、雰囲気が良いのか、20世紀ポップスにも使われる "Kyrie"。まずは映画 "Easy Rider" で使われたエレクトリック・プルーンズ。ちょっと中途半端かな…。



 半端のない使い方をして気持ちが良いのは、やはりMr. ミスターの、"Kyrie" 。サウンド的には私の好みではないが、楽曲が良い。名曲だと思う。



 ただでさえ短い "Kyrie" の詩句のうち、最初の "Kyrie eleison" だけを残してサビにしたというアイディアが良い。ポップでキャッチーなメロディとはうらはらに、歌詞は魂と人生の困難と、救いを求める気持ちが込められている、そういうギャップも面白い。

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