Collings UC-22013/03/16 22:44

 いよいよ、今シーズンのF1が開幕した。日本人レーサーも、日本メーカーも参加していないとのことだが、どうであれF1は面白い。
 さぁ、開幕戦メルボルン!…と思ったら、いきなり予選がQ1終了時で雨のため延期。日曜日の午前中にQ2, Q1をやり、午後に決勝。いきなり忙しい。

 ウクレレを習い始めてもうすぐ1年。楽器を買い換えた。

 愛用していたマーチンのSO-UKは、マーチンというブランドに目がくらんで衝動買いしたのであり、そういう金額、そういうレベルの楽器。ようするに、あまり良い楽器ではなかったらしい。このマーティン・フリーマン君には愛着があるし、とても大事なのだが、いかんせん響きもピッチもイマイチ。
 一方で、私には「大した腕もないのに、良い楽器を使うのは恥ずかしい」という感覚がある。さて、いつどういうタイミングでどの楽器を買ったものか。
 先日先生に、「そろそろ道具をランクアップした方がよいとお思いになったら、遠慮なくおっしゃって下さい」と言ってみたら、「そりゃ、早ければ早いほど」…とのこと。

 では、どのウクレレを買うか。
 マーティン・フリーマン君をブランドで選んだのだから、ゼマイティスのハートモチーフのウクレレとか、ジョージも使っていたギブスンとか…そいういミーハーな道に走りかねない。そこで、先生お勧めに従うことにする。
 ハワイアンに興味が無く、ギターの代わりとしてウクレレを弾き、ロック、フォークロック指向の強い私にお勧めのメーカーとして、コンパスとか、リック・ターナーとか、サンタ・クルスなどなどが挙げられる中、もっとも先生が熱っぽく勧めていたのが、コリングス(Collings) だった。

Collings

 なんでも、テキサスはオースティンに拠点を置くギター職人,ビル・コリングスの工房作品とのこと。高級なハンドメイド・ギターとして非常に評判が高いらしく、ウクレレも同様の丁寧さで良い楽器を作っているそうだ。
 何と言っても、基本的にギター・メーカーがギターっぽいウクレレを作っているわけで、私にはそういう意味で向いているに違いない。よし、コリングスを見に行こう。

 と、言ってコリングスはどこに売っているのだろう。私はやたらと器楽をやるくせに、楽器をお店で買うという経験が極端に少ない。コリングスのウクレレを扱っていそうな楽器店をまずネットで探し、どうやら渋谷のS楽器が良さそうだという結論になった。
 いさんで、S楽器に行き、「コリングスのウクレレをすすめられました。」と店員のお兄さんに相談し、3本ほど試し弾きさせてもらった。この時点でかなりハイテンション。やや興奮状態。
 外見は3本ともとても魅力的だし、音も柔らかく素敵だった。チューナーを使ってピッチも確認したが、とても良い。一番高いものは音が華やかで良かったのだが、さすがに予算オーバー。もともと目をつけていて、入荷したばかりでコリングスでは一番の売れ筋、店員のお兄さんもお勧めという、UC-2をどーん!と購入した。
 初めてのハードケース。ああ、こういうの憧れていたよな。(マーティン・フリーマン君はソフトケースに入れていた)ウィルベリー一族になったような気持ち。



 新しい良い楽器でこれからますます、ユークの稽古に熱が入る、めでたし、めでたし…
 では終わらない。実は、とんでもないことが起きていた。これは、私の無知と、誤解と、勢いに起因している。
 そもそも、マーティン・フリーマン君は、「テナーウクレレ」だった。この大きさでも、私は手が届かないとヒィヒィ言っている。当然、コリングスもテナーを買うつもりだった。
 しかし、持ち帰って冷静に見ると、それは「コンサート」サイズだった。要するに、テナーよりも大きい。

 なんだかとんでもない間違いのようだが…なんとなく、これで良いという気がして、すっかりこのUC-2が気に入ってしまい、今日を境に私はコンサート・ウクレレ弾きになることにした。相変わらず手が届かない。そのうちどうにかなるだろうか。考えてみれば、アクロバットのようなクラシック・ピアノを何十年も弾いているのだし。

 一応、どうしてそんな馬鹿なことになったのかという事を説明すると。私はまず、マーティンが「テナー」であることを知らなかった。「テナー」という言葉を、私は「でかい」と捉えていた。声で言えば男声だし、よく使われるサックスでも、大きい方だろう。つまり、私はマーティンを「アルト」程度の感覚で居たのだ。彼が「テナー」だとは知らなかった。
 そして、店員さんに「手が小さいので、あまり大きいのは弾けないんです」という曖昧な言い方をしたのがまずかった。店員さんは「一番一般的な大きさは、これですね」と、コンサートのブースに案内して下さったのだ。彼は悪くない。
 試し弾きした時点でどうして気付かないのか…いや、確かに気付いていたと思う。指がややきつかった。でも、私の指はいつもきつい。ピアノもキツイし、ティン・ホイッスルもきつい、マーティンもきつい。きついのが当たり前なので、ツッコミ損ねた。
 そして、素敵な楽器だという興奮と、周囲にはギブスンのでっかいアコギが林立している雰囲気にのまれた。

 ともあれ、万事慎重居士でアレコレ細かい私にしては凄い大間違いをしたのだが、これで良かったような気がする。先生は私にコンサートを弾くことを勧めていたようだが、私自身が手のことで乗り気ではなかっただけ。これはジョージのお導きに違いない。そもそも、ギターが弾きたいけど、大きさ的に無理だからユークを弾くのだから、コンサート・サイズの方が私が目指すもののはずなのだ。
 親切にしてくれたS楽器の店員さん、ありがとう。ギターとかの話も面白かった。
 名前はまだつけていないけど、このコリングスのコンサート・ユークで、ジョージを目指すことにする。