The Chieftains / Irish Trad の50年2012/11/02 23:37

 アイリッシュ・トラッド・バンドの雄,ザ・チーフテンズ今月下旬に来日し、ツアーを行う。今年は、結成50周年だそうだ。
 コンサートをさらに楽しむために、チーフテンズを中心として、1950年代に伝統音楽復興のムーブメントが始まり、21世紀に至るアイルランド・ケルト音楽の歩みを解説する講演会があったので、聞きに行った。

 内容はとても面白かったと思う。復興運動以前の状況、いかに復興運動が展開し、チーフテンズが誕生し、さらに60年代,70年代へとさらなる発展をとげ、80年代に大きな曲がり角を迎え、さらに大きな「ケルト」としての文化圏熱の発生 ― そして、90年代に「ケルトの虎」と呼ばれた経済発展と共に迎える、一種の「バブル」状態、そして現在 ―
 なるほど、単にアイリッシュ・トラディショナル・ミュージックと言って私は愛好したり、演奏したりしているが、意外と新しいムーブメントの中の音楽のファンであり、現在に至るまでの様々な「揺れ」の中の、一部が好きなのだと納得した。
 たくさん知らないことも教えてもらえた。ギリシャの民族楽器であるブズーキが、なぜアイリッシュ・トラッド・バンドでよく使われているのか疑問だったのだが、その点も解決した。

 内容はそれなりに良かったと思うのだが、いかんせん講師の方のプレゼンが上手くなかった。トークを主体として展開する講演なのに、話すのが苦手な方のようだし、配布されたレジメもかなりイマイチ。たぶん、こう言った講演形式の活動に慣れていらっしゃらないのだろう。
 かなり期待して出かけたので、その点は残念。

 改めて思うのは、やはり私はボシー・バンドの演奏が好きなのだということ。
 ものすごく精緻で端正、そのくせ土臭さを失わず、アップテンポの曲は怒涛のように突き進む感じが好きだ。



 アイリッシュ・トラッドに関しては、私は圧倒的に器楽が好き。このボシー・バンドの傾向に近い良いバンドがあったら、ぜひとも教えて欲しい。

 一方、チーフテンズ。最近は、様々なミュージシャンとのコラボレーションにも熱心で、最新アルバム [Voice of Ages] でも顕著だ。ディランの中でも大好きな曲、"When the ship comes in" なども登場。



 今回のアルバムはそれほどでもないが、他ジャンルとの共演にも熱心。物によっては、カントリーや、ブルーグラス、はてはジャズとのコラボレーションなどもある。
 正直いって、私はこの手のコラボが苦手だ。なんだか互いの一番エッジの効いた部分を削がれてしまうような感じで、入れ込めない。特に、カントリーやブルーグラスは、それらが苦手だからこそ(私の趣味としては、少し明るすぎる)、アイリッシュ・トラッドへ向かったのであって、そちらにアプローチして欲しくないという気持ちがある。
 やはりいかにもトラッドな楽曲を、トラッドなアプローチでありながら、格好良くキメてくれてくれるのが良い。このリールのように。

The Chieftains "The Dublin Reels"

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