Richard Ⅲ Song / Subterranean Homesick Blues2012/11/05 21:56

 今朝の日本経済新聞文化面に、「ヨーロッパ宮廷の女性達 十選:エリザベス・ウッドヴィル」という小さな記事が載っていた。
 エリザベス・ウッドヴィル(1437?-1492)の二度目の夫が、イングランド国王エドワード四世(記事では「欠点は女癖が悪いこと。『女のことになると理性を失う』と評され…」となっている)。この国王としては自覚を欠いた結婚は、宮廷内の派閥争いという不幸を招いた。結局エドワードの死後、「末弟(リチャード3世)が王子2人を闇に葬り、兄の結婚を無効として即位する。リチャード3世がヘンリー・チューダーに王冠を奪われ…」と、記事は続く。

 薔薇戦争を解説すれば、そういうことになるのだろう。しかし、リチャード擁護派としては、毎度の事ながら歯がゆい思いをしている。もっとも、歯がゆい思いをしないで済む状況なら、わざわざ「リチャード擁護派」などにはならないのだろうが。
 とにかく、リチャードは幼い甥2人を殺しも、闇に葬りもしなかったのではないか、むしろその責任はヘンリー・チューダー(ヘンリー7世)にあるのではないかという説は、かなりある。少なくとも、シェイクスピアが描き出した容姿まで醜悪な、モンスターではないという点は、間違いないだろう(シェイクスピアに責任があるわけではない)。

 英国BBCの子供向け番組 [Horrible Histories] でも、いくらかリチャード救済的なエピソードがある。
 この番組、本当に子供向けなのだろうかと思いたくなるほど、かなり詳しい歴史を扱い、かつかなり面白い。そしてやたらと歌いまくる。「ぼくは、そんなに悪いやつじゃないです!」という、リチャードも歌う。



 演じるは、ジム・ハウィック。もうちょっとイケメンでも構わないのだが…まぁ、ぜいたくは禁物だ。とにかく、心優しそうなリチャードが、大熱唱。意外に良い曲。高い所が苦手。
「チューダーのプロパガンダのせいだ!ぼくは妻を殺してないし、理想的な夫だった!ぼくってナイスガイなんだよ!」
 壁には「フェアじゃない!」と看板を掲げ、ところどころで、アピールポイントを書いたカードをめくってゆく。そう、これは有名なボブ・ディランの "Subterranean homesick blues" のパロディだ。



 このディラン様の映像は、影響力抜群で、さまざまなコピー,カバー,パロディ作品が作られている。かつて存在した、[PS] という女性ファッション雑誌のCMでも同じようなことをしていたことがある。
 だれもがやってみたくなるディランのまね。リチャード3世も、おおいにアピールして欲しいところだ。
 こちらは、アル・ヤンコビックの "Bob"。映像的には、背後の詩人も含め、ほぼ完全コピー。日本がお好きなのだろうか?