Sister Hazel2011/01/13 23:17

 インターネットを利用するようになって初めて、私以外のTP&HBファンの実物に出会う事になった。ありがたい限りである。
 その一方で、未だに「シスター・ヘイゼルのファン」という人には出会ったことがない。無論、ネット検索すれば話題はヒットするが、「シスター・ヘイぜル・ファンのコミュニティ!」というのも知らないし、その名前を言いだした人も記憶にない。ともあれ、私はシスター・ヘイゼルが好きだ。

 シスター・ヘイゼルを知ったきっかけと言うのが、実にしょうもない。ずいぶん前のはなしだが、何の気なしにインターネットの検索エンジンで、「トム・ペティ ゲインズビル」という言葉を検索した。ゲインズビルは、無論フロリダにあるTP&HBの出身地である。この検索で引っかかったのが、シスター・ヘイゼルである。その記事によると、"Your Mistake" という曲が良いとのこと。さっそくYouTubeで確認してみた。



 いわゆる、ドストライク!…というやつだ。
 曲が良い。美しいコーラス、何気ないヴァース、盛り上がりが上手いサビ、甘めのブリッジ、そしてイカしたソロ・ブレイク!基本的にはロックにストリングスを合わせるのは好きではないのだが、この曲は素晴らしい。プロデューサーのお手柄だろうか。
 一瞬にして惚れこんでしまった私は、すぐさまこの曲の収録アルバム,"Chasing the Daylight" を購入。これまた名曲揃いで、たちまちヘビーローテーションとなった。



 シスター・ヘイゼルは、ゲインズビル出身で、1993年にフロリダ大学の学生だったケン(中央・ギター&ボーカル)と、仲間のドリュー(左端・ギター&ボーカル)、ジェフ(ケンとドリューの間・ベース・ボーカル)らが結成したバンド。のちに、ドラマーのマーク(右から二人目・ドラムス)と、ライアン(右端・ギター&ボーカル)が加わり、それ以来メンバーは変わっていない。基本的に、バンドメンバーの仲は良さそう。
 出身といい、結成人員といい、じつにTP&HBとよく似ている。しかも、同郷のよしみなのか、スタン・リンチがこのバンドと懇意にしており、彼が曲作りやプロデューシングに手を貸していることもある。
 写真を見れば分かる通り、見た目がまずい。…というより、見た目でのアピールはほぼ放棄している。メイン・ボーカルのケンなど、衣装ケースにはTシャツとデニムしか入っていない。しかもそのTシャツに、やたらと変な日本語が書いてある。「一番」とか、「東京五番」とか。かろうじて、バンドの末っ子でスライドギターが得意なライアンが、金長髪のカワイコちゃんだったのだが、最近は周囲に同化してしまっている。

 洋楽に詳しい人にシスター・ヘイゼルの話題を向けると、たいていは「"All for You" のバンドでしょ?」と言う。そう、この曲はヘイゼルの曲で大ヒットを記録したおそらく唯一の曲なのだ。15年ほど前の曲なのだが…



  この曲で一発大ヒットを記録して、直後のアルバムもプラチナ・レコードになっている。おかげでメジャーなレーベルとも契約できたのだが、その後またすぐにインディーズ入りしたり、相変わらず容姿にはかまわず、派手なプロモーションもしない。基本的に中規模のライブ活動が好きらしい。

 このバンドの音楽の何が好きなのかを簡単に言えば、シンプルで構造のしっかりしたロックンロールだからだろう。
 一番良いと思うのは、非常にリズムギターを大事にしているところ。これはTP&HBとも共通するところだ。ケンはいつもアコースティック・ギターでのストロークをしっかり弾くし、ドリューも主にホローボディのエレキでリズムを刻み、時々オカズを入れる。この基本構造の確かさに加わるのが、出すぎず、歌うように奏でるライアンのギターソロ。これまた、マイク・キャンベルと共通する。とどめは、最大4人の鉄壁コーラス。
 かなり精密なプロデューシングで音づくりをしているが、間の取り方や、合いの手の入れ方に、「引き算の音楽」という上手さがあって、ここも絶妙だ。ちなみに、ロック史においてもっとも「引き算の音楽」がうまかったのは、ビートルズだったろう。特に、ポールが上手い。
 さらに、作曲能力もかなりのものだと思う。どれもこれも良い曲…とまでは行かないが、世代的にはメリハリのある旋律づくりが苦手なグランジと重なるが、ヘイゼルは実にメロディアスな曲を作る。最近は、バンドメンバーそれぞれが曲を持ち寄るそうだ。
 要するに音楽的には、まるっきりクラシカルなバンドで、言うなれば目新しいものは何もない。だからこそ、私のようにクラシカルな、もしくは「アメリカン・ルーツ」と称されるロックが好きな者には、響くのだ。

 こんなに書くと、どうしてヘイゼルがそれほどメジャーじゃないのかと不思議なのだが。やはりルックスが駄目なんだろうなぁ…
 ヘイゼルを語り始めると、意外と長くなることが分かった。他にも書きたい事はあるが、またの機会に。

コメント

_ itsukaroute66 ― 2012/03/06 14:04

はじめまして! 今の季節の変わり目(やや春を感じるという)に、何か新しいものが聴きたいと…それも、ややロック、でも明るく、ややパンチ、でもあくまでも平和…とかさがしているうちに、Sister Hazel に突き当たりました。こちらのブログも拝見して、さがしているものはこれだ!みたいな予感もしました。正解でした。大好きかもしれません! アルバムあれこれ大人買いしてしまいました(^_^;) おかげさまでしばらくはヘビーローテーションで楽しく過ごせそうです。ありがとうございます!!

_ NI ぶち ― 2012/03/07 22:53

>itsukaroute66さん
 初めまして♪コメントありがとうございます!
 わぁお、Sister Hazelがヒットしましたか!良かった!大きめのCDショップに行っても、1枚も置いていないんですよね。あんなにドストレート・ロックなのに。お仲間ができて嬉しいです。
 どんどん大人買いしてください!ほとんどのアルバムが、お勧めできるクォリティだと思います。[Chasing daylight] のサポートツアー・コンサートの様子を収めたDVDもお勧めですよ♪コンサートそのものもさることながら、ツアーの舞台裏をとらえた特典映像も豊富です。(いや、べつに、やたらと人の後ろで無防備に脱いでいるライアンがどうとか、こうとかじゃ…なくて…)
 こちらこそ、へイゼル購入、ありがとうございます!(なぜかお礼)

_ itsukaroute66 ― 2012/03/08 01:07

確かに、どのアルバムもがっかりさせませんね! 決して一本調子なわけではなくて、かなりバリエーションの幅は広いのに、一貫されたイメージがあって…難しいこと言えないんですが、声のトーンといい、多すぎない音といい、常にどこか平和な感じをたもっているところ…かなり理想的です。耳障りなところが全くないのがすごい!

_ NI ぶち ― 2012/03/08 23:21

>itsukaroute66さん
たしかに、どのアルバムもしっかり「ロック」なのに、どこかが必ず優しくて、切ない感じが良いですね♪あの地味なルックスも、そういう音楽には合っているのかも?
ああ、ルックスと言えば、こちらの記事もチェックしてくださいませ!
http://echo.asablo.jp/blog/2011/02/05/5664909

_ itsukaroute66 ― 2012/03/09 17:06

おもしろすぎますね…(^_^;) この人たちのうまさは不思議ですね。ルックスからは全く感じさせないですが、緻密とかデリカシーとか正確とかっていう言葉が当てはまらない感じなのに、実はすごくうまいじゃないですか。”ちょうどいい”っていう感じでしょうか…それってすごいことなのかもしれない。たびたびつまらないこと言ってお邪魔してすみません。

_ NI ぶち ― 2012/03/10 23:27

>itsukaroute66さん
 確かに、へイゼルのルックスは完全に一般ピープルのそれですよね。オーラ無し。でも上手い。曲作りも、聴かせ方も上手い。ついでにライブも上手い。こういうのって、実力派って言うんでしょうね♪

_ gaja-g ― 2012/03/27 19:19

sister hazelの大ファンです。
彼らはアメリカでは知らない人いない位の知名度がありますよ!2ndまではメジャーのフィールドで活動していたけど、自分たちで運営できるようになったのでいち早くドロップしたんだと思いますよ!「chashing daylight」はインディーズからビルボードのtop40に送りこんでいるくらいですから!彼らは家庭とか凄い大事にしているから、自分たちのペースでしっかりミュージックビジネスしてますよ!僕もバンドやってますが、彼らのスタイルは理想です!ファンとのBBQやロックボート等、夢のような企画を色々打ち出したり、web用のミュージックストアを運営してたり。本当に素晴らしいバンドです!
ライブのDVD/CDのセットがあって、アマゾンとかで買えると思うのでメチャおススメですよ!!
sister hazel好きな人を見つけてテンションあがりすぎました(笑)長々すいません・・・

_ NI ぶち ― 2012/03/28 21:57

>gaja-gさん
こんにちは!コメントありがとうございます!
わぁお、シスター・ヘイゼルのファンとは、テンション上がりますね~!お仲間が増えて嬉しいです♪
BBQパーティでのへイゼルときたら、まじで近所のお兄ちゃんみたいで、まさかあんな凄いロックバンドには見えません(逆に言うとオーラ皆無というか何というか…)
ロック・ボートも楽しそうですよね。一緒にプールで遊んでたり…。確かにサイトもすごく充実している♪
何と言っても、音楽がしっかりしていて、王道ロックで、楽曲が良い!こういうバンドがあるからには、アメリカン・ロックはまだまだイケるな!…と思うわけです。
また遊びにいらしてくださいね♪

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