スティーヴ・フェローン ドラム クリニック2008/09/15 22:50


 グレッチ Gretsch と言えば、ジョージやマイク・キャンベルが愛用するギターのメーカーというのが私の認識だったが、ドラム・メーカーとしても名をはせているそうだ。
 今年、グレッチの創業125周年を記念して、スティーヴ・フェローニを迎えて、ドラム・クリニックが開かれた。8月1日、整理券を取りに終業後に走った甲斐あって、渋谷エッグマンの一列目中央に陣取ることができた。

 スティーヴ・フェローニ。今回のクリニックでは「フェローン」という表記だが、トム・ペティが頻繁に名前を呼ぶので、「フェローニ」という発音が広まりつつもある。
 トムのソロ・アルバム [ Wildflowers ] からのつきあいでスタン・リンチ脱退後のTom Petty & the Heartbreakersのドラマーを務めている。いまやサポートというより、完全にバンドのメンバーだと、私は思っている。
 それ以前は、エリック・クラプトンのバンドに6年間居たので、1991年あのジョージ・ハリスン来日ツアーの時、ドラマーを務めていたのも彼だ。

 開演前にエッグマンの前で並んでいると、Tシャツにハーフパンツ,とてもラフな格好のスティーヴが出かけていく。手を振って「ようこそ!」と言うと、にこやかに手を振ってくれた。
 たぶん、ランチに行ったのだろう。

 開演の2時。まずは、グレッチの現社長が出てきて挨拶。グレッチ社の歴史などを紹介。そして、スティーヴ登場!目の前に、あのスティーヴ・フェローニが!今度はジャケット・スーツでおしゃれをしている。
 彼自身のソロ・アルバムからドラム・トラックを除いた音に、生ドラムを合わせる、迫力満点の演奏に加え、ドラミングに関する楽しいトーク。会場に集まったファンからの質問にも、たくさん答えてくれた。
 常に笑顔を絶やさず、ジョークを交えて楽しく話すステイィーヴ。挨拶をするのも、ドラム演奏を披露するのも、質問に答えるのも、歌ったり、踊ったり。とてもリラックスしていた。
 最前列で目を爛々とさせている私たちの反応にも、喜んで絡んでくれる。

 スティーヴの、良いドラマーの定義が印象的だった。
 「バンドのため、シンガーのため、そこにある音楽のため、すべてを捧げ、エゴを排して尽くすこと。」それが、スティーヴいわくの「禅ドラミング」とか。
 なんて大きい音楽家であることか!クリニックでも披露してくれたが、凄まじいまでのテクニックとパワーを持ちながら、バンドのために尽くすあの姿勢。しかもいつも明るく、元気で、人の心を和ませてくれる。
 トムはスティーヴを「バンドのエンジン」と言っているが、エンジンのみならず、彼はバンドの太陽なのかも知れない。
 「正確なテンポと、グルーヴとは、べつもの。まず、感じるんだ!」と、 フィーリングから [ You Wreck Me ] の録音に飛び込んだ様子を表現してくれた。あのマイクのギターリフや、歌を口ずさみ、スタジオのノリを再現する。私が大喜びしていると、「ああ、彼女わかっているね!」と言ってくれた。
 「まず感じる」とは言いつつ、やはり正確無比の刻みがあってのこと。音楽大学でメトロノームに合わせてひたすらリズムを刻んでいた話は、私たちにお勧めこそしないが、でも一流たるには必要なんだと、実感した。

 どんなプレイの時も、話の時も、とにかく明るく楽しく、和ませてくれるスティーヴ。
 日本のシャワー・トイレに驚愕し、もんじゃ焼きという日本の秘密を握り、エリック・クラプトンの下着を暴露する。
 あれほどの大スター,名ドラマーが、目の前で華厳の滝のように汗を垂らしながらドラミングを披露し、楽しく話してくれるのが信じられないが、そんな素晴らしい時はあっという間に過ぎ去る。
 スティーヴに憧れる多くの人々が集まったせいか、今回は握手やサインは無しだったが、それでも大満足のイベントだった。

 また、こんな素晴らしい企画があったら良いなと、心から願う。マイク・キャンベルであったら、失神しないように頑張らないと。ベンモントをヤマハがお迎えしようものなら、浜松だろうが何処だろうが、絶対に駆けつけるだろう。

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