ブリュートナー2008/07/17 23:55

 私は見てしまった。カワイのピアノに、赤いフェルトがあるのを。
 今日、あるところで見たカワイのアップライト・ピアノ。新しい楽器だ。ふたを開いてみると、例の場所に鮮やかな赤いフェルト。まず、アップライトにもこのフェルトがあるのを見てびっくり、さらに色でびっくり。
 どうやら、メーカーだけで分類できるものではないらしい。

 さて、本題。ブリュートナーのピアノ。
 Blüthnerは、Uウムラウトを見ればわかるとおり、ドイツのピアノブランドで、ライプツィヒが創業地だ。
 私との縁は薄い。
 社会人になってから、カワイのピアノ・ライセンス・グレードを取ったことがある。低いレベルのライセンスだったが、やはり試験なので仕上げのレッスンとして、先生の先生にあたる大学教授宅を訪問した。
 初対面で一度きりのレッスンを1時間程度の予定だったが、はじまってみると2時間ほど、それこそ「火を噴くような」としか形容のしようがない、すさまじいレッスンとなった。この時のピアノが、ブリュートナーだった。
 私にとって唯一のブリュートナー体験だが、いかんせんレッスンがこの有様だったので、音色がどうだかは、まったく覚えていない。
 ちなみに、私も高校生まではこの「火を噴くようなレッスン」が毎回のことだった。そうでもしなければ、私のようないいかげんなピアノ弾きが、学科は色々にしても、音大に入れるわけがない。

 多くの一流ピアニストに愛されたブリュートナーは、独自の技術や仕掛けにも熱心だった。
 ツェッペリン飛行船ヒンデンブルク号にグランド・ピアノが搭載されていたのは有名な話だが、このピアノはブリュートナーが特別、軽量に作ったものだった。ヒンデンブルク爆発を扱った映画「ヒンデンブルク」でも、ショパンのノクターンOp.9-2をを弾くシーンがある。

 意外なところに登場したブリュートナーは、ポール・マッカートニーが弾いてた。



 映画「LET IT BE」のワン・シーン。The long and winding road を演奏するポールが弾いているのは、ブリュートナーだ。側面にデカデカとブランド名が書いてあるのは、あまり格好良くないが、宣伝効果は絶大だろう。同じ映画のLet It Be のシーンも、同じ楽器。
 最初に撮影が始ったトゥイッケナム・スタジオにしろ、アップル・スタジオにしろ、ピアノは持ち込んだのだろう。動かすたびに調律が必要なので、面倒な話だ。やはりアビー・ロードの方が居心地が良かっただろう。
 アビー・ロードにはスタインウェイがあると聞いたことがある。もともとクラシック向けのスタジオなので、複数のブランドがおいてありそうだ。
 肝心のブリュートナーの音だが。映画「LET IT BE」の音を聞く限り、特にどうという音でもない。要するに「ピアノの音」だ。ただ、鍵盤のたたき方が浅い感じはする ― その程度の感想どまり。

 それにしても。この時期のポールは格好良い。
 私服になってからの(?)ビートルズにおいて、どうもポールだけは髪型も服装も常に中途半端なのだが、LET IT BEの頃の髭と黒いスーツはものすごく格好良いと思う。
 ただ、あの長いカメラ目線さえやめてくれれば良いのだが…

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