ロナルド・ウッドのこと(*)2008/07/23 23:05

 私は最初に、彼の名前を「ロン Ron」で覚えた。しかし、「ロニー Ronnie」と呼称されている方が多いかも知れない。
 1947年生まれ。ジェフ・リンと同年で、トムさん・マイクとは三つしか違わない。しかし私の分類では、60年代ロック・レジェンドに属する。地元限定とはいえ、商業ベースに乗ったザ・バーズ(The Birds。The Byrdsではない)でデビューした時、17歳だったのだから、早熟の人としてはエリック・クラプトン,スティーヴ・ウィンウッド並みだろう。
 その後、ジェフ・ベック・グループ,フェイセズ(+ロッド・スチュワート・ソロのパートナー)を経て、ザ・ローリング・ストーンズに至る。ソロ・アルバムでも優れた業績を残している。
 ジョージと同じく、濃厚な友人関係を長く保ち、バンドの枠を越えて交流する辺りも、ロンを語る上で欠かせない。もっとも、60年代ロッカー達には多かれ少なかれ、その傾向があり、ロック黄金期が持つ強い「仲間意識」がここに表れている。
 ともあれ、ロンのソロ・アルバム I've Got My Own Album To Do(1974)につけられた、「俺と仲間」という邦題は秀逸だ。


1996年プリンス・トラスト ボブ・ディランとロン

 彼のプレイ,作品,映像などについて語りたいこともあるが、長くなるので別の機会に譲る。ここでは、最近ニュースに登場したロンの話。
 7月20日配信,BRKS情報を要約すると、最近「20歳のロシア人女性と一緒に、アイルランドで過ごしている」と、タブロイド誌に書き立てられたロン。奥さんも激怒しているようだが、彼のアルコール依存症克服が先決とのこと。ロンはロンドンに戻り、リハビリ施設に入ったそうだ。

 いまさら、20歳の彼女がどうでも、驚きはしない。アルコール依存症の方が心配だ。
 飲んだくれてないロンが、果たしてロンなのかどうかは別として、せっかくここまで来たのだからストーンズにしろ、ロン個人にしろ、長く頑張っていただきたい。既にリハビリ施設入所も数回目。また元気な姿を見せて欲しい。

 ロンのニュースを確認したら、過去のニュースも目に付いた。2006年暮れの「ロッド(・スチュワート)は地に足が着いていない」が面白い。
 ロン曰く、「ここんとこずっと、ロッドはハリウッドかぶれしてるだろ。注目の的になろうと、まわりはホモでかためてる。世俗的じゃなくなったのさ。本当はまだそういう部分を持ってるのを、俺は知ってるけどさ。」

 いくらか翻訳に問題があるかも知れない。「世俗的じゃなくなった」とは、どういう意味だろう。ともあれ、ロンの言いたい事は分かる。
 60年代末から70年代にかけて、ロッドとロンのコンビは最高だった。ミックとキース,もしくはトムとマイクのような長いパートナーシップにならなかった事が、双方にとって幸か不幸かは分からない。それでも、ロンは最後に「俺は知ってるけどさ。」と付け加える、優しさを持っている。

 それにしても。「転がる石」の人が、「ロッドは地に足が着いていない」とは。こはいかに?(**)

*司馬遼太郎の「坂の上の雲」の章、「権兵衛のこと」から拝借。
**今昔物語集 第28巻 第16話 「阿蘇の史、盗人に値ひて謀り遁れたる語」:夜、盗賊が貴族の牛車を襲い、中を見てみるとなぜか牛車の主は裸で座っている。驚いた盗賊が言った。「此は何かに」(こりゃ一体、どうしたんだ?) 私が好きな言葉で、よく使う。英訳した人がいて、‘What has happened with you, bastard?’になっていた。名訳。