Isn't It a Pity / Tom Petty & The Heartbreakers 2002 ― 2019/11/15 23:06
2002年10月15日から、トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズは新譜 [The Last DJ] のサポートツアーを開始した。全米を巡る、12月14日までのツアーだ。
新譜からの曲や、おなじみの名曲が取り混ぜられる中、11月21日テキサス州オースティンのライブにおいて、突如毛色の変わった曲が演奏された。
それが "Isn't It a Pity" である。言うまでもなく、前年に亡くなったジョージ・ハリスンの曲だ。
23日LAでのライブでも、同じく "Isn't It a Pity" が演奏されている。
そしてTP&HBは11月29日ロンドンのロイヤル・アルバート・ホールでの [Concert for George] に駆けつけ、"Taxman", "I Need You", "Handle with Care" の三曲を披露。
12月3日からまたフィラデルフィアから全米ツアーを再開したのだから、かなりの強行軍だった。
トムさん曰く、ロンドンへ向かう飛行機から虹が見えて、ジョージが迎えてくれたかのようだったとのこと。
"Isn't It a Pity" は12月3日にも演奏されたが、翌4日からは "I Need You" になった。それが11日のシカゴから "Handle with Care" になり、ツアー最後まで続いた。私は12月13日のニューヨークと、翌日のボストンでそれを見ている。
どうやら、TP&HBはツアー前半から、リハーサルでジョージの曲を練習していたようだ。無論、これは [Concert for George] のための準備であり、"Isn't It a Pity" もCFGで演奏される可能性があったのだと考えられる。
ジェネシス出版の豪華本 CFGの147ページには、8月28日時点での予定曲目とアーチスト印字されているのだが、その余白には書き殴りの文字で、
Michael Campbell Isn't it a pity ―― と記されている。
マイケル・キャンベルというのはもちろん、ハートブレイカーズのマイク・キャンベルで、彼が "Isn't It a Pity" のリードギターを弾くというアイディアもあったことを示唆していている。マイクの名前をわざわざ書いているのだから、TP&HBとしてではなく、ほかの誰かとのコラボレーションも検討されていたのだろう。
結局、本番ではクラプトンとビリー・プレストンが、この名曲を素晴らしく演奏することになった。
しかしTP&HBが演奏することもギリギリまで可能性としてはあったのだろう。だからこそ、彼らはUSツアーでもこの曲を観衆の前で披露したのだ。
この "Isn't It a Pity" という、深く、悲しく、長大で荘厳な名曲に、トムさんとマイクの二人が強くこだわったと想像される。ただ、彼らは直前までUSツアーに釘付けされていたため、クラプトンたちのリハーサルに加わることが出来ず、共演には至らなかったのではないだろうか。
ありがたいことに、オースティンでの演奏を、YouTubeで聴くことが出来る。
美しいギターのストロークにのって、不思議とジョージに似ているトムさんのしっとりしたヴォーカルが染みこむように響く。そしてまさにジョージ本人がいるかのようなマイクのスライドギター。ジョージと共演したこともあるマイク ―― そしてスティーヴにとっても、強い想いのあるこの曲が、どれほど切なく、感動的であるか ――
すでに、トムさんもジョージの世界の人になってしまっている。二度と聴けないこの取り合わせ、ぜひとも公式の音源にしてほしい。
新譜からの曲や、おなじみの名曲が取り混ぜられる中、11月21日テキサス州オースティンのライブにおいて、突如毛色の変わった曲が演奏された。
それが "Isn't It a Pity" である。言うまでもなく、前年に亡くなったジョージ・ハリスンの曲だ。
23日LAでのライブでも、同じく "Isn't It a Pity" が演奏されている。
そしてTP&HBは11月29日ロンドンのロイヤル・アルバート・ホールでの [Concert for George] に駆けつけ、"Taxman", "I Need You", "Handle with Care" の三曲を披露。
12月3日からまたフィラデルフィアから全米ツアーを再開したのだから、かなりの強行軍だった。
トムさん曰く、ロンドンへ向かう飛行機から虹が見えて、ジョージが迎えてくれたかのようだったとのこと。
"Isn't It a Pity" は12月3日にも演奏されたが、翌4日からは "I Need You" になった。それが11日のシカゴから "Handle with Care" になり、ツアー最後まで続いた。私は12月13日のニューヨークと、翌日のボストンでそれを見ている。
どうやら、TP&HBはツアー前半から、リハーサルでジョージの曲を練習していたようだ。無論、これは [Concert for George] のための準備であり、"Isn't It a Pity" もCFGで演奏される可能性があったのだと考えられる。
ジェネシス出版の豪華本 CFGの147ページには、8月28日時点での予定曲目とアーチスト印字されているのだが、その余白には書き殴りの文字で、
Michael Campbell Isn't it a pity ―― と記されている。
マイケル・キャンベルというのはもちろん、ハートブレイカーズのマイク・キャンベルで、彼が "Isn't It a Pity" のリードギターを弾くというアイディアもあったことを示唆していている。マイクの名前をわざわざ書いているのだから、TP&HBとしてではなく、ほかの誰かとのコラボレーションも検討されていたのだろう。
結局、本番ではクラプトンとビリー・プレストンが、この名曲を素晴らしく演奏することになった。
しかしTP&HBが演奏することもギリギリまで可能性としてはあったのだろう。だからこそ、彼らはUSツアーでもこの曲を観衆の前で披露したのだ。
この "Isn't It a Pity" という、深く、悲しく、長大で荘厳な名曲に、トムさんとマイクの二人が強くこだわったと想像される。ただ、彼らは直前までUSツアーに釘付けされていたため、クラプトンたちのリハーサルに加わることが出来ず、共演には至らなかったのではないだろうか。
ありがたいことに、オースティンでの演奏を、YouTubeで聴くことが出来る。
美しいギターのストロークにのって、不思議とジョージに似ているトムさんのしっとりしたヴォーカルが染みこむように響く。そしてまさにジョージ本人がいるかのようなマイクのスライドギター。ジョージと共演したこともあるマイク ―― そしてスティーヴにとっても、強い想いのあるこの曲が、どれほど切なく、感動的であるか ――
すでに、トムさんもジョージの世界の人になってしまっている。二度と聴けないこの取り合わせ、ぜひとも公式の音源にしてほしい。
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