Woman in Gold2016/07/22 20:15

 去年公開された映画「黄金のアデーレ 名画の帰還」([Woman in Gold])のDVDを購入した。一度見てみると良い映画だったので、5回も見てしまった。
 クリムトの有名な肖像画,通称「黄金のアデーレ」をめぐる実話を元にした映画で、主演はヘレン・ミレン。



 美術物,歴史物,法廷物,友情物として盛りだくさんで、面白い。ミレンの衣装も良いし、いろいろ美しいものも登場。
 要するにナチスに収奪された叔母の肖像画を、老婆になった姪,マリア・アルトマンが、若い弁護士とともに法廷闘争の末に取り戻す話。
 色々なところで見覚えのある俳優が出てくるのも面白かった。「刑事フォイル」や、「ダウントン・アビー」などが好きな人にとっては特に。F1映画 [Rush] でニキ・ラウダ役だった、ダニエル・ブリュールが出てきたのも嬉しかった。
 やや残念なのは、絵を手放すまいとするオーストリア側がちょっと印象悪く描かれているところ。マリアに協力してくれた人は、実際にはもっと居ただろうし、最終的にオーストリアは絵を返還する。その決断をもっと丁寧に描いても良かっただろう。

 さてこの映画、音楽的にも面白い。
 まずは、アルノルト・シェーンベルク。オーストリア出身のユダヤ人で、アメリカに亡命したこの有名な作曲家の存在は、非常に重要。登場人物の存在そのものに大きな影響を与えている人物であり、その代表曲「浄められた夜 Verklärte Nacht」も重要な場面で出てくる。
 演奏シーンは、ウィーンのコンツェルトハウス。オーケストラへの編曲もよく演奏されるが、映画ではオリジナルの弦楽六重奏が用いられた。



 登場人物の一人がバリトン歌手で、歌声を披露したのは、「ドン・ジョヴァンニ」の、セレナーデ "Deh, vieni, alla finestra"(窓辺においで)。
 映画ではピアノの伴奏で歌われていた。実際の舞台では、歌手がマンドリンの弾き真似をしながら歌う。ここでは、コンサート形式の演奏。本物のマンドリン奏者が隣りで実際に弾いてくれているのが嬉しい。



 主人公の名前が「マリア」なので、「メアリー」の曲も出てくる。
 "Mary Don't You Weep" は、ゴスペルや、アレサ・フランクリンのバージョンで有名だが、この映画では、ブルース・スプリングスティーンのバージョンを、デロン・ジョンソンが歌っている。この人が何者だか、まったく分からない。



 ウィーンに行ってみたくなるし、ニューヨークに「アデーレ」を見に行きたくもなる。英語の勉強にも良いのだが、英語の字幕が無いのが惜しい。

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