3cm×4cmの幸せ2009/03/14 23:59

 私がトム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズの存在を知ったのは、ジョージがきっかけで、もちろんザ・トラベリング・ウィルベリーズあってのことだった。
 最初に知識としてウィルベリーズの存在を知り、当時ほとんど洋楽だけだったMTVジャパンで、ウィルベリーズのビデオを発見できるまで、何十時間、何か月も粘った。そしてやっと"Handle With Care" のビデオを録画し、アルバム2枚を入手した。再販される前に市場に正規で出回っていた最後の盤に近かっただろう。
 しかし、当時はインターネットが発達する少し前で、それ以上にウィルベリーズに触れる機会はなかった。心底ウィルベリーズに惚れ込んだ私には、歯がゆい時代だった。
 特に、お気に入りの人となったトム・ペティに関しては、日本人のファンは自分一人きりに違いないと思いこむに難くない、情報飢餓状態だった。しかも、学生なので、CD1枚たりともた易くは入手できない。
 今では様々なメディアを通じて知り得る、ジョージとトムさんの友情で結ばれた楽しいエピソードの数々も、当時は知ることも叶わず、想像するしかなかった。

 そのころ、ビートルズのリバイバル・ブームが起こった。アンソロジー・プロジェクトが始まったのだ。
 そしてある日、私は書店でNewsweekの表紙に惹きつけられた。若きビートルズの四人の顔。私はなんとなくページをめくって、立ち読み…いや、英語は出来なかったので「立ち見」をした。
 その中に、ビートルズ時代と解散後の四人の事績をまとめた表があり、いくつか小さな写真があった。そして、私が目を見張ったことに、そこにはジョージと肩を組む金髪のお兄さん ― トム・ペティの写真があったのだ。

   

   せいぜい3cm×4cm程度の小さな写真だが、瞬時に購入するに十分な力を持っていた。それまで、ジョージとトムさんが同じ枠に収まっている画像は、CDジャケット程度しか見たことなかったのだから。
 この小さな小さな写真に、私は心ときめかせ、幸せな気持ちになった。きっと、この写真のトムさんとジョージと同じくらい、素敵な気分だったに違いない。

 この写真のキャプションには、ウィルベリーズ兄弟として、ジョージとトムさん、そしてディランの名前しか載っていない。スペースのせいだろう。日本の雑誌では、きっとこうはならなかっただろう。ジェフとロイにはちょっと気の毒だけど、特に当時の私には十分だったんだよね。

コメント

_ matilda ― 2009/03/19 15:36

そのNewsweekかは忘れましたが、インドで買った同誌のアンソロジー
プロジェクトの特集は場所が場所だけあったし、私も飢えすぎてて
(体重も50kg後半)慈雨の様に読みましたねえ。確かLynne様のことも
沢山書いてありましたな。今は情報過多で、なんか全てに情熱を失い
がちです。困ったことです。そんなことを思い出したり考えたりしました。

_ NI ぶち ― 2009/03/21 00:12

>matilda
慈雨がどうとか、Lynne様がこうよりも、matildaの体重が50KG台だったことに衝撃を受けております。しかも、印度!その雑誌は、ハレクリシュナの思し召しで、もたらされたのでしょう…

_ mailda ― 2009/03/21 17:22

赤痢とA型肝炎で随分痩せたものです。あの当時、金銭はみなCDに
化けていたので常時欠食児童だった私は60kg少々だったんですよ。
多分Toshiさん他のTeamHBの関取衆も若い頃は同じでしょう(笑)

普通にNewsweekですよ。1995年、あのプロジェクトが動き出した時。
Lynne様のソロが不発で停滞してた時です。
バックナンバーが欲しいなあ…ってちゃんと検索したら、まさに貴女の
あげているそれだ!こんな表紙だったっけ!!Sgt. Peppersっぽいカラフル
だった様な記憶だったのに…。嗚呼、15年。今度、会ったら読ませてね。

_ NI ぶち ― 2009/03/22 23:04

>matilda
読み返しましたけど、ジェフりんはチョコっとしか出てきませんでしたよ。 Free as a birdのセッションに関して、「おしゃべりがあまりにも楽しくて、録音にかかりたくないほどだったのは、あのセッションだけだ」ってコメントだけ。
 たぶん、異国の欠食児童が死にかけて、弱っているところだったので、たった一つのLynneという文字さえも数倍の質量に見えたのでしょう。砂漠ではどんな水でも美味しいってやつ。

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