"Complete" Mike Campbell's Firebird2022/04/01 00:00

 ギブスンが、マイク・キャンベルがハートブレイカーズ初期に使っていた赤いファイヤーバードのシグネチャーモデルを発売する。
 注目は、その完成度だ。マイクからしっかり情報を取って年次、色、ディテールにこだわって再現する。
 さらに凄いのは、このギターのたどった運命を忠実に再現するところだ。
 実はこのマイクにとって最初のファイヤーバードは、ちょっと置いておいた隙にトムさんがうっかり上に座ってしまい、ネックが折れ、だめになってしまったのだ。

 そのエピソードを語るマイクの動画がこちら。4分45秒から、トムさんに破壊されたこのファイヤーバードの話になる。



 つまり、完全復刻したファイヤーバードをソファにおいて、人が上から乗ってネックを折るところまで再現して、発売するのだ。
 残念ながらトムさんに座ってもらうことは出来ない。最初のアイディアでは限定10本程度、マイクに座って破壊してもらう予定だったが、マイクがどうしてもそれは勘弁して欲しいと言ったそうだ。
 そのようなわけで、ギブスンに出入りしてる業者さんに、適当に座ってもらって再現するらしい。そりゃギターの職人さんもイヤだよね。

 "Complete" Mike Campbell's Firbird は、50本限定で5,000ドル。いま円安だから、ちょっときついなぁ…

Hard Times Come Again No More2022/04/05 19:45

 "Hard Times" と言う曲は、すっかりボブ・ディランのオリジナル曲だと思い込んでいた。実際は、スティーヴン・フォスターが1854年に発表した曲で、当時からそれなりに売れたらしい。正式には "Hard Times Come Again No More"という。
 この曲のことを確認するに至るきっかけは、ラジオでこのバージョンを聞いたからだ。



 美しいハーモニーが印象的。
 "Hard Times" の A メロは同じくフォスターの "My Old Kentucky Home" と非常に似ているが、サビは大きく異なる。かつ、この曲最大の特徴となっているのが、サビの "the sigh of the weary" ―― 半音進行するするところだ。原調は G-dur だが、一瞬 D-durに転調して、Cisを聴かせるのだ。
 YouTube で色々な演奏を見たのだが、中にはハイランド・バグパイプで演奏している物があったが、この楽器だとこの一瞬の転調を特徴付ける半音進行ができなくて、ちょっと消化不良になる。

 ボブ・ディランは 1992年の [Good as I Been to You] で歌っている。この録音ではちゃんと半音進行している。
 しかし、ライブとなると、そこは「さすが」というかなんというか、ボブ・ディラン。ちゃんと半音進行するのが照れくさいのか、ちょっとごまかし、しまいにはメロディラインを上げてしまう。
 格好良い。この時期のディランのライブ・パフォーマンスが大好きだ。

Willie Mays2022/04/10 20:02

 フィギュアスケート・シーズンの終盤に F1 が始まったものの、私のセバスチャンが欠場で物足りない想いもあったが、今週末のオーストラリアから復帰した。マシンに慣れないという低次元でもう散々な結果ではあったが、彼が帰ってきたことをみんなが歓迎し、良くも悪くも目立ち、大好きな二輪を乗り回し、ああ、セブが帰ってきたなぁと思う。
 私が好きなドライバーで言うと、ボッタスはアルファ・ロメオでも強さをそれなりに発揮し、ノリスとリカルドのマクラーレンは苦労し、ハミルトンのマシンは盛大に "porpoising" をおこし、セバスチャンは超出遅れる。
 でもまぁ、いいや。私は今シーズン、フェルスタッペンがチャンピオンにさえならなけりゃなんでもいい。(そこまでフェルスタッペンが嫌いなのかというと…嫌いというか、好きになれないのだ。)フェラーリが復活してルクレールなり、なんなんりチャンピオンになれば盛り上がるだろう。

 そして野球も始まる。野球が始まると困るのが、ダラダラとテレビで野球を見てしまうことだ。しかも、今日のような大記録に限って見ていないときている。(だってF1の決勝だったんだもん…)困った物だ。
 そういえば最近、仕事中にボブ・ディランの "Theme Time Radio Hour" を再聴している。バラカンさんの解説付き。第1シーズンの序盤で、「野球」がテーマになる。ディラン様があれでけっこう、野球好きなのは有名だ。息子だか、孫だか、だれかの野球の試合を熱心に見に行っていた。
 それでバラカンさんは解説の最後に、そのときのテーマに合う、ディラン自身の曲を一曲流すのだが、野球の時は選曲に困ったという。さすがに野球がテーマの曲というのもはない。
 ただ、歌詞に "Willie Mays" が登場する、"I Shall Be Free" を見つけ出して、流してくれた。



 ウィリー・メイズは1950年代から60年代にかけてジャイアンツなどで活躍した名プレイヤーだ。打率、本塁打、盗塁に優れた日本の最近の選手で言えば、「トリプル3」を達成したホークスの柳田や、スワローズの山田のようなタイプだろうか。
 実は彼を最も有名にしたのは守備の方で、1954年のワールドシリーズで大飛球を捕球したことで、相手チームの勝ち越しを阻み、このプレイが "The Catch" として伝説化しているのだ。確かにまっしぐらに走っており、完全にボールが落ちる場所を把握していた名プレーだ。日本の高校野球にも「奇跡のバックホーム」というのがあるが、その手の印象的な守備だろう。
 このプレーでジャイアンツはピンチを脱し、この年のワールドチャンピオンに輝いている。
 こういうのがあるから、野球ファンってのもやめられないんだ…

Jim Horn2022/04/15 20:13

 偶然、80年代に作られたジム・ホーンの紹介動画を見た。
 いかにも80年代風で緩い感じだが、出てくる面々は豪華。ありがたくも日本語の字幕が付いており、ウィルベリーズの表記が定まっていない頃のようだ。



 ジム・ホーンという人は、名前からして管楽器を吹くべく地上に使わされたに違いない。ジョージのキャリアには欠かせない人で、その存在感たっぷりの姿、演奏が印象的だ。
 ビートルズの全員とソロワーク期に仕事をしたと言うことになっているが、ジョンはハリー・ニルソンのアルバムを一緒に作っていたときの話だそうだ。
 「こんにちは、ジョージ・ハリスンです」って固く言うジョージがチャーミング。「これでいいの?」と、おちゃらけるところも含めて最高。同じ事がリンゴにも言えるのが、さすが魂の兄弟。
 ジェフ・リンも登場するが、これってフライヤー・パークのお庭なのでは?

 ジム・ホーンの良い仕事というのは無数にあるが、あえて一つあげるなら、[Concert for George] での "Wah Wah"。そもそも何十人もステージ上にいてもの凄い音量をぶちまけるとんでもない演奏なのがだ、中でもジム・ホーンとトム・スコットのサックス隊が全体をキリっと締めている感じで素晴らしい。
 ここでは音だけだが、これはぜひとも動画で見て欲しい。全てのロック・ファンはこのコンサートの映像を見なければならない。

Best Boxed Or Special Limited Edition Package2022/04/19 20:03

 ジョージ関連のニュースで知ったのだが、今年のグラミー賞で、ジョージの [All Things Must Pass: 50th Anniversary Edition] が、 Best Boxed Or Special Limited Edition Package (最優秀ボックス,スペシャル,限定版パッケージ)を受賞したそうだ。そんな部門があるとは、知らなかった。
 [ATMP 50th] のボックスが受賞したと言うことは、あの一番高い通称「木箱」が受賞したのだろう。さすがの私も、金額よりもスペースがネックで買わなかった。あの本秀康さんですら買わなかった…と思う。
 なんかご立派な賞なんて獲得しちゃうと、いまさら欲しくなった。しかし、そもそもとんでもない価格だったが、今やさらにとんでもないことになっているだろう。



 これまで、どんなアイテムが受賞したのかと思って見ると、ウッドストックの記念箱とか、アル・ヤンコビックのアコーディオン型全集箱、ポールのウィングス・USツアーの箱なんて物もあった。

 そんな中で、去年受賞したウィルコのボックス [Ode to Joy] がなかなか凄かった。

WilcoOdeToJoy from Lawrence Azerrad on Vimeo.



 こういう紙モノ、印刷物、デザイン系が好きな人などにはすごく受けるだろう。
 この曲もなかなか良い。思えばウィルコというバンドは、名前は聞いたことがあるけれど音楽は知らなかった。ちょっと気になるバンドの発見になった。

Commercials2022/04/24 19:41

 あの、ザ・ローリング・ストーンズがケロッグのライス・シリアルのコマーシャル・ソングを歌っていたという話は、ずいぶん前に聞いたことがあるはずだが、このブログの記事にしたかどうかは覚えていない。10年以上やっていると、けっこう忘れるのだ…



   当時としてはかなりイケてる CM だったのではないだうか。

 CM には、商品をのものを連呼して買ってもらうのもや、なんとなく雰囲気でブランドイメージを売り込むものもある。
 こちらは、我らが Bose の、ルイス・ハミルトンを使った CM。ルイスとお友達のピザ・パーティの雰囲気だけで、Bose の製品そのものは出てこない。



 ちなみに、 Bose は既に今年の F1 とは提携していない。既にかなり元を取っただろう。
 ルイス、どうか腐らないで。レギュレーションの大きな変更があって、実質別の車になった以上、どこかのチームが悪い状況に陥るのは仕方が無い。ルイス自身も、それを知っているし、セバスチャンはさらにもっと身にしみて分かっている。そういう世界を生き抜いてきたのが、ライコネンやアロンソであり、ルイスやセバスチャンであってほしい。

 トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズは CM とは無縁かと思ったら、MTV のイベントの CM に使われていた。ハートブレイカーズ、オフィス・ワーカーになるの巻。



 例によって一番芸達者なのは、ハウイ。トムさんが電話に出たら、内容を理解する自信がない。でも、ビデオ会議はぜひともお願いしたい。

The Collection: Mike Campbell2022/04/29 23:04

 最近、マイク・キャンベル関連の情報が多くて、なかなか消化しきれていない。思えば、おもに60年代ロックを愛好し、トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズが若い方だという嗜好の私にとって、この現象は嬉しいことだ。

 ギブスンが制作している、ギタリストのコレクション紹介番組、"The Collection" に、マイク・キャンベル登場。しかも75分番組である。ああ、これトムさんと一緒にやって欲しかったなぁ。そうするとトムさんばかり喋ることになったかなぁ。
 このプログラムの良いところは、ギブスンだけではなく、フェンダーや、リッケンバッカー、グレッチなどほかのメーカーのギターもちゃんと取り上げるところだ。



 マイクご自慢の「上下に動くギターラック・マシン!」インタビュアーさんがちょっとひいているのが可笑しかった。そもそもカリフォルニアって地震があるだろうに。大丈夫なのだろうか。
 もはや、「鉄板ネタ」と化した「トムさん、最初のファイヤーバードの上にに座って破壊する事件」―― もちろん、ここでも登場する。
 この番組の良いところは、ギターをアップで写して、細部まで見せてくれる人だ。私にはよく分からないが、ギター・マニアにはたまらないと思う。そして、その細かさが、ギターのダメージや劣化なども伝えている。私はもっとピカピカなのかと思っていたが、かなり傷んでいるところも目立つ。マイクという人が、あまり物を小綺麗にしておかない人のような気もするが。この人の部屋は基本的にぐちゃぐちゃである。

 「ギブスン・ダブ」と言えば、白いハトの装飾が美しいギターだが、「ダブル・ダブ」という物は初めて見た。かなり豪華。
 ギタリストがやたらとギターを買いあさることについて、その妻をどう説得するのかという、面白い話題になった。マイクも苦笑気味ではあるが、「ギターを買えばマイクがハッピー」ということを、奥さんが理解してくれているとのこと。何よりである。
 それから、やたらと pawnshop が登場する。質屋のことだが、日本のそれより、古物商店的な、開かれたイメージだろうか。とにかく、マイク・キャンベルを捕獲するなら、彼のツアー先の pawnshop で張っていればいいだろう。pawnshop どころか、そこらのビデオ店でも SG を手に入れたりもする。

 プログラムの後半を見ると分かるのだが、ハートブレイカーズのサウンドを作りあげた初期のアルバムは、主にストラトキャスターと、テレキャスター、それからリッケンバッカーが活躍している。ギブスンのレス・ポール・スタンダードを、中心のサウンドに据えた [Mojo] はバンド末期の作品だ。
 特にマイクにとって最初のストラトキャスターには、ぐっとくる。これはトムさんと二人でつかっていたため、背面が二人分すり減っている。故人の体温に肉薄する感じで、それを抱えるマイクには、二人で歩んだ人生が投影されているようだった。

 意外なところでは、スーパーボウルの話。凄くプレッシャーを感じて緊張したとのことだった。トムさんがガチガチに緊張していたのは見れば分かるが、マイクは至極リラックスしていたような気がしたので、これは意外だったのだ。スーパーボウルでハートブレイカーズを初めて見た人の中に、マイクが一番格好良かったとコメントする人が何人もいた。

 ギター談義も面白いけど、「フィドル以外の弦楽器は何でも弾ける」とトムさんに言わしめたマイクである。ウクレレとか、なにか面白いものをあのカオスな家から発掘して、紹介してくれても嬉しい。