I Forgot More Than You'll Ever Know2016/01/19 22:12

 自分で注文したことをすっかり忘れていたCDが、先日届いた。TP&HB関係であることはおぼろげながら覚えていたのだが…
 これだった。



 1986年,ボブ・ディラン with トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズのライブ演奏を、ラジオで放送したもの。題して [Dylan & Petty Live n the Radio '86] 「デジタル・リマスター」されているとのこと。たしか、ビデオの [Hard to Handle] と同じライブではなかっただろうか。
 このラジオの音は、友人の好意で以前から持っていたのだが、ディスクで持つのは初めて。音もすこし良いし、嬉しい。まぁ、要するにブートなんだけど。

 ボブ・ディランに、ハートブレイカーズというゴージャスな取り合わせが、まず最高。そして所々で、無理矢理にでもデュエットするトムさんとディラン様がイカしていて、眩しい。音だけど眩しい。
 某所で、「コーラスに関しては素人同然」と言われて、私のツボにはまったお二人。ハモる気があるのやら、無いのやら。ディランさまはメインだから、もちろん我が道を突っ切り、トムさんも力業で被せてくる。
 この取り合わせはファーム・エイドで実現しており、それがきっかけになってツアーに出よう!ということになったのだから、ディラン様の気に召したらしい。バンドの良さは言うに及ばず。

 二人のデュエットに関して言えば、映像でも有名な"Like a Rolling Stone", "Knockin' on Heaven's Door"もしくは、"Blowin' in the Wind" が印象的だが、さらに私のお気に入りは、"I Forgot More Than You'll Ever Know"。
 もともとは、1950年代のカントリー楽曲だそうだ。ファーム・エイドの時も共演しており、画質は悪いが、そのときの映像もある。



 なんだかもぅ、ヤケクソ気味のデュエットに聞こえるのだが、ふたりらしくて、とても可愛い。ハウイがマンドリンを弾いているので、ステージとしては珍しくマイクがベース。トムさんとディラン様を見るマイクの目がハートだ。
 ベンモントはどこにいるのやら、まったく見えないが、かわりに、アンプの向こうに隠れている人がいる。案の定、バグズだった。

 ブートレグをお勧めするのもちょっとどうかとは思うが ―ともあれ、このCDはとてもお勧め。ディラン様とTP&HB両方のファンとしては必聴。
 互いが妥協して調和の取れた、でもつまらない物を作りあげるのではなく、素のままでがっちり組み合い、そのちょっといびつだけど、クールな音楽は、ウィルベリーズへと受け継がれていく。そんな過渡期の音楽としてもとても意義深い。