Lord Mayor2015/01/16 21:45

 前の記事で、ディック・ウィッティントンの話題を出したので、もう少し引っぱる。

 ディック・ウィッティントン少年は、田舎からロンドンに出てきて大店に奉公し始めた頃、あまりのキツさに、店を飛び出したことになっている。
 店を、シティを飛び出し、ロンドンを見下ろす丘の上に着いたとき、教会の鐘が鳴り響いた。この教会は、シティの古い教会,セント・メアリー・ボウ教会ということになっている。その鐘の音が、「戻れウィッティントン 一度、二度、三度もロンドン市長になる」と歌っていたのだという。
 そこで店に戻ったウィッティントン。その後、ネコでひと儲けする話へとつながる。

 ここで言う「ロンドン市長」とは、現在の名物男ボリス・ジョンソンが務めるそれではない。ジョンソンの方は、「大ロンドン市長 Mayor of London」。いわゆるロンドン塔や、バッキンガム宮殿、ナイツブリッジ、ハイドパークなど、私たちが思い浮かべる大ロンドンの長が「大ロンドン市長」であり、行政権限を実際に有している。
 一方、ウィッティントンがなったという「ロンドン市長 Lord Mayor of the City of London」は、金融街として有名なザ・シティの長と考えれば良い。シティはロンドンの起源というべき城壁内の一地域であり、大ロンドンの成立よりずっと前から街を形勢していた。13世紀には選挙で市長を選出しており、もちろんそれなりの権限を持っていた。
 シティは18世紀まで独自の権限を持つ地域だったが、19世紀末から20世紀には実権をなくしている。市長も名誉職のようなものになったが、今日でもシティはロンドンの中でも特別区であり、警察組織もスコットランド・ヤードとは別だ。
 ロンドン市長は選挙で選ばれ、任期は1年。「再選は認められない」とWikipediaにもあるが、これは連続2期以上は務められないという意味なのか、生涯に1度しかなれないという意味なのかは、よく分からない。ともあれ、長期にわたって一個人に権力が集中することを防止していることは間違いない。
 そのロンドン市長にウィッティントンは鐘の予言どおり、3度就任している。1397年と、1406年、そして1419年。リストを見渡すと、どうやら14世紀頃までは生涯に2回就任する人はけっこう居たようだ。しかし、ウィッティントンの3回というのはさすがに居ない。大物毛織物商だった彼が、いかに有力であり、有能だったということを、この回数が示している。


 さて、せっかく「市長」の話になったので、大ロンドン市長の方にも登場願う。
 そもそも、大ロンドンが行政区として正式に成立したのが1963年というから、まったく新しい話。ビートルズの方が古い。
 現職の大ロンドン市長は前述のボリス・ジョンソン。良くも悪くも話題の多い人物だ。要するに人気者なのだろう。
 彼に関する動画で面白かったのがこれ。
 ロンドン・オリンピックの宣伝のために妙なアトラクションで宙づりになったボリス。その間抜けな姿が、インターネット・ジョークの格好のネタになったのだ。

 

 個人的に好きなのは、ニューヨークの「空中ランチ」。

 市長ついでに、シンプルトン市長にもお出まし願う。



 XTCはアルバム一つとベスト版くらいしか持っていないが、この曲ひとつでその凄さが分かる。むしろ、この曲だけでも良いくらい。
 メンバーはアンディ以外は知らない。三人揃ったときの左のギター君が、ラットルズの人に見えなくもない。
 ミュージック・ビデオかずあれど、このビデオのヒロインはとびきり可愛くて好きだ。