Bob Dylan in Tokyo 2014 / 4月4日 ― 2014/04/07 19:55
2回目のディラン。Aブロックだが、400番台とぐっと後ろになる。背が低い私と同行のMさんは、無理に前には行かずに、立つのが比較的楽なバーの後ろに陣取る。もちろん、人の背中、肩、頭との視界をめぐる戦いとなる。
ディランはZeppというライブハウスを気に入っているようだが、見る方としてはやはり苦痛が多い。少なくとも椅子のある所が良い。東京国際フォーラムでやっていたころが懐かしい。
今回のディランは、白っぽいスーツで登場。オフホワイトか、明るいベージュなのか。なんだか若々しい印象で素敵だ。
そして、前回は手に持っていただけだった帽子を被って登場。やはりディランと帽子は最高の取り合わせだ。
同行のMさんと、セットリストの話になった。
今回のセットリスト、19曲ほどの中で、いわゆる「往年のお馴染み曲」は、"She belongs to me","Tangled up in blue", "Simple twist of fate" そして、アンコールの "All along watchtower", "Blowin' in the wind" と、5曲ほど。多くはない。
一方、最新アルバムである [Tempest] から6曲ほど、ほかも多くが21世紀のアルバムであったり、ブートレグシリーズにのみ収録の曲だったりする。正直、親しみやすいセットリストとは言えない。
本当のディラン・ファンなら、どんなセットリストでも良さを感じるし、今のディランが選ぶ曲を尊重して、これがベストなのだと思うのだろう。
一方で、私などはミーハーなロックンロールファンなので、もちろん "Like a rolling stone" は聴きたいし、ライブアルバム [Before the flood] や [Hard Rain] で熱唱しているようなおなじみの曲も聴きたい。ザ・バーズのカバーで有名な曲や、60年代、70年代の綺羅星のごとき名曲の数々のライブパフォーマンスも聴きたい。
ディランの今を理解しない、ミーハーファンと謗られるかもしれないが、これは正直な気持ちだ。
私が、去年11月にロンドンのロイヤル・アルバート・ホールで、今回とほぼ同じセットリストで2回満喫したことも、影響しているかもしれない。
ロンドンと言えば、47年ぶりのロイヤル・アルバート・ホールに詰めかけたUK人の多くは、あの60年代の伝説の再現を期待していたのではないかという気もする。それでも、ディランは今のディランであり続けた。
誰が ― つまり、ミーハーなファンだろうが、音楽関係者だろうが、とにかく誰がどう思おうと、どう期待しようと、彼らのジャンル分けと思い込みに押し込まれるのを拒否し続けてきたボブ・ディラン。
その強靭な精神力は、今のセットリストにも見て取れると思う。
ほぼ固定化したセットリストというのは、普通は往年のヒットパレードになる。しかし彼は最新アルバム中心のセットで突き進む。
多くの曲調はほぼ同じで、ジャズ的な調和のとれた作り。ロック・バンド的なエッジの強さはない。ディランが、今パフォーマンスしたいのは、こういう音楽なのだと、強く主張している。
最近ディランのファンになり、古いアルバムやライブを聞き、今回初めてライブを体験する人には、ちょっと気の毒のような気もするが、それがディランなのだ。ディランというのは、そういう意味で「強い」アーチストなのだということは、十分に分かるだろう。
むしろ、「往年のお馴染み曲」が5曲も入っているのは、ディランなりのサービスとも言えるかも知れない。ディランなら、全曲が21世紀の曲でも、驚かない。
Mさんと(ディランは厭うであろうが)、敢えて「今のディランは、どういうジャンルなのだろうか」という問いを考えてみた。
おそらく、ディランがラジオ番組 [Theme Time Radio Hour] で多く流したような、50年代から60年代初頭の古い音楽のような物なのだろう。そんな風に、ぼんやりと思った。
もっとも、私は [Tempest] も好きだ。"Duquesne Whistle" は素晴らしい名曲。ライブ・パフォーマンスは初日よりも、さらに良くなっていた。"Duquesne" を独特のしなやかさで歌う格好よさは、ロンドンの時に迫ってきている。
私は、4月8日が最後の参加日。楽しみだ。
ディランはZeppというライブハウスを気に入っているようだが、見る方としてはやはり苦痛が多い。少なくとも椅子のある所が良い。東京国際フォーラムでやっていたころが懐かしい。
今回のディランは、白っぽいスーツで登場。オフホワイトか、明るいベージュなのか。なんだか若々しい印象で素敵だ。
そして、前回は手に持っていただけだった帽子を被って登場。やはりディランと帽子は最高の取り合わせだ。
同行のMさんと、セットリストの話になった。
今回のセットリスト、19曲ほどの中で、いわゆる「往年のお馴染み曲」は、"She belongs to me","Tangled up in blue", "Simple twist of fate" そして、アンコールの "All along watchtower", "Blowin' in the wind" と、5曲ほど。多くはない。
一方、最新アルバムである [Tempest] から6曲ほど、ほかも多くが21世紀のアルバムであったり、ブートレグシリーズにのみ収録の曲だったりする。正直、親しみやすいセットリストとは言えない。
本当のディラン・ファンなら、どんなセットリストでも良さを感じるし、今のディランが選ぶ曲を尊重して、これがベストなのだと思うのだろう。
一方で、私などはミーハーなロックンロールファンなので、もちろん "Like a rolling stone" は聴きたいし、ライブアルバム [Before the flood] や [Hard Rain] で熱唱しているようなおなじみの曲も聴きたい。ザ・バーズのカバーで有名な曲や、60年代、70年代の綺羅星のごとき名曲の数々のライブパフォーマンスも聴きたい。
ディランの今を理解しない、ミーハーファンと謗られるかもしれないが、これは正直な気持ちだ。
私が、去年11月にロンドンのロイヤル・アルバート・ホールで、今回とほぼ同じセットリストで2回満喫したことも、影響しているかもしれない。
ロンドンと言えば、47年ぶりのロイヤル・アルバート・ホールに詰めかけたUK人の多くは、あの60年代の伝説の再現を期待していたのではないかという気もする。それでも、ディランは今のディランであり続けた。
誰が ― つまり、ミーハーなファンだろうが、音楽関係者だろうが、とにかく誰がどう思おうと、どう期待しようと、彼らのジャンル分けと思い込みに押し込まれるのを拒否し続けてきたボブ・ディラン。
その強靭な精神力は、今のセットリストにも見て取れると思う。
ほぼ固定化したセットリストというのは、普通は往年のヒットパレードになる。しかし彼は最新アルバム中心のセットで突き進む。
多くの曲調はほぼ同じで、ジャズ的な調和のとれた作り。ロック・バンド的なエッジの強さはない。ディランが、今パフォーマンスしたいのは、こういう音楽なのだと、強く主張している。
最近ディランのファンになり、古いアルバムやライブを聞き、今回初めてライブを体験する人には、ちょっと気の毒のような気もするが、それがディランなのだ。ディランというのは、そういう意味で「強い」アーチストなのだということは、十分に分かるだろう。
むしろ、「往年のお馴染み曲」が5曲も入っているのは、ディランなりのサービスとも言えるかも知れない。ディランなら、全曲が21世紀の曲でも、驚かない。
Mさんと(ディランは厭うであろうが)、敢えて「今のディランは、どういうジャンルなのだろうか」という問いを考えてみた。
おそらく、ディランがラジオ番組 [Theme Time Radio Hour] で多く流したような、50年代から60年代初頭の古い音楽のような物なのだろう。そんな風に、ぼんやりと思った。
もっとも、私は [Tempest] も好きだ。"Duquesne Whistle" は素晴らしい名曲。ライブ・パフォーマンスは初日よりも、さらに良くなっていた。"Duquesne" を独特のしなやかさで歌う格好よさは、ロンドンの時に迫ってきている。
私は、4月8日が最後の参加日。楽しみだ。
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