Olympic / Hey Jude ― 2012/07/30 20:28
いよいよ、オリンピック開幕。
実のところ、私が先月ロンドンに行った印象では、思ったほど「オリンピック一色!」…ではなかった。オリンピック・パークの方へは行かなかったせいもあるかも知ればないが、やはり英国人は "Don't Panic."…なのだと思う。
開会式は、DVDに完全録画して、完全観賞した。いつ、何が出てくるか分からないので、用心しなければ。
日本のテレビでは見られなかったが、BBCでは開会式の中継直前に、ベネディクト・カンバーバッチを使った3分ほどの映像を流していた。さすがBBC、何を求められているか、分かっていらっしゃる…
冒頭から、テムズ川が田舎からロンドンへ流れ込む様子が出てきたが、一瞬、「たのしい川べ The wind in the willows" のキャラ、トード,ラッティー,モールが登場したのは見逃さない。大好きなのだ…モールのあの健気さと、ラッティーの男前加減が。
俳優としては、ダニエル・クライグが派手な登場をしていたが、私としてはやはり「テンペスト」(キャリバン?未確認)の台詞を語った、ケネス・ブラナーがポイント高し。
全体的な感想として痛感したのは、かの国は本当にキャラとアイコンが豊富だということ。シェイクスピアにしろ、各種ファンタジーにしろ、音楽ヒーローにしろ…そして、いかにも「歴史上の項目」である、産業革命さえも、アイコンであり、それを表現したショーは凄くよかった。
近年のオリンピックの多くは、自然との融和とか、そういう優しい味付けのものが多いが、今回は火と鉄と、埃と煙、そういう猛々しくて、あまり美しくはない、でも私たちはそうやってできた世界に生きていることを、まざまざと表現してみせた。善し悪しではなく、監督がそう言ったように、「この国とは、この国の人々とは、なにものなのか」という現実認識であり、同時に現代社会に生きる、私たちが知るべき、認識でもあるはず。もちろん、かなり美化された表現だが、ショーとしては出色の出来だと思う。
コメディアンは、マイケル・ペイリン辺りの登場を期待していたが、ローワン・アトキンソンでも、もちろん大歓迎。あの「炎のランナー」の映像はよく出来ている。そうそう、おじいちゃんと孫が、犬を連れて見てるんだよね…。アトキンソンに美味しいところを持って行かれた、サイモン・ラトルだが、それなりに演技してくれたのが嬉しい。
指揮者と言えば、ダニエル・バレンボエムの登場にはちょっとびっくりした。なんだか少し居心地の悪そうな表情に見えなくもなかったが。
音楽ももちろん、色々面白かった。UK各地の古い歌が流れ ― 「ロンドンデリー・エア」は、「ダニー・ボーイ」の名の方がベターだが ― そしてやはり、ロック!クラシック界では残念ながら分の悪いUKだが、やはり20世紀となると、がぜん強い。
60年代パートは、ほぼどの曲かは分かるし,70年代も少しは。しかし80年代以降になると、私はお手上げ。
入場行進の間も、ELOなどなどが、じゃんじゃん流れており、このあたり、この国は楽だと思う。
そして大本命、ポール登場。まさか、「オリンピックのために書き下ろした、新曲!」…なんて、誰ものぞまないシロモノを出したりしないだろうな…という一抹の不安は幸運にもあたらず、"Hey Jude" を熱唱してくれた。
私は土曜日の内に、二人から「ジュードって何?」と訊かれた。"Hey Jude" のエピソードは、一般に広く知られた事かと思っていたので、ちょっと意外。ともあれ、ポールは貫禄十分だし、オーディエンスも楽しそうで、しかも非常に盛り上がっていた。
ほかでもない、十二歳だった私がロックにはまるきっかけを作ったのは、"Hey Jude" だ。こういう、辛いことは忘れて、楽しもう、盛り上がろうと思ったら、この上ない曲。人類は、その生活に音楽を持ち、歴史にロックを、ビートルズを持ち、そして"Hey Jude" を持った。これはとても幸運なことなのだろう。
ポールが "Hey Jude" を歌っている最近の映像として、今年の「ティーン・エイジ・キャンサー・トラスト」での映像があった。ロイヤル・アルバート・ホール。2階舞台上手側からのオーディエンスショットで、ポールの背中がずっと映っているが、これがなかなか良く撮れている。
何と言っても、観客の盛り上がりがダイレクトに伝わってきて、素晴らしい。オリンピック・スタジアムがどうだったのかは、テレビ中継では伝わりきれないが、さすがRAHは格別だ。
実のところ、私が先月ロンドンに行った印象では、思ったほど「オリンピック一色!」…ではなかった。オリンピック・パークの方へは行かなかったせいもあるかも知ればないが、やはり英国人は "Don't Panic."…なのだと思う。
開会式は、DVDに完全録画して、完全観賞した。いつ、何が出てくるか分からないので、用心しなければ。
日本のテレビでは見られなかったが、BBCでは開会式の中継直前に、ベネディクト・カンバーバッチを使った3分ほどの映像を流していた。さすがBBC、何を求められているか、分かっていらっしゃる…
冒頭から、テムズ川が田舎からロンドンへ流れ込む様子が出てきたが、一瞬、「たのしい川べ The wind in the willows" のキャラ、トード,ラッティー,モールが登場したのは見逃さない。大好きなのだ…モールのあの健気さと、ラッティーの男前加減が。
俳優としては、ダニエル・クライグが派手な登場をしていたが、私としてはやはり「テンペスト」(キャリバン?未確認)の台詞を語った、ケネス・ブラナーがポイント高し。
全体的な感想として痛感したのは、かの国は本当にキャラとアイコンが豊富だということ。シェイクスピアにしろ、各種ファンタジーにしろ、音楽ヒーローにしろ…そして、いかにも「歴史上の項目」である、産業革命さえも、アイコンであり、それを表現したショーは凄くよかった。
近年のオリンピックの多くは、自然との融和とか、そういう優しい味付けのものが多いが、今回は火と鉄と、埃と煙、そういう猛々しくて、あまり美しくはない、でも私たちはそうやってできた世界に生きていることを、まざまざと表現してみせた。善し悪しではなく、監督がそう言ったように、「この国とは、この国の人々とは、なにものなのか」という現実認識であり、同時に現代社会に生きる、私たちが知るべき、認識でもあるはず。もちろん、かなり美化された表現だが、ショーとしては出色の出来だと思う。
コメディアンは、マイケル・ペイリン辺りの登場を期待していたが、ローワン・アトキンソンでも、もちろん大歓迎。あの「炎のランナー」の映像はよく出来ている。そうそう、おじいちゃんと孫が、犬を連れて見てるんだよね…。アトキンソンに美味しいところを持って行かれた、サイモン・ラトルだが、それなりに演技してくれたのが嬉しい。
指揮者と言えば、ダニエル・バレンボエムの登場にはちょっとびっくりした。なんだか少し居心地の悪そうな表情に見えなくもなかったが。
音楽ももちろん、色々面白かった。UK各地の古い歌が流れ ― 「ロンドンデリー・エア」は、「ダニー・ボーイ」の名の方がベターだが ― そしてやはり、ロック!クラシック界では残念ながら分の悪いUKだが、やはり20世紀となると、がぜん強い。
60年代パートは、ほぼどの曲かは分かるし,70年代も少しは。しかし80年代以降になると、私はお手上げ。
入場行進の間も、ELOなどなどが、じゃんじゃん流れており、このあたり、この国は楽だと思う。
そして大本命、ポール登場。まさか、「オリンピックのために書き下ろした、新曲!」…なんて、誰ものぞまないシロモノを出したりしないだろうな…という一抹の不安は幸運にもあたらず、"Hey Jude" を熱唱してくれた。
私は土曜日の内に、二人から「ジュードって何?」と訊かれた。"Hey Jude" のエピソードは、一般に広く知られた事かと思っていたので、ちょっと意外。ともあれ、ポールは貫禄十分だし、オーディエンスも楽しそうで、しかも非常に盛り上がっていた。
ほかでもない、十二歳だった私がロックにはまるきっかけを作ったのは、"Hey Jude" だ。こういう、辛いことは忘れて、楽しもう、盛り上がろうと思ったら、この上ない曲。人類は、その生活に音楽を持ち、歴史にロックを、ビートルズを持ち、そして"Hey Jude" を持った。これはとても幸運なことなのだろう。
ポールが "Hey Jude" を歌っている最近の映像として、今年の「ティーン・エイジ・キャンサー・トラスト」での映像があった。ロイヤル・アルバート・ホール。2階舞台上手側からのオーディエンスショットで、ポールの背中がずっと映っているが、これがなかなか良く撮れている。
何と言っても、観客の盛り上がりがダイレクトに伝わってきて、素晴らしい。オリンピック・スタジアムがどうだったのかは、テレビ中継では伝わりきれないが、さすがRAHは格別だ。
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