MCG: Gretsch & George2012/07/12 22:37

 「マイク・キャンベルのギター大好き!」こと、[Mike Campbell: The Guitars] は、チャプター8。グレッチ特集。前回に続き、マイクのジョージ語りが炸裂する。

 まずは、しゃべり疲れたのか、顔をひっぱたいて気合いを入れ直すマイク。最近は、あまり強くパッティングしない方がお肌には良いってことになってるのですよ、マイク。

 マイクにとっても、チェット・アトキンスはヒーローだったようだ。ギターを習い始めた当初、コードだけ、もしくはリードメロディだけでは物足りず、ベースもコードもメロディも一度に奏でる超絶技巧を身につけたという話。
 この話は非常に単純なようで、音楽を学習するということのある重要な一点を語っていると思われる。つまり、どの程度まで技術を身につけようと志すかという問題だ。単にコードだけを弾く、単旋律のみを弾く、それでも演奏としてはご立派なものだが、そこから次元の異なる高等技術を自ら身につけようと前に進むか、否かだ。
 進まない人の多くは、「音楽のガクは『楽しむ』!だから苦しい思いをして難しいことをしなくても、音楽は楽しめば、十分なのだ」という、有名な言葉を用いる。しかし、この台詞をぐっと飲み込み、あえて苦しむ音楽を選び、前を進み得た人の演奏次元は、まったく違う…。こういうことは、無数の例があるだろう。
 とにかく、我らがマイク・キャンベルはたとえ苦しくても、その技術を身につける事の素晴らしさを分かっていた人で、本当に良かったと思う。そうでなければ、初対面のトムに、強引にバンド入りさせられることもなかっただろう。

 やや話題が脇に逸れた。
 マイクは続いて、大事なグレッチコレクションを見せてくれるが、やはり黒いグレッチが目につく。エド・サリバン・ショーでジョージが弾いていたものと同じで、楽器屋さんがマイクに言うには、「服だの、靴だのをカタにしてでも、入手するべし!」…という素敵なギター。
 久しぶりに、1964年のエド・サリバン・ショーを見てみると、なんとまぁ。可愛い坊やが四人もそろっている…!



 ポールの可愛さときたら、びっくりするくらいだ。可愛いのになぁ。この時は可愛いのに…(以下略)。ジョージも可愛いのだが、前髪を失敗している。どうしてそんな曲がり具合なのだろう?扁桃腺が腫れると、前髪が曲がるのだろうか?

 マイクが後年、ジョージに対して、いかにビートルズのグレッチ・サウンドが素晴らしかったかを語ったところ、ジョージは…
「あんなの、駄目だよ!フェンダーを持ってれば、もっと良かったのに!」

 出ました、ジョージのよく分からないひにくれコメント。絶対にそんな風には思っていないはずなのに(第一、ジョージこそ、チェット・アトキンスのファンではないか)、褒められると何故か否定する。
 クラプトンに言わせると、「良く分からないけど、魚座だからかな。」…そうなの?
 まぁ、要するに照れ隠しなのだろう。マイクが言うとlころの、「フェンダーの明るさと、ギブスンのヘヴィさの間にある音色」、それこそグレッチの魅力であったのと同じように。ジョージの人へのストレートな愛情と、内省的な自己への中間に、ひにくれた彼が存在していたのかも知れない。