The Congress Reel2012/04/19 22:27

 ガイ・リッチー監督,ロバート・ダウニー・ジュニアとジュード・ロウ主演の映画「シャーロック・ホームズ」のシリーズでは、いくらか音楽的なこだわりが見られる。
 中でも、アイルランド系の音楽の使い方が面白かった。
 そもそもロンドンが主な舞台である「ホームズ物」にアイルランド音楽がどう関係するのかと言うと、特になさそうだ。原作で音楽というと大抵クラシック。アイリッシュ・ミュージックは、監督の趣味なのだろう。無理にこじつけるとしたら、"Sherlock" という変わったファーストネームは、アイルランド系のファミリーネームから拝借しているという説がある(「ヴェニスの商人」のシャイロックから来ているという説もあるが…)。

 私が特に心惹かれたのは、リールのセット。明日結婚式というドクター・ワトスンのバチェラー・パーティで、ホームズが殺し屋と大乱闘を演じる時に流れる。
 リールというのは、四分の四拍子で、猛烈な速さのダンス・チューンである。私はアイリッシュ・ミュージックであるティン・ホイッスルを習っているが、セッションなどではいつもリールに挑戦することにしている。

 映画で使われのは、Poitin というバンドの演奏による、"The Congress Reel"。これはかなり格好良い。アイリッシュに特に興味が無い人でも、グっとくるのではないだろうか。



 もともと、映画のサウンドトラックとして録音されたものではないとのこと。
 "Poitin" というバンド名は「ポイティン」と読めるが、どうやら「ポイティーン」が近いらしい。アイルランド語で言う何らかのお酒の名称だとか、パブの名前からきているとか、詳しいことは良く分からない。
 とにかく、この演奏は格好良い。楽器編成は、おそらくティン・ホイッスルに、フィドル、バウロン(太鼓)、ギター、コンサーティーナ(アコーディオン)だと思われる。
 その猛烈な速さときたらべらぼうで、♩=240以上はある。1小節に1秒かからない。こうなると四拍子でリズムを取るのは無理で、だいたい二拍子で取っている。

 曲のタイトルは、"The Congress Reel" となっているが、どうやら前半の曲のタイトルがこれにあたるようだ。"The Congress Reel" の楽譜なら検索してすぐに見つかるのだが、後半の曲が分からない。調べてもよく分からず、面倒になったので、聴音した。
 この場合の「聴音」とは、自分の耳で音を取り、楽譜にすること。学生時代、この聴音の成績が最悪でかなり苦労したが、こういう単純な曲ならどうにかなる。
 そういう訳で、夏にかけてこの曲を猛烈な速さで吹けるように、練習することにした。


 もし、「その楽譜欲しい!」という方がいらしたら、当ブログの親サイトCool Dry Placeを参照して、私にメールを下さい。PDFファイルを差し上げます。
 ただし、この楽譜はあくまでも「メモ」です。アイリッシュ・ミュージックは基本的には譜面にはたよらず、覚えたうえで自由にバリエーションを加える物です。楽譜は最低限のメロディラインをメモったにすぎず、Poitinのように格好良く吹くには、装飾音などを格好良加える必要があります。
 それから、残念ながら私の手書きの楽譜です。楽譜ソフトは持っていないので。自分でやる方の音楽は、徹底的にアナログなのです。手書き譜に慣れていない人には、ちょっと読みにくいと思います。基本、悪筆な私にしては頑張って綺麗に書いたつもりですけどね。