Brownie2012/04/16 22:17

 お気づきの方も居るかと思うが、私は簡単な洋菓子を作るのが趣味だ。
 先日、知人に「ブラウニーは簡単に作れるか」と訊かれ、はたと考えた。ブラウニーの定義とは何だろう。漠然と、味の濃いチョコレートケーキだと思っていたのだが。
 そこでさっそくWikipediaを見てみると(悪い癖だ)、いきなり「ギターの名前」が出てきてしまった。
 Brownie - エリック・クラプトンが60年代末から70年代初頭にかけて愛用していた、1956年製のフェンダー・ストラトキャスターで、そのサンバースト・カラーから、「茶色」ということで、「ブラウニー」と呼ばれていたらしい。

 何度も言うようだが、私のクラプトン評は必ずしも高くない。特に20世紀末から21世紀に入ってからは底なしの下降線で、今もどん底にある(CFGのみが例外)。
 一方で、60年代の彼はロック黄金期に欠かせない人材だし、70年代は最高。80年代はあの時代としてはよくやった方だと思っている。とにかく、私にとって一番のクラプトンはデレク&ザ・ドミノスから、70年代のソロワークということになっている。
 「ブラウニー」は、1967年頃に購入し、その後「ブラッキー」がメインになるまで、頻繁に用いていたそうだ。1970年発表の彼のファースト・ソロ・アルバムのジャケットには、その姿が写っている。



 なるほど、クラプトンのソロの中ではトップクラスに好きなアルバムで、それで用いられたとなると、「ブラウニー」にも愛情がわく。
 このアルバムは、とにかくどの楽曲もできが良い。1987年以降の作曲能力の枯渇ぶりが信じられないほど、いずれの曲も素晴らしいメロディで、美しく、しかも格好良い。共作者も良いのだろうが、クラプトン自身に、一貫したテンションがあったのだと、私は信じている。美しいバラードの "Easy Now" などは、後年の甘ったるくて軟弱な曲とは比べものにならないほど、芯のある美しさと強さを兼ね備えているではないか。
 「ブラウニー」が実際に使われているかどうかはともかくとして、エレキが鳴っている曲として、ここは代表で最後の曲、"Let It Rain"。最近の「ただチョーキングしていればいい」という風情で下手なジャズなんぞやっているクラプトンとは比べものにならないくらい、ソリッドでエッジが立っていて、ロックンロールを熱く、格好良く理解している、エリック・クラプトンと仲間達が居る。



 この時代の曲は "Layla" なども含めて、スタジオ録音が最高だと思う。80年代以降のなんだか気の抜けた甘い飲み物みたいなライブ演奏は、どれもイマイチだ。

 ところで、ブラウニー。ギターではない。
 天板に薄く生地をのばして焼き、四角く切り分けた、チョコレート味の濃い焼き菓子で、ケーキのようでもあり、クッキーのようでもあるらしい。多分、それほど難しくはない ―が、基本的にチョコレートというのは、扱いが難しいので、初心者には向かない。
 せいぜい「チョコレート・パウンドケーキ」が妥当なところだが、それでもチョコレートはそれなりに難しい。