The Village Green Preservation Society2012/02/08 21:51

 ザ・キンクスは私にとって一つの謎かも知れない。
 好きかと訊かれれば、確実に好きだと答える。ザ・フーと比べてどちらが好きかと訊かれても、確実にキンクスと答えるし、"Lola" はロックの十大名曲の一つだとさえ思う。
 しかし、不思議なことにキンクスのヒストリーは殆ど知らないし、メンバーに至っては、デイヴィス兄弟しか知らない。このブログで話題にしたことも今までなかったのではないだろうか。
 持っているアルバムは、1964年のデビューアルバムから、1972年の[Everybody's in Show-Biz] まで、そして1996年のライブ・コンピレーション[To the Bone] と、[The Kinks Best] - 中途半端なようで、これが妥当なような気もする。

 この私の中でキンクスが占める奇妙なポジションには、幾つか理由があると思う。
 まず第一にビジュアル ― いきなり第一に挙げるのは気の毒か。ビジュアルに関しては、ビートルズが図抜けているのでそう思えるだけかも知れない。
 次に思いつくのが、友好関係がほかに比べて薄い ― 60年代の、特にブリット勢に顕著なのだが、その時代のロッカー達は非常に仲が良い。そういう交友の中 ― 特に私がすきな人たちの中に、デイヴィス兄弟がなかなか姿を現さない。
 それから、私が「コンセプトアルバム」や、「ロックオペラ」をあまり買っていないということも考えられる。特に、「ロックオペラ」は苦手だ。

ロックという音楽は、短く、深く、突き刺すような楽曲構成であり、しかもそれぞれの独立性が高いのが特徴だと思っている。一方、オペラという音楽ジャンルは、横に長い構成を重視しているため、どうもロックには向いていない形式だと思うのだ。
 そもそも、クラシック音楽でかなり完成されたものが出来ている以上、向いていないロックをあてはめようというぎこちなさに、耐えられない。

 ついでに言えば、どんなに優秀なミュージシャンでも、得意不得意はあると思っている。ロックンローラーが、どういう訳か(新しい側面を見せたいとでも思うのか)、ジャズやクラシックをやろうとすると、たいていつまらない音楽になると、私は思っている。
 しかも、演奏そのものはそこそこ上手だったりするから、こまる。下手でもないけど、全く面白くない、不得意分野の音楽というものは、どうも耐えがたい ―

 話が逸れた。とにかく、私にとってのキンクスは謎だ。
 それでも、その音楽はかなり好きで、"Lola" や "You Realy Got Me" はもちろんだが、最近ヘヴィローテーションで聴いているのが、"The Village Green Preservation Society" である。曲は美しいし、エッジも効いていて、歌詞も抜群に良い。韻の踏み方も素晴らしく、いつ、何度聞いてもいちいち感動している。この曲が、ベストに入っていないのには驚いてしまった。
 演奏としては、[To The Bone]に入っているライブバージョンも素晴らしいし、スタジオ録音版も最高に格好良い。どういう訳だか知らないが、私が持っているアルバム[The Kinks are the village green preservation societ] のスリーブには、このタイトル曲の歌詞だけが載っている。
 歌詞も好きだと言ったが、特に "Protecting new ways for me and for you" がお気に入り。それから、"We are the Sherlock Holmes English Speaking Vernacular / Help save Fu Manchu, Moriarty, Drucula" も吹っ飛んでいていい。

 動画となると、いまいち「これ!」というものが無い。そういう所も、キンクスらしいとでも言うのだろうか。そういうわけで、スタジオ録音版でどうぞ。

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