Sinnerman2012/02/04 23:52

 去年の夏、NHKで放映した英国BBCのドラマ[SHERLOCK] がとても面白かったので、先日発売になったばかりの英国版DVDでシリーズ2も手に入れた。もちろん、PALなのでPCでしか再生できないが、ありがたいことに英語の字幕はついている。
 自分の理解のために、よせば良いのに「アヤシゲ翻訳」など始めたが最後。今、3話目をやっているのだが、ほぼ廃人状態である。
 このドラマ、面白いのだが、音楽に関してはこれといったものはなかった。しかし、シリーズ2の3話目にして、やや音楽的なこだわりが見られて、面白かった。
 その一つが、ニーナ・シモンの "Sinnerman" である。どんなシーンでどう使われているかは、ドラマを見てのお楽しみ。NHKでいつ放映するのかは分かったものではないけれど。

 ジャズに関しては完全に門外漢の私だが、ニーナ・シモンはさすがに知っている。ジョージやディランの楽曲の素晴らしいカバーがあるからだ。特に、彼女のジョージに対する思い入れは強そうだ。何と言っても、壮大な "My Sweet Lord" が有名だが、私は "Isn't It A Pity" や、"Here Comes the Sun" も好きだ。
 1933年ノースカロライナ州生まれ。ピアノに関してはいわゆる天才少女で、ジュリアード音楽院に進学している。彼女がただのピアノの上手い人で終わらなかったのは、あの凄まじい歌唱力と、ピアノをまるで体の一部のように、しなやかに、自由自在に ― まるでピアノという楽器が存在しないかのように ― 演奏し、ジャズというジャンルにおいてその才能を発揮したからだろう。
 "Sinnerman" は、アメリカで古くから歌われているトラディショナル・スピリチュアルズの一つだそうだ。まず、歌詞が強烈。

 「罪人よ、どこへゆくのだ? / そう、岩山へゆくのだ / 岩山よ私を隠しておくれ / しかし岩山は叫ぶ / それはできない / おお、岩山になにが起きたのか / 主よ、主よ / だから川へと走ってゆく / 川には血が流れ / 水は沸き立っていた / 主よどうか私の祈りをお聞き下さい / しかし主は言われた / 悪魔のとこおへゆくがいい / すると悪魔は待っていた / 私は叫んだ / 力を! 力を! 主よ、あなたが必要なのです…」



 ニーナ・シモンの声は、一体それが女の声なのか、男の声なのかも分からないような、不思議な魔力を持っている。男でも、女でもない、人間ですらないような、音楽というどこか抽象的なものの、コアの部分だけが響いているようだ。

 [SHERLOCK] での使われ方は、格好良くて、スタイリッシュで、それでいて歌詞の意味とも絶妙にリンクしている。このドラマはシリーズ3の制作が発表されたようだが(そりゃそうだ…)、こういうイカした選曲を期待している。

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