通勤の友2011/04/08 23:58

 地震のあと、首都圏の鉄道は電力の関係で本数を減らすなどしたため、通勤環境がすこし変わった。通勤に必要なもの、音楽と読書。本にはお金をかけまいと思っているので、普段なら英語の本を読む。日本語を読むのに比べて数十倍の時間がかかり、なおかつ内容が理解できないので、2回読む。経済的なのだ。しかしこの状況下では、できるだけつまらないストレスは軽減した方が良いと考えた。このため、最近はもっぱら日本語で歴史小説を読んでいる。
 もっとも、新しい本ばかり買うのは金銭的な問題があるので、以前に読んだ本も再読している。つい先日まで、司馬遼太郎の「関ヶ原」と「城塞」を連続して読んでいた。大坂方の真田左衛門佐が、娘を城から落とし、徳川方の伊達政宗に後を頼んだ話がある。
 小説では政宗が重臣,片倉小十郎(景綱ではなく、その子重綱。重長とも言う)に、「養女にでもしてやれ」と何気なく言い、結局片倉が真田の娘を妻にする(蛇足だが、政宗と重綱は衆道の間柄だった。衆道ってなに?…の人は、辞書参照。「しゅどう」と読む)。
 政宗のセリフはともかく、このいきさつは史実らしい。私は面白い話だと思っている。だが私の記憶では、ドラマ「独眼竜政宗」では再現されなかった。どうしたことだろうか。左衛門佐を登場させる余裕がなかったのだろうか。
 長々と書いたのは、要するに私はやはり歴史が好きだなと、再認識したからだ。歴史の本と音楽さえあれば、長く混雑した通勤さえべつに苦ではないし、むしろ目的地に到着したら読書を中断するのが惜しいとすら思う。

 通勤中のストレス軽減のため、音楽の聴き方もいつもとは少し違う。普段なら聞こうとするアーチストの、アルバムを選んで聴いているのだが、地震後の状況ではいつギュウ詰めになってiPod操作不能に陥るかわからない。そこで、特に好きなアーチスト ― 最初はウィルベリーズ、次にTP&HB, 今はジョージ ― の音楽を全て、アルバムごとに連続再生するという設定にしている。アルバムの再生順はランダムだ。
 ウィルベリーズはともかく、TP&HBはものすごい曲数で、驚いた。おそらく、ディランの次に多い。新旧音質両方や、イケナイものも収録されているせいだろう。TP&HBをすべて聴き終わるのに、なんと20日近くもかかった。

 今は、ジョージを連続して聴いている。その中で、"Got My Mind Set On You" がやけに印象に残った。ヒット曲なので、複数のアルバムに収録されているので、何回も聴くことになる。
 何度聴いても、ポップで明るくて、でも格好良くて、クールで、完璧なプロデューシングが施されていると、感心する。まずは、ジョージ(偽)がクルリと一回転することで有名な、ビデオから。



 原曲は、ルディ・クラークが作り、ジェイムズ・レイが録音した、60年代初頭の曲だ。ジョージによれば、「原曲は、うるさい女性コーラスが叫んでいる」そうだ。



 …確かに、女性コーラスがうるさい。コーラスが入る前の方が、おしゃれで良い。
 それにしても、この曲をカバーして、あれほどのものにしてしまうジョージがすごい。そして、プロデューサーのジェフ・リンの手腕。エコーも控え目だし、耳障りな電子音も聞こえてこない。全てがセンス良く、程よく、でも端正なだけじゃない格好よさが凝縮されている。全米1位も当然だろう。
 この曲をシングルカットすることを最初にジョージへ勧めたのは、当時まだ子供だったダーニとのこと。彼の音楽的センスというよりは、子供のもつ本能的な判断能力の賜物と言うべきだろう。

コメント

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

※投稿には管理者が設定した質問に答える必要があります。

名前:
メールアドレス:
URL:
次の質問に答えてください:
このブログの制作者名最初のアルファベット半角大文字2文字は?

コメント:

トラックバック