graham nash david crosby2011/04/14 23:14

 ドン・フェルダーの自伝を読んでもイーグルスへの興味は起きなかったが(あの内容では、当たり前か)、人格者として絶賛されていたグレアム・ナッシュについては、かなり興味をそそられた。彼のアルバムを聴いてみようとしたが、これが意外とレコードショップの店頭に置いていない(最近は極力店頭で買う事にしている)。
 ナッシュのソロ・アルバムの前に、デイヴィッド・クロスビーと組んだアルバムの方が手に入った。1972年、[graham nash david crosby] である。かなり良いアルバムでずっと感想を書こうと思っていたのだが、地震でしばらく忘れていた。



 私はCS&N(Y)のプロフィールには詳しくない。あの人があっちへ行き、この人がこっちへ行き、あの人と組み、人が増えて減って…という経緯がいまいちピンとこない(そりゃ、バーズのメンバーを覚えきれないのだから仕方がない)。ともあれ、CSN&Yがいったん解散した後、クロスビーとナッシュが…いや、アーチスト名の順番としてはナッシュとクロスビーが組ん、でデュオとして制作したスタジオアルバムと思えば良いらしい。
 やはり、なんと言っても二人のコーラスワークが美しい。二人とも美しい高音の持ち主だが、ベルカント系の音色ではないところが好きだ。そして、楽曲の完成度がすばらしい。特に、ナッシュが作った2曲が抜きんでていた。
 まず、"Frozen Smile"。はっちゃけた感じの、元気な曲調。そこに、ナッシュの声。ナイーヴである程度の緊張感を保っている。さらに、ちょっと間の抜けたハーモニカがかぶってきて、非常にバランスが取れている。もしかしたら、このアルバムでは一番好きな曲かもしれない。
 そして、"Immigration Man"。 入国審査での苦労の歌だが、短くもこれまた緊張感のある楽曲構成。とくに、第二,第三ヴァースでのフレージングのバリエーションが格好良い。
 ナッシュの楽曲の良さばかり書いてはいるが、無論クロスビーとの絶妙なコーラスがあっての仕上がり。クロスビー楽曲の、不可思議な雰囲気が、アルバムの重厚感を作り出している。アルバムとして、何度繰り返して聴いても飽きない、すばらしい作品だ。

 アルバムジャケットはなんとも言いようのないものだが、とにかく文字としては、 上段にgraham nash, 下段にdavid crosby とある。私はアーチスト名も、アルバムタイトルも [graham nash david closby] なのだと解釈していたのだが、裏ジャケットを見ると、今度は上段にDAVID CROSBY, 下段にGRAHAM NASH と書いてある。どうやら、順番もこだわらないで良いらしい。