Echo2010/08/19 22:16

 16日付けで、Cool Dry Placeに「カントム」から、part two, echo 1999 をアップした。私が一番好きなアルバムの一つである。

 私の好評価はともかく、トム自身のコメントとしては、それほどテンションがあがるアルバムではないらしい。それでも、個々の曲の話になると、それなりに気に入っていることが分かる。

 最初にネットで発表された "Free Girl Now" に関しては、その発表形態に関する顛末のことのみが語られているが、私はこの曲が相当お気に入りだ。最高に格好良いロックンロールだと思っている。
 イントロはクールだし、ボーカルのテンションも高くて良い。アウトロで、マイクが弾いている対旋律が、ハードな中にも無類の美しさを含んでいる。
 さらに、ハウイのベースラインの格好良さときたら!これが、ハートブレイカーズの眼前で、まさに壊れ行こうとしているハウイのプレイだなんて!(それとも、これはハウイのプレイではないのだろうか?詳しくは分らないが、私はハウイということにしておく。)
 しかも、フェイドアウトするのではなく、格好良く曲を締めくくる勢いも格好良い。
 一般的な評価と比較して、私の評価が著しく高い曲の一つだ。



 そういった「私の好評価曲」の代表格のもう一曲が "Echo。このブログのタイトルになっていることでも、それは伺えるだろう。
 私は基本的に暗い曲,悲しい曲が好きだという傾向にある。しかも美しい。"Echo" はだんだんと楽器が増えて、徐々に盛り上がっていく様が、まさに少しずつ胸が一杯になる感じ。最終的には切なさが最高潮に達する ― こういう曲はほかに、ジョージの "Isn't it a pity"がある。むろん、最高レベルに好きな曲。
 しかし、トムの"Echo" に対する感想は、「長い」。確かにTP&HBにしては長い。そして、彼自身や、バンドにとってもいろいろな事があった時期であることだけを、強調した。
 人生には、そういう時期がある。決してハッピーではない人生の時。この曲が私のお気に入りなのは、そいう要素も絡んでいるのかも知れない。
 いつか、トムがこの曲の良さに気づいて、ライブでやってくれると良いなと祈っている。

 話は前後するが、"Room at the Top" のところで、ジェフ・リンが話題に出たので、びっくり仰天してしまった。
 TP&HBがワーナーに移籍してから、ジョージが亡くなるまでの期間は、ジェフ・リンが全く登場しないと思っていたからだ。
 トムがピアノの前に座るたびに、何となく弾いていたものを、「曲になっている」とジェフが指摘し、トムも自覚するという話。
 トムは「自分でも思い出せないくらい昔から何となく弾いていた」とは言っているが、かと言って1988年や1991年の話ではなさそう。
 住んでいる所が近いのだから、たまには一緒にすごすこともあったのだろうか。

 [Echo] からもう11年経つ。即ち、私が初めてTP&HBのライブを見てから、同じ年数が過ぎたということだ。
 若い頃の彼らも大好きだが、ここ10年ほどの彼らも大好きだ。「休み休み」などと言いつつ、いつも何かしら素敵な物を作り出してくれる。
 そしてなんと言っても、最高のロックバンドとして、変わらぬ友情の力を見せてくれるのが嬉しい。トム、マイク、ベンモント ― 二十歳にもなっていなかった若い彼らが、今も唯一無二の仲間として一緒にいる。それを思うだけでも、胸が一杯。

 ロックの生まれた国の、ディランがあの年の冬、故郷からやってきた町へ。トム・ペティ&ザ・ハートレブレイカーズに会いに行く。
 それを思うだけでも、胸が一杯。