眩しいリンクと、暗澹たる話2009/12/27 23:38

 リンクに、いつも素敵なコメントを下さる、Scottieさんのブログ、トムさんに恋してを追加しました。
 タイトルでも分かる通り、TP&HBへの愛にあふれた、眩しい記事のオンパレード。拝見していてうれしくなってしまいます。これからもよろしくお願いします。

 年末である。友達と会う機会も多いし、見たいテレビ番組も多い。小さいが、様々な音楽に関する話題がチョロチョロと徘徊している。

 フィギュアスケートで気になる音楽。一番趣味が悪いと思うのは、安藤美姫のショート,「レクイエム」(モーツァルト)。あそこまで変な編曲をすると、さすがのモーツァルトも形無しである。
 アイリッシュ・ダンス・ショー,「リバーダンス」を使っている人が複数。日本人の趣味に合う音楽だと思われる。
 小塚崇彦はショート、フリーともにエレキ・ギターの曲。ショートは、ジミ・ヘンドリックス。長さはともかく、音はオリジナルを使っている。フリーは、「布袋の」と紹介されるギター・コンチェルトだが、実はこの曲、マイケル・ケイマンの曲なのだ。ケイマンと言えば、CFGでのストリングス・コンダクターだし、トムさんも [Wildflowers] で非常にお世話になった、名作曲家,アレンジャー,プロデューサーである(合掌)。
 たしか、フランスの選手に、ストーンズ・メドレーを使っている選手が居たような気がする。面白いプログラムだったので、オリンピックでも見てみたい。
 五輪選手ではないが、日本の男子で、フリーの曲が「ゲティスバーグ」の人が居た。おそらく、映画のサントラだろう。衣装も肋骨服っぽい。色はシルバーなので…南軍なのかな?。

 新宿タカシマヤタイムズスクェアの、HMVが来年1月6日をもって閉店する。閉店前に一度行ってみた。
 小規模のHMVに行くと、ほとんど私が買うようなものは無いに等しい。その点、新宿はまだ使える大規模ショップだったし、アクセス,買い物などの面などでも便利だったので、閉店は残念だ。
 昨日行ってみると、そこは空襲に遭った町の焼け野原のようだった。商品は売れるに任せて、棚に黒い空白が多数みられる。ブラインド・ボーイ・フラーのCDが欲しかったのだが、ブルースの棚はほぼ空だった。ジョージのところにもベストが1枚ある切り。
 ザ・バーズのところには、1973年の再結成アルバム [Byrds] がポツンと残っていたので、私が引き取ることにした。



 このアルバム、厳密にはザ・バーズというバンドのアルバムではなく、G.クラーク,ヒルマン,クロスビー,マッグイン,M.クラークによる、[Byrds] というタイトルのアルバムだそうだ。まだ聞き込んでいないが、1曲目だけでもコーラスワークの美しさにうれしくなってしまう。

 先週のピアノの発表会。いつも、本番は練習の70%が出れば良いと思っているのだが、今回は40%程度の悲惨な結果だった。本番に弱いにもほどがある。ピアノは練習がほぼ全てだとは言え、いい加減この勝負弱さをどうにかせねば。

 ピアノを習うことについて、暗澹たる気持ちになる話を聞いた。
 とある、男子高校生の話である。彼は、小学生まで私の知人にピアノを習っていた。中学3年間は休み、高校生になってレッスンを再開することにした。そこで、彼は某大手音楽教室の門を叩いた。この音楽教室でついた先生は、発表会向けとして、彼にショパンのエチュード3曲を課した。
 まず、これが仰天すべきことだった。この高校生のレベルはせいぜい小学校卒業程度であり、バッハの複旋律や、ソナタの類、ましてやショパンの初歩であるワルツさえ弾いたことがない。一方、課されたショパンのエチュードと言えば、音大生レベルの曲だ。しかも3曲というのは、やや狂気じみている。
 無理だと判断した高校生は、かつて師事していた私の知人に助けを求め、そのレッスンで補うことにした。そこで、知人は高校生が音楽教室に払っているレッスン料を聞いて、また驚いた。1回30分のレッスンが月に3回、月謝が16000円と言うのだ。まず、高い。1時間換算にすると、10000円強。これは音楽大学受験の面倒を見てくれる偉い先生なら相場だ。しかし、その場合は課題が重いので、絶対に30分では無理で、普通1時間かける。
 私はこの話を聞いて、何かの間違いじゃないかと思った。しかし、理由はすぐにわかった。この音楽教室のシステムだと、生徒が弾く曲のレベルが上がると、レッスン料も上がるのだと言う。つまり、音楽教室としては難しいレベル設定の曲をやらせて、高額の報酬を得たいがために、彼の実力に不相応な曲をむりやり弾かせているのだ。
 私はこの話を、音大仲間にもしたのだが、全員が憤慨の大合唱だった。
 そもそも、曲のレベルによってレッスン料が違うというところが気に入らない。生徒が4歳の初心者だろうが、18歳の音大ピアノ科受験生だろうが、教師は同レベルの技術と情熱を傾けて指導するべきであり、その内容のレッスン・クォリティに差などあってはならない。実際、私は7歳から18歳まで同じ先生についていたのだが、指一本の下し方から教わり直した7歳の時と、大学受験のために泣きながらベートーヴェンのソナタを弾いていた18歳の時で、師のレッスンには何の差もなく、同じレッスン料を払って当然だった。
 実力が伴っていないのに、高い料金を取りたいがために無理やりショパンをやらせるなどという詐欺じみたことを、大手の音楽教室がやっていることに、私は絶望してしまった。おそらく、その無茶な曲を課した先生も(某一流音大ピアノ科出身だそうだ)、間違っていると分かっているが、音楽教室組織からの圧力があるのだろう。

 こんな事が、長くまかり通るはずがない。某音楽教室は、いずれその報いを受けるだろう。大手でもあるので、早く過ちに気付いて、高い志を取り戻してほしい。