LAD解体2009/12/11 23:55

 最初に到着した [The Live Anthology] デラックスボックスは、当初バックアップだった太平洋ルートだが、ようやく本命の北米ルートも到着した。
 北米ルートは、まさにアメリカ東海岸から発送され、普通なら5日くらいで到着するのだが、今回はなんと11日もかかって届いた。パッケージの外側には、オリジナルの送り状のほかに、ドイツの郵便マーク(ホルンのマーク。おそらく、昔郵便馬車が使っていたホルンだろう)がついている。発送者は間違いなく "JAPAN" と表示したのに、何を思ったかドイツ行きの飛行機に乗せられたらしい。大西洋を渡り、さらにユーラシア大陸を飛び越えてきたのだから、トムさんたちもご苦労なことだ。
 一方、三つ目のルートは南米ルート。この南米というのは、アマゾンのことで、要するにAmazon.jp への、もっとも普通の方法で注文のこと。ところが今日になって、私が大きな勘違いをしていたことに気付いた。手配私がLA-Dを注文していた日本のショッピングサイトはアマゾンではなく、HMVだった。南米じゃないよ、オックスフォード・ストリートだよ。
 そのHMVも今日発送したとのこと。これでLA-D入手に関する混乱も、収束するのだろうか。

 TP&HBほどのビッグなアーチストの作品のこと、もっとすんなりと行かないものだろうかと思う一方、入手するために色々と手を尽くし、連絡を取り、仲間の首尾を確認しつつ、毎日待ち焦がれるという、この煩わしさが、奇妙に心地良いということも事実だ。 無論、販売担当部署がこんなマゾっぽい極東の変なファン一名のことを、頭に入れているはずが無いのだが。
 Best Buyという流通形態に関しては、賛否が分かれるのだろう。ただ、安く上がるのだということは察しがつく。このことは、[Runnin' Down A Dream] の時に、特に強く感じた。アメリカとメキシコ以外にはメリット皆無どころか、入手不能の事態を招くとは言え、メイン市場であるアメリカにおいて、流通コストを最低限に抑え、価格を下げる努力が求められる販売側としては、悪くない選択肢なのだろう。
 ただし、安かろう悪かろうは回避できないらしい。私が手配した北米ルートでは、店頭でLA-Dを買おうとしても「そんな物はありません」だったり、やっと商品を取り出してきても、セール価格99.99ドルを提示されなかったりで、けっこう際どい状況だったらしい。
 そういう事に敏感な販売スタッフが居るかどうかは知らないが、ハートブレイカーズの面々にどうこう出来る話でもないだろう。せいぜいプチマゾ気を発揮して、困難をも楽しむことにする。

 肝心のボックスの中身について。
 やはり、Disc-5 は不可欠だと思った。アルバム [echo] や、[The last DJ] の曲が無いのは、寂しすぎるので。全体的には、初期からハウイが在籍していたころまでの演奏が印象深い。21世紀に入ってからの演奏は、実際に見たり、オフィシャルソフトも多いので、耳が慣れているせいだろうか。
 CDに関しては、また追々コメントするだろう。とにかく最高の一言に尽きる。

 DVDに関しては、だんぜん1978年が良い。若くてはじけ飛んでしまっているようなTP&HB、最高。カメラが多くはないので、ベンモントやロンがあまりよく見えないのは残念だが、トムさんとマイクで、もうおなかいっぱい。それにしても…スタンのあのシャツは一体…スタンとマイクの開襟合戦。何を競っているんだ?
 一方、400Days。ソースはもの凄く良い。大好き。特に異常に早い"American Girl"なんて、血が沸騰するがごとき狂乱。呆然としてしまった。ところが、私はこの監督Martyn Atkins が大の苦手…いや…嫌いなのだ。
 画面をバラバラに切り刻んでベタベタと貼り付け、画面が一時たりとも落ち着かない。しかも演奏そのものまで切断しまくる。どうもこれがアトキンズの芸術らしいのだが、私の価値観とは全く相いれず、苦痛ですらある。そんな訳で、同じくアトキンズが監督したフィルモアや、the last DJのライブ映像も、あまり見ないのだ。
 それを思うと、RDADの映画は、よく出来ていると改めて思った(いや、もともと大好きなのだが)。監督ピーター・ボグダノビッチ。「あんな変態の前にトムさんを長時間座らせるなんて!」と、鼻息荒く憤慨したものだが、やはりアトキンズのバラバラ変死体のような作品を思えば、素晴らしい仕事をしてくれた。

 BluRayは機械を持っていないので、いつの日かの鑑賞になる。
 困っているのは、アナログのオフィシャルブート。再生出来ない…。困ったな。どうしよう。一応、世の中にはアナログを mp3 にする機械があるらしいが、いったいどうアクセスすれば良いやら(「買えば」と言われても困る。私にはアナログを持つという思想が無い)。いっそのこと、ハートブレイカーズロゴ型のUSBメモリーで出してくれれば、大喜びで買うのだが。

 オマケもある。フィルモアのポスターは…しばらく、それがフィルモアのポスターであることに気付かなかった。まぁ、いいや。ポイ。
 バックステージ・パスのステッカー。うふふ、可愛いけど使えないじゃん。私が好きなのは、ハートブレイカーズのツアー・バス・デザインのやつ。
 メモ帳。…これまでの生涯で見た中で、最もどうしょうもないメモ帳。現物を見るまでは「もったいなくて使えない!」と思っていたが、現物を見ると、「ショボ過ぎて使えない」。よくもまぁ、こんな凄まじい物を作れるなと、変に関心してしまった。
 どうも私は、この手のグッズに対する関心が薄い。良品でも粗悪品でもあまり気にしないし、特に欲しいとも思っていないらしい。「物欲が無い」と言われたことがあるがそうではなく、音楽に関しては徹底的に音楽本位主義なのだ。結局、このせいでオマケがまずかろうが、販売方法に問題があろうが、あまり気にしない性質になっている。

 最後に、ブックレット。これはさすがに立派なボリュームがあるので、気合を入れて読まねば。そして筆者は、例のウォーレン・ナントカこと、Warren Zanes。そろそろ、彼の著作も読んでみようかと、思い始めている。