The Joker2008/10/08 22:45

 スティーヴ・ミラー・バンドの存在を知ったきっかけは、青山陽一だった。
 彼がライブの来場者にだったか、サイン会の参加者にだったか、とにかく非売品の[ extra acoustics ] というCDを配ったことがある。それに収録されていた2曲のうちの1曲が、スティーヴ・ミラーの " The Joker " だった。
 青山陽一の録音は彼ひとりで録ったもので、ドラムとパーカスが打ち込みだったのが残念だが、曲の良さは十分伝わった。

 そこで購入したのが、本家 スティーヴ・ミラー・バンドのアルバム [ The Joker ](1973)である。



 ほかにもライブ盤も含めて、スティーヴ・ミラーのアルバムは何枚か持っているのだが、実のところ彼について殆ど知らない。どうやらアメリカ人らしく、スライドなどのギターの名手であることだけはおさえてある。
 アルバムのジャケットがこの有様なので容姿も知らない。以前、青山陽一が「最近、谷啓みたいになってきた」とコメントしているのを見て、容姿は確認しないことにした(谷啓は谷啓で好きだが)。

 この素晴らしいアルバムを音だけ聴いていると、何年に作られたアルバムなのかが、皆目わからなくなる。流行のジャンルとかファッション、最新の楽器、プロデューシングなどは、どうでも良くなるような、ただひたすら美しく、格好良いシンプルな楽曲の数々。ロックが持っている本質的な力が、瑣末な背後関係を超越しているとでも言うべきか。
 シンプルで軽快なのに、格好良さだけがフワリと飛翔する、"Sugar Babe"。突き放したような、クールさの"Shu Ba Da Du Ma Ma Ma"。一体どうしたら、こんな曲が作れるのかと思うほど、穏やかで狂おしい"The Joker"。そして、オーバーダブとか、オーケストレーションとかに躍起になるのが馬鹿らしく思えるほど、簡素で美しく感動的な " Something To Believe In "。これら以外にもライブ録音も含め、秀作揃いの名作アルバムだ。

 スティーヴ・ミラーと、彼のバンドについての知識は皆無なものの、自分の中では、The BandやCCRと近いカテゴリーに分類していた。ジョージや、TP&HBにも近い位置である。
 だから、ラクダシャツの人のお気に入りギタリストが、スティーヴ・ミラーだと知って咄嗟に驚き、少し考えれば当然かと納得した。ジェフりんがプロデュースに参加しているアルバム、 [ Flaming Pie ] で共演しているとのこと。ポールのソロ・アルバムは一枚も持っていないが、スティーヴ・ミラーと共演となると…さて、どうしたものか?