Love Is a Long Road2024/01/13 19:50

 Heartbreaker's Japan Party さんが発行しているメール・マガジンによると、有名なゲームのトレイラーにトム・ペティの "Love is a long road" が使用され、大いに話題になっているそうだ。
 実は先月のメールマガジンにその一報が載っていたのだが、私はゲーム門外漢のため、ちゃんと読んでいなかったようだ。今月のメルマガで再度報じられるに至り、やっとその盛り上がりを知ったという次第。

 ゲームにトレイラーなんてあるのかしら思いつつ、YouTubeでそのゲーム、[Grand Theft Auto Series] のトレイラーをみたら、なんだかびっくり。なかなかに大人向けのハードな内容の、クライム物らしい。
 ともあれ人気ゲームに採用されて事で、この曲を知らなかった人の間でも話題になっているとのこと。トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズの公式動画も、"Love is a long road" の歌詞つき公式動画(静止画だけど)をアップするに至っている。



 この曲は1987年のトムさん初のソロ・アルバム [Full Moon Fever] に収録され、シングルとしては、"Free Fallin'" のB面になった。曲作りはトムさんとマイクの共同作業で、マイク曰く自分が所有していたバイクがからインスパイアされたとのこと。ジム・ケルトナーがドラマ―を務め、トムさんとマイクで録音したものを、ジェフ・リンがすっきりさせて完成したのだという。

 この曲は長くトム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズのライブ・ナンバーとしても親しまれた。観客もサビを一緒に歌いやすく、とても盛り上がる曲だ。
 ライブ動画はいくつもあるが、ここは発表時に近い1991年から。ハウイの美しい高音に、さらにベンモント、たぶんスコット・サーストンも加えたコーラスが印象的な名演だと思う。

David Leland2023/12/29 19:25

 ニュースによると、映画監督,脚本家のデイヴィッド・リーランドが12月24日に亡くなったそうだ。
 この名前を聞いて特にピンとくる人はあまりいないだろうが、トラヴェリング・ウィルベリーズの "Handle with Care", "She's My Baby", "Inside Out", そして [Concert for George] の監督だったというと、重要人物だったことがわかる。

 彼の履歴を見ると、どうやらジョージが作った映画プロダクション,ハンドメイド・フィルムズ作品の脚本を手がけた辺りから、ジョージとの関係が始まったらしい。ウィルベリーズのビデオ制作を任されたというのだから、かなり信頼されており、他のウィルベリーズ・ビデオのみならず、ジョージが亡くなった後も CFG の監督をしたという、その手腕は確かな物だった。

 ウィルベリーズの魅力を語り始めたら果てしなくて、簡単に年を越してしまうが、ミュージック・ビデオの素晴らしさも、その魅力の一部である。
 私はウィルベリーズがデビューしたときをオン・タイムで知らないのだが、とにかく最初は覆面バンドだったはずである。しかし同時に MTV で "Handle with Care" が流れると、覆面どころかオーラ丸出しのスーパースターの勢揃い。
 リーランドが監督したウィルベリーズ MVの中でも、特に "Handle with Care" は、ウィルベリーズの世界観を見事に表現してみせた。旅するウィルベリー・ブラザーズのあの温かで和やかな空気感が余すところなく映像化されており、いつ見ても、何度見ても涙がこみ上げてくる。素材もさることながら、リーランドの監督としての技量があってのことだろう。



 [Concert for George] の素晴らしさは、演奏そのものもさることながら、その雰囲気の良さである。追悼コンサートでありながらまったく湿っぽくなく、むしろ幸福感に溢れた独特な空気感がある。リーランドの手腕はここでも発揮され、ジョージを愛する人全ての温かな心を、丁寧に映像に映し込んでくれた。
 劇場上映されたバージョンも悪くはないが、ここは是非とも DVD か Blu-ray を購入して、完全版をぶっ通しで見て欲しい。そう、冒頭クラプトンの挨拶から、インド音楽、モンティ・パイソン、バンド・パフォーマンス、そしてラスト・シーンまで。リーランド監督がこの映像に閉じ込めた、永遠の幸福感、友愛の素晴らしさが胸に迫ってくるに違いない。

Sing, Sing, Sing2023/12/25 21:26

 年の瀬となれば、スポーツではフィギュアスケートが先週末一つの山場を迎えた。
 女子は世代の谷間や負傷者などもあり、坂本花織の一人勝ちであった。世界選手権の枠が三人の割には、ちょっと物足りないが、致し方ない。個人的には三原と坂本のファンなので、三原を世界選手権に持って行きたかったが、なかなかそうは行かない。

 近年まれに見る激戦になったのが、男子シングル。フリーはまさに圧巻だった。最終グループの6人が全員素晴らしかったのは言うまでもないが、その手前の組の三宅、壺井も素晴らしく良かった。本人たちのやりきった顔が全てを物語っていた。中でも友野は号泣してしまった(ファンだと言うこともあるので…)。四大陸も世界選手権も出られないのは惜しい!
 優勝はパンツをはき間違えてもまだ、宇野の余裕が勝った。彼はシニアでの試合出場数が人より抜きん出ているので、勝負に強いのだ。ジャンプの調子が上がらない中でも、勝ち抜く力はさすがだろう。それにしても、鍵山の SP での転倒は痛かった…!四大陸はノー・プレッシャーで良い演技をしてほしい。

 音楽的に印象的だったのは、実は上位選手でただ一人上手くいかなかった、島田高志郎だった。ショート・プログラムの "Sing, sing, sing" は転倒こそしたものの、出だしの笑顔からがっちり心を掴まれた。
 こういうスウィング感の強い曲調は、日本人の得意な分野ではない。高橋大輔か、友野一希くらいしか、表現できるひとがいない。高島はこれまで「表現」の人と言うよりは「雰囲気」の人だったが、今回の "Sing, sing, sing" はまさに彼自身のスウィング感が現れていて、幸福感でいっぱいになった。

 私は "Sing, sing, sing" はベニー・グッドマンがオリジナルで、歌が後でついたと思い込んでいたが、実はその逆でルイ・プリマのニューオーリンズ・ギャング―― 歌つき ―― がオリジナルだそうだ。



 ベニー・グッドマンのバージョンを知ってしまうと、やはり物足りない。これは完全に "Twist and Shout" のパターンで、カバーが最高のバージョンというやつだ。

Lady Chieftains in Yoyogi2023/12/18 20:58

 代々木のアイリッシュ・パブで、トラディショナル・アイリッシュ・ミュージック・バンドのレディ・チーフテンズ Lady Chieftains のセッションがあったので、久しぶりに鑑賞しに行った。
 私は実のところ、お酒の席というものが非常に苦手で、人の数の多いところ、音楽を聴かずに喋っている人がいる場所もまた苦手。そのため、音楽が好きな割に、アイリッシュ・パブに行かない。もったいないことをしていると思う。

 レディ・チーフテンズは、いつだか、もちろんパディ・モローニも健在だった頃のある来日のとき、呼び屋(だったかな?)がチーフテンズをもてなすつもりで、日本人女性(若い人が多かった)だけを寄せ集めて、アイリッシュ・ミュージック・バンドを組み、レディ・チーフテンズとして世にお披露目したのが始まりだった。
 経緯や名前から行くと、「なんちゃって」感の拭えないこのバンド、じつは実力もかなりのもので、日本でここまでちゃんと揃っているバンドはなかなか無い。メンバーにはクラシック出身者が何人かいて、ケルト人ではない分の差を努力と生真面目さで埋め、質の高い演奏をしてくれる。



 アイリッシュ・ミュージック・バンドにも色々個性がある。レディ・チーフテンズは、まずフィドルとフルートが手練れである。二人ともクラシック出身だ。経験と勉強が充分に積み重なって、揺らぎのない演奏をする。
 そして、素晴らしかったのはハープの存在。なかなか音が大きくならないので難しいのだが、エアーではもちろん、ダンスチューンでもその存在感を発揮するリズム感が素晴らしかった。
 思えば私のすきなケルティック・バンド ―― ルナサや、タリスクにはギタリストがいるし、ボシー・バンドもギターとブズーキがいる。ルナサにいたってはベースもいるので、そういうリズムの強い、ロック向きのバンドが好きなのだ。
 現在、レディ・チーフテンズのパーカッショニストは海外修行中だそうだが、帰ってきたらハープとともにあのリズムをさらに強固な物にして欲しい。

 フルーター兼ホイッスラーはなかなかの有名人で、何枚もアルバムを発表しているが、どういうわけかダンスチューンのアルバムを出さない。私はダンスチューンが好きだがからティン・ホイッスルを習っているわけで、気長にダンス・チューン・アルバムの発売を待つつもりだ。

The Greatest Rock 'n' Roll Singer2023/12/09 21:30

 昨日、12月8日はジョン・レノンが亡くなった日である。当時、私は生まれてこそいたが、 ビートルズもジョン・レノンも知らない頃で、そのニュースの記憶も全くない。周囲にジョンの死に衝撃を受ける人も居なかった。
 銃撃はニューヨーク,1980年12月8日午後10時頃におきた。日本は9日朝。当時のことを覚えておいる人は、9日の出来事として認識しているだろう。ちょうど私がジョージの死を11月30日、トムさんの死を10月3日と認識しているように。

 ジョン・レノン。もちろん、ビートルズのメンバー。史上最高のロックンロール・シンガーだと思っている。エルヴィスのような深みのある美声ではなく、青春の甘さ、苦さ、美しさを地声に乗せて歌いきる。長時間歌うと喉がかれるという、本来は「ナシ」な声なのだが、反逆のロックンロールはその歌声の独壇場だった。
   私は、ジョンのビートルズ・レコード・デビュー後、初期アルバムにおける歌唱がたまらなく好きだ。これほど素晴らしいロックンロール・シンガーは二度と出ないだろう。

 ビートルズの中で一番好きな曲の一つ、そしてジョンの歌唱の素晴らしさを思い知らされる、"Twist and Shout"。ついで、ポールとリンゴのグルーヴ感も最高である。かなり重い演奏で、完コピしようとしたらだいたいテンポで音を上げるだろう。



 ジョンの冒頭のシャウトが、オリジナルも、ほかのバージョンも、その後の作品をも吹っ飛ばしてしまった "Mr. Moonlight"。ポールとジョージのコーラスも素晴らしく美しい。ジョンの声にポール(エルヴィス系)とジョージ(声薄い)というコーラスが揃ったのも、ビートルズが他のバンドとは一線を画する点だ。

Celtic Christmas 2023 (Lúnasa, Dervish, David Geaney)2023/12/03 20:20

 12月2日、すみだトリフォニーホールにて、「ケルト音楽の祭典」と銘打った 「ケルティック・クリスマス 2023」を見に行った。
 主な目的は、やはりルナサ。1998年にスーパーグループとして結成したアイリッシュ・ミュージック・バンドだ。2001年に [The Merry Sisters of Fate] が大ヒットし、世界的にその名を知られるようになった。
 私は2001年当時、ロックのルーツを追っていた。ジャズは音大時代に多少勉強し、その後初期のブルースや、60年代ロックレジェンドに影響を与えたブルースマンなども聴いた。となれば、次はカントリーなのだが … 私はカントリーが嫌いなのだ。詳細は省くが、あの脳天気さが我慢できない。カントリー・ロックはロックだから聴けるのであり、ロックのルーツの一つとしての純粋なカントリー・ミュージックは受け付けないのだ。
 そもそも、カントリーのルーツは何だろうと考えたとき、アイリッシュ・ミュージックであることに気がついた。アイリッシュ・ミュージックから独特の悲しみと陰鬱とした空気を抜き、脳天気に発展させるとカントリーになるらしい。
 そういうわけで、私は渋谷の HMV のアイリッシュ・ミュージック・コーナーに行った。その当時、HMV が推していたのが、前述の[The Merry Sisters of Fate] であり、超ストライク!私はアイリッシュ・ミュージックにとりつかれた。
 以来、20年。アイリッシュ・ミュージックはもっぱら演奏する方に専念している。

 ルナサの代表曲と言えば、なんと言っても "Morning Nightcap" だろう。



 [The Merry Sisters of Fate] が大ヒットした当時、来日公演が行われ、私も渋谷クラブ・クワトロに見に行った。イントロのイーリアン・パイプスの「ブーン…」というドローンが響いた途端に、会場がどよめいた。
 昨日も4曲目に披露してくれたのだが、この代表曲をこんなに早く披露して良い物だろうかと思った。
 現代のザ・ボシー・バンドの名にふさわしい貫禄の演奏。ベースを入れて、ギターでソリッドなリズムを刻む、ちょっと色気のない演奏がクールで、相変わらず私が一番好きなアイリッシュ・バンドのひとつだ。

 コンサートはルナサが前半で、後半がダーヴィッシュ。こちらは女性ヴォーカルが入っており、演奏もあいまってこれも素晴らしい。さらにダンサー,デイヴィッド・ギーニーが参加して素晴らしいステップを披露してくれた
 ちょっとおかしかったのが、ギーニーがタキシード姿だったことだ。リバーダンスのようなショーはともかく、アイリッシュ・ダンスって普段着なのに足もとはビシっと決まる感じが格好良いと思っていたので、タキシードはちょっとびっくり。チラシでは普通にフーディ&デニムだったのに。クリスマスだからって、こうなっちゃったのだろうか?

 アンコールは予想通り、ルナサとダーヴィッシュの共演だった。知っている曲をちゃんと合うように演奏するのだから、必然的にトラディショナルのダンス・チューンになるので、ほとんど私も知っている曲(テンポ通り吹けるかどうかは別)ばかりだった。
 サプライズだったのは、先日亡くなったザ・ポーグスのジェイン・マクガウワンに捧げるべく、ポーグスの曲を演奏したことだ。彼の名前が出たからには曲は推して知るべしだったのだが、問題は誰が歌うかだ。女声はダーヴィッシュの歌手がいるのだが、男性歌手はいない…!なんと、ルナサのフルーター兼ホイッスラーのケヴィン・クロフォードが歌うというのだからびっくり。本人も笑ってしまう選択だったようだが、一生懸命マクガウワンのパートを歌ってくれて、とても感動的な演奏になった。
 シェイン・マクガウワン R.I.P.

Bob Dylan at Budokan2023/11/29 20:47

 ボブ・ディランの [The Complete Budokan 1978] を買うか否か、だいぶ迷っていた。
 普通、ディラン様のアイテムは迷わず買うし、ブートレッグ・シリーズは豪華版には手を出さずに通常版にしておくという選択も決まっている。
 しかし、今回の [The Complete Budokan] は、そもそもブートレグ・シリーズでもなければ、新しいライブ盤でもない。完全に1978年初来日したときのライブ音源を、CD 4枚組で完全収録しており、その一バージョンしか売り出さないのだ。
 なんとも悩ましい。もともと、1978年初来日の時の演奏そのものが余り好きではないし、とにかく箱がでかい。あんまり大きな箱というは好きではないのだ。
 悩んだ末に、いつもはネットで購入するところ、新宿のタワーレコードに出かけて行き、実物を手に取って考えることにした。
 ありました、[The Complete Budokan 1978] ―― 桜に桃色のディラン様。ピカピカのジャケットが目立つ。そして手に持つと、重い!でかい!うっとおしい!即決で却下。ちゃんと実物を目で見て良かったと思う。
 既に発売されている [At Budokan] には含まれていない楽曲の存在が惜しいが、まぁ、そういうことも人生にはあるさ。



 せっかくの桜ディラン様を買わなかった穴埋めというか、ここ数日ずっと既出の [Bob Dylan At Budokan] を聴いている。
 曲目的には、ほぼザ・ベスト盤!といった有名曲目白押しのラインナップなのだが、なにせ演奏そのものがなんだか素っ頓狂なのだ。このアルバムを買ったときから、今までずっとその「素っ頓狂だ」という感想に変化がない。
 「ローリング・サンダー・レヴュー」と同じ大編成ではあるが、前者はロック色が強くて、格好良かった。しかし、[At Budokan] は終始軽快な雰囲気で、なんだか間抜けにすら聞こえる。
 その「間抜け」の最たる物が、フルートの存在だと思う。とにかくこのフルートがうるさい。別にフルートに恨みはない(そもそも、私は11-15歳までベーム式のフルートを吹いていたし、音大時代は龍笛を吹いていた)。しかし、いかんせんフルートはロック向きではないのだ。音色がロックしていない割には、悪目立ちするオブリガード(カウンター・メロディとも言う)が耳障り。
 フルートよりはまだロック向きになれるはずのサックスもかなりうるさく、私の好みの使われ方ではない。ロックでのサックスは、歌うのでは無く、リズムをたたき出す感じで使って欲しいのだが…。

 曲目は良いのに、演奏がイマイチというのが、1978年の武道館であった。これを豪華版ボックスにするくらいなら、2001年のパシフィコ横浜を出してくれれば良いのに。私が見たディランのなかで一番良かったのがあのときだった。
 もっとも、ディラン様のライブは終わりなき旅である。彼の最高のライブは、これからなのかも知れない。

Every Shade of Blue (The Heads and The Hearts)2023/11/23 22:01

 ザ・ヘッズ&ザ・ハーツの2022年発表の最新アルバム [Every Shade of Blue] をおそまきながら購入。
 好きなバンドなので、当然 CD を購入。昨今はやりのサブスクでは、突然聴けなくなるリスクがあるとか。恐ろしい。Amazon で買ってみたら意外にもプラスチックケース。このバンド、ずっと紙ジャケだったと思うのだが、どうしたのだろう。しかもバキバキに割れていて箱のケースの体をなしていない…まぁ、ディスクが無事だから良いのだけど。

 相変わらず安定のソングライティングと演奏で、安心して聴ける。これといったキラー・チューンがあるわけではないが、ザ・ヘッズ&ザ・ハーツらしい美しくてしっとりとして、でもちゃんとビートのあるロックが心地よい。
 やや優しい曲調が多いののでブルージーな強さが好きが人には物足りないかも知れないが、フォーキーな手触りと優しさが好きな人にはたまらないだろう。

 まず、タイトル曲の "Every Shade of Blue" ―― 少しオーケストラサウンドが余計かも知れないけど、彼らしい曲だ。



 お次は、このアルバムの中では私が一番好きな "Virginia (wind in the night)" ―― 叫びたくなる心情が溢れている感じでたまらない。



 最後は、"Tiebreaker" ―― 女性メンバー,チャリティのヴォーカルがうまくフィーチャーされている。実はわたし、これまでのアルバムでの、彼女が担当するリード・ヴォーカルがあまり好きではなかったのだ。わざと拙くしている感じなのだが、実際に拙くて嫌だった。
 しかし、今回は彼女の歌がとても良かったので、素敵だと思う。ちょっと残念なのは、彼女のフィドルが堪能できる曲が無かったことかな。今回はそういうコンセプトだったと言うことだろうか。

擁護派?否定派?2023/11/19 21:37

 日本におけるトム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズのファン組織、Heartbreaker's Japan Party さんにはとてもお世話になっている。1年に2回ほど、ファンの皆さんと直接会えるオフ会も行われており、毎回楽しみにしている。

 先だってのオフ会で、自己紹介兼近況報告の折、ある人が「ジェフ・リン否定派、リック・ルービン派です」と言って、どっと笑いが起きた。
 私はその発言そのものがちょっと意外で、へぇと思った。そういう「派」があるのか。メンバーや作曲者じゃなくて、プロデューサーの好悪というわけだ。
 確かに、ビートルズのように録音期間が10年未満しかなく、そのほとんどをジョージ・マーティンがプロデューサーを務めていたバンドともなると、最後の最後にいきなり、しかもよりよってフィル・スペクターが手を突っ込んだとなると、好悪が分かれるだろう。
 トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズおよび、トムさんの経歴がは長いので、色々な人がプロデュースをしたし、どのアルバムも名作だ。でも、人によってはジェフ・リンのプロデューシングが気に入らない人も居るそうだ。
 多重録音の多用や、録音の切り貼り、やや過剰なポップス性。確かにロックンロールとしては相容れない物があるかも知れない。

 しかし私の場合、トムさんのスタジオ録音作品で最初に聴いて心を奪われたのが "Free Fallin'" だったので、ジェフ・リン・プロデュースの3作品にまったく不満はないし、素晴らしいコラボレーションだったと思う。
 ジェフ・リンがプロデュースしたジョージの作品に慣れ親しんでいた一方で、ELOの曲はまったく聴いたことがなかったのが幸いしたのかも知れない。逆に ELO を先に知っていたらどうだろう?トム・ペティのプロデューサーとしては、「否定派」なるものになることも、可能性が無くもない。

 「否定派」とか「擁護派」とか言うのでは無く、ジェフ・リンもリック・ルービンも、トムさんの音楽履歴を飾ったプロデューサーだったに過ぎなく、トムさんとマイクの(ここ、重要。プロデューサーは、トムさんだけではなくマイクにも好かれることが重要)音楽の行く道は一筋 ―― まっすぐではないしろ、 ―― 続いていったのであり、決して途切れることは無かった。

Top Cat / Top Hat / Swing Time2023/11/12 19:56

 仕事は work from home 在宅勤務なので、音楽を聴きながら仕事をすることも可能。私は Walkman に所有 CD のほとんどを収録しているので、それをランダムに再生し、モバイル・スピーカーから聴いている。
 けっこうな頻度で再生されるのが、ボブ・ディランの [Theme Time Radio Hour] ―― ディラン様が DJ を務め、テーマごとにディラン様のお気に入りの曲をお喋りと共に紹介してくれる。
 ふと先日思ったのだが、エンディング・クレジット "You've been listning to Theme time radio hour..." のバックに流れているジャズっぽい軽快な曲は何だろう?
 確認したところ、1960年代放映されたテレビ・アニメ [Top Cat] のテーマ曲をジャズにアレンジした物だそうだ。



 この [Top Cat] で思い出したのだが、たぶんこれはフレッド・アステアの [Top Hat] のパロディなのだろう。
 フレッド・アステアといえば、別にちゃんと映画を見ているわけでは内が、動画サイトで彼のステップを見るのは好きだ。



 [Top Hat] はもちろん彼の代表作品のひとつであるが、やはり一番だと思うのは、ジンジャー・ロジャースとのダンスだろう。ディラン様曰く、フレッド・アステアのダンスは素晴らしいが、ジンジャー・ロジャースはその相手をハイヒールを履いて務めたと、彼女のことを讃えていた。
 私が一番好きなのは、1936年の "Swing Time" のワンシーン。これを見ると、確かにフレッド・アステアも無論最高だが、ジンジャー・ロジャースの素晴らしさも存分に味わえる。