David Leland2023/12/29 19:25

 ニュースによると、映画監督,脚本家のデイヴィッド・リーランドが12月24日に亡くなったそうだ。
 この名前を聞いて特にピンとくる人はあまりいないだろうが、トラヴェリング・ウィルベリーズの "Handle with Care", "She's My Baby", "Inside Out", そして [Concert for George] の監督だったというと、重要人物だったことがわかる。

 彼の履歴を見ると、どうやらジョージが作った映画プロダクション,ハンドメイド・フィルムズ作品の脚本を手がけた辺りから、ジョージとの関係が始まったらしい。ウィルベリーズのビデオ制作を任されたというのだから、かなり信頼されており、他のウィルベリーズ・ビデオのみならず、ジョージが亡くなった後も CFG の監督をしたという、その手腕は確かな物だった。

 ウィルベリーズの魅力を語り始めたら果てしなくて、簡単に年を越してしまうが、ミュージック・ビデオの素晴らしさも、その魅力の一部である。
 私はウィルベリーズがデビューしたときをオン・タイムで知らないのだが、とにかく最初は覆面バンドだったはずである。しかし同時に MTV で "Handle with Care" が流れると、覆面どころかオーラ丸出しのスーパースターの勢揃い。
 リーランドが監督したウィルベリーズ MVの中でも、特に "Handle with Care" は、ウィルベリーズの世界観を見事に表現してみせた。旅するウィルベリー・ブラザーズのあの温かで和やかな空気感が余すところなく映像化されており、いつ見ても、何度見ても涙がこみ上げてくる。素材もさることながら、リーランドの監督としての技量があってのことだろう。



 [Concert for George] の素晴らしさは、演奏そのものもさることながら、その雰囲気の良さである。追悼コンサートでありながらまったく湿っぽくなく、むしろ幸福感に溢れた独特な空気感がある。リーランドの手腕はここでも発揮され、ジョージを愛する人全ての温かな心を、丁寧に映像に映し込んでくれた。
 劇場上映されたバージョンも悪くはないが、ここは是非とも DVD か Blu-ray を購入して、完全版をぶっ通しで見て欲しい。そう、冒頭クラプトンの挨拶から、インド音楽、モンティ・パイソン、バンド・パフォーマンス、そしてラスト・シーンまで。リーランド監督がこの映像に閉じ込めた、永遠の幸福感、友愛の素晴らしさが胸に迫ってくるに違いない。