Sing, Sing, Sing2023/12/25 21:26

 年の瀬となれば、スポーツではフィギュアスケートが先週末一つの山場を迎えた。
 女子は世代の谷間や負傷者などもあり、坂本花織の一人勝ちであった。世界選手権の枠が三人の割には、ちょっと物足りないが、致し方ない。個人的には三原と坂本のファンなので、三原を世界選手権に持って行きたかったが、なかなかそうは行かない。

 近年まれに見る激戦になったのが、男子シングル。フリーはまさに圧巻だった。最終グループの6人が全員素晴らしかったのは言うまでもないが、その手前の組の三宅、壺井も素晴らしく良かった。本人たちのやりきった顔が全てを物語っていた。中でも友野は号泣してしまった(ファンだと言うこともあるので…)。四大陸も世界選手権も出られないのは惜しい!
 優勝はパンツをはき間違えてもまだ、宇野の余裕が勝った。彼はシニアでの試合出場数が人より抜きん出ているので、勝負に強いのだ。ジャンプの調子が上がらない中でも、勝ち抜く力はさすがだろう。それにしても、鍵山の SP での転倒は痛かった…!四大陸はノー・プレッシャーで良い演技をしてほしい。

 音楽的に印象的だったのは、実は上位選手でただ一人上手くいかなかった、島田高志郎だった。ショート・プログラムの "Sing, sing, sing" は転倒こそしたものの、出だしの笑顔からがっちり心を掴まれた。
 こういうスウィング感の強い曲調は、日本人の得意な分野ではない。高橋大輔か、友野一希くらいしか、表現できるひとがいない。高島はこれまで「表現」の人と言うよりは「雰囲気」の人だったが、今回の "Sing, sing, sing" はまさに彼自身のスウィング感が現れていて、幸福感でいっぱいになった。

 私は "Sing, sing, sing" はベニー・グッドマンがオリジナルで、歌が後でついたと思い込んでいたが、実はその逆でルイ・プリマのニューオーリンズ・ギャング―― 歌つき ―― がオリジナルだそうだ。



 ベニー・グッドマンのバージョンを知ってしまうと、やはり物足りない。これは完全に "Twist and Shout" のパターンで、カバーが最高のバージョンというやつだ。