George Fest (その3)2016/03/13 19:04

 [George Fest] 各曲レビューの後半。

Let It Down / ダニー・ハリスン
 騒々しいギターが格好良い、このイントロが最高。そこからぐっとボリュームを落としてAメロに入るのだが、入る直前はちょっと落としすぎか。イントロの熱を少し保ち、さらに一段階下げると、もっと良かった。
 パワフルなBメロのコーラスとギターに加わるべく、ジョナサン・ベイツも参加。彼とダニーはどういうつながりなのか、良いコンビに見える。ダニーの独特の固い声は、"Wake up My Love" などを歌わせてみたい。
 それにしても格好良い。ジョージってこんな音楽を作るんだと、このライブでジョージのソロ曲に初めて触れた人は驚くかも知れない。"While My Guitar Gently Weeps" が無いかわりに、この曲でギターバトルを楽しむことが出来る。

Give Me Love / ベン・ハーパー
 もっぱらスライド・ギターの練習に精を出していた、ベン・ハーパー登場。難曲に挑戦している。ハウスバンドのギタリストと二人で、もの凄く余裕のない様子で下を凝視しながらのスライドギター。ハーパーは一部歌いながらのスライドもあって、骨が折れたろう。大変良く出来ました。

Here Comes the Sun / ペリー・ファレル
 ジョーンズ・アディクションの人登場。ザ・フレーミング・リップスや、ノラ・ジョーンズ,カレン・エルソンなども揃えて、豪華な陣容。ちょっと浮いている格好のシマウマのオネエさんは何者だろう?
 ファレル、どういうわけか殆ど口を開かずに歌っている。器用な人。

What is Life / ”ウィアード・アル”ヤンコヴィック
 アクション的には完全にコメディ枠のヤンコヴィックだが、歌唱そのものはいたって真面目で上手で、格好良い。そもそも、この曲が大好きなので、このストレートのカバーが大好きだ。
 ヤンコヴィックはジョージと直接の交流はあったのだろうか。ジョージが好きそうな人だと思うのだが。

Behind That Locked Door / ノラ・ジョーンズ
 いたってスタンダードで普通のカバーな、ノラ・ジョーンズ。
 今回はギターを持っている。ムムっ!ギターがでかい!つまり、ジョーンズの身長が低いという事ではないか。これは小柄な女子もギターが弾けるぞという福音なのか?!早速、ジョーンズの身長をググる。
 155cm …?! そ ん な に で か い の か
 かくして、私のギタリストへの道は永遠に閉ざされたのであった。

My Sweet Lord / ブライン・ウィルソン
 レジェンド登場。私はビーチボーイズもブライアン・ウィルソンも良く知らないので、これが彼の他のパフォーマンスと比べてどうなのかは分からない。ついでに、ウィルソンの保護者みたいな人(アル・ジャーディン)もビーチボーイズの人だというのは、最近教えてもらった始末。ところで、ウィルソンの前のキーボードは何のために置いてあるのだろう。
 この日のライブの大詰めの曲だけあって、かなりの人数がステージにあがっている。やっぱりシマウマのオネエさんは浮いている?あの人、誰なのか教えて下さい。
 オリジナルと同じく静かに始まって、ドラムが大きく叩き始めて盛り上がっていくのだが、そこでちょっとテンポが上がる。どうもジョージの曲には独特の速度感があって、これを保つのは結構難しいらしい。

Isn't It A Pitty / ザ・ブラック・ライダー
 この演奏は、ライブ当日5組目だったそうだ。序盤にしては重い曲なので、収録版では後ろにまわされたらしい。
 この正真正銘の大曲,名曲を、気負わずに自然体に演奏している。[CFG]のようにソウルフルに押すのも良いが、こういう淡々とした演奏も好きだ。そしてスライドギターの二人は彫像のようにぴくりとも動かず、緊張感で張り裂けそうだ。
 [Live in Japan] や[CFG] と同じく、"Hey Jude" のコーラスを乗せるのを、ここでも採用。すごく格好良い演出なので、やりたくなる気持ちは良く分かる。

Any Road / ブッチ・ウォーカー
 オリジナルと同じようなバンド演奏に、全く異なるヴォーカルでちょっと笑える。袖無しGジャンに、タトゥーてんこ盛りのお兄さんが、頭を振りながらがなり立てる曲になるとは思わなかった。それでも、この曲の良さは損なわれてはいないので、意外と好き。最後のギターソロ炸裂も、なんだか馬鹿みたいで笑えるけど、そもそも原曲も少しおかしな曲なので良いことにする。

I'd Have You Any Time / カレン・エルソン
 最初の方からちょくちょく顔を出すカレン・エルソン。コーラスにノラ・ジョーンズも居る。エルソンは、イングランド出身のモデルで歌手とのこと。ジャック・ホワイトの元妻…顔色の悪い夫婦(だった)。
 確かに上手いのだけど、これと言った特色はなくて、あまり面白くはない。

Taxman / コール・ドウォー・キッズ
 ヴォーカルの人の、シャツをインするファッションはあれで良いのだろうか。
 パンキッシュなアプローチで、がなり立てるスタイル。ちょっと皮肉っぽさが抜けるけど、カバーとしては有り。エンディングはTP&HBが[CFG] でやったのと同じ。

It's All Too Much / ザ・フレーミング・リップス
 選曲だけでも、本当に良くやったと思う。しかもライブ演奏で。あのカラフルで溢れるような祝祭感を、見事に再現して見せた。
 とは言え、やはりライブ・ステージでは大変そうで、いくらかバタバタしているのはご愛敬。独特のスタイルでキーボードを弾くスティーヴン・ドローズは、まさに八面六臂の活躍。
 ドラえもんギターのウェイン・コインは、"Come on!" と言うのがどうやら癖らしいのだが、間がうまく取れなくて言っているような気もする。

Handle with Care / オールスター・キャスト
 いよいよ、"Handle with Care" …万感の思いを込めて、"Handle with Care"…!
 これはただのロックの名曲ではない。友情の素晴らしさ、その友情という結ばれた人々が、共に音楽を奏で、愛することの素晴らしさを体現する曲だ。
 最初にウェイン・コインの背中が映るが、これは [Bob Fest] の "My Back Pages" が始まる時のニール・ヤングを意識した編集ではないだろうか。
 みんなが勢揃いして、リード・ヴォーカルを分け合い、楽しくコーラスをする和気藹々とした雰囲気が最高。この瞬間、だれもがウィルベリーになる。
 ここでも、ジョナサン・ベイツの深みのある歌声が大活躍。見事に大任を果たしている。第二ヴァースのコーラスで、ダニーがどのマイクに行こうかとちょっと見回して、マイクに飛びつくところが好きだ。そして最後に締めるヤンコヴィックが、意外なほど決まっている。
 これだけの人数を揃えて、色々な人が担当するのに、演奏そのものにバタつくところが全くない。よほど入念にリハーサルをしたのか、それとも各自の自主練が完璧だったか。多分後者。
 この演奏独特のものとして、最後にハーモニカが入らず、代わりにピアノ・ソロが入る。なかなか美しいピアノ・ソロで、これはこれでとても良かったと思う。

All Things Must Pass / オールスター・キャスト
 リード・ヴォーカルを務めるのは、ダニー以外は全員女性。"Handle with Care" は男子が好き放題だったので、ここは彼女たちがしっとりと収めている。隠れキャラのリサ・ローブも前に出てきた。
 かくして、[George Fest] は大団円を迎える。

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