Rainy Day Women #12 & #35 (Cover)2015/05/09 22:36

 5月5日付けのWeb版ローリング・ストーン誌に、[Flashback: Beatles Cover Bob Dylan During 'Let It Be' Sessions] という記事が載っていた。

 曰く、誰かが [Let It Be] セッションのボックスセットを作りあげるとしたら、とんでもない量のマテリアルと格闘することになり、その中には面白いカバー曲がたくさん含まれるであろう ― とのこと。
 私はビートルズのファンではあるが、[Let It Be] の映画DVD化は、大して期待していない。好きなバンドの、居心地の悪そうなセッションを何十分も見るのはどうだろう。
 それでも、サウンドとしては面白いものがたくさんあるわけで、このローリング・ストーン誌の記事も、ボブ・ディランの "Rainy Day Women #12 & #35" のカバーを取り上げている。
 本当は、YouTubeの画面を埋め込みたいのだが…事情があってそれはしない。どんな事情かは、察して欲しい。

Flashback: Beatles Cover Bob Dylan During 'Let It Be' Sessions

 記事でも言及しているとおり、このジョンのボーカルによるカバーは、まともに残すために録音していたのではなく、適当にやって終わっている。せっかくならビシっとカバーしてくれていたら面白いのだが。

 ビートルズによるカバーの消化不良分は、トム・ペティ・ザ・ハートブレイカーズで消化する。もちろん、1992年ボブ・フェストにおけるカバー。スタンやハウイの居る編成に、ドナルド・ダック・ダンに、ジム・ケルトナーという強力サポート陣がさらなるブーストをかけてくれている。



 騒々しいけど、精緻なアンサンブルで惚れ惚れする。観客もノリノリで大合唱。ロックの醍醐味ここにあり。

 今まで、もっぱらハウイの舞い遊ぶようなスライドや、マイクのバリバリギターにばかり目が行っていたが、今回はベンモントのピアノに注目。
 前半はオルガンが中心なのだが、後半になるとピアノであの三連符のリフを連打し続けている。2分25秒あたりのブレイクが終わって、トムさんがまた歌い始めても、連打が止まらず、そのまま最後まで通す。
 この三和音の連打、指の技術的には難しくないが、体力的にはきつい。同じ動きを休みなく続けると手首や肘が痛くなるのだ。マイクロフォンもあるから、強くは叩いていないだろうが、手首への負担は強弱には余り関係ないので、やはり凄いと思う。
 男性的なパワーでカバーしている…とも思えず、うまく力を抜いているはず。とは言え、ベンモントは指を下向きにしたままグリッサンドをする人なので、やっぱり男の人の大きくて強い指,手は羨ましい。