classic albums : Damn the Torpedoes2010/10/29 23:33

 ロック史に残る名作アルバムの制作過程をドキュメンタリーにした、「classic albums シリーズ」。トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズのサード・アルバム [ダム・ザ・トーピードウズ Damn the Torpedoes] のclassic albumsは、すでに英語版のDVDを入手して鑑賞していたが、このたび日本版が出たので、さっそく購入。楽しく鑑賞した。

 このドキュメンタリーはかなり良い。とても人に勧めやすい。
 まず長さが本編90分と、短くも、長くもなく、ちょうど良い具合。そしてアルバム制作過程のみにフォーカスするのではなく、バンドのミニ・ドキュメンタリーにもなっている。故郷ゲインズヴィルに居たころや、LAに出てきたばかりの若造たちの映像もふんだんだし、当時のライブ映像も豊富。TP&HBのドキュメンタリーは [Runnin' Down a Dream] が圧倒的なボリュームを誇っているが、日本語字幕がついておらず(無論、フンイキ翻訳ならCool Dry Placeにある)、しかも4時間とかなり重い。まだTP&HBに興味を持ち始めたばかりという人には、ちょうど良い入門編として、とてもお勧めだ。
 バンドの連中はもちろん、ジミー・アイヴィーンや、シェリー・ヤクスなどのスタッフがコメントを添えているのもうれしい。何と言っても、リーダーであるトムとマイクがワキャワキャと、楽しそうにアレコレ喋り、つまみを押したり引いたりひねったりしているのが良い。アルバムとバンドに対する愛情が、滲みだしている感じだ。
 「気になるけど、どうしようかな。まだ凄いファンじゃないし…」という方は、迷わずゲットをお勧めする。そして、もちろんディープなファンたちにも。

 さて、私にとってとくに印象的だったポイント。いくつかあるが、やはりジョージ・ハリスンは外せない。
 [Damn the Torpedoes] の制作時期、まだジョージとの友人関係は築かれていないのだが、なぜか大事なところで、名前が出てくる。しかも二回(ボーナス含む)。本人は登場してないのに、やけに印象が強い。
 特に、マイク・キャンベルというギタリストが、どういう存在であるかをみんなが語る時の、ジョージの比喩が良い。
 日本語字幕では、「トムと親しいギタリストは…」と表記していたが、英語では、"Tom, his closest relationship with guiter players are..." で、「トムが特に深い人間関係を築いたギタリストと言えば…」といったところか。歌のために尽くし、弾き過ぎない。
 ジミーのセリフが、「トムは絶対にマイクを手放さなかったよ」となっているが、実際には "You get somobody like that, you hold on tight, and Tom has always held on tight to Mike Campbell." で、「ああいう(マイク・キャンベルのような)人を見つけたら、しっかりつかまえておくんだ。トムはずっと、マイク・キャンベルをしっかりとつかまえてきた。」…かな? "hold on tight" がちょっと難しい。「抱きしめる」じゃちょっと変だし。「キープする」では、ちょっと薄情な感じになってしまう。

 もう一か所、ジョージが出てくるところはまぁ…いいか…良かったね、マイク…。



 なんだかジョージがその辺をうろついるようで可笑しかったのだが、実際にうろついていた男として、ジム・ケルトナーの話題になるのも面白い。彼のエピソードは確か「カントム」か何かで知っていたのだが、それにしても実際にトムが語っているのを見ると、笑えてしまう。確かに、"Refugee" のシェイカーは非常に効果的だ。

 まだ色々語りたい事はあるが、切りがない。最後に一言付け加えるとすると…



ベンモント、そこ触るんじゃないの!錆びるでしょ。