サン=サーンス 交響曲第三番オルガンつき2008/12/11 22:16

 大のフィギュア・スケート・ファンという友人が居る。その愛好歴も長いし、かなりの知識も有しており、テレビの解説よりもよほど役に立ち、わかりやすい説明をしてくれる。
 この友人は音楽にも造詣が深く、その面でもよく私と話題が盛り上がる。

 その友人が、今日「安藤美姫がフリーの曲を変更するらしい!しかもサン=サーンスの『オルガンつき』に…!」と、興奮気味に教えてくれた。
 これは、びっくり。

 そもそも、私はクラシック音楽にあまり興味がないが、その少ない興味の中でも、人にお勧めできる楽曲のひとつが、このサン=サーンスの交響曲第三番「オルガンつき」である。
 その名の通り、曲の最後(第二楽章の後半)にパイプ・オルガンが盛大に鳴り響く、変則「パイプ・オルガン協奏曲」のような形になっている。ベートーヴェンの第九が終楽章に合唱をもってきているのと、同じ趣向だろう。
 私はこの曲を、大学の入学式で聞いた。巨大なパイプ・オルガンから鳴り響くとんでもない迫力の音にしばし呆然としたものだった。
 パイプ・オルガンの地を揺るがすような大音響は、どんなアンプにも再現できないだろう。この曲の本当の良さは、コンサート・ホールでこそ味わうことができる。
 しかも、生まれつきの天才体質で器用な人だったサン=サーンスの面目躍如と言うべきか、ピアノが二台入っているオケ構成も楽しい。


私が持っているのは、カラヤンのベルリン・フィル。オルガンはパリ・ノートルダム寺院。1981年

 安藤選手がフリーにこの曲を使うということは、やはりあの第2楽章なのだろうか。
 しかし、この曲はバレエやオペラのような「何事かの物語を表現する音楽」や、詩や歌を感じさせるものではない。純粋に「音楽のための音楽」、いわゆる「絶対音楽」に分類されるものだろう。
 そうなると、フィギュア・スケートの表現は非常に難しそうに思える。しかも、この曲は印象があまりにも壮大過ぎる。
 これまで、安藤選手はバレエ音楽「ジゼル」をフリーで滑っていたので、どんな風にまったく違った滑りを見せるのか、週末が楽しみになってきた。