Bob Dylan and The Band / Like A Rolling Stone2020/01/13 19:57

 最近、訃報に接してはびっくりしてばかりいるが、今回はなんと、今宮純さん。おなじみのF1解説者,モータースポーツ・ジャーナリストだ。70歳だったという。
 心底びっくり。昨年の最終戦も、元気に解説していたような気がするのだが…いや…今宮さん…さみしい限り。
 F1中継といえば、今宮さん、森脇さん、川井ちゃん、時々右京さんか、松田さん。いつも当たり前にある存在が、居なくなってしまう寂しさは、言い様がない。かつて今宮さんが言ったように、F1はそれでも続き、今宮さんの不在にも慣れなければならないのか。

 最近は、伝説のロックスターの伝記もの映画が流行りだが、このたび入ってきた情報は、ジェイムズ・マンゴールド監督が、60年代のボブ・ディランの映画を制作し、ディラン役を、ティモシー・シャラメにするらしいというのだ。

James Mangold set to direct Timothée Chalamet as Bob Dylan

 ティモシー・シャラメ…えええ…それは…どうなんだ…
 この『君の名前で僕を呼んで』でブレイクした美青年。ヘンリー五世役で主演した映画を、見ようかな…と思っていたら、ネタバレを読んでしまい、あまりにも私の「ヘンリー五世像(およびヘンリー四世像)」と、かけ離れていて、嫌になって見るのを止めてしまった矢先である。(シャラメのせいじゃないけど)
 ディラン様の60年代は繊細かつ、ふてぶてしくて、シャイな美青年だが…シャラメは、どうなんだろう…?ディラン様はちょっと下ぶくれな所が可愛いんだけど。シャラメの骨格は、どちらかと言うか…ジョージかな。うーん、どうしよう。見るかな?見ないかも。

 しかもこの映画、ディランがアコースティックからエレクトリックへの移行期を描くという。え、じゃぁ、ザ・バンドの連中も出てくるわけ?ディラン様だけではなく、そっくりさん大会になるのか?!ええ?ロビーは?リックは?どうなるの?
 なんか急に、興味津々になってきた…
 待てよ、ディランがアコギからエレキに移行する時期と言ったら、ビートルズも絡まなきゃいけなくない?Fab4 もそっくりさん大会になるの?
 何にせよ、クライマックスはこれになるんだろうな。

2019 F1 Opening Titles2019/12/03 21:28

 今年のF1シーズンが終了した。最後は12月の決勝だった。
 いろいろなことがあって、喜んだり、落ち込んだり。みんなお疲れ様。ゆっくり休んで、来年また。

 セバスチャン・ベッテルのファンとしては、いろいろ厳しいシーズンだった。ここ数年ずっとそうなのだが、今年は特に車が彼に合わず、苦しみ続けた。
 それでも、ドライバーズ・サーキットである鈴鹿でポールを取るなど、その実力は間違いないと思っている。
 本人は全然そのつもりがないのに、やたらと引退説をささやかれるのは、彼のプライベートが充実しており、幸せだからだろう。
 家族と友人、プライベートを大事にして、SNSにはまったく興味がない。今年は改めて結婚して(高校時代からのパートナーと)、第三子も誕生。誠実で人なつこく、エコ・フレンドリーな彼は、F1に生きなくても十分幸せそうなため、ストレスを抱えて仕事をするよりは大富豪のまま引退する ―― という、人としての夢を実現できるからに違いない。
 もちろん、セブは引退なんてする気はさらさらない。そりゃそうだ。セブはもっとタフでポジティブで、F1を愛している。

 もう一人、私が好きなキミ・ライコネンにとって、新天地でのシーズンは厳しくも、充実した物だったろう。ほぼ毎回、結果的にはチームメイトにも勝っていた。
 キミのいたフェラーリはドライバーズランキングで2位、3位を取ったが、今年はそうはならなかった。フェラーリの去年の決定は、本当に良かったのかどうか分からない。

 ともあれ、チームが変わっても、変わらないのがセブとキミの友情である。
 ドイツGPでの記者会見でも、公衆の面前でなにやらイチャイチャしていた。相変わらずだね。FIAの公式ツイートでも、「何やってるんだか・・・」と言われている。

 

 F1といえば、門外漢のある人が「F1のオープニングって、あいかわらずアレなの?」と尋ねた。
 ずいぶん前に「アレ」ではなくなっている。少なくとも、有料チャンネルでの放映になってからは全く使っていないのではないか。
 その代わり、世界共通のオープニング音楽と動画がある。たぶん、リバティが定めているのだろう。
 F1レーサーたちが、ぎこちなく顔を上げたり、腕を組んだり、襟をつまんだりするのが、なんだかくすぐったい感じ。
 曲は格好良いけど ―― ちょぉっと・・・微妙にダサいかな?それくらいが、ちょうど良いのかな?

忙しい日曜日の発見2019/10/15 21:49

 日曜日はとても忙しかった。
 まずお世話になっている Heartbreaker's Japan Party さん主催の Project X のために、台風の混乱の残る都心に出なければならず、迂回を余儀なくされる。
 あれやこれやで、忙しくも楽しい時を過ごし、夜はオフ会ディナー。
 22時前に失礼して、23時前に帰宅して、シャワーをあびてからが大変だった。
 前日から延期され、当日の午前中に行われたF1の予選、午後の決勝、そして夜のラグビーの試合までの録画を、一切の情報を遮断して見なければならないのだ。
 ネットはもちろん、テレビも一切見ず、仲間には絶対に経過・結果を言うなときつく言い、帰路は電光掲示板からも、町の人々の表情からも目をそらすという徹底ぶりが功を奏し、無事にビデオを見ることが出来た。
 すべてを見終わったのは翌日の3時だった。

 F1は悔しい結果ではあるが、予選は最高だった。ベッテルのあのタイムが出たときの、鈴鹿のどよめきがすさまじかった。鈴鹿というチャレンジングなコースで、あのタイムは彼のドライバーとしての素晴らしさを証明していた。
 スタートは大失敗だったが、タイヤからして、遅かれ早かれ、メルセデスに抜かれていた。むしろ、最後の5週を守り抜いたセバスチャンに拍手。

 さて、私も人並みにラグビーを見る。
 子供の頃、実業団の試合をよくテレビで見ていたので、ルールは分かっており、フットボールなどより、よほど好きだ。
 スコットランドという強豪を相手に、自分のナショナル・チームが健闘,勝利するというのは、やはり感動的だった。

 ところで、スコットランドのメンバーの中に、どうも気になる顔がある。



 もちろん初めて見る顔なのだが、なんだか既視感がある。この人、絶対どこかで見たことがある・・・!あまりにも気になるので、名前を調べた。その名は、ジョニー・グレイくん!
 誰だ?誰に似ているんだ?

 この人だ!



 わぁ!1976年のトムさん!
 トムさんが髪を切って、マッチョになって、ラガーマンになったら、こうなるのか!
 似てるよ!歯とか、というか、歯がそのまんま!マウスピースを割り引いてもそっくりだ。
 忙しい日曜日の発見であった。

F1 Italian GP on ORF2019/09/08 21:59


 ホテルでF1観戦。
 ひとつしかないオーストリアの地上波、ORFが生中継しているのだ。それほど人気があるということだろう。

 昨日の予選もみていたのだが、一体何が起こったのか分からず、ドイツ語の実況も笑っている。もしやと思ったが、本当に時間切れだった…

Deutschlandlied (Das Kaiserquartett)2019/08/02 21:11

 先週のF1 GP, ドイツグランプリは、久しぶりに楽しいレースになった。
 そもそもF1が好きなのだからどんなレースでも良さそうな物だが、セバスチャン・ベッテルが好きすぎていろいろ辛かったので、20位から2位フィニッシュというのは、優勝したも同然だ!
 VERのファンなら精神的に楽なんだろうけど、それがどうもそうはいかないんだよな・・・
 嬉しいので、最後尾スタートを貼り付ける!すごいなーやっぱドライバーって勇気がある。



 ドイツ・グランプリなので、当然決勝レース前にはドイツ国歌が演奏される。
 アナウンサーが、「シューマッハの時代は、毎週聞いていたような気がしますね~浜島さん~思い出すでしょ~」とか言っていたが、馬鹿言っちゃいけない。セブの四年連続チャンピオンの時だって聞いてるでしょ!

 そのようなわけで、2013年のセブ表彰台。あ、やっぱり若い。金髪だけど、もうこの頃は地で金髪じゃなくて、染めたんじゃないかな。カワイイから何でもいい。



 ドイツ国歌は、ヨーゼフ・ハイドン先生が作った皇帝賛歌が元歌で、現在はその歌詞の三番だけが国歌になっている。
 ハイドン先生はこの皇帝賛歌を第二楽章の変奏曲にした、弦楽四重奏曲も作っている。こちらは、第二楽章のみの演奏。



 聴いて分かるのだが、この曲は "God Save the Queen/King" の影響が強く出ている。国歌向きのメロディということだろう。

 ちなみに、この人もお風呂でドイツ国歌を歌っていた。
 先に歌うのは "Rule, Britannia" だが、1分15秒あたりから歌っているのはドイツ国歌だ。



 これがもっと、表彰台のドライバーの国歌として聴きたいものだ。

Faster がやってきた、ヤァ!ヤァ!ヤァ!2019/06/13 21:43

 セバスチャン・ベッテルのファンとしては、つらいF1シーズンが続いている。そしてファン全員分の痛みに耐えているのは、彼自身だろう。
 セバスチャン、あなたがどんなに厳しい時も、苦しいときも、いつでもあなたを応援している。あなたの走りと、あなたの人間そのものが好きだから。

 先月、ニキ・ラウダが亡くなって、私は俄に意を決した。"Faster" のピクチャー・レコードを買おう、と。
 ラウダと言えば、三年前に初めてウィーンに行った際、最初に入ったスーパーのショッピングカートに、彼の写真入りの広告があるのを見て、やっぱりラウダは英雄なんだと再認識した。
"Faster" のMVで言うと、イントロ前、エンジン音の鳴る14秒に映る、赤いヘルメットのドライバーがラウダだ。

 言うまでもなく、"Faster" はジョージ・ハリスンによるF1賛歌。いまよりもずっと危険で、死亡事故も多かった当時から、命を懸けてスピードに挑むレーサーたちへの愛情を表現しており、「フォーミュラ・ワン・サーカスのすべてに捧ぐ」と記されている。
 親友のジャッキー・スチュワートと、1976年の大事故から復帰したことも記憶に新しかったニキ・ラウダにインスパイアされて作られた。

 ピクチャー・レコードのA面は、九人の有名なレーサーの顔があしらわれている。
 スターリング・モス、ファンジオ、ジャッキー・スチュワート、ニキ・ラウダ、ヨッヘン・リント、ジム・クラーク、グレアム・ヒル、ジョディ・シャクティ、エマーソン・フィッツパルディ。
 そしてB面は収録曲 "Your Love Is Forever" で、1978年に癌で亡くなったグンナー・ニルソンがロータスを駆る姿が使われている。A面がもちろん有名なのだが、このB面もとても格好良い。後輪が、もの凄く大きい!
 このレコードの売り上げは、ニルソン癌基金に寄付された。

 さて。私にはレコードを買う習慣がない。
 一体どこでどうすれば入手できるのか、皆目分からなかったのだが・・・なんだかよく分からないけど、適当にネットで買った!コンディションの良い中古品を "mint" ということを、初めて知った。
 さぁ、来ましたよ、はるばるヨーロッパから!



 わぁい!ジョージ&F1ファンとして、一人前になったような気がする!幸せ。
 実は。このたび、二枚買ったのだ。例によって適当に注文するから、知らないうちに二枚になったとか、そういうことではない。かねがね ―― 正確には2007年から思っていたのだが、いつか "Faster" のピクチャー・レコードを入手するときは、二枚と決めていたのだ。
 そのようなわけで、UKとスペインから1枚ずつ入手。一枚は自分用。もう一枚は、ある人にプレゼントした。ふふふ。
 そしてレコード・プレイヤーは持っていない。ふふふ。

Tom Petty on Norwegian TV 19892019/03/14 21:47

 チャーリー・ホワイティングが亡くなったと聞いて、超びっくり。R.I.P. ―― 明日からどうするんだろう?「チャーリーに言え!」は、どうなるんだろう?

 1989年のノルウェイのテレビ番組だという、トム・ペティのインタビュー動画を見つけた。
 ジェフ・リンとの仕事(つまり [Full Moon Fever])や、ウィルベリーズについて。
 この動画、とても素敵!ウィルベリーズのビデオを別としてもとても素敵だ。



 特に後半、トムさんの顔がアップになって、肌の質感や、虹彩の色まではっきり見える。歯並びもオリジナル(?)のまま。ちょっと恥ずかしそうに、やたらと右目を触ったり、ちょっとうつむいたりする、トムさん ―― カワイイ!!
 そして特筆すべきは、髪型。この頃独特の、後ろだけ長くして、サイドには段を入れるスタイルの、最終形。おおお、なんと希少な・・・!80年代風だけど、若いトムさんには似合っていたな・・・カワイイよ・・・

 LAにいろいろな人が集まって、録音を始めて、ジェフ・リンが中心になる。それからマイク・キャンベルと、自分自身、時々ジョージ。そうしているうちに、ジョージが12インチ用に録音することになって、古い友達のボブのスタジオに行って ―― という、ウィルベリーズ結成に話が至る。

 一番興味深いのは、インタビュアーが、「アルバムのタイトルは [Volume 1] ですが、[Volume 2] があるのですか?」と尋ねるところ。
 [Volmume 3] が出る前、つまり[1] が出てまもなく、[2] の存在が噂されていたのだ。私はてっきり、[3] を踏まえての噂だと思っていた。このインタビューは1989年であり、デル・シャノン加入の噂もまだ無い頃だろう。
 トムさんの答えは、明確にノー。ただの噂で、[2] は存在しない。この時点では、もう一枚作るかどうかは不明。みんな忙しいから ―― それが、ディランが言い出して [3] を作ることになろうとは!

 トムさんが亡くなって、もう新しいものは出ないのだろ思うと悲しいが、それが意外なところで意外なトムさんに出会うこともある。きっとそのたびに、カワイイとか、素敵とかいちいちときめくのだろう。

Willin'2018/11/14 22:00

 iPod Classic を使っている。160GB。これがないと困る。スマートフォンで音楽を聴くというのがどうしても嫌で、音楽には音楽専用の器機が、しかも大容量で欲しい。これがダメになったら、次にどうしようか考えている。
 旅の間もTP&HBをずっと聴き通しだったが、あまりにも聴きすぎるのも、かえって毒かも知れないので(根拠はない)、久しぶりにiPodのアルバムシャッフルをしてみたら、リトル・フィートのアルバムになった。

 "Willin'" という彼らの代表曲の一つを聴いていたら、そういえばこの歌はトラック運転手の曲で、重量計測を逃れるために裏道を通るという歌詞があるということを思い出した。
 ついでに思い出せば、先日のF1ブラジルGPでは、我がベッテル君が車の計量器機を壊して怒られていた。



 サビに出てくる、"Driven the back roads / So I wouldn't get weighed" という歌詞が、トラックの重量検査逃れだという話を何処で聴いたのかと言えば、間違いなくボブ・ディランの [Theme Time Radio Hour] 。
 確認してみると、シーズン3,エピソード9の [Street Map] の回で、ピーター・バラカンさんがディランの言葉を翻訳解説してくれていた。それを覚えていたというわけ。
 曰く、アメリカの州によって、輸送トラックには税金がかけられ、その額は決められた計量所での車の重量に基づくのだという。輸送会社側は税金逃れのために、計量そのものを逃れたい。リトル・フィートの歌に登場するこの、かなり危なっかしい運転手は、そういう輸送会社側の要望にも応えられる。つまりそれが出来る分、彼の利益にもなるというわけだ。

 この曲の良いところは、美しくて、儚くて、短いところだ。色々な意味で長くは生きられない生命力が、そっと囁くようで、ぞくっとする。

 これだけの名曲だと、無論カバーも多い。ザ・バーズにもカバーされているが、私に限ってみれば ― 残念ながら ― リード・ヴォーカルがロジャー・マッグインではない。彼の弱い声の方が向いているような気がする。
 ともあれ、ここは当然のごとく、TP&HB, 2013年の演奏。トムさんのコントラストの効いた歌声がまた、美しくて、儚くて良い。ベンモントの印象的なピアノに、マイクの切なくなるギターが絡まり、これ以上は望むべくもないだろう。

L'Italiano2018/10/25 21:58

 いよいよ大詰めのF1 GP。もはや勝負あった、の観もあるが、ここにきてキミ・ライコネンがアメリカGPで優勝するという、この上なくめでたいことになった。
 今年の彼の速さをもってすれば、優勝しない方がおかしく、それがたまたまこのタイミングだったということだろう。
 アナウンサーも言っていたが、「全てのF1ファンの望み」というのは、あながち間違っていないような気がする。見るだけのファンのみならず、F1関係者全てに共通する感情ではないだろうか。対照的なアロンソがちょっと気の毒になる。
 セバスチャン・ベッテルのチャンピオンシップのことが、ほぼ配慮外となり、フェラーリとして最善を尽くした結果としての、このハッピーエンドは(まだ終わっていないが)、本当に嬉しい。
 セブときたら、今宮さんも言っていたが、毎回スピンしまくるので、最近はスピンしなきゃセブじゃないような気がしてきた。

 さて、そのような訳で、チームごとの Grill the Grid 2018!今年は、「ウソ・ホント」ゲーム!別に競っているわけでないようだ。
 例によって、フェラーリのキミセブは、全チームの中で一番長い。最初から最後までニコニコしているキミ。来年はどうなることやら。フェラーリはセブがああいう人だから、大丈夫だろうけど。ザウバーのジョビナッツィは、キミを笑わせることが出来るか?そこも注目。



 「シャワーを浴びながら歌う?」という質問で "Truth" と答えたセブ。
 「歌ってみなよ、気持ちいいよー。ぼくは車でも歌う。無線で流されて恥ずい」
 そして晒されるかなり下手な歌。セブは音楽好きだが、楽器も歌もイマイチ。

 オリジナルは、1983年イタリア人,トト・クトゥーニョによる、"L'Italiano"。要するに「イタリア男」という歌で、スパゲッティはアルデンテとか、ギターを手に歌いますとか、そういう内容。
 フェラーリチームの誰かが教えたのだろう。カラオケ大会かな?



 このおじさん、目が真ん中に寄りすぎて、インドの某スーパースターにちょっと似ている。
 こちらは、今は亡きアレクサンドロフ・アンサンブルとのコラボレーション。ごめん笑った。



 意外とクセになる。
 ラ シャーテ ミー カンターレ ♪
 ご機嫌で歌い出すセブの気持ちも、分からなくもないかな。

The Continuing Adventure of Kimi Räikkönen2018/09/11 21:18

 私を含めた、多くのファンの願いもむなしく、フェラーリはキミ・ライコネンとの契約を今年限りとし、来年からシャルル・ルクレールがセバスチャン・ベッテルのチームメイトになることが、正式に発表された。

 覚悟はしていたが、ショックで、悲しい。本当に残念。
 ありがとう、キミ。本当にありがとう。寂しくなるけど、あなたの事は、ぜったい忘れない …… って!ちょっと待てぇ!!

 ザウバー・アルファロメオと契約?!しかも2年?!


 意外過ぎて、超びっくり!!
 いや、確かにキミ・ファンの「妄想」としてはあったと思うよ?でも、まさか!いや、まさか!そんな夢みたいな事、あるはずないだろう?!キミはフェラーリを最後に F1 を引退し、家族と静かな生活を送るんだとばかり…!それでも十分、感謝してあまりあるのに!!キミの居ない F1 の時代が来るんだと覚悟していたのに!!
 ザウバーで!走る!キミ・ライコネンが!!
 超嬉しすぎてニヤニヤが止まらないんですけど!ニュースリリースからずーっとニヤニヤが止まらなくて、嬉しくて、ワクワクしすぎて、ヒャッハーーーー!!!

 整理しよう。

 まず、フェラーリ。
 そもそも、ルクレールと2019年の契約を交わすことが、前提で話は進んでいたのだろう。しかし、予想外のトップ交代や、キミの好調さから、キミの契約続行にも揺れ動いたのではないだろうか。
 しかし、フェラーリは次世代のスターも育てたい。すでに他のチームにはフェルスタッペンをはじめとする、若いスター候補がいる。その対抗馬が必要だ。
 ルクレールには魅力がある。フェラーリの決断の遅れ,方針の揺れが影響して、チームとしての前進を止めたくはない。キミは惜しいが、時間には逆らえないのだ。

 それからセブのこともある。4年連続ワールド・チャンピオンで、しかもまだ二十代半ばだったセブは、フェラーリに来て、居心地良いことこの上なかった。もちろんナンバー・ワンドライバーだし、チームメイトは8歳年上で、親友のキミ。優しくて、正直で、最終的には守ってくれる。去年の契約条件にまでキミを入れたのだから(噂だが、真実だろう)、まさに至れり尽くせり。
 しかし、勝てる車でありながら大きなミスも多い。そろそろ、お兄さん達に守ってもらえるばかりの環境ではなく(実際、F1で年下がチーメイトだったのは、2014年だけでは?)、責任という重圧と、下からの突き上げでプレッシャーのかかるポジションに移行しなければ、セブは成長していけないかも知れない。
 そうして新しいフェラーリがまた前進するのは、とても良いことだろう。

 さて、ザウバー・アルファロメオ。
 2017年9月7日の記事でも言及したとおり、私はアルファロメオにある程度の好意を持っている。今年から、ザウバーと提携したタイトル・スポンサーとして F1 にその名が帰ってきて、格好良いエンブレムが車体に輝いている。あのエンブレムの車にキミが乗るなんて!!高校生のころから、ずっとキーホルダーを持っていた甲斐があるというものだ。
 ザウバーというチームも、好きな方だ。何せ私が F1 を見始めた頃からあるチーム。城達也の声で「この、おじさんは、ペーター・ザウバー」というナレーションを聞いた覚えがある。日本人ドライバーもお世話になっているし、セブ、キミもザウバーから F1 デビューした。
 もちろん戦闘力の劣る車ではあるが、フェラーリエンジンだし、期待は持てる。
 ザウバーとしては、F1 随一の人気を誇り、経験豊かなキミが加入することで、得る物は多いだろう。技術面でも、金銭面でも、モチベーション面でも。彼がいるといないじゃ、注目度が全く違う。

 そして、キミとザウバー・アルファロメオとの契約は、ザウバーとフェラーリの関係強化を表しているようにも思える。
 正直に言ってしまえば、キミとルクレールが入れ替えと聞いて ― 来年、万が一ルクレールに見切りをつけざるを得ない事態になった場合、キミを呼び戻すオプションがあるのではないか ― という憶測は、多くの人の頭によぎっただろう。
 さすがにそこまでは、無い ― と思う。しかし、フェラーリ、キミ、ザウバー、アルファロメオ ― これらの要素が同居すると、全くあり得ないとは言い切れない。

 F1 界全体としては、どうなのか。
 若いドライバー参入を進めたい一方、絶大な人気を誇る大ベテランにもいて欲しい。これは政治的ジレンマだっただろう。アロンソの F1 離脱表明があっただけに、なおさらだ。
 そこに来て、まさかのキミ・ライコネンのザウバー移籍。しかも複数年。これはF1全体にとっても、おいしい結果だろう。
 キミ自身は政治に興味がなくても、彼の余りある魅力を、政治の方が放っておかないのだ。

 なんだかもう、キミの予想外のザウバー行きが嬉しすぎて、とっちらかっている。
 やっぱり F1 が好きなキミ。純粋にレースが好きで、闘争心に衰えがない。唯一無二、魅力に溢れた最高のドライバー。F1 レーサー,アイスマン,キミ・ライコネンの冒険は、まだまだ続く
 なんだか、セブよりもキミの方が好きなんじゃないかと、さすがに今日ばかりは思った。

 そう、セブ、セブのこと。
 キミは内心、ほっとしているかも知れない。「友情はおろか、人間関係そのものに興味がなく、F1 に友達はいない」と言われていたキミが、珍しく「一番いいやつだ」と評したのがセブであり、ごく最近も、その関係は「純粋な友情」と言っている。この年下の親友と、トップチームでドライブすることは、来年も続けたいほど、充実した、楽しいものだったに違いない。
 その一方で、最終的にはセブを守り、勝たせなければならない。純粋な友情で結ばれた二人だが、F1 という競技で、同じチーム ― しかもフェラーリという、独特の難しい環境に いることが、その関係を少し窮屈にしていたのかも知れない。同じチームに、大事な親友がいるが故の、心の痛みも、きっとあっただろう。
 違うチームに在籍していたときや、2年間 F1 を離れたとき、そして戻ってきたとき ― 出会った頃はルーキーであり、やがて若きチャンピオンとなったセバスチャンとの、何の屈託もない、あの関係に戻ることができる。スイスの自宅が近く、休日に一緒にバドミントンをしたり、一緒の車で仕事から帰ったり、その車中で楽しくお喋りしたり。そういう二人に、戻るのだろう。

 セブはきっと、寂しいだろう。でも、私と同じように、キミがザウバーで走ることには、キミのファンとして、親友として喜んでいるのではないだろうか。
 さぁ、セバスチャン。ミハエル・シューマッハが憧れなんでしょう?あなたが、フェラーリを引っぱるんだよ。助けてもらうんじゃない、セブが引っぱり、セブが助け、セブが守るんだ。そうやって最強のワールド・チャンピオンになるんだよ。ミスしてる場合でも、キミに甘えている場合でもないのさ。

 今年も、まだまだ。私は諦めていない。キミもフェラーリも諦めていない。セブが一番諦めていない。来年は来年。週末には良いレースを見せて欲しい。

 せっかくだから、動画をはりつける。
 シェルの企画で、特別仕様のアルファロメオ(!)を、セブとキミの二人で操縦する。ステアリング,アクセル,ギア担当。そしてブレーキとクラッチ担当。さぁ、上手く行くのか?!
 シェルは、エンストとかして、わぁー難しいー!…という展開を期待したのかも知れないが、「簡単すぎ」などと言われて、楽々パスされてしまった。セブ・キミをなめちゃいけない。もしくは、F1 レーサーなら、誰でやってもこんなものかもね。